- 人気漫画に他社のゲームキャラが…ドラクエの「スクエニ」を著作権侵害容疑で捜索 大阪府警(1/2ページ) - MSN産経west
- 「ハイスコアガール」スク・エニ告訴でSNKプレイモアが説明 「なんら誠意ある対応なかった」 - ITmedia ニュース
経緯としては、ハイスコアガールのアニメ化に伴い、アニメ制作会社がSNKプレイモアに問い合せた所、そもそもガンガンの編集が使用許可を得ていないことが発覚し、SNKプレイモアが今年の5月に民事では無く刑事告訴し、8月6日にスクウェア・エニックス本社が家宅捜索を受けた、という流れ。
ハイスコアガールの巻末には、SNKプレイモアのコピーライト表記がありますが許可を取っていなかったとは驚きです。「ハイスコアガール」問題、カプコン・ナムコ・セガはキャラクター使用を許諾済み のようですが、アイレムやハドソン、ニチブツなどの承諾を得ているのかは現時点で分かりません。
ハイスコアガールは引用じゃないの?
ハイスコアガールは90年代のアーケードゲームを題材とした漫画です。(C)のコピーライト表記は、著作権者を示す意味しかありません。引用の範疇であれば承諾なしに、出典の明示としてコピーライトを表記することもあるでしょう。それでは、ハイスコアガールの描写は引用にあたるのでしょうか。
ハイスコアガール| ビッグガンガン | SQUARE ENIX でSNKではなくカプコンのスト2を話題にした1~3話を立ち読みできます。ガイルやダルシムのキャラクターの絵が描かれているのが確認できるかと思います。これは、引用にあたるでしょうか。
ゲームのキャラクターではありませんが、サザエさん事件 の判例や Q7.キャラクターの著作権法上の取扱いについて | 西村&宮永商標特許事務所 などから判断する限り、キャラクターと同一であると判断できれば複製権侵害と言えるでしょう。
正確には、キャラクターそのものには著作権は生じない事に注意。ややこしい話をすれば、ゲームの場合はポーズごとにその複製権を侵害していると立証することも可能です。
以上より、ハイスコアガールは、キャラクターをそのものを描いているため複製権侵害にあたると考えられます。つまり、引用の範疇ではないでしょう。また、ロゴを使用している場合は商標権を侵害している可能性もあります。
SNKプレイモアの権利意識など
株式会社スクウェア・エニックス等に対する刑事告訴について なるSNKプレイモのニュースリリースによるとSNKプレイモアはハイスコアガールの即時販売停止を申し入れていたようです。
「ハイスコアガール」の電子書籍、単行本、月刊誌その他の販売の即時停止を再三申入れましたが、なんら誠意ある対応がなされませんでした。
話し合いの余地はなかったのかなと思いますが、昨年の夏に発覚して今年の5月告訴した点を考えると、全く折り合いがつかなかったのでしょう。カプコン、ナムコ、セガの承諾を得ているのに、SNKプレイモアは得ていないこと、また 「ハイスコアガール」単行本を自主回収 スク・エニ「著作権侵害の認識はない」 連載は継続 - ITmedia ニュース との認識であり、SNKプレイモアが民事では無く刑事告訴した点から推測するに、穏当な話し合いでは無かったように思われます。
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氷菓のコミックスおよびアニメでは、SNK作品であるKOFのコスプレをしていますが、こちらはコミックス、アニメ共々SNKプレイモアに承諾を得ています。つまり、ハイスコアガールもきちんと筋を通しておけば問題なかったと考えれます。
ちなみに、かつてのSNKは2001年に倒産しており、2001年からはSNKプレイモアがSNKの権利を引き継いでいます。
SNKプレイモアに関しては、全般 : KOFやネオジオの同人フィギュア、今年は全滅? ワンフェス2014[夏]、SNK版権が全て不承諾の模様 なる話があり、今年から著作権管理の担当者が変わったのではという憶測が流れていますが、ハイスコアガールの件が明らかになったのが昨年の夏で、告訴に至ったのが今年の5月であることから、ハイスコアガールの影響で、ワンフェスが厳しくなった可能性もありそうです。
もう一つ、携帯ネオジオ NEOGEO X は発売一年経たずに終了、SNKがライセンス引きあげ - Engadget Japanese という話があります。NEOGEO X - Wikipedia によると、ライセンス打ち切りは2013年の10月で、こちらもハイスコアガールの権利関係発覚後ですが、時期的には関係性は薄そうです。
電子書籍版とアニメの動向
ハイスコアガールがSNKプレイモアから承諾を得ていなかった件で電子書籍版はどうなる? - 最終防衛ライン3 でも説明しましたが、電子書籍は閲覧する権利を購入しているだけで、所有している状態ではありません。つまり電子書籍は資産では無く、期限の明記されない貸本です。そのため、権利侵害の疑われるハイスコアガールの電子書籍版の動向がどうなるのか気になっていたのですが、漫画「ハイスコアガール」スク・エニが自主回収 デジタル版は配信停止 - ねとらぼ によると配信停止にはなったようですが、購入者は再ダウンロードは可能なようです。
SNKプレイモアとの折り合いがどうなるかは不明ですが、仮にSNKプレイモアが承諾しなかった場合に、スクウェア・エニックスは修正を入れるのか、新装版を出すのかで、今後の電子書籍版の取り扱いも変わってきそうです。修正する場合は、再ダウンロードする場合は修正版をダウンロードすることになるでしょう。新装版を販売した方が、書籍コードの取り扱いからも、簡便かなと考えます。
アニメ化はそのまま継続されるようで、SNKプレイモアの権利を侵害するエピソードを変更するのでしょう。