良くも悪くも小島ゲームなDEATH STRANDING

全実績解除

全実績を解除し、プレミアム配送の Legend of Legend of Legend も500個取得しました。達成しちゃうと、割とスッキリして配送依存症も寛解しました。
モリーチップの全取得で全実績解除かと思っていたら、なぜか一つ足りない。必死になって確認したら、ポーターとの物々交換を達成していませんでした。ポーターからアイテムを貰ったことはあったのですが、あげてなかったのが盲点でしたね。
実績解除と共に Legend の500個も達成したのですが、途中から実績のため難易度をベリーハードにしたのもあり、Legend of Legend of Legend が350個くらいと中途半端になってしまいました。150個ほどこなす必要がありますが、雪山やBT地帯をトラックで輸送しないと間に合わない制限時間大量輸送は終えているので、残りは消化試合みたいなものです。雪山以外はトラックを使えば一挙配送できますし、雪山もジップライン網を構築しているので、そこまで手間無く、なにより微妙にやり残した感じを引きずっていたので、Legend of Legend of Legend も完遂させました。

ストーリーは良くも悪くも小島ゲーム

ストーリーは良くも悪くも小島ゲーム。BBやアメリのミスリードに引っかかりましたが、なるほどと思わせる内容で唸りました。全体を通して、絆をテーマとしておりアメリカを繋ぎ直すコンセプトは、現在のアメリカの情勢を反映しており、上手い作りだなと思います。また、偶然ではありますがCOVID-19 の影響で世界がバラバラなのとリンクしているのも面白いです。プレイ時期によっては、自粛期間中の人もいたでしょう。プレッパーみがありますね。COVID-19 で人との繋がりの他、配送の重要性も増しましたし、DEATH STRANDING のテーマが浮き彫りになったのも興味深いところです。

対称性の破れとか、それにまつわるカイラルとか、対消滅とか、ビーチとか、宇宙が生まれた理由とかとか舞台設定は、色々なところでうまいことを機能してます。時雨とか都合が良すぎますけど、荷物ケースや施設の劣化速度の説明付けとしては、直感的で分かりやすいです。オープンワールドにおいて雨は嫌な天候ですが、DEATH STRANDING でもやはり避けたい天候です。
小島ゲームで貫かれてきたけども矛盾を抱えていた非殺傷の理由付けがなされていたのが印象深かったです。DEATH STRANDING の世界では、人が死んで放置するとネクローシスが起こるため、おいそれとは人を殺せません。ただまぁ、トラックで轢いても死なないってどういうこと?とは思いますけど。ちなみに、難易度ノーマルならともかく、ベリーハードでテロリス相手にはトラックでツッコむのは危険。ベリーハードでは、遠くからグレードランチャーで麻酔弾を打つのが楽だと思います。

東部に辿り着いた後に、スタート地点にとって返す行程には興奮させられました。過去の自分、そして他のプレイヤーたちの助けを借りながら進んでいくので、本作のテーマである「繋がり」をまざまざと感じさせます。他のプレイヤーとの繋がりは、DARK SOULSシリーズを元に発想されているのでしょうが、他のプレイヤーとの関わりは NieR:Automata が思い出され、また他のプレイヤーは平行世界の存在である点は、BRAVELY DEFAULT も想起させました。
本作では施設の共有など、他のプレイヤーとの繋がりが強調されていますが、もう少々、平行世界のサム達との関係性や、平行世界の存在を強く押し出してもよかったんじゃないかなと。特に、ゲームを途中で辞めてしまった人達における世界を示唆してもよかったのではと。

小島ゲームのうんざりするところ

これまでのメタルギアシリーズの設定を引きずる必要が無いのもあり、舞台設定はとても上手く機能しています。しかし、
あいかわらずゲーム開始と、ゲーム終盤にムービーが多いのはうんざりしました。さっさとゲームを始めさせ欲しいです。終盤は一体どこで切ればいいのか。ビーチに閉じ込める演出は東部からとって返すのと比べると真逆でイライラさせられました。プレイヤーとサムの感情がリンクしてはいるんですが、ただ不快感が募るだけです。

クリフとサムの関係性、アメリの真実には唸らされましたが、結局はビックボス(あるいはザ・ボス)の焼き直しだったのが残念でした。二人のブリジット、つまりブリジットとアメリは、MGSV で明かされた二人のビックボスそのものです。メタルギアシリーズにおいて、二人のビックボスの構想は小島監督の中にずっとあったのだろうと思います。メタルギアにしてもメタルギア2にしても、そしてMGS3のスネークとビックボスとの齟齬はずっとありましたが、二人のビックボスが明示されたのは MGSV TPP です。DEATH STRANDINGにおいても、アメリはブリジットの娘ではなく、同一人物でした。二人のビックボスが微妙に異なる道を進んだように、ブリジットととアメリも近いようで、異なる道を進んでいます。

サムにしてみると、姉として存在していたアメリカが親のような存在でしたが、ブリジットと同一ならば義理とはいえ親そのものです。サムの出生はややもすると人口的なため、リキッド、ソリッドに近いものがあります。また、サムとアメリの関係性は、ネイキッド・スネーク(ビックボス)とザ・ボス(ザ・ジョイ)の関係性でもあります。メタルギアシリーズ以後の作品で、それと同じ疑似親子の話を見せられるのは、他の話が展開できないのだろうかと。舞台設定はうまいのに、本筋はビックボスの焼き直しを見させられるのは残念です。メタルギアシリーズは、MGS2で提示されているように、繰り返しによる刷り込みなので、同じ設定でいいと思うのです。同じシリーズなんだから、お約束でいいわけです。DEATH STRANDINGで、これまでのお約束を見させられるのは、正直萎えました。

配送ゲームとしてはいい塩梅だがストーリーとはマッチしていないマップサイズ

配送ゲームとして考える、マップの広さは申し分ないです。ただし、アメリカを繋ぎ直すコンセプトからすると、マップの広さがそれとマッチしていません。ストーリーと照らし合わせるとデス・ストランディング現象でアメリカって縮んだの?と思うくらいには、スケール感がマッチしていません。オープンワールドとして考えると、決して狭いマップではないのですが、アメリカ合衆国としては狭すぎます。配送ゲームとしては面白いのですが、この齟齬がずっと気になっていました。
配送ゲームとしては、最初は時間がかかりますが、配送を繰り返すにつれて道を覚えるし、ゲームが進につれバイクやトラックなどの乗り物、国道やジップラインなどの施設が解放されていくので、移動がスムーズになります。最終的に、トラックと国道を使えば、大体15分弱でマップの端から端に到達でき、大量輸送が可能です。雪山にジップライン網を作るのは楽しかったです。時雨により施設が劣化するため、保守も必要ですが、それも含めて楽しめました。配送のついでに保守することもできますが、私は保守をする場合は保守に集中していました。配送時間も、ストレスにはなるけども配送依存症であれば、そのストレスを上回る快感が得られるように調整されているように思います。

BT戦がつまらない

配送ゲームなので、ステルスゲームとは違う基軸にありながら、ミュールやBT地帯としてステルス要素を上手いこと残していているのは面白かったです。まぁ、ミュールやテロリス関連の依頼は面倒なので、先に制圧しておいてまとめて受注してましたけど。BTは諸々の事情で戦うのが面倒なので、臍帯を切りまくっていました。

戦闘関連の不満としては、BT戦が本当に面白くありません。クリフとの戦闘は、これまでの小島ゲームを踏襲した鬼ごっこのようで面白いのですが、BT戦はストレスの塊です。先ず、BTに引き込まれるのがストレスだし、足元が不自由な場所で戦うのもストレスでしかない。また、最も有用かつ有効な攻撃方法がグレードポーチに入れた血液グレネードってのも地味。爽快感がない。
BT地帯は、そもそもBTに接触しないように進むので、カイラル結晶を大量に集めたい等の動機がないとBTと率先して戦う理由は無いのですが、ストーリー進行で強制的に戦うことがあります。特に終盤は巨大なBTと二度も戦う必要があります。特に、エッジ・ノット・シティの巨大BT戦は輪をかけてつまらなかったです。サムが死んで他のプレイヤーが助けに来る演出はいいのですが、死んでも復活できちゃうので、復活の度に作業感が増します。メタルギアくらい出せと思いました。

その他、面白かった点

サムへの指定依頼にストーリーがあるのは当たり前で、ピザの配達などは中々面白いのですが、それ以外の指名無し依頼にも、それぞれが呼応し合っていて面白かったです。プレッパー同士の繋がりなどが見えてきます。また、同じアイテムが色々な所を行き来していくのも面白いです。
東部と中部の配送が連動しているものは多くはないのですが、時雨農場のビール配送は、レイク・ノットからポート・ノットを経て、キャピタル・ノットまで届けることになります。ビールを大量にかつ、制限時間内に届ける必要があるので大変なミッションです。特に最後は、Sランクを取るにはBT地帯をトラックで抜けないと間に合いません。

配送ルートを模索するのも楽しかったのですが、国道が通ってしまうと、国道ベースになってしまいます。ゲームとしては徒歩配送の方が楽しいですが、効率を考えると国道ベースのトラック輸送が最適解です。一部のミッションは、トラックを使わないとSランクは取れませんし。その点、山間部は自分でジップライン網を構築する必要があったので楽しかったです。山間部は基本的に、マウンテン・ノット・シティ付近で配送が完了しますが、微妙に気象観測所あたりまで配送範囲だったので、そちらまでジップライン網を延ばしました。当初は、カイラル通信量が足りないので最適化が大変でした。山間部は、クール便なども配送の種類が多めで面白かったです。クール便をヒートユニットで劣化させてしまうのを、何度かやらかしてしまいましたが。
ジップライン網作りはたのしかったのですが、レベル3の建設に化学物質が1440もいるのは多すぎだと思います。保守だけを考えたら、作り直した方がコストが安いです。スピリチャリストへの依頼をたくさんこなせば、可能ではあるんでしょうが。

いつもの小島ゲーム

まとめると、配送ゲームとしてはとても楽しく、他のプレイヤーとの繋がりを感じさせる仕組みも面白かったのですが、ストーリーはメタルギアシリーズの焼き直しでしかなく、ゲーム開始と終盤でムービーばかり挿入される、これまでの小島ゲームだなと言った感じ。舞台設定は、メタルギアシリーズの矛盾を抱えなくて良くなった分だけしっかりしているのに残念です。