TopJoy Butterfly をキャンセルした

手書きノート端末を検討した - 最終防衛ライン3 で検討していた、KICKSTARTERクラウドファンディングが行われている TopJoy Butterfly をキャンセルした。
理由は複合的なものだが、レビュー動画を見る限り手書きノートとしては快適ではなさそうなのが主である。

Boox Nova Air や 第6世代 iPad mini の登場

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TopJoy Butterfly は E-Ink ではなく、 Display Electronic Slurry (DES) なる新方式が採用されている。Kickstarter のページや、Goodereader のレビューを見る限りでは、発色は Color E-Ink よりも良さそうだ。濃い色合いよりも薄い色合いにマッチしており、カラー版のジャンプコミックスなど適してそうだ。
TopJoy Butterfly には、6インチと7インチがあり、7インチの方はスタイラスペンに対応している。この手の電子書籍端末の多くが 32 GB のストレージなのに、64 GB があるのは嬉しい。また、出資価格ではあるものの、送料込みで $329 と4万円を切るのも魅力的だ。
それもあり、クラファン開始直後に出資したのだが、Boox Nova Air や 第6世代 iPad mini などの登場により迷いが出はじめた。

DES の限界

最も重視するのは、「手書きノート」としての機能だ。電子書籍端末としては既に所有している Galaxy Z Fold 2 の方が使い勝手がよい。ただし、PDF などの書き込みや、サブ端末として電子書籍端末としても使いたい。

TopJoy Butterfly は、動画を見ても明らかに分かるくらいペン入力の遅れがある。
さらに気になったのが画面のリフレッシュである。ノートアプリで、メニューを開く度に画面がリフレッシュされ、全体がちらついている。色を変えたり、消しゴムを使ったりする度に画面がちらつくのはかなりのストレスになりそうだ。

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似たような問題が、同じく DES を採用する Reinkstone R1 にも見られる。こちらは、ペンの遅延こそ少ないものの、線を引いた後に一旦線全体がちらついている。
DES は電源オフ時にも画像が保持される性質があるが、その結果として残像が残りやすく、メニューを表示する、線を引くなど動的な変化に対応するために画面や、描画域を頻繁にリフレッシュする必要があるのだろう。にもかかわらず、リフレッシュレートは早くないために、それがちらつきに見えるのではなかろうか。

DES は Color E-Ink よりも発色が良さそうな方式であるが、E-Ink 以上に動的な画面変化に対応できないと予想される。電子書籍を閲覧するよりもイラストなどを表示するのに向いているのではなかろうか。そのため、手書きノートには向いて無さそうだ。

半導体不足とクリエイターへの不信感

DES 方式の端末が手書きノートに向いていないのが出資を取りやめた主な理由ではあるが、他にも懸念材料がある。

先ず、世界的に半導体が不足していること。そして、中国の電力不足。そこに加えて、クリエイターが当初の予定にはなかった、メモリ 4 GB、ストレージ 64 GB のモデルをクラファン開始後に加えた上に、初期の限定数が 500 だったのを 900 まで順次増加していったこと。11月出荷予定としているが、恐らくそれは無理そうに思える。

クラウドファンディングでの多少の遅れは仕方ないにしても、他にも不安になる要素がある。

TopJoy Butterfly のクリエイターは出資者へのコメントに対して頻繁に応答はするのだが、肝心な部分を答えない。特に、Google Play に関する質問には真摯に答えてない。恐らく、Amazon の Fire タブレットのように、サイドロードにて Google Play をインストールすれば利用できるのだが、その点すら明言しない。
アップロードされるデモ動画も、出資者が知りたいことから微妙にずれている。開発担当としては最終版を評価して欲しいのだろうが、広報との関係性に不安を覚える。

半導体不足とクリエイターの不信感もあり、出資をキャンセルした。とは言うものの、動向は気になるのでしばらくは追う予定ではある。