まだ使ってますけど、2026年2月に wena 3 のサービス終了を伝える記事がホットエントリーに上がっていたので。
サービスの終了は2023年6月30日に予告されていたが、2024年11月28日に詳しい内容が改めてリリースされた。
wena3 の修理・モバイルアプリのサポートサービス提供期間は、生産完了(2023年2月)から3年間です。
https://wena.jp/supports/announcement/attention20230630.html
はてなブックマークのコメントに「こうやってすぐサ終することが見透かされてるから売れないのだ。絶対やりきると誓うのならおれも買ってたよ - wnd_x のブックマーク / はてなブックマーク」とあるのだが、wena 3 の発売が2020年11月でサービス終了が2026年2月であるため、実質5年間はサポートしている。ガジェットとしては長い方だろう。
wena 3 の後続はなぜ出なかったのか
wena はソニーの新規事業創出部による製品だ。初代の wena wrist は1億円以上のクラウドファンディングを集め(「こだわり」をカタチに~世界を変えるチャンスは人生で4回しかない~ - 大阪大学))、2016年にリリースされた*1。
開発者の對馬哲平氏も注目され、様々なウェブメディアに露出していたのも印象的だった。
翌年の2017年に第二世代である wena wrist pro および wena wrist active が発売され、2020年に集大成とも言うべき wena 3 が登場した。
順調に世代を重ねた wena シリーズであるが、サポート終了に至ったのはなぜなのか。
個人的に考えられる理由を挙げてみる。
ニッチな製品である
wena 3 は刺さる人には刺さるが、スマートウォッチとしての使い勝手は微妙である。
既に腕時計を持っている人向けの製品であり、スマートウォッチは欲しい人向けではない。
かなり狭い層にしか刺さらない製品であった*2。
スマートウォッチとしては、微妙に痒いところに手が届いていない。`アクティビティの記録には向かない。Google Fit への連携も2022年8月と発売されて2年近く経ってから導入されている*3。未だに記録したデータをエクスポートする手段がないのはいかがなものかと思う。
消えた2020年12月31日
天気予報で、2020年12月31日が表示されず、なぜか2021年1月1日が二日連続するというなぞの不具合が発生していた*4。
閏年関連の設定間違いではと推測されているが、開発力の低さを感じさせる事例であった。
本体にしても、スマートフォンと連携するアプリにしても、今一つと感じさせる部分が多かった。
初期ロットの不具合
初期ロットにはアルコールなどの影響で本体内部が水が侵入し故障する事例があった*5。
コロナ禍によりアルコール消毒が奨励された影響もあるだろう。
ソニーは無償修理の対応を2023年11月まで行っていたが、wena プロジェクトに暗い影を落とした可能性がある。
利益率が高く無さそう
無償修理がプロジェクトによくない影響を与えたのは確かだろうが、湾曲したディスプレイの歩留まりは悪そうだ。
*6
ベルトとしてメタル、レザー、ラバーの3種類があり、それぞれ別モデルとして販売されているのも煩雑に感じる。
メタルバンドをレザーバンドやレザーバンドなど他の素材に交換することができない。
3つの製品を展開するよりも、バンドをそれぞれ交換できるようにした方が製品管理もしやすいと思うのは、素人考えなのだろうか。
ユーザーとしても気分でベルトの交換ができた方が嬉しかった。
ソニーアカウンが意味不明
wena 3 のアプリは Apple ID とソニアカウントでログインするが、このソニーアカウントの仕様が意味不明であった。ソニーアカウントにサインインするためにメールアドレスを入力しても、メールアドレスかパスワードが間違っていると弾かれるのだ。*7 *8。
パスワードを変更など試みても解決しないため、新たにメールアドレスを取得するか、Apple ID でサインインする他にない。
サービス当初は Facebook でのサインインも可能であったが、それも2022年3月21日に終了している。その際に、ソニーアカウントへの移行を試みて挫折した人も多いのではないだろうか。
wena3ご愛用のお客様へ
Facebookアカウントでのサインイン終了にともなうサインイン方法変更のお願い
https://wena.jp/supports/wena_3_app/attention20220128.htmliPhone 必須の誤解
wena 3 は以前のモデルと同様に「おサイフリンク」が搭載されると共に、新たに Suica にも対応した。ただし、定期券には対応していない。
「おサイフリンク」は iOS アプリでしか利用ができないため、Suica 利用にも iOS である iPhone が必須でかると勘違いした消費者が散見される*9。
Suica は、Apple Pay でも Google Pay でも利用可能である。個人的に、iOS でしか利用できない「おサイフリンク」を wena 3 に搭載するべきではなかったと考える。2014年に開始されたサービスのため、仕様が古いのだ。2014年から wena 3 が発売された2020年11月の間までに QUICPay は QUICPay+ となっている。「おサイフリンク」は QUICPay+ に対応していない。
「おサイフリンク」は、おサイフケータイが非搭載のスマートフォンでも Edy や iD、QUICPay などの FeliCa を利用した決済を利用できるサービスである*10。「おサイフケータイ」に対応していない iPhone 7 以前に向けたサービスであった。しかし、iPhone 8 *11での FeliCa 搭載で無用の長物となってしまった。元々、iPhone 向けに開発されたため、iOS 版のみしかアプリが存在しないのは、そのような歴史的経緯がある。コラボモデル発売後のサポート終了宣言
2022年12月にアニメ版の「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」とのコラボモデルが発売された*12。そして、その半年後の2023年6月に2026年2月でのサポート終了が宣言されている。
2020年11月に購入した自分としては約5年のサポート期間があったが、ジョジョモデルを購入したユーザーからすると3年しかない。半年でサポート終了が予告されるのも切ないだろう。在庫処分にすら感じられる。最後に
アルコールの影響で本体内部に浸水したのは不幸な事故であったと思う。一方で、設計の甘さもあったと言わざるを得ない。
本体の完成度もさることながら、アプリも十分ではなかった。小規模プロジェクトな点は仕方がないものの、ソニーが本気を出してもあまり期待できないのが悲しいところだ。
異なる3つのベルトが用意され選択肢があるのは良かったが、それぞれ別モデルで交換不可なのはユーザーからすると利便性が悪い。
コンセプトがニッチ過ぎるのは仕方がないと感じるが、これからも使い続けたかっただけに後続機が出ないこと、サポートが終了することは本当に残念である。悪い点ばかりを述べたけども個人的には気に入っているし、長く使いたいと思っている。
現在もバッテリーが1週間程度持つのは驚きだ。2021年末に一度交換しているが、4年も使ってバッテリーが劣化してないのはガジェットとして素晴らしい。
長く使いたいところではあるが、今後をどうするのかが悩み所だ。バンド型のスマートウォッチと腕時計の二本付けにするか、それとも Nothing Watch 2 を買ってしまうか・・・・・・
*1:新商品と振り返る、ソニーのスマートウォッチ『wena』(商品のあゆみ編)|ソニー株式会社|広報note
*2:wena3 を3週間:個人的には満足してるけど、素人にはおすすめできない - 最終防衛ライン3
*3:wena 3が「Google Fit」「ヘルスケア」と連携 - ITmedia Mobile
*5:wena 3 が壊れた&一年の長期レビュー - 最終防衛ライン3
*6:関連:新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」チタンでのデザイン検討事例 ソニー株式会社 - 活用事例 - DMM.make 3Dプリント
*8:ソニーアカウントはログイン不能な鬼門 - すまほん!!
*9:Androidでも使えるが、設定にはiOSが必要というやる気のなさ - toaruR のブックマーク / はてなブックマーク
*10:iOS端末とおサイフリンク対応製品をBluetooth SMARTで接続しておサイフケータイサービスが利用できるアプリ『おサイフリンク™』の提供を開始します。 | FeliCa Networks
*11:2018年