無料マンガアプリの縦と横

Android 端末でジャンプ+ やマンガワンに連載されているマンガを読んでいるのですが、端末を横向きにした際の挙動がイマイチです。スマートフォンでは画面が小さいため横向きで利用することは殆どないですが、タブレットでは横向きにして見開きを楽しみたいものです。
幸いなことに、横向きで見開きに対応してアプリは多いのですが、メニュー画面は縦のみのアプリが多いのです。横向きで読み終わり、メニューに戻ったら縦になるのでわざわざ端末を回転させる必要あります。挙動がチグハグなので、メニューも横持ちに対応させるか、いっそのこと横持ちさせないくらいの統一感をもって欲しい。

横持ちでマンガを読みたい

Android の場合、ジャンプ+ は端末を横向きにするとマンガを見開き表示できますが、メニューが横画面に対応してません。見開きで読みたい場合、メニュー選択時は縦持ち、マンガを読み始めてから横持ちにと、いちいち回転させる必要があります。面倒なので縦持ちのまま読んでいます。Android の最適解は、ブラウザ経由で読むことです。

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Android でジャンプ+ を表示

マンガワンのメニューは横持ちに対応しているのものの、マンガは見開き表示に対応していません。これは iPad も同様です。また、横持ち時にはマンガの幅に合わせてページが表示されます。そのため、縦の長さが足りずページ全体が表示されません。結局、縦持ちで読むしかありません。マンガワンはアプリ限定なので、ブラウザで見る選択肢はありません。

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マンガワンを横向きで表示させる

私が普段着使っているアプリでは、コミックDAYS が最も熟れており使い勝手がいいです。メニューもマンガも縦と横のどちらにも対応しており、当然のように見開きにも対応しています。ウェブ連載や数多くの雑誌を横断的に閲覧でき、しかもアプリも使いやすい。コミックDAYS の仕様が標準になって欲しいです。

主に使っているのは、ジャンプ+、マンガワン、コミックDAYS なのですが、他のマンガアプリがどうなっているか気になったので、縦・横持ち時にメニューやマンガがどのように表示されるか、および見開きの対応状況を調べてみました。

各種無料マンガアプリの縦横対応状況

出版社などが提供しているマンガを基本無料で閲覧できるアプリにおいて、縦および横持ちに対応しているか、また見開きが可能かを調査しました。調べた端末は、iPad miniAndroid 端末として GALAXY Z Fold2 を用いました。GALAXY Z Fold2 はやや特殊な端末ですが、Kindle Fire HD8, 10 も同様の動作をしているので、他の Android タブレットもほぼ同様の挙動かと思われます。
ここにないアプリはコメントなどで状況を書いてくれれば、気が向いた時に更新します。

Kindle や BOOK WALKER などの電子書籍閲覧兼販売アプリ、Rent などの電子書籍レンタルアプリなどは除外しています。
マンガ図書館Z のアプリがあったような気がしたのですが、配信が停止されていました。

iPad でのマンガぷりのの縦横状況
アプリ名 メニュー マンガ 見開き 備考
ジャンプ+ 縦・横 縦・横
ヤンジャン 縦・横 縦・横
マンガワン 縦・横 縦・横 × 横画面は拡大表示
サンデーうぇぶり 縦のみ 縦・横
マガポケ 縦のみ 縦・横
コミックDAYS 縦・横 縦・横
ガンガンオンライン 縦・横 縦・横 ×
GANMA! 縦のみ 縦・横
マンガDX+ 縦のみ 縦のみ × 広告でページ上部が切れる
pixivコミック 縦・横 縦・横 スクロール方向切り替え可能
ニコニコ漫画 縦・横 縦・横 縦スクロール
ピッコマ 縦のみ 縦のみ × タブレット非対応
マンガUP 縦のみ 縦のみ × スクロール方向切り替え可能
マンガBANG 縦のみ 縦・横 ×
LINEマンガ 縦のみ 縦・横
マンガボックス 縦・横 縦・横
Android でのマンガぷりのの縦横状況
アプリ名 メニュー マンガ 見開き 備考
ジャンプ+ 縦のみ 縦・横
ヤンジャン 縦のみ 縦・横
マンガワン 縦・横 縦・横 × 横画面は拡大表示
サンデーうぇぶり 縦のみ 縦・横
マガポケ 縦のみ 縦・横
コミックDAYS 縦・横 縦・横
ガンガンオンライン 縦・横 縦・横 ×
GANMA! 縦のみ 縦・横
マンガDX+ 縦のみ 縦のみ × 広告でページ上部が切れる
pixivコミック 縦・横 縦・横 × 縦スクロール
ニコニコ漫画 縦・横 縦のみ × 縦スクロール
ピッコマ 縦のみ 縦のみ × 縦/横スクロール
マンガUP 縦のみ 縦のみ ×
マンガBANG 縦のみ 縦のみ ×
LINEマンガ 縦のみ 縦・横
マンガボックス 縦のみ 縦・横

iPad は比較的横持ちに対応している

全体として、iPad の方が縦と横持ちの両方に対応しているアプリが多いです。また、AndroidiPad も、マンガの表示は横持ちで見開き表示できるアプリが多い印象。ただし、マンガは横持ちに対応しているのに、メニューが縦持ちのみなちぐはぐなアプリがあります。Android の方に多いですが、iPad にも存在しています。

ピッコマのようにスマートフォンに特化しているなら横持ちを排除した方が自動回転しないため使いやすい場面が多そう。LINEマンガなども、基本的にはスマートフォンでの利用が想定されるので、メニューは縦持ちのみに対応しているのかもしれません。それなのにマンガの表示は横持ちに対応しているのは中途半端に思えます。縦持ちのみか、メニューも横持ちに対応させた方が使い勝手がいいです。

Android はメニューが横持ちに対応していないアプリが多い

Android でメニューとマンガの表示が縦と横持ちの両方に対応しているのは、コミックDAYS のみでした。Android ではジャンプ+ をはじめとしてメニューは縦持ちのみで、マンガは横持ちに対応しているのが主流です。そもそも Android タブレット端末が少ないため、わざわざタブレット用に作らないからでしょう。
iPad 版のジャンプ+ ならメニューも横持ちに対応しています。Android と異なりメニューが横持ちに対応しているアプリも多いです。ただ、先にも述べたようにメニューは縦のみで、マンガは縦と横の両方に対応しているアプリもあります。

Android では pixivコミックやニコニコ漫画のように、ページ送りが縦にスクロールに固定されたアプリもあります。最近では、縦スクロールに特化したマンガもあるので、そのようなマンガなら問題はありません。しかし、旧来の書籍のように横にスクロールすべきマンガまで縦スクロールで表示しているのは頂けません。見開きが見切れてしまい読みづらいです。
iPad 版のpixivコミックやマンガUPは、スクロール方向を切り替えられます。ニコニコ漫画は横持ちで見開き表示も可能ですが、スクロール方向は縦のみです。

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Android で pixivコミック

ピッコマはタブレットに対応しておらず、iPad では拡大表示しないと全画面になりません。Android の場合マンガによってスクロールの方向が異なります。縦スクロール向けのマンガは縦スクロールで表示されます。しかし、横スクロールで読むマンガの仕様が少々特殊です。タブレットを縦に持ったときは横スクロールですが、タブレットを横持ちにすると縦スクロールになります。ややこしいので図を参照ください。恐らく、マンガを画面幅に合わせて表示するため、横持ちにすると画像の縦幅が足りず、結果的に縦スクロールとして判定されるのだと思われます。

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Android でピッコマ

マンガワンAndroidiPad も似たような挙動です。端末を横持ちにするとマンガが画面幅一杯に表示されます。縦が足りずページ全体が表示されないため、残りのコマを読むには下にスクロールする必要があります。しかし、ページめくりは右にスワイプと、かなりチグハグな UI になっています。
ガンガンオンラインAndroid でも iPad でも縦と横の両方の持ち方に対応してますが、残念ながら見開き表示ができません。横に持っても1ページのみの表示です。ガンガンオンラインのアプリを使わなくなった理由を改めて思い出すと、見開き表示に対応してなかったからでした。

1ページ表示が意識されている

スマートフォンでマンガを読む時代における「見開き」の表現について:『怪獣8号』の事例 - マンガLOG収蔵庫

ウェブマンガの発展により、書籍を意識した2ページ見開きから、1ページ送りでも問題なく読める表現にシフトしているような気がします。
韓国もウェブマンガが盛んで、ずっと以前から縦スクロールが主流でした。そのため、縦スクロールならではの表現が生み出されています。
日本のウェブマンガは横スクロールが主流です。しかし、最近では殆どの人が毎日に様にスマートフォンの画面を見るはずです。つまり、横長よりも縦長のディスプレイを見る機会が多い人もいるでしょう。その結果、日本でも、縦にスクロールすることを意識したマンガが増えています。

shonenjumpplus.com

ジャンプ+で「歯医者さん、あタってます!」を読んでいるのですが、ずっと違和感がありました。読みづらい気がするのです。
今回、たまたま pixivコミックのアプリで同マンガを読んだら違和感の正体が分かりました。このマンガは、縦スクロールの方が読みやすい。

第一話のスクリーンショットを掲載しますが、縦スクロールで読んだ方が視線の移動がスムーズに感じました。恵崎が倒れ込むシーンは縦スクロールの方が回想であったことが前ページからスムーズに繋がります。
組長が観念して歯医者に診て貰うシーンも、縦スクロールの場合組長と歯医者の頭の軸が一致し、歯医者が顔を落とした動きが分かりやすく感じました。横スクロールの場合は、ページをまたぐため視点が一旦リセットされます。

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歯医者さん、あタってます!を縦横比較
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歯医者さん、あタってます!を縦横比較

まぁ、私の感覚の問題なので、理論的ではありません。そもそも、ジャンプ+アプリが横スクロール表示のため、縦スクロール向けに作られていることはないでしょう。

「歯医者さん、あタってます!」を改めて最新話の18話まで読み直してたのですが、見開きページは確認できませんでした。4話などに見開きが意識された表現はありますが、見開きで読まずとも効果的な演出になっています。この演出は縦スクロールで生きません。ただ、見開きがないのはスマートフォンの画面で1ページごと読まれることを意識されて作られたからだろうと思われます。そのため私にとっては、縦スクロールの方が読みやすいのかも知れません。

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歯医者さん、あタってます!の見開きっぽいけど見開きじゃない演出

マンガワンはなぜ最悪なのか

マンガワンの擁護をしますと、マンガワンはウェブ連載の「裏サンデー」を前身とするウェブサービスです。マンガはウェブサイトに1ページごと、縦にスクロースする形式で掲載されていました。つまり、基本的には見開き表示のない作品が多かったのです。それを引き継ぐマンガワンの連載も、見開き表示のない作品が多いかと思います。

マンガワンオリジナルならば、その多くは見開き表示を必要としないので、アプリを見開き表示に対応させる必要はありません。横画面でページ全体を表示するか、あるいはページめくりを縦スクロールにすれば不便さは改善されます。「裏サンデー」の系譜から考えると、横ではなく縦スクロールにした方がより読みやすい作品が多いと思います。

ただし、マンガワンにはサンデーなど書籍ベースで連載されていた作品も掲載されています。この場合は、当然のように見開きページがあります。現状では見開き表示が不可能なので、とても読みづらく残念です。

スマートフォン特化による弊害

Androidタブレットに対応したアプリが殆どありません。iOS のように、iPhoneiPad で UI を変更するといった作り分けは殆どなされていません。そもそも、Android タブレット自体が希です。そのため、Android ではわざわざタブレットを意識した UI が作られないのでしょう。結果的に、メニューは縦持ちのみで、マンガは縦と横の両方に対応しているチグハグな UI ができあがります。
iOS ではそのようなチグハグなアプリは少ないですが、一部のアプリはチグハグです。iPhone の UI を流用しているのかも知れません。

最もひどいと感じるのは何度も述べますがマンガワンです。横持ちで画面幅に合わせて表示するくらいなら、横持ちに対応しない方がマシです。メニューが横持ちに対応しているだけ、余計にたちが悪いです。いっそのこと、縦スクロールにしてくれた方が読みやすい。
ガンガンオンラインも、横持ちで見開き表示できないのは残念です。マンガワンに比べれば使い勝手はいいですが、回転しないようにした方が使い勝手はよくなるでしょう。
一部に、pixivコミックのようにページ送りが横スクロールではなく縦スクロールのアプリもあります。iPad ではスクロール方向を横と縦に変更できますが、Android は縦のみで固定されています。これも、Android ではスマートフォンでの利用のみが想定されるからでしょう。

マンガアプリに求めること

横持ちできるなら見開きに対応してくれると嬉しいですし、メニューも横持ちに対応していると使い勝手がいいです。マンガが横持ちに対応しているのに、メニューが縦のみのはチグハグです。メニューを横持ちに対応できないなら、マンガも縦持ちのみにした方がマシです。
縦と横スクロールのマンガを扱うなら、スクロール方向を切り替えられるようにすべきでしょう。横スクロールのマンガを扱っているのに、縦スクロールのみでページめくりをさせるのは読みづらいです。