アフタヌーンらしさとは私小説らしさである

6代目編集長である金井暁(敬称略)が note で「アフタヌーンらしさ」についてぼやいていた。

SNSでやたら目にするのが「ジャンプ(またはジャンプ+)で読んだマンガ、アフタヌーンかと思った!」というコメント。目にするたびに「どこらへんで!?」って少々モヤモヤするのですが、読まれた方がそうお感じになったのならこれも致し方ないですね。

アフタヌーン寄生獣の頃から気にはなっていたが、毎月25日に買い出したのは、弐瓶勉BLAME! の続きを読みたい!と思ったから。それ以来、渡米期間を除いてずっと購読している。渡米中に Kindle に対応したのは嬉しかった。現在はコミック Days でサブスク購読している。分厚い本誌は懐かしくもあるが、置き場所や処分方法に困らず、電子版であってもライブラリを圧迫するサブスクは雑誌らしくて気楽だ。

長くアフタヌーン本誌を購読している私も「ジャンプ+」に「アフタヌーンらしさ」を感じることは多いし、はてなブックマークでもよく見かける感想だ。しかし、その「らしさ」を言語化するのはなかなかに難しい。

筆者が「書きたい」とする熱量や、あるいは設定や考察の深掘り、そして色々な遍歴の方が漫画を執筆している点などが「アフタヌーン」、特に「四季賞」らしさを醸し出しているように思う。
四季賞アフタヌーンの創刊から続くが、プロアマ不問、ジャンルもページ数も制限無しと異例の新人賞である。この自由度の高さが「アフタヌーンらしさ」の源泉の1つだろう。
「ジャンプ+」の四季賞らしさはジャンルもだが、ウェブ掲載故にページ数に制限がないのも効いていそうだ。また、「SPY×FAMILY」の遠藤達哉、「怪獣8号」の松本直也など、ジャンプ出身だが長くヒット作に恵まれなかった作家陣も、プロアマ不問の「四季賞らしさ」の一助ではなかろうか。

沙村広明先生が描く『20世紀のアフタヌーン〜由利編集長のはなし〜』アフタヌーン黄金期を築いた名編集長への最高の弔事 - Togetter
アフタヌーンらしさ」を語る上で外せないのは二代目編集長である由利耕一ではなかろうか。この辺の事情は、アフタヌーンの2022年2月号(2021年12月25日発売)に掲載された、沙村広明による「20世紀のアフタヌーン~由利編集長のはなし~」に少しだけ垣間見える。

由利耕一は文学を担当したくて講談社に入社したそうだが、少年マガジンを担当することとなった。マガジンでは「釣りキチ三平」などを担当し、ヤンマガ大友克洋士郎正宗を呼び寄せたのも、この人であるらしい*1。その後に、二代目アフタヌーン編集長を担当することとなる。アフタヌーンに文学っぽく、ある種の私小説っぽさのある作品が多いのは由利耕一が構築したものだろう。

私小説的と言えば、全体的に太宰治のようなダメな男の話がアフタヌーンみがあると思う。沙村広明もエッセイ的かつダメな男の話を書かせたら天下一品だし、設定凝りまくりだがストーリーが尻すぼみなる遠藤浩輝もダメな男の話をずっと書いていて欲しいし、多くは語らないが篠房六郎もダメな自分語りばっかりして欲しい。

四季賞のような自由度の高さ、[B! 漫画] アフタヌーンってどんな雑誌問題|アフタヌーン編集部|note で言及される「多様性」を受け入れる下地が「アフタヌーンらしさ」につながるのだろう。ウェブ掲載で本誌よりも融通が効く「ジャンプ+」に「アフタヌーンらしさ」を感じるのは、同じ下地があるからだろう。その下地において自由と多様性を求めると作家本人のあり方が発露するため「私小説らしさ」が醸し出されるのではなかろうか。

AOKZOE A1 に Steam OS をインストールしてみた

試しに、外付け SSD に Steam OS をインストールしました。
外付け SSD からの boot になるため、起動に時間はかかりますが、一旦起動すればスムーズです。

内蔵 SSD にインストールする場合は、リカバリー領域を削除しないように注意しましょう。Windowsクリーンインストールするハメになります。
公式 HP にドライバが用意されていますが、これらを用いても正常にインストールできない事例が報告されています。
ただ、Kickstarter 版と日本国内版では Wi-Fi などのパーツが異なるとの報告もあります。公式のドライバが正常に動作しないのは、そのせいかもしれません。

Steam OS 雑感

AOKZOE A1 にインストールした Steam OS では右下の Turbo ボタンで TDP を 15 と 28 W に変更できます。一方で、Windows では AOKZOE のアプリで細かに設定できます。
AOKZOE の TDP 調整アプリのできがいいので、TDP やらフレームレートなどを調節すれば Windows の方がバッテリー持続時間とパフォーマンスのバランスを突き詰められますが、まぁ面倒です。Steam OS は良きに計らってくれるので楽です。
どちらの OS でも、パフォーマンスとバッテリーの持ちはあまり変わらないと思います。例えば、ELDEN RING なら、TDP を 15 W に設定し、フレームレートを 30 fps に固定、解像度を抑え 960 × 600 で RSR を適用し、高設定ならギリギリ2時間持つ感じです。Steam OS も同条件で2時間くらいです。

ゲームを遊ぶだけなら Steam OS の方がこなれています。
画面の明るさなどを調整できるクイックメニューは、AOKZOE アプリよりも圧倒的に使いやすいです。スクリーンキーボードなどもゲーム中に問題なく使用できます。AOKZOE A1 の場合は、どちらもゲームを起動した後では使い勝手がよくありません。
スリープ機能も非常に便利です、電源ボタンを押せばスムーズにスリープに移行し、もう一度押せばすぐに復帰できます。Windows とは段違いです。問題は AOKZOE A1 の電源ボタンが柔らかすぎて、何かの拍子にスリーブが解除される可能性が高いこと。ケースなどに入れてスリーブが解除されると、排熱が上手く行かず本体がアッツアツになり危険です。

ゲーム機としては Steam OS の使い勝手がいいですが、TDP などを細かく設定するなら AOKZOE だと Windows に分があります。デュアルブートでいいとこどりをしたいところですが、現実的ではないでしょう。Windows でも起動が十分に速いのに、デュアルブートにするとその点が犠牲になります。

Steam OS 導入手順

0. 参考サイトと必要なもの

Steam OS をインストールする方法は色々ありますが、今回は上記のサイトを参考に HoloIso で Steam OS をインストールしました。
〜外構と趣味とマイホーム〜 - かずlogK (@tomoniutaou33) / Twitter さんには Tiwtter での DM などで大変お世話になりました。

事前に以下のものを用意しましょう。

  • 外付けキーボードとマウス
    • USB 接続が望ましい。
  • USBメモリ(16GB以上)
  • 外付け SSD
  • USBハブ
    • USBーA ポートはあればあるだけよい。
    • LAN ポートもあるとベスト。
  • 外部ディスプレイ
    • あると望ましい。Konsole を操作する際に AOKZOE A1 本体の画面が小さくて見づらいです。
1. インストールメディアを作成する

先ず、Releases · theVakhovskeIsTaken/holoiso · GitHub から、HoloISO をダウンロードします。

次に、16GB 以上の空きのある USB メモリに Rufus - 起動可能なUSBドライブを簡単に作成できます などを使用し ISO を焼きます。
「ブートの種類」の横にある「選択」から、ダウンロードした ISO を選択すると「デバイス」に USB メモリが表示されます。
されない場合は「詳細なドライブ プロパディを表示」から「USB 接続の HDD を一覧表示」にチェックを入れましょう。
その後、「スタート」をクリックし「DD イメージモードで書き込む」にチェックしてから「OK」。他はデフォルトで問題ありません。

2. BIOS の設定を変更する

AOKZOE A1 を起動したらキーボードの "esc" キーを連打して BIOS に入ります。
Security の HDD Security Configuration から、Secure Boot を選択し、Secureboot を disable に変更し、Boot の1番目を HOLOISO を焼いた USB メモリにします。
2番目は Windows Boot Manager にしておきましょう(UFI OS にすると、リカバリーモードになるので一瞬ドキッとします)。
変更を保存し、再起動すると HoloISO のインストーラーが起動します。
メモリ領域にインストーラーを作成できますが、通常で問題ありません。

3. HoloISO をインストールする

インストーラーが起動したら、左上の3つのアイコンの真ん中をクリックします。
インストール先とパーディションなどを選択後に、root のパスワード、ユーザー名とパスワードを入力したら、インストールが開始されます。
私の場合は、Buffalo の外付け SSD にしました。

LAN ポート付きの USB ハブならこの間を利用して、インストーラー上に FireFox をインストールし、上記のサイトを開いておくと便利です。
インストーラー上だと Wi-Fi は機能しません。

インストールが完了したら、再起動などをせずに左上の3つのアイコンの一番左をクリックし、Konsole を起動します。
参考サイトでは画面の向きを変更する手順が紹介されていますが、実行する必要はありません。
最新のインストーラーは正しい向きになるように設定されています。

4. カーネルと省電力設定(ACPI)などの修正

Konsole で以下を入力し、vim でファイルを開く。

$ sudo su
# arch-chroot /mnt

# vim /etc/default/grub

vim 上で grub を以下のように書き換え。

  • vim での編集手順は以下の通り。
  1. "i" を押して insert モードへ。
  2. 下記を "Ctrl + c" でコピーし、”Ctrl + Shift + V” でペースト。
  3. "esc" キーで insert モードを終了し、 ”:wq” *1と入力し Enter。
GRUB_TIMEOUT=2

GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="video=efifb fbcon=rotate:3 acpi_osi='Windows 2015' quiet splash loglevel=3 rd.udev.log_priority=3 vt.global_cursor_default=0"

GRUB_DEFAULT="Advanced options for SteamOS>SteamOS, with Linux linux-holoiso"

GRUB_SAVEDEFAULT="false"

 
# Define "breeze" Steam Deck GRUB Theme here

GRUB_THEME="/usr/share/grub/themes/breeze/theme.txt"

AOKZOE A1 - SteamOS | darkremix.net では 'Windows 2015' が ”ダブルクォーテーション” でくくられていますが、エラーになるので ’シングルクォーテーション’ に変更しています。
変更を反映させるために、以下を入力しエラーが出なければ OK です。

# holoiso-grub-update
5. オーディオのバグ修正

Konsole で新しいタブを開き、以下を入力し vim でファイルを開く。

$ sudo su

# cp -a /usr/share/wireplumber /etc/

# vim /etc/wireplumber/main.lua.d/50-alsa-config.lua

109 行目あたりを探し、["audio.format"] と ["audio.rate"] の文頭にある ーー を削除する。
ついでに、 ["audio.rate"] の値を 192000 に修正。

--["audio.channels"] = 2,

["audio.format"] = “S16LE”,

["audio.rate"] = 192000,

--["audio.allowed-rates"] =32000,96000”,
6. コントローラのマッピング

左下のボタンが「クイックアクセス」、長押しで 「Steam ボタン」として機能するようになります。

$ sudo pacman -S base-devel git

$ git clone https://github.com/ShadowBlip/HandyGCCS.git

$ cd HandyGCCS

$ sudo make install

HoloISO_4.0_OfflineInstaller-20221211_1636-x86_64.iso だと、一行目を実行し pacman のパッケージがインストールされる際にエラーになります。パッケージの URL が 404 エラーで返ってきています。恐らく、Steam OS のバージョンが 3.3 から 3.4 になったことで参照先の URL が変わり 404 になるのだと思われます。

pacman.conf を開き、 問題のあるセクションをの末尾に 3.3 を追記すると pacman のパッケージをインストールできるようになります。

sudo vim /etc/pacman.conf
[jupiter] -> [jupiter-3.3]
[holo] -> [holo-3.3.3]
[core] -> [core-3.3]
[extra] -> [extra-3.3]
[community] -> [community-3.3]
[multilib] -> [multilib-3.3]
7. Boot の順番を再設定

インストーラーをシャットダウンし、USB メモリを抜きます。Steam OS をインストールした SSD を挿したまま起動し、 "esc" キーを連打して BIOS に入り、Boot の1番目を Steam OS をインストールした SSD にし、2番目を Windows Boot Manager にします。

初回起動のセットアップを済ませれば、後はゲームをダウンロードするだけです。
外付け SSD にインストールした場合は起動までに時間がかかります。

8. その他

種々のブラグインを導入できるデッキローダーをインストールすることもできますが、まだ使い勝手がよくわかっていません。

個人的に困ったのは、デスクトップモードからゲーミングモードに戻るショートカットが消えたこと。
Konsole を開き、以下を入力することで復活させることができます。

cat << EOF >> ~/Desktop/Return.desktop
[Desktop Entry]
Name=Return to Gaming Mode
Exec=qdbus org.kde.Shutdown /Shutdown org.kde.Shutdown.logout
Icon=steamdeck-gaming-return
Terminal=false
Type=Application
StartupNotify=false
EOF

*1:JIS 配列の場合は Shift + ; が : に対応

2022年に Switch と Steam で遊んだゲーム

2022年に遊んだゲームをまとめました。いくつかの作品はレビューも書いているので、そのリンクも掲載しておきます。

一番楽しかったのは ELDEN RING で、個人的なお気に入りは GHOSTWIRE。プレイできて良かったのは、三機兵防衛圏で、クリアできて良かったのは Outer wilds です。

NINTENDO Switch

topics.nintendo.co.jp

NINTENDO Switch は、スプラトゥーン3、十三機兵防衛圏、リメイク版 LIVE A LIVE をプレイしていました。
スプラトゥーン3は現在もプレイ中。十三機兵防衛圏は PS4 版が話題になっているときから気になっていましたが、噂通り面白かったです。そして、LIVE A LIVE はすばらしいリメイクでした。

Steam

Steam だと、昨年末からプレイしていた Horizon Zero Dawn は除外するとして、MAFIA、Outer wilds、ELDEN RING、TUNIC、GHOSTWIRE、STRAY、Bloodstained Ritual of the Night と結構色々遊んでいますが、所謂オープンワールドが多い。
Outer wilds は一年半越しのクリアでしたが、満足感がありました。個人的には DLC の謎解きの方が好みです。
TUNIC も気づき系の謎解きで、良い謎が仕込んでありますが、ちょっと超大すぎる印象。
プレイ時間が一番長いのは ELDEN RING で、正直ずっとプレイしていたいです。
GHOSTWIRE は渋谷の街の再現度が高かったので、RTX3080 のレイトレーシングが一番映えたゲームでした。こちらも、ずっと街を歩いていたい。

レビューを書いていないのは、MAFIA と STRAY。Bloodstained Ritual of the Night は AOKZOE A1 でプレイ中。ハンドヘルド UMPC に向いたゲームだと思います。説明文をよく読まずに斬月で始めてしまい、ストーリーも何もあったもんじゃない状態でラスボス前まで来てしまいました。
MAFIA はシカゴをモチーフにしたオープンワールドで、当地を訪れたことがある身としては再現度はなかなかのものだと思います。ただ、チャプター形式で進むのでオープンワールドを生かしていないのが残念です。主人公は元タクシードライバーで、マフィアの運転手から成り上がっていくのですが、タクシードライバーとして街を駆け巡るモードが欲しかったです。
STRAY は猫ゲーで主人公はしゃべりませんが、バディが滅茶苦茶しゃべるなと。時オカのナビィとか大神のイッスンの役割に近いでしょうか。MAFIA にしても STRAY にしても、取り立ててレビューするほどでもないなぁという感想です。

ビッグランと X マッチの感想

12月10日と11日は、スプラトゥーン3でビッグランが開催されたので土日はバイト三昧でした。
その裏で、一旦 S にリセットされたウデマエを S+0 に戻し、X マッチに挑戦していました。

ビッグラン

普段はバトルが繰り広げられるスメーシーワールドでのサーモンランは一風変わって面白かったです。スメーシーワールドのナワバリ以外では殆ど塗られない左の高台をイカしていたのは良いリフォームでした。
一番最初のチャレンジが WAVE1 がヒカリバエで、WAVE2 が中央に移動してのグリルだったので、特殊 WAVE をクリアしていく形式なのかな?と勘違い。もしそうならクソゲー過ぎますね。

干潮と満潮時は中央で、通常時はバトル開始位置付近にコンテナがあります。サーモンランのステージとしては狭めで、コンテナ周辺が陥落しがち。通常時だと、漏斗状で左右に高台があるのでそこでシャケやオオモノを掃討するイメージ。グリルやヒカリバエもそこで対処すると納品もしやすい。
干潮時ではステージ奥の高台に味方が篭もると納品が滞ってクリアできないことが多かったです。満潮時はめちゃくちゃステージが狭くなるので、オオモノの対処が遅れると巻き返しが辛いです。

ブキ編成はランダムで、クマさん印のブラスターが支給されますが、その他だとラピッドブラスター、L3リールガンにシェルター系が来ることが多くて、クソゲー感がありました。ヨコヅナ出現時にスパイガジェットとか罰ゲームですか。

今後は、他のバトルステージでもビッグランがあるのでしょう。そこそこ広くて高低差のあるマップである必要があるので自ずと限られてきます。また、ビッグランの性質からザトウマーケットのような室内はなさそうです。既存ステージだと、チョウザメ造船キンメダイ美術館など。新ステージはどれも可能性がありそうで、個人的にはクサヤ温泉が面白そうです。

X マッチ

前シーズンの終盤に S+0 まで上げましたが、それ以上にするモチベーションもなくチマチマとバンカラマッチなどをやっていました。

ウデマエリセットにより S に落ちましたが、スムーズに S+0 に復帰でき X マッチへの参加権を得ました。
以前は S+10 まで上げれば、S+0 イカに下がることはないとの解釈で、常に X マッチに参加できると考えられていました。しかし、ウデマエが S 以上だと前シーズンのウデマエを元にリセットされるようで、S+10 から S+0 になり、そのまま放置すると、次のシーズンでは S になるとアナウンスされました。
この仕様だと X マッチをやるだけなら、一旦 S+0 まで上げてシーズン毎に S から S+0 に復帰した方が楽ですね。

X マッチは、時間帯のあったホコとエリアを5戦して計測したら、1,579 と 1,743 となりました。エリアは苦手意識があったんですが運良く2勝できたのが大きそう。全勝すると 2,000 くらい、全敗しても 1,500 くらいになるのでしょうか。

バンカラルールが、チャレンジ、オープン、X マッチと 3 つあるので、自分の好きなルールを選べる選択肢が増えたな、という印象。

ゲームコントローラーの戦犯は SONY です

ゲームコントローラーの戦犯はSONYじゃない を受け手の釣りタイトル。
ただ、決定ボタンの位置が日本では右ボタンで、海外だと下ボタンが主流になったのは PS と PS2 の影響が非常に大きいです。

日本では PS と PS2 共に本体での決定ボタンは ○ です。海外だと PS は日本と同じ ○ だったのが、PS2 以降では × に変更されています。つまり、PS2 以降で日本と海外ではゲーム機本体における決定ボタンの位置が右と下と異なった戦犯 = 主因は SONY にあると述べても問題無いでしょう。
ちなみに、PS4 までは決定ボタンをオプションで変更できましたが、PS5 では海外で主流となっている × のみとなりました。

日本と海外版の PS の説明書より
日本と海外版の PS2 の説明書より

キーコンフィグの問題ではないのだ

ゲームコンローラの戦犯はなんどか話題になりますが、今回の発端は お願いだからめっちゃ協力して”ボタン表記がすべて真逆”なのを統一してほしい「脳がバグる」 - Togetter です。A B X Y の文字配置が任天堂Xbox で異なるのは、SEGA が絡んでいるからでしょう。Xbox の A B X Y の配置はそのままドリームキャストです。

文字配列の違いはキーコンフィグで配置を入れ替えれば解決する問題でもないのです。
ゲームの UI に「A 決定」「B キャンセル」とか「Y メニュー」と表示されているので、任天堂Xbox のコントローラを行き来していると混乱することがあります。
慣れではあるので NINTENDO Switchスプラトゥーン3やった後に、Steam で ELDEN RING をやっても基本的には混乱しません。ただ、よく間違えるのが「決定ボタンの位置」です。共に文字の上では同じ A 決定の B キャンセルですが配置が異なります。任天堂なら右決定で、Xbox だと下決定です。個人的には PS5 も下決定になったので任天堂に折れて欲しい……。

SFC の頃まで決定ボタンの位置は定まっていなかった

ゲーム機のコントローラーのボタン配置と決定ボタンの変遷(その1) - 名称未設定。 に詳しくまとめられいますが、SFC の初期まで、決定ボタンの位置はゲームによってマチマチです。A B X Y の全部が決定。A B が決定で、X Y がキャンセルなどもありました。

ドラクエや FF などでは A ボタンで決定ですが、B ボタンで決定するゲームもありました。例えば、がんばれゴエモンシリーズは FC と SFC を通して B ボタンが決定でした。FF と同じスクウェアだと、聖剣伝説2は B ボタン決定です。でも、聖剣伝説3 は A ボタンで決定になっています。

アクションゲームではメニュー画面が無い場合も多く「決定ボタン」が必須ではなく、RPG の人気が高かったこともあり、SFC の中期には A ボタンで決定、B ボタンでキャンセルのゲームが増えていきます。

PS の ○ × △ □

PS では A B X Y の代わりに、PS のシンボルでもある ○ × △ □ が採用されます。PS では SFC の A の位置に ○ が、B の位置に × が配されました。これは、恐らく SFC 末期における A ボタンで決定、B ボタンでキャンセルを踏襲したのでしょう。日本人的には、○ は肯定、× は否定なのですんなり受け入れられるシンボルです。
しかし、これが災いしてゲームコンローラの決定ボタンの位置が右と下に分かれてしまいました。

ゲーム機のコントローラーのボタン配置と決定ボタンの変遷(その2) - 名称未設定。 にある表を一目瞭然です。北米で PS のゲームは × 決定が主流となっています。
北米では チェックボックスに ☒ と書き込むため、× が決定になったとの説があります。私は長らくこの説を疑っていました。その理由の一つは、× の意味合いが曖昧なことと、もう一つは、北米ではメガドライブGENESIS)の影響が無視できないだろうと考えたからです。

英語圏での × の意味は曖昧です。Windows の閉じるは「×」が使用されています。チェックボックスだと、× ではなく ✓ が使われることもあります。また、チェックマークはオンとオフの切り替えで必ずしも決定 = Enter を意味しません。

メガドライブSFC 同様に決定ボタンの位置がゲームよって様々です。メガドライブには左から A B C ボタンが配置されていますが、A 決定、C 決定、A とC の両方が決定など、色々なゲームがあります。そのため、メガドライブは決定的な証拠でもありませんでした。

メディアプレイヤーとしての PS

チェックボックス説には懐疑的だったのですが、PS の立ち上げに関わった内海州史へのインタビュー記事を読みと正しそうです。 ゲーム機のコントローラーのボタン配置と決定ボタンの変遷(その2) - 名称未設定。 にある表からも北米では PS の頃に × による決定ボタンが主流だったのは明らかでしょう。

改めて PS の影響を考えると、PS 以前と以後ではゲーム機に対する認識が異なっていることに気がつきます。
PS の頃はセガサターンの他に、3DOピピンアットマークなどが発売されましたが、この世代のゲーム機はメディアプレイヤーとしても注目されていました。
SFC は本体だけでは何もできず、ロムを指さないと起動しません。PS では CD Player として使えるほか、メモリカードの管理など、ゲーム機本体のみで起動します。そのためゲーム機本体に「決定ボタン」を設定する必要があります。

冒頭の図に示したように、PS の説明書を確認すると日本も海外版も ○ が決定 = Enter となっています。しかし、PS2 だと日本は ○ で、海外は × が決定 = Enter ボタンになっています。恐らく、北米版の PS のゲームでは、× 決定が主流だったため、それに合わせたのでしょう。本体とゲームでの決定ボタンの位置が違っていたら面倒極まりないです。PS5 で、日本のユーザーが陥っているのと同じ状況ですね。

PS2 は DVD 再生が売りだった点からも、より一層本体のみで操作する機会が増えました。それ故に海外ではゲームとも齟齬のない × ボタンに Enter が振り分けられたのではないでしょうか。

メディアプレイヤーとしての Enter ボタン

ゲーム機をメディアプレイヤーとしてとらえたとき、それぞれのゲーム機での決定ボタンの位置はどのようになっているでしょうか。

CD をメディアとしていち早く採用したのは PC EngineCD-ROM2PC Engine Duo です。PC Engine は左から、II と I ボタンが配置され、右側の I が決定ボタンです。Duo-RX では 6 ボタンとなりましたが、右端の I が決定ボタンとなっています。ちなみに、配列が独特で、上部が左から IV, V, VI で、下部に左から III, II, I と配されています。 PC Engine の II I 配置をを拡張した形式ですが、なぜ折り返した。そもそも、ローマ数字では視認性が悪すぎます。

セガサターンも 6 ボタンで上部が X Y Z で下部が A B C となっています。決定ボタンは A と C でメガドライブでしばし採用された方式です。また、ドリームキャストは A B X Y ですが、A B と X Y の左右が任天堂とは逆になっています。決定は下に位置する A ボタンで、Xbox も同様です。

3DOメガドライブと同じ A B C の3ボタンで A が決定に割り当てられていました。
ちなみに ピピンアットマークは、上ボタンが再生、左右が巻き戻しと早送りで、下が停止となっています。

過去の資産があるため変更できない

ゲームコントローラーの戦犯はSONYじゃない にも書かれていますが、任天堂NINTENDO 64 以降は、コントローラの形と共にボタン配置が大きく様変わりしています。
決定ボタンこそ A のままですが、NINTENDO 64 は B が左、A が下、C ボタンが右に配されているので下ボタン決定です。GCSFC っぽいですが、A ボタンが大きく真ん中に配されいるため、実質的に真ん中決定となっています。Wii コントローラに至っては A ボタンしかありません。Wii U と Switch は SFC と同じ配置で、この配置は DS や 3DS で継続されていました。手に持ってプレイするゲーム機のため、NINTENDO 64GC のような配置は無理があります。また、VC などで SFC のゲームに対応しているため、文字の配置を変更できない事情もあるでしょう。

任天堂にしても、Xbox にしても、過去の資産があるからこそ、今更ボタンの文字配列を変更できないでしょう。ただ、個人的には下ボタン決定に統一して欲しいので、任天堂にはそこを曲げて欲しい。

PS2 の影響が無視できなかった

まとめると

  1. SFCメガドライブの頃までは、決定ボタンの配置は定まっていなかった。
  2. 強いて言えば、SFC では右に位置する A 決定が主流だった。
  3. PS はそれを受けて ○ を 決定として使われる A に、× をキャンセルの B に配置した。
  4. 日本人的には ○ が肯定で、× が否定である。
  5. ところが、北米で × がチェックボックスの ☒ に相当するため、北米での PS のゲームは × 決定が主流となった。
  6. PS や 特に DVD 再生機能のある PS2 では、ゲーム機本体に決定ボタンを設定する必要があった。
  7. 日本と海外共に PS 本体の決定ボタンは ○ であった。しかし、 PS2 の決定ボタンは、海外では × に変更された。
  8. Xbox任天堂と同じ A 決定だが、PS の × と同じ下に位置する。
  9. 結果的に PS2 以降では、日本と海外でゲーム機本体の決定ボタンの位置が、右と下と異なってしまった。

戦犯ではイメージが悪いですが、ゲームコンローラの決定ボタンが右と下で異なった主因は、SONY がボタンの記号として ○ × △ □ を使ったからと結論付けてよいでしょう。