ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド 二週目

やることがなくなったので、二週目を始めた。攻略サイトも見ながら自分として快適なプレイにいそしんでいる。指針としてはコログの実を集めつつ、祠もチャレンジするが神獣はクリアしない。白銀系の雑魚の出現条件はよくわかりませんが、神獣が関係しているっぽい気がするので。

始まり台地をクリアしてからは、ウツシエの解放と記憶巡りを開始するためにカカリコ村とハテノ村を目指す。記憶巡りは兎も角、ウツシエは祠チャレンジに必須で、素材集めの際にも便利なので解放しない理由がない。カカリコ村近くには大妖精の泉もあるし。
ウツシエを解放してからは、ラネール山を攻め探索に必要なクライムシリーズを集める。防寒着と炎の剣を装備しておけば寒さをしのげるので雪山の探索もじっくり行える。むしろ、つたない装備で力の試練 極意をクリアするのが大変だった。ダメージを受けることはほぼ無いのだが、攻撃力の弱い武器でチマチマ戦うのはなかなかに辛いものがある。試練の証に関しては、探索のためがんばりゲージが二つになるまで極振りしてからハートの器に回す。
その後は、矢集めとゾーラ装備を獲得するためにゾーラの郷方面へ。ゾーラの里周辺にいるリザルフォスを狩れば矢を100本くらい集められるので、赤い月が出る度に訪れる事にする。
ゾーラの里で鎧を頂いてからは、神獣には挑まずに迷いの森方面へ。大体この頃には試練の証が40個集まりハートを13個にできるようになっている。ハテノ村の石像でがんばりゲージをハートに変換しからマスターソードを抜く。その後は、もう一度がんばりゲージに振り直すも忘れずに。
マスターソードが手に入ると武器消費に心の余裕が生まれる。迷いの森を出てからはお金を稼ぐためにヘブラ地方へ。ボーリングで荒稼ぎしイチカラ村のイベントを進めるために家を買う。
家を買ったらアッカレ地方へ。古代のコアがそれなりにあったの古代兵装を揃えようと思ったら古代のギアが足りない事態に。前回は古代のコアが出なさすぎて切れそうだったのが……。
塔を解放する度にそのマップ無いのコログの実をコンプリートしているのだが、これはやはりなかなかに大変ではある。ポーチを全解放したら一旦休み、祠のみを開放するのもありかなぁと思っている。

JASRACが京都大学にボブ・ディランの歌詞を引用した式辞に関して問い合わせた件

すっかり、立命館によるpixivの小説の用いた解析の方が問題にはなっていますが・・・・・・。こちらも、その内交通整理したいですね。

引用は利用目的を確認せずとも判断できるのでは?

著作権法32条が定めるところの「引用」は公正な慣行に合致するのであれば、著作権者の承諾を得ることに無しに著作物を利用できます。
JASRACは最終的に、式辞ではボブ・ディランの歌詞を「引用」したと判断していますが、利用目的を確認せずとも判断可能ですし、ネットメディアの取材においては引用か否かを判断する立場にないと応えていて、言動がちぐはぐに思えます。
第三者からの問いあわせたがあったため、JASRACは公平性を保つために京都大学へ利用目的の確認を行ったのでしょうが、その第三者へは利用目的などが開示されるのですかね?そんなことはないと思われますし、引用か否かは京都大学へ利用目的を確認せずとも判断できるはずなので、余計な仕事をしているなという気がします。

一連の報道で気になるのは、JASRACではなくCRICがJ-Castの電話取材において「歌詞は全部でなくても一節でもアウト」と述べている点。JASRACの判断と真っ向から矛盾しますし、著作権法32条をないがしろにしています。いったいどのようなロジックなのか気になるところです。

京都大学の式辞には茨木のり子の詩である「6月」の全文が用いられ、京都大学のHPには全文転載されています。これは流石に
著作権法が認めるところの「引用」とは言えないでしょう。京都大学式辞とJASRACに関する続報:問題はボブディランだけではなかった(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース によると、この「6月」には歌がつき、JASRACに管理されているようです。つまり「歌詞」であるとも解釈できるのですが、JASRAC京都大学に問い合わせたんですかね。会見はボブ・ディランしか述べていないので、そもそも第三者の問い合わせもボブ・ディランのみだったのでしょう。この点をわざわざJASRACに問い合わせる気がありませんが、JASRACがどのような判断を下すのかも気になるところです。

歌詞の引用はできる

今回の件で、JASRACは歌詞の引用を認めることが分かりましたが、CRICは一小節でも侵害だとしており、両者の見解は異なっています。また、問題となった京都大学の式辞には茨木のり子の詩が全文転載されており、JASRACに「歌」としても登録されているので、今後の展開が気になります。

デマに疑問に思った人がリーチできるように検証記事をアップしてます

Twitterでみかけるデマをまとめて指摘 - 最終防衛ライン3
ネットでデマが蔓延するのはリテラシーだけの問題じゃない

デマ絶対殺すマンとしては、デマを作る人、それを拡散しようとする人は後を絶たないので、疑問に思った人がリーチしやすいように検証記事をアップしています。ただし、ちょっと疑問に思ったことは不用意にRTなどしない、くらいのリテラシーは身につけて欲しいですが。

デマを作り、拡散させる理由を考えることは、その対処法として意義はあるのかもしれませんが、色んなタイプがいるので万能な対処法はありません。完全なる勘違いならば、指摘の仕方次第で間違った相手を正すことも可能ですが、そんなことは稀でして。
愉快犯などは訂正する気はさらさらないですが、マウントを取れれば修正させることも可能ではあります。政治的なイデオロギーで行動している人は簡単には考えを変えないですし、善意の人は信じるモノを一旦棄教させる必要があるので、大変な労力をかけても、無理なことすらあります。

上記のような方々がWikipedia編集合戦を行っているわけですが、先のミハルスなどもWikipediaがデマを広めた一因ではあります。ただし、テレビの影響力の方が圧倒的ですね。ミハルスもB玉もファイヤー・ホールドもテレビで何度も放映され、その度にbuzzってるので一向に収束しませんね。ファクトをチェックできない機関がファクトチェックとか何様なんだと思います。

エストロにお返事

全音に関しては、前回はきちんと書いていたのに、今回は濡れ衣を着せてしまって申し訳ないです。

はてなブックマーク - Twitterでみかけるデマをまとめて指摘 - 最終防衛ライン3
さて、マエストロからありがたいお言葉を頂きました。
「間違いないでしょう」を断定と解釈されるマエストロがおられましたが、「です」の未然形に推量を意味する助詞の「う」からなる語句なので、不確かな断定もしくは推定を意味すると思うのですが。

FalloutSkyrimなどはゲーム中の解釈の問題だろうと指摘されましたが、解釈だとしても全然妥当じゃないことは説明したつもりです。

食品添加物に関して「みかんの皮むきに塩酸。マーガリンに毒物トランス脂肪酸」とかコメントしてるマエストロは、食品添加物を勘違いされておられるので困りますね。塩酸処理やマーガリンは食品加工なので添加物関係ないですし、量の概念なしに何をもって世界一を言っておられるのか。

ビー玉=B玉、つまりB級品? 名前の由来を調べました - withnews(ウィズニュース) をして、B玉説を否定できないとコメントされている方がいたのですが、この記事から確認できるのは業界団体は「A玉」なる呼称を使っていないことで、それなのに業界は由来が不明なまま「B玉」説を紹介しているのは何考えているのかと。

Twitterでみかけるデマをまとめて指摘

未だに、「赤青のカスタネットの正式名称はミハルスだった」とか「ビー玉の語源はB玉」などを見かけるので、過去に私が検証した記事を紹介しながら指摘します。

  • 「ビー玉の語源はB玉」説は信憑性がない
  • カスタネットの正しい名称はミハルス」でなく、それぞれ別の打楽器
  • 「ひな祭りの甘酒は精液の象徴」ではない
  • 「日本の食品添加物は世界一」なわけがない
  • トイレットペーパーの三角折りの正式名称は「ファイヤー・ホールド」なんて言わないよ
  • 「Vault Boyのサムズアップ」は距離を測っていない
  • 「膝に矢を受けてしまってな」はノルド語で結婚を暗喩しない

「ビー玉の語源はB玉」説は信憑性がない

ビー玉の語源は、はっきりとはしませんが、多くの辞書は「びいどろ玉」が転訛したものとする説を紹介しています。
B玉説では「規格内をA玉、規格外品をB玉と称し、規格外品を遊具として売った」とされます。この話は1990年に自費出版された「びんの話」に書かれているのですが、それ以前の文献ではそのような記述はありません。また、「びんの話」を読み込むと、B玉説を取るにはおかしな点がわかってきます。
ラムネ瓶が製造され始めたのは明治30年前後で、当時のガラスは高価でした。安価になった現在でも再利用されるのですから、当時も再利用されるのが前提でした。ガラスが高価ならば、ラムネ瓶の蓋として使えないガラス玉は、融かして新しいガラスを作った方が効率的です。わざわざ、遊具用のガラス玉として売る必要がありません。また明治中期に規格内と規格外を分けるのにAとBなるアルファベットを用いているのも不自然です。
ラムネ瓶の中のガラス玉は魅力的だったようで、ラムネ瓶が生まれたイギリスでは割って中のガラス玉を取り出す人が多かったため、割ってもガラス玉を取り出せない瓶が考案されました。ただし、その後に王冠が普及したため、ラムネ瓶は廃れてしまいました。

B玉説の文献としては「びんの話」しかなく、それも口伝を書き記したもののため、信憑性はかなり低いと考えられます。

カスタネットの正しい名称はミハルス」でなく、それぞれ別の打楽器

赤青の板をゴム紐で括った木製打楽器は「ミハルス」か「カスタネット」か - 最終防衛ライン3
カスタネットとミハルス:音楽よしなしごと:So-netブログ

学校教育で用いられる赤と青のカスタネットの本当の名称は「ミハルス」だとする説が定期的にbuzzりますが、現在一般的にカスタネットとして知られる打楽器と「ミハルス」は別の楽器です。一時期はWikipediaもこの説を取っていましたが、現在は書き換わっています。未だに、 全音 教育用カスタネット (ミハルス) | 全音楽譜出版社(ZENON)|木のおもちゃ.jp では教育用方ネット=ミハルスとしているのですが、いい加減取り下げて欲しいです。

カスタネットは本来スペインのフラメンコに用いられる木製打楽器で、その名は栗を意味する「カスターニャ」が由来とされます。栗の木で作ったからとも、栗の形に似ているからとも言われ、正確なところはよく分かっていません。

ミハルスは日本舞踊家の千葉みはるが考案した木製打楽器で、スペインのカスタネットや沖縄の四つ竹を参考にしています。学校教育においてリズムを取るために作られ、小さな子どもでも片手で扱えるように、二つの板が蝶番で繋げられ、親指と中指で挟めるようになっています。
ミハルスは戦前の小学校の指導要綱にもその名があり、教育現場で広く使われたそうですが、戦中になくなり、現存するものはほとんど無いようです。

戦後にミハルスの代わりに学校の音楽教育で使われた始めたのが赤と青の二枚の板からなるカスタネットです。スペインのカスタネットとは異なり、二枚の板がゴム紐で繋げられ、ミハルスと同じく片手でも扱いやすくなっています。現在は、両手で使われることが多いですけども。
この教育用のカスタネットは、戦前にミハルスを使っていた教育者が白桜者に発注して製造したもので、それが全国に広まりました。つまり現在の教育用カスタネットミハルスを元にした楽器ではありますが、ミハルスそのものではありません。よって、教育用カスタネットミハルスとするのは誤りです。

「ひな祭りの甘酒は精液の象徴」ではない

菱餅が女性器で甘酒が精液を象徴しているというのは疑わしい - 最終防衛ライン3
ひな祭りの甘酒は精液の象徴とか、菱餅は女性器の象徴など、ひな祭りは性教育の意味もあったとする話。2017年のひな祭りの際にもTwitterで見かけましたね。三砂ちづるが提唱していますが、それ以外に文献がありません。

菱餅が菱形の由来は、植物の「菱」にあやかったからです。「菱形」そのものが植物の「菱」が由来です。ただし、形の由来が実なのか葉なのかはよく分かっていません。菱は繁殖力が高く葉がびっしりと水面を埋め尽くすことから、「菱形」は子孫繁栄の象徴として古来から扱われてきました。

かつて桃の節句に甘酒は飲まれていませんでした。甘酒は夏の季語で、夏バテ予防にとして飲まれていたようです。今だと、むしろ冬に神社などで振る舞われるイメージがありますね。
元々、中国では桃の花を酒に浸した桃花酒が飲まれており、日本も同様の風習が伝わりましたが 江戸時代の頃から「白酒」が飲まれるようになりました。白は百に通ずるので縁起が良いとされたようです。それがいつの頃からか、アルコールの入った白酒から、アルコールをほとんど含まない甘酒へと変わっていったようです。桃の節句が、ひな祭りへと変わっていく過程で、甘酒へと変わっていったのでしょう。
酒を飲むのは邪気を払うためで、大蛇を宿した女性が桃の節句に白酒を飲んだら堕胎させることができたとの言い伝えもあるので、精液とは関係がなさそうです。

ハマグリに関しては、昔から夫婦和合の象徴です。桃の節句で食べるかどうかは地域性がありますが、食べる地域があるのは旬の食材だからではないでしょうか。
ちらし寿司はいつ頃から食べられるようになったのかは分かりません。ちらし寿司を食べる否かや、中の具材も地域性があります。具材の由来も、お節料理のようなダジャレのようなものでしょう。

「日本の食品添加物は世界一」なわけがない

日本の食品添加物の種類は世界一では無い - 最終防衛ライン3
日本、EU、USAと比較しても、そんなに違いはありません。各国が加工食品を頻繁に輸出入する現在に置いて、一国だけ食品添加物の規制が甘い、あるいは厳しいと大変ですよね。そもそも、食品に添加して良いものは、その種類と量を厳密に規定されるべきで、種類が少ない方がむしろ揺る揺るだと思うんですけど。また、消費速度の早い弁当やパンなどは食品添加物を使用しない方向になっていると思います。故に、油断すると直ぐに悪くなってしまう。冷凍・冷蔵技術、流通が発展した現代では、食品添加物のありがたみが下がってはいますが、食品添加物がないと塩や砂糖をたっぷりと使わないと食品保存できなかったわけで。まぁ食品添加物を悪だとする人は、塩や砂糖も悪だとする人と被っている気がするので馬耳東風かもですが。

日本では一般添加物と既存添加物などが存在し、おおよそ1000種類くらいになります。既存添加物は日本において古くから使用されており、経験的に安全だとされている添加物です。既存添加物はアメリカのGRASに相当します。日米で食品添加物の種類に大きな違いはありません。
EUは、E番号によって食品添加物が管理され、その数は300種類ほどです。ただし、加工補助剤や香料、酵素などは含まれせん。加工補助剤などは、日本の既存添加物に相当するものであることもあり、各国の歴史的、文化的背景に左右されるためでしょう。

トイレットペーパーの三角折りの正式名称は「ファイヤー・ホールド」なんて言わないよ

絶対

トイレットペーパーの三角折りの正式名称は「ファイヤー・ホールド」ではありません - 最終防衛ライン3

アメリカの消防士が直ぐに用をたせるようにトイレットペーパーの先を三角に折り、それを「ファイヤー・ホールド」と呼んだとする説ですが、これは色々な観点から否定できるデマです。
先ず、アメリカではトイレットペーパーの向きが一意ではありません。日本では、ホルダーに紙切りがついているので外側に向けますが、アメリカにはそれがありません。公衆トイレなどは50cmくらいの大きなロールが二つ、互いに向き合って横向きついているので、内も外もありません。
『Fallout 4』トイレットペーパーModに見る常識という名の没入感、紙の先端は本当に表向きが正しいのか | AUTOMATON

次に、トイレットペーパーを三角に折るのは日本で生まれた習慣です。ただし、その起源については銀座のママ説とホテル説があります。起源ははっきりしませんが、広めたのはホテルで間違いないでしょう。

「Vault Boyのサムズアップ」は距離を測っていない

「 Vault boy が Thumb Up してるのはキノコ雲からの距離を測っているから」というデマを検証した - 最終防衛ライン3
Fallout 4のVault Boyがサムズアップしているのはキノコ雲からの距離を測っている」というデマ。
先ず、デザイナーが否定しています*1
次に、キノコ雲の距離を測る暇があるなら逃げるべきです。政府が弾道ミサイルの落下時の対処法として窓から離る、地面に伏せるなどを案内していましたが、悠長にキノコ雲を見て距離を測っている暇があるなら、同様の対処をし、さっさと地下へ逃げるべきでしょう。
内閣官房 国民保護ポータルサイト

また、親指で距離を測るのは「親指の経験則」と呼ばれます。親指で対象物を隠せる場合、その対象物の大きさの約30倍くらい離れている経験則です。危険な事象から30倍くらい離れれば安全ではありますが、広島型原爆の場合で、キノコ雲直径が4, 5kmとされるため、親指で隠れると考えられる距離は100kmを超えます。十分に安全ではありますが、平原でとない限りキノコ雲を目視することすら難しいでしょう。

以上の3点から、デマだと断言して間違いないでしょう。

「膝に矢を受けてしまってな」はノルド語で結婚を暗喩しない

The Social Flotilla - “Arrow to the knee” as old Norse Slang: A tribute to Snopes-style Myth-busting
「昔はお前のような冒険者だったが膝に矢を受けてしまってな…」はスカイリムで衛兵がしばしば口にするセリフで、他にもしゃべってはいるのですが、非常に印象的で脳裏に焼き付いてしまいます。
それ故に、裏の意味があるのではないかと推測され「膝に矢を受ける」は古代ノルド古語で結婚を暗喩するなるデマが広まってしまったのでしょう。もちろん、そんな意味はありません。

ちなみに、スカリムで酔っ払いやゴロツキが愛飲しているハチミツ酒は、北欧で重宝されたお酒で、結婚するとハチミツ酒をしこむことからハネムーンの語源ともされます。ハチミツ酒が重宝されたのはワインが作れなかったからですが、アルトワインなどが輸入されるようになると、ハチミツ酒は次第に作られなくなりました。

真実は面白味がないがデマは面白いので広まる

デマが収束しない原因の一つは、常に新しい人が入ってくるためで、過去のデマが繰り返し拡散されるのでしょう。その都度、誤りであることが指摘されますが、真実よりもデマの方が面白く目を引くため、訂正されないままになりがちです。食品添加物のは善意で広める人がいるのも余計にタチが悪いですね。
都市伝説ってのも、こうやって形作られていくのだろうな。

f:id:lastline:20170522133708p:plain

*1:ただし、このサムズアップしたVault Boyはデザインしていないが

ミツバチには「方角」が見えているのかな

六角形の巣を作るミツバチに世界はどんな風に見えているのだろう - orangestarの雑記
ミツバチは世界をどのように見ているのか、彼らが文明を築いたらどのような数学や科学を持ち得るのかという素敵な考察。

異なる動物なら、異なる座標系=世界を見ていると想像するに固くないが、実は人間も実は同じ座標系を見ているわけではない。

眼で世界を見て脳で解釈する

ミツバチは複眼なので、そもそも物の見え方すら違うであろう。脳の構造も人間と異なるので、全く異なる座標系に生きていると考えられるが、それがどのようなものかを想像するのは難しい。ちなみに、収れん進化としてタコの眼は人間と似たような構造を有しているため見え方としては非常に近いのだろうと推測できるが、脳が異なるので、やっぱり座標系などは違ってくるのではないか。

眼は光を受容するセンサーとして発達したと考えられている。そのセンサーを多彩に進化させたのがシャコである。シャコの眼には多種多様な受容体が存在している。色だけでも12種類のも受容体がある。人間は3種類しかないため、さぞかし多彩な色を見分けることができるのだろうと考えられてきたが、最近の研究によると特定の色のみを見分けているらしい。つまり特定の色のみに反応するセンサーとして働く。シャコはその他にも、直線偏光や円偏光も見分けることができる。シャコは人間とは異なり、センサーの方を複雑にして脳での処理を単純化、もしくは高速化していると考えられている。

シャコの「驚異の色覚」は幻想だった? | Vol. 11 No. 4 | Nature ダイジェスト | Nature Research
「円偏光」を感知できる特殊生物、シャコ|WIRED.jp

処理系が異なれば違う世界が見えるだろう

それぞれの動物に異なる座標系があると考えられるが、実は人間も全く同じ座標系に生きているわけではない。先日、京都大学が日本人とカナダ人では視覚認知で差があることを発表していた。その理由はまだ明らかではないが、文化的、地形的な相違だと考察されている。
個人的には、地理、地形的の影響の方が大きいと考えている。
日本の人と北米の人ではものの探し方が違う — 京都大学


もし「右」や「左」がなかったら―言語人類学への招待 (ドルフィン・ブックス)

もし「右」や「左」がなかったら―言語人類学への招待 (ドルフィン・ブックス)

「左右」に関する、科学的、文化的背景を追っていたら巡り合わせた本で、何度もお世話になっている。この本によると、世界には「左右」という語彙のない言語があるという。
オーストラリアのある先住民は方向を表す際に「左右」を用いず、常に「東西南北」で表現するという。つまり、「左右」という相対座標ではなく、常に「方角」という絶対座標を使うのだ。その理由は定かではないが、彼らが平原に住み比較対象とするランドマークが多くないためと考えられている。
彼らは方向感覚に優れ、常に東西南北を意識しそれを記憶しているのだろう。イメージに常に東西南北の情報が付加されている感じだろうか。方向音痴とそうで無い人は異なる地図で生きていると考えると、方向音痴でない人は実感が湧きやすいのではなかろうか。

メキシコの住む部族も、通常とはやや異なる空間の切り分け方をする。彼らは南が高く北へ傾斜した土地に住むため、南の方を「上り側」、北の方を「下り側」と表現する。「横」を意味する語彙はあるが、「左右」に相当するものはない。彼らも、オーストラリアのある先住民と同様に方向感覚に優れている。
両部族に共通するのは地形で、一方はランドマークがないこと、他方は強烈な傾斜で生活している。地形によって方角を常に意識するようになったのだろう。

ミツバチは「方角」の語彙が多そう

オーストラリアのある先住民のような周囲に何もない平原ならば、東西南北以上に方角が細かに分かれても良さそうなものだが、どうやらそうでもないらしい。極座標に生きても良さそうなものだ。方角が豊富ならば、距離は「時間」で見積もればよい。やはりXY座標の方が便利なのだろうか。
その理由の一つは方角を決める術が太陽や月しかないからだろう。東から上り、南半球なので北天し、西へ沈む。90度づつに区切るしかない。方角を細かに決められる基準や感覚があれば、極座標になるだろうか?
そうとも言い切れない気がする。恐らく「飛翔」も関係してそうだ。人間は平面を移動するしかないが、ミツバチは「飛翔」できるため空間を移動する。すると「高さ」が加わるため、XYのみならずZ方向も必要となってくる。方角と距離のみから座標を表した方が簡素なのかもしれない。

渡り鳥は「眼」で方角を認識している説がある。青色の受容体と地球の磁場が干渉し、方角によって色合いが変わって見えるのではないかと考えられている。色合いによって方角を表現できるのならば「東西南北」よりも多くの方角を色合いで表現できるだろうから「渡り鳥」が言語を有するならば、人間よりも方角の語彙が遙かに多くなりそうだ。ショウジョウバエも磁場を検知するそうで、ミツバチも磁場を検知するだろうと考えられている。
渡り鳥は磁場が見える:青色光受容体と磁気の感知|WIRED.jp
「鳥は量子もつれで磁場を見る」:数学モデルで検証|WIRED.jp

ミツバチが文明を持てば、渡り鳥が言語を有すればどうなるか。SFっすなぁ。