映画「ゆるキャン△」は「水曜どうでしょう」で「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だった

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*各キャラクターの名称がマチマチですが、関係性に考慮した呼び名になっております。

のっけから松竹の富士山からアニメに移行する演出に満点を上げたい。

原作のマンガからして「水曜どうでしょう」の影響を受けているので今更の感想ではありますが、映画は大泉洋さんが全国で有名になってからの「どうでしょう」「どうでしょう」におけるログハウス造り。原付の旅を見たかった、というのも分かる感想です。

*徐々にネタバレを多めに語って行きます。次の段落は、映画の前情報くらいのネタバレです。

ゆるキャン△13.5 オリジナルのマンガが一話あり、残りはキャラクター原案とアニメ版のまとめが掲載されています

映像的挑戦をする「ゆるキャン△

水曜どうでしょう」ネタをぶっ込む「ゆるキャン△」ですが、アニメにはあんまり登場しません。実写版の方が「どうでしょう」分が多いです。
アニメ版と実写版は、どちらも二期やっており、進み具合も同じくらいで、絵作りも似たような感じですが、微妙に違うところもあります。アニメと実写での表現手法の違いもありますが、見せたいモノも異なっているように感じます。

アニメは風景を実物に近く描くことで作品に厚みを持たせています。これは原作も同じ。ただ、原作の絵作りはかなり挑戦的で、超広角やら360度カメラなど、アクションカム的なコマが多いです。魚眼レンズで大きくてゆがんだ画像を手書きで再現するのかと驚かされます。あfろ先生によるアクションカメラを主体としたマンガに「mono」があるので、興味がありましたら!

360度カメラなどはアニメには向きませんが、映画「ゆるキャン△」のタイムラプス映像は原作っぽいなと感じました。実写版も、ドローンでの撮影を行っているあたりが、原作に通じます。Oculus Quest などで見ると、このドローン撮影が映えます。

映画「ゆるキャン△」では、映像以外でも挑戦が行われています。それが「環境音」の再現です。自然音のみならず、蛍光灯の音まで再現されており、力の入れようがわかります。蛍光灯の音は、LED 化が進んだのと、私自身も高周波が聞き取りづらくなっているのもあり、そんなにうるさかったっけ?とは感じましたが。

キャンプが好きなんじゃない、関係性が好きなんだ(少しネタバレ)

映画「ゆるキャン△」を見て、それぞれのキャラクターの関係性が好きなのだなと、再認識しました。キャンプがフレーバーなので、キャンプはしたくなるけど、結局行動には移さない……。

映画では、社会人になりそれぞれの立場が変わっていますが、根っこの関係性は同じ。「大垣」が計画をブチ立て、「なでしこ」の元気に「リンちゃん」が引っ張られ、「アキ」を「犬子」が、「リン」を「恵那」が支える。

自分が好きなシーンは冒頭の、「大垣」からキャンプ場作りを「考えとく」と応えた「リン」と、その後の「大垣」の反応。いきなり深夜にタクシーでキャンプ場候補地まで行くのは「またしても何も知らない大泉洋」感あるのも好きです。
冒頭でも述べましたが、高校生の頃が初期の「水曜どうでしょう」で、就職後は大泉洋さんが全国区で俳優として有名になってからって感じ。それぞれの立場は変わっているけども、関係性は変わっていない。
「リンちゃん」と「なでしこ」の関係性は言わずもなが、「志摩リン」と「大垣」の微妙な距離感が好きなんです。

キャラクターとしては「志摩リン」が一番好きですが、関係性を持ちたいのは「大垣」。というか「大垣」は野クル作ったりと、行動力の塊なのでイベント会社に就職するのも分かるし、その後に地元の観光促進に関わるのも、すごく分かる。「なでしこ」がキャンプギアメーカーで、「恵那」がトリマーなのもすごく納得。ただ、「恵那」はもうちょっと「リン」を見守る感を出して欲しかった!
就職先としては「志摩リン」だけが、ちょっと納得感がない。本好きなので、本に関わる仕事ではありますが「営業」やってた頃が想像つかない・・・・・・。
「あおい」ちゃんが、小学校の先生なのは世話焼きかつ、地元に就職したいからって感じでしょうが、保母さんとかでもいいわけで、この辺は「脚本」の都合と感じてしまう。まぁ。それを言うと「なでしこ」は大学中に起こしたキャンプギアメーカーの CEO のはずでは!?

脚本の都合、多くない?(以下ネタバレ分多め)

脚本の都合としては、土器関連は起承転結の「転」のためのギミック感が強かったです。
物語の都合としてキャンプ場造りが進まなくなる過程が必要だろうなと思っていました。そのため、ゆるキャン△メンバーが運転するシーンは事故らないかヒヤヒヤしてました。特にバイク乗りの「リン」ちゃん。「チクワ」が土器を見つけたときは安心したと同時に、答えあわせでもありました。その先の展開もある程度は予想できます。

キャンプ場造りが滞る理由を、ゆるキャン△メンバーに寄せてしまうと関係性が変わってしまうので、外部に求めたのでしょう。「大垣」が土偶のかぶり物をしているので、一応伏線は張ってありますが・・・・・・野っ原をキャンプ場にするならまだしも、元々あった施設を造成する際に見つからないものだろうか?と疑問が残ります。

大学の卒業旅行で海外へ行き、キャンピングカー借りてアメ横断するロードムービーでもいいじゃん?感はあります。ただ、脚本の都合上ではありますが「リン」が、昔なじみのキャンプ場を再訪し、それぞれのキャンプ場の良さを再認識するシーンには嬉しくなりました。

筋書き以外で気になったのは、少しだけ年を重ねた「リンのお母さん」の作画。それなりの年齢のはずですが見た目が若いため、おばさんという記号では描けません。絵柄として年齢をかき分けるのが難しいので仕方がない部分ではあります。リンと大垣の上司が、どっちもヒゲ面なのはどうかと思います。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

映画「ゆるキャン△」は変わらない関係性の話で、それはそれとて原作は続いていきます。逆に、映画「ゆるキャン△」が、原作での関係性の継続を確約したとも解釈できます。だからこそ私は「大垣」に対する「リン」の「考えとく」が好きなのでしょう。

自分の特性として、未来が約束された続編物が好きってのもあります。スター・ウォーズの帝国の逆襲、バック・トゥ・ザ・フューチャー2 を何度も見ているのはそのためでしょう。少し違いますますが、ドラゴンクエスト3 も好きです。メタルギアソリッドシリーズも同じ構造でしょうか。
映画「ゆるキャン△」によって原作での未来が約束されたわけで、自分の中で原作がバック・トゥ・ザ・フューチャーにおける「2」の位置になりました。原作のマンガでも、ゆるキャン△メンバーによる未来の妄想が描かれているので、映画「ゆるキャン△」も揺らいだ未来かもしれません。約束はされているけど揺らいでるのもバック・トゥ・ザ・フューチャーっぽい。

蛇足

先ず「アキ」ちゃんは普通に有能。突発的に動くけど「報連相」はできる子。校庭でたき火するのにきちんと先生に許可取ってるし。また、ゆるキャン△メンバーの家庭は比較的裕福なので、大学くらいは進学しそう。バイトしているのはキャンプのためでしょう。ただ「斉藤」さんは、他のメンバーよりも少し裕福。お高い寝袋を買って貰っていますし、映画でも FIAT 500 に乗ってます。
他のメンバーは「なでしこ」がスズキのジムニー「リン」の「トライアンフラクストン1200R」は高校時代におじいちゃんが乗っていたおさがり。「大垣」が日産マーチで、「あおい」ちゃんはホンダ N-One。
縄文時代は先述の通りに、舞台装置にしかなっていないので同意できる。ただ、「再生」に関しては遺跡とコラボするための名目であり、映画のコンセプトではないと思う。映画のコンセプトは「再生」というか「再帰」だろう。もしくは「変わらないこと」。