トイレットペーパーの三角折りの正式名称は「ファイヤー・ホールド」ではありません

トイレットペーパーの三角折りの正式名称が「ファイヤー・ホールド」であるとのガセネタが広まっています。
他のブログにも「ファイヤー・ホールド」ではないと書かれているのですが、本稿ではいつ頃からこのネタが広まったのかを調べてみました。また、既にガセであることが検証されているのに、15日に放送された「月曜から夜ふかし」で「ファイヤー・ホールドが正式名称である」と紹介されたようで、否定するためにも書いておこうかなと。

三角折りの正式名称は「ファイヤー・ホールド」?

ファイヤー・ホールドで検索すると、いくつかの雑学系を名乗るブログで、トイレットペーパーの三角折りは消防士由来が濃厚とされ、その正式名称が「ファイヤー・ホールド」であると紹介されています。
なんでも、アメリカの消防士が緊急の際でもすぐにトイレットペーパーを取れるように三角折りにしたのが始まりで、それにちなんで「ファイヤー・ホールド」と言うのだそうです。

ブログ以外でも家庭紙メーカーであるハヤシ商事の 紙についての豆知識 なるページにも書かれています。

私の記憶としては、ホテルで清掃済みの符丁として広まったと認識しており、「ファイヤー・ホールド」という名称は始めて聞いたので、本当かなと。

由来としては、【全館禁煙】ホテルのブログ | 東京日本橋のビジネスホテルならホテル法華イン東京日本橋【公式サイト】 の2014年12月24日書かれた【トイレットペーパーの三角折り・・・】にあるように、ホテル法華が最初だと思っていました。

「ファイヤー・ホールド」説を広めたのはベッキー

「ファイヤー・ホールド」の真偽を調べてみると、割とあっさり否定している記事が見つかります。

いずれも、ソースは2015年2月1日に放送された「爆笑問題のそれっていつから?ヒストリー」となっています。先のホテル法華のブログに書かれている取材とは、時期的に考えてこの番組のことなのでしょう。

番組では実際にアメリカの消防に問い合わせて、三角折りにする事実がないことを確認しています。またトイレに詳しい専門家から、欧米では日本と逆向きにトイレットペーパーをセットするため、三角折りができないだろうとの見解も得ています。

アメリカの共有トイレだとトイレットペーパーは Cona's Place ~ ミシガン湖岸から出戻り湾岸生活 些細やけどイラっとすること で紹介されるようにホルダーに入っていることが多いです。
また一般家庭やホテル用だと、日本のようなカバーが付いてません。もちろんカバー無しでも三角折りはできますが安定性にかけます。ホテルなどでも三角折りを見た記憶があまりありません。ただし、ホテルなどに設置されているトイレットペーパーの向きが日本と逆かどうかは記憶が曖昧です。逆に付いていたら気が付くと思うのですが。

日米のトイレットペーパーの付け方以前に、そもそも「Fire hold」で検索しても日本語のソースしか出てきません。

さて、この「ファイヤー・ホールド」説はいつ頃から出回っているのか。Google先生のお世話になると、2008年以前ではあまりヒットしません。2007年だと 蕎麦切り よし吉:ファイヤーホールド - livedoor Blog(ブログ) くらいでしょうか。2008年以降だとそれなりに見つかります。

ベッキーが多分ナイナイサイズで、トイレットペーパーの三角折をファイ... - Yahoo!知恵袋 から判断にするに2008年4月にベッキーがナイナイサイズで語ったのが広まったきっかけのようです。先の「爆笑問題のそれっていつから?ヒストリー」でもベッキーが出演しているようで、間違いだったことを謝っているみたいです。ベッキーも誰かから聞いたのかもしれません。

既に検証されているにも関わらず、2015年6月15日に放送された「月曜から夜ふかし」で「ファイヤー・ホールド」であると放送されたそうで、なんだかなぁと思います。

銀座のグラブの方が古いらしい

私はホテル説を信じていたのですが、先の爆笑問題の番組によると銀座のクラブ順子が1966年の開店当初からやっていたとのこと。
ホテル法華は1968年にユニットバスを導入した際に三角折りを始めたので、クラブ順子の方が古いです。
ホテル法華で誰が導入したのかは分からないようで、三角折りが個別に発生した可能性と、クラブ順子から水商売に広まり、それを見たホテル法華の関係者が始めたの可能性が考えられるでしょう。

日本では1955年以降に徐々に水洗式と洋式トイレが広まりました。ロール式のトイレットペーパーもその頃から普及し始めたと思われます。その点を考慮すると、1960年後半にはロール式のトイレットペーパーが十分に広まっていたはずで、三角折りの起源がその頃にあるのは矛盾がなさそうです。