GALAXY Z Fold2 との三ヶ月

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GALAXY Z Fold2 を購入して三ヶ月たったので、改めて感想を記しておきます。

落として壊したらどうしようという恐怖感はあるものの、使用感はとても満足しています。iPad mini くらいの画面サイズを折りたたんで持ち歩けるのは想像以上に快適です。
ただし、国内版であっても FeliCa 決済に対応していないのはなかなかのデメリットです。快適に使うには電子決済や通知確認用のガジェットで補佐する必要があるので、ただでさえ高い本体に加えてさらなる課金が必須です。
また、冬はコートなどを着るのでポケットが多いですが、夏に向けて薄着になると収納場所に困ります。そこで、ANA のマイルを使ってサコッシュを入手しました。丁度いい具合に入るので、旅行に行けない中でよいマイルの使い方だったと思います。

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One hand operation+ をインストールしよう

デメリットをメリットを語る前に「One hand operation+」を紹介しておきます。

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「One hand operation+」は、画面端からのフリックで「戻る」などの操作ができるジェスチャーナビゲーションを補佐するアプリです。フリック領域の幅や高さを調整できるほか、斜め上にフリックすると通知領域を表示するなどランチャーとしても利用できます。

サブディスプレイ側にケースを装着すると、画面端がケースの高さに干渉してジェスチャーナビゲーションが覚束なくなりますが「One hand operation+」を導入すると解決します。
GALAXY Z Fold2 を紹介する YouTube やブログ記事を色々見たのですが「One hand operation+」を紹介するものは見当たりませんでした。
もしかしたら、サムスンの端末を使用している人なら当たり前なので、わざわざ言及するアプリではないのかもしれません。

高い、重い、厚い

先ずはデメリットから。

最もダメなところは「高い、重い、厚い」の三点です。この中で価格が最大のデメリットですし、購入しない・できない理由でしょう。ただし、ハイエンドの Android スマートフォンかつ小さめのタブレットとして考えると、高くはないと思います。使用感としてはタブレットというよりも、 Chromebook に近いように思います。

二画面という特殊な構成のためカスタマイズ性が低いです。また、仮想キーボードもイマイチ使い勝手がよくありません。

マイナーなデメリットとしては、Android 端末ではありがちですが、ケースが少ないこと。また、日本版であってもおサイフケータイなどの FeliCa 決済に対応していません。ただし、これらは先に述べたように工夫=課金すれば補完はできます。
さらにマイナーな所では、Dex を使用した際の日本語入力に不満があります。この問題は、GALAXY Z Fold2 固有ではないのと、常時使用する機能でもないので、あまり困ってはいません。

高い

国内版は26万円です。iPhone 12 と iPad mini で二台持ちしても、20万円は超えません。仕様にもよりますが 18万円くらいでしょう。それらを一纏めにして、ポケットに入れてられることに10万円くらいの価値を見いだせるでしょうか。モバイル用途を考えると、SIM が一枚で済むのはメリットかもしれません。

また、本体価格の割には丈夫な端末でもありません。折りたたみの機構上、繰り返し折れ曲がるヒンジ部分やフレキシブルディスプレイなどの耐久面に、どうしても不安が募ります。雑に扱えませんし、修理するにも通常の端末よりも費用が嵩むでしょう
さらに、スマートフォンですから3年以上使うのは厳しいです。がんばれば4年はいけるかもしれませんけど。

修理対応を考えると、26万円の国内版版一択です。ちなみに au の補償は交換対応で、端末がない場合は代替品との交換になります。GALAXY Harajuku などサムスンの日本法人なら修理は可能です。
日本国内での修理はできませんが、グローバル版であれば18万円前後で購入できます。処理不良などに対応している販売店で購入するなら、20万円くらいになるでしょうか。

修理対応を考えず、技適も無視すれば20万円前後のグローバル版は割とお買い得だと思います。その理由は、Android に 8 インチ前後の高性能タブレットが存在しないからです。Android タブレットは、ほとんどが MediaTek かミドルレンジの Qualcomm で、メモリがあっても 4GB くらいと、ハイエンドが殆どありません。Galaxy Tab を日本で販売して欲しい・・・・・・。

重くて厚い

タブレットサイズの画面もポケットに入れられるメリットはあるものの、スマートフォンとして考えると重くて厚いです。

重さは 280 g 前後と iPad mini よりやや軽いですが、普通のスマートフォン二台分です。折りたたみ時の厚さも普通のスマートフォン二台分です。

タブレットとして考えると軽いですが、スマートフォンとしては重量級です。開いてタブレット風に使う分には軽く感じますが、折りたたんでスマートフォンとして掴むとずっしりと重みを感じます。

ケースが悩みどころ

価格も相まって落とさないようにケースを付けたいところですが、Android 端末なので種類が限られます。

ケースに関しても Z Fold2 固有の問題があります。Z Fold2 のケースの多くは、サブディスプレイ側とカメラ側に分かれています。サブディスプレイ側は、開口部が大きく縁が細くなるため剛性を十分に確保できないせか歪みやたわみが生じやすいのです。そのため、本体に上手くフィットしないことがあります。そのせいなのか、純正アラミド繊維ケースはカメラ側のケースしかありません。

限られた中でケースを色々と試してみましたが、現在は Spigen のスリム・アーマー Pro を使っています。重量や厚みは増しますが、守られている感が半端ないです。厚みがあるので、サブディスプレイ側の剛性も十分にあり本体にピッタリとフィットします。

厚みは増すのですが、そのお陰でホールド感も増し、もちやすく感じます。この厚さでワイヤレス充電に対応しているのもポイントが高い。
開くとヒンジをカバーする部分が出っ張るので机に平置きはできませんが、いい感じに角度が付くので悪くはないです。また、その出っ張りが部分が取っかかりになるので持ちやすいです。開いた状態で縦向きでは、出っ張りが邪魔して立てられませんが、横向きなら問題ありません。

薄型ケースに薄型のスマホリングを付けるのもありです。ただ、スタンド代わりにもなって便利なのですが、机やワイヤレス充電器などに置いた際に安定しないのが不満でした。

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ケースに薄型のスマホリング貼り付け

Ali express に純正アラミド繊維ケースのパチもんが売られています。なんと、純正にはないサブディスプレイ側のカバーもあります。スタンド部分を指に挟めば安定はするのですが、スマホリングほどのホールド感はありません。また、机に置いた際も少しグラグラします。

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Ali express より純正アラミドっぽいケース

Ali express からスタンドのないアラミド繊維ケースを購入し、その裏に goBelt という薄型のグリップを貼り付けて利用していたこともあります。スタンドとしては利用できませんが薄いので机の上などでは安定しています。
ただ、サブディスプレイ側のフィット感が今一つです。気をつけないと外れてしまうことがあります。

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どのケースにしても、帯に短したすきに長しな状態です。

Spigen は耐久性が高くホールド感もありますが、重く高いです。また、リングなどはないので落としてしまう危険性があります。
スマホリングなら落とす危険はグッと減り、スタンドとしても使えますが、テーブルに置いた際にグラつきます。
アラミド繊維ケースの場合、スタンドがあり便利ですが、ホールドにやや欠け落とす危険がありまあす。
goBelt を貼り付けたケースでは落とさない安定感があり、机にフラットに置けますが、スタンドになりません。
スタンドはあったら便利ですが、常に使うわけでもありません。そこで、薄型のスタンドをサコッシュに忍ばせています。カード入れに入るので邪魔になりません。

ちなみに、ヒンジ部分は、US Amazon からテープを購入して貼り付けています。

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カスタマイズ性が低い

折りたたみという特殊な構成のため、ランチャーアプリなどのカスタマイズを行うにも様々な工夫が必要です。
Tasker などを利用すれば開いた状態と閉じた状態で異なるランチャーを立ち上げることが可能ですが、なかなか面倒です。

キーボードもほぼ選択肢がありませんし、標準の Galaxy キーボードですら使い勝手はよくありません。Galaxy キーボード なら開いた状態でQWERTキーボード、閉じた状態でフリック入力用のテンキーと使い分けできるのですが、キーボードの仕様が微妙です。たとえば、日本語入力でフリック入力と QWERT を共存できないのが地味に困ります。
また、純粋フリック入力ができません。つまり、テンキーで言う所の「1」を連続タップすると「ああああ」と入力されず、「あ」→「い」→「う」→「え」とケータイ入力の挙動となります。

これが嫌なので、ATOK でフローティングキーボードを使っています。開いた状態で好きな場所に配置できるのが便利です。ただし、キーボードの幅がディスプレイ幅との相対長さで規定されるためか、開いた状態と閉じた状態でキーボード幅が変わってしまいます。使用する度に、キーボードのサイズを変更しています。

この辺は、今後登場するロール式端末でも同じような問題が起きそうです。

サブ端末は欲しい

グローバル版なら仕方が無いと割り切れますが、日本国内版ですらおサイフケータイに対応してないのがデメリットです。そのため、Z Fold2 の弱点を補うために、サブ端末があると便利です。

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私は決済用と路上で使用するため Jelly2 を使っています。コンパクトなので邪魔になりませんし、メールチェックだけなら素早く行えます。Z Fold2 をアスファルトの上で持つのはなかなかに勇気がいります。Jelly2 に出資していなかったら、そもそも Z Fold2 を購入していなかったもしれません・・・・・・。

あるいは、スマートウォッチなどで通知を確認するのもありでしょう。ただし、電子決済を考慮すると、ガーミンのスマートウォッチか、Fitbit Charge 4、あるいはソニーの wena3 くらいしか選択肢がありません。Android Wear 端末にも Google Pay が搭載されていますが、日本の FeliCa 決済には対応していないのが残念です。

画面が広いは役に立つ

最大のメリットは、やはり画面の広さです。大きな画面を有しつつ閉じれば通常のスマートフォンのように使えるのは他にはない魅力です。画面サイズは 14 cm × 12 cm と、16 cm × 12 cm の iPad mini より高さがわずかに 2 cm 短いだけです。漫画を表示させる場合は、ほとんど同じサイズです。

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GALAXY Z Fold2 を iPad mini に重ねる

画面が広いので、簡単なテキストベースのタスクならささっとこなせます。アプリを分割表示できるので、スケジュールを確認しながらとか調べ物をしながら文章も書けます。

何より、文庫本程度の大きさで電子書籍を読めるのが素晴らしいです。そういえば、iPhone 3GS を購入したのも、青空文庫を快適に読みたかったからで、私は電子書籍がきっかけで端末を購入することが多いのかも知れません。
GALAXY シリーズなので、Windows との相性がいいにもポイントが高いです。

二面性

7インチくらいのファブレットも悪くはないのですが、細長い端末の方が小回りが利いて便利なことはままあります。Z Fold2 なら閉じたまま、ささっと写真撮影できるのが地味に便利で、ファブレットではそうはいきません。狭いところでは細長く、スペースがある場所では開いてと切り替えられる二面性は、折りたたみ端末ならではだと思います。

個人的に、この二面性はスライド式キーボードを有したW-ZERO3 シリーズ、特に W-ZERO3 [es] や Advanced/W-ZERO3 [es] が思い出されます。 [es] シリーズはキーボードを閉じれば、ストレート型のガラケーっぽく、キーボードを取り出すとスマートフォンっぽくなる二面性が、Z Fold2 に似ていると感じます。

電子書籍が捗る

GALAXY Z Fold2 を購入して、もっともメリットに感じたのは電子書籍が捗ることです。小説などなら、半折りにすると本を開いたように読めます。平板で読むのとは微妙に体験が違って、角度が付いて読みやすく感じます。
漫画も、小さいですが見開き表示で読めます。漫画はほぼ Z Fold2 で読んでいます。結果的に、Fire HD 8 Plus や Fire HD 10 の出番が減ってしまいました・・・・・・。

ちなみに、漫画も本を開いたように読むことができます。ただし、Kindle ではやや工夫が必要です。Perfect Viewer のように単一、見開き表示を制御できるアプリなら縦持ちでも見開き表示ができます。
Kindle の場合はポップアップ表示して強制的に画面を横長にすると縦持ちでも見開き表示ができます。Pixel 3XLと比較すると縦が大体同じくらいです。Pixel 3XL は画面サイズが比較的大きいので、ポップアップ表示で見開き表示を行っても通常のスマートフォンよりは 1 ページ当たりの表示は大きいと思われます。

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ポップアップ表示で Kindle で漫画を見開き表示
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Pixel 3XL との比較
画面分割はあまり使わないけど・・・・・・

画面分割は思っていたよりも使用頻度が低いです。低いのですが、調べ物などをする際はとても役に立ちます。
メールを書きながら予定を確認したり、テキストを書いているときに調べ物をしたりと、ちょっとした時に役に立ちます。また、商品を比較などをする際に、Google検索アプリと Chrome を並べて表示できるのもいいですね。

あらゆるアプリをピクチャーインピクチャーのようにポップアップ表示できるのも強い。LINE などをポップアップ表示する設定にしていると、片手間に確認できて便利です。

ポップアップ表示は YouTube などのメディアプレーヤーにも適用できます。動画やを見ながら他のアプリを利用したり、音楽プレーヤーをポップアップ表示しておけば、曲選択などをササッと行えます。メモリが 12GB とそこらの PC よりも多いのが効いているのでしょう。

外付けキーボードを利用すれば、Chromebook のように使えると思います。

Windows との連携が Good

GALAXY Z Fold2 固有ではなく、Galaxy シリーズのメリットになりますが、Windows との相性がいいです。
特に、スマホ同期を使うと通知確認の他に、 Android のアプリを Windows 上で起動できるのがかなり便利です。他の Android でも対応するそうなので、早く標準で利用できるようになるといいですね。

GALAXY シリーズでおなじみのデスクトップモードである DeX が使えるので、プロジェクターなどにも投影可能です。ただし、オンライン会議が主になったのでその出番はないのですが・・・・・・。
使い勝手のいい DeX モードですが、日本語入力を行う場合、変換候補がスマートフォン本体に表示されるのが困ります。

また、SpaceDesk のようなアプリと使えば Windows のサブディスプレイとして使えます。基本的には Wi-Fi 利用ではありますが、USB テザリングとして Windows と接続すれば有線での利用も可能です。通常のスマートフォンでも可能ですが、やはり GALAXY Z Fold2 程度の広さがあると使い勝手が違います。

総じて満足

壊しそうで怖いのを除けばとても満足しています。

出張用などに Surface GO を利用していますが、GALAXY Z Fold2 のみでどこまで行けるか試してみたいところ。問題は、出張する機会がないことですが。

屋内で使う上でも、折りたためば気軽に持ち歩けます。開いたり、閉じたりと、状況に応じて使い分けできるのも便利です。画面サイズも iPad mini 程度なので、動画を見るにも漫画を読むにも丁度いいサイズ感です。
外付けキーボードを併用すれば、軽いテキストベースのタスクならこなせてしまいます。この時、アプリの分割表示が威力を発揮します。使い勝手としては、Android タブレットというか、Chromebook 感があります。
この二面性が、スマートフォンタブレットの二台持ちでは実現できない快適さです。SIM が一枚で済むのも地味に有用です。

ただし、FeliCa 決済に対応していないので、日本国内で快適に過ごすには、FeliCa 決済のできるカードや端末があった方がいいです。私のお勧めとしては、Jelly2 です。おサイフケータイに対応しており、路上などでさっと取り出せるので、Z Fold2 の弱点を補完できます。Rakuten mini でもいいですが、Rakuten Mobile の eSIM 限定なのが残念なとことです。

https://www.unihertz.com/jelly-2-japan.html