ブリジットの答え合わせ

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ブリジットの性自認に関して TBS NEWS が石渡太輔さんと片野アキラさんに独占インタビューしています。知りたいことにきっちり切り込んだ良いインタビューです。最初から決まっていたとの発言は、公式 HP のブリジットのキャラクター紹介などからも感じ取れます。本件はブリジットの性自認にフォーカスが当たっていますが、STRIVE は「彼女」が今度どのように生きていくのかを決断する物語だと感じたので、その点がもっと広まって欲しいです。

ブリジットの性自認

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ギルディギア最新作の STRIVE でブリジットが再登場し盛り上がりを見せました。STRIVE では GGXX からデザインが変更されています。
服装がシスターからパーカーに替わっており、年齢も重ねたことでやや対格が男らしくなっています。シスターの服装がキリスト教圏では問題があるための変更でしょうが、ブリジット本人にに着目すると、オーバーサイズな服装は体型を隠すためでしょう。
胸元の紐で胸や腰のくびれがあるかのように見せています。足は筋肉質になっていますが、程よく筋肉が付き脂肪のない男性の足の方はすらっとしてキレイです。男の体格を隠しつつ、女の子の見せることを意識した考えられたデザインになっています。しかし、手の大きさは隠せなかった……。

全体的に考えられたデザインです。デザインの変更や、アーケードモードでのやり取りなどから、欧米ではブリジットの性自認が女性か否かを公式に問う動きが盛り上がりを見せました。その結果、公式で「ブリジットの性自認は女性である」との発表を行うに至りました。

インタビューでは、ブリジットの性自認などは最初から決まっていたとあります。公式の意図としては、アーケードモードを実際にプレイして解釈して欲しかったのでしょう。HP におけるキャラクター設定などからも、その意図は読み取れます。

キャラクター紹介での三人称

日本語版:ブリジット | CHARACTER | GUILTY GEAR -STRIVE- | ARC SYSTEM WORKS
英語版:BRIDGET | CHARACTER | GUILTY GEAR -STRIVE- | ARC SYSTEM WORKS

英語版のキャラクター紹介では、三人称である he/she/they が使われずに、 Bridget で通されています*1。他のキャラクターは、性別によって he/she が使い分けられています*2
ただし、テスタメントは they です。これは、テスタメントが元人間のギアで、両性具有だからでしょう。設定としては、無性に近いはず。
元々、女性っぽい見た目で、STRIVE ではより女性らしいデザインとなっています。声優も小林克彰から小林ゆうに変更されています*3。ちなみに、英語版では、トランス女性の Kayleigh McKee が演じています。

テスタメントの they から考えるに、ブリジットの紹介文で he/she/they が使われないのは、ブリジットの性自認を明言したくなかったように感じられます。インタビューにもあるように、開発元としてはアーケードモードをプレイして解釈して欲しかったのでしょう。

3つのアーケードモード

【GUILTY GEAR STRIVE】アーケードモード ブリジット 掛け合い集 - YouTube

アーケードモードでは、ゴールドルイスとの掛け合いから始まり、最後はカイと戦うことになります。
ブリジット自身のアイデンティティをテーマとしており、現在も幸せだが、現状のままでいいのか、変わるべきかを悩んでいる、というシナリオになっています。ただ、難易度によって微妙に掛け合いが異なっています。

NORMAL は今後のことを考える、という引きで終わっており、HARD で「ウチは・・・・・・ 女の子ですから!」とのセリフと共に自分自身のあり方を認め、EXTREME で自分自身のあり方を告白する決意を固めています。ゲームの難易度とブリジットの超えるべき壁と連動している形です。

ゴールドルイスからは家族との関係、カイからは公にすることの決意と共に、公にしても自身のあり方は変わらないことをブリジットは受け取っています。ブリジットが自身のあり方をどうするのか、そしてそれを両親に伝えることを決意したということでしょう。
ここで、ブリジットのあり方として「ウチは・・・・・・ 女の子ですから!(Because I’m a girl!)」に重きを置けば、トランス女性として改めて自認し、同時にカムアウトした、ということでしょう。

ブリジットの両親は、女の子として育てられてたブリジットに心を痛めているようです。恐らく賞金稼ぎのブリジットに対しても、もっと幸せな道があるはずと感じているようです。
ブリジット自身は、どちらの自分も幸せなのに両親には上手く伝えられないでいます。上手く伝わらないかも知れないし、伝えたら両親を悲しませるかも知れない。これが、ブリジットの悩みに思えます。女の子として育てられたブリジットと、賞金稼ぎのブリジットが相反しています。

この二つの相反するブリジットを、先ずブリジット自身が肯定し、アイデンティティとすることで、今後のブリジットの道も決まってきます。そして、それを両親に伝えることを臆さないことへの決意。アーケードモードはそんなお話しとして受け取りました。
個人的には、性自認が女性であることよりも、それを両親に告げること、また今後も賞金稼ぎとして生きていくブリジットの決意こそが、物語の根幹でしょう。

公式が明言するのは野暮だが、ストーリーを確かめるにも難易度が高い

ネタバレになるため、ブリジットの性自認を明言しなかったというのは、恐らく本当でしょう。アーケードモードをプレイすれば分かることです。個人的には公式が明言するのは野暮だなと感じつつ、ストーリーを追うにも文字通り難易度が高い。

全ての難易度でクリアする必要があり、EXTREME ではカイにストレート勝利する場合の分岐があるなど、全部を見るにはちょっとハードルが高いですよね……。かく言う私も、YouTube で確認しました。すいません。

ブリジットの性自認ばかりが取り沙汰されていますが、彼女の問題は両親との確執なので、それを解決する勇気ある決断をしたことがもっと着目されて欲しいです。

*1:所有格は Bridget's

*2:英語の人物紹介文としては、he/she を使うのが一般的

*3:初代は男性と女性の二重音声