メガネのディズニーヒロインとアメリカのメガネ購入事情

メガネを着用したディズニーヒロインの話を枕に、アメリカで度付きサングラスの購入を諦めた話をします。

ディズニーによるメガネキャラ

www.huffingtonpost.jp

メガネキャラがもつオタク(陰キャ)なイメージを払拭するために、メガネのディズニーヒロインが誕生したという話を受けて、日本にはメガネキャラが主人公の作品が多いよねとの声を Twitter で見かけます。
日本には、アラレちゃんに代表されるようにメガネっ娘が主役の創作物があります*1。また、メガネ属性は男女ともに根強い人気があり、二次元にとどまらず三次元にも魅力的なメガネキャラがいます。もちろん、日本でも未だにメガネ=オタク(陰キャ)なイメージは根強くありますが、先の記事を読む限りアメリカほどにはネガティブではないように感じます。

私が在米中に体験した日米の違いは色々ありますが、そのひとつにメガネの購入事情がありました。なんと、アメリカでメガネを購入するには処方箋が必要です。気軽にメガネを買える日本とは異なり、手間も時間もかかります。
日米でのメガネのイメージが異なる理由のひとつかも知れず、医療保険事情などにも関連してるので、紹介したいと思います。

アメリカでメガネを購入するには処方箋が必要

アメリカでは、メガネを作るのに処方箋が必要です。処方箋は、眼科医もしくは検眼を専門に行う検眼士が発行します。メガネ屋に検眼士が常駐している州もありますが、そうでない州もあるようです*2
後者の場合は、眼科などを受診して、処方箋を貰ってからメガネ屋に赴く必要があり、お金も手間もかかかります。

日本でコンタクトレンズを購入するプロセスに近いでしょうか。安心と安全のためなら、眼科を受診してコンタクトレンズを購入するのをおすすめします。ただし、日本の場合は眼科を受診せずともコンタクトレンズを購入できます。

メガネのための眼科保険

アメリカでのメガネの購入は医療行為に近く、処方箋とメガネの代金が必要なため、日本よりも費用がかさみます。それもあってか、メガネ専用の保険があります。

アメリカは日本と健康保険事情が異なり、任意の医療保険に加入するのが一般的です。会社などの組織に所属する場合は、組織の福利厚生として医療保険に加入できます。フリーランスなどの場合は個人で加入する必要があり、保険料も組織に所属するよりも割高な場合が多いです。
医療保険の質も、保険料に左右されます。組織によっては充実していたり、していなかったり。仕組みも様々で、加入している保険が何をカバーし、どれくらいの実費負担が必要なのかを把握するのは困難です。在米中に、保険の仕組みがよく分からないと友人に愚痴ったら、アメリカ人でもほとんど把握してないから大丈夫だよと笑い飛ばされました(大丈夫ではない)。

医療保険とは別に、オプションとして歯科保険や眼科保険などあります。在米邦人だと、海外旅行保険や長期滞在用の海外医療保険に加入するケースもあるでしょうが、歯科保険は含まれないことが多いです。そのため、虫歯には要注意です。ともすれば、一時帰国した方が安いことも。
同様に、眼科保険に入っていない場合に米国でメガネを新調しようとすると、高額になる可能性が高いです。そのため、アメリカでメガネを作るなら眼科保険に入るのが普通です。

在米中に度入りのサングラスを作ろうと思ったのですが、眼科保険に加入していなかったので一時帰国中に作りました。緯度が高い地域に住んでいたので、冬になると日光が目に入ってきて、眩しくて溜まりませんでした。アメリカ人がサングラスをかける理由が分かります。

貧困層には厳しいメガネ

日本ではメガネを購入するにの処方箋は必要ありません。メガネ屋で検眼して貰うだけで済みます。しかも近年では、JiNSZoff で安価でより気軽にメガネを購入できるようになりました。

視力矯正者率に日米で大きな差は無いのですが、購入事情は大きく異なります。
アメリカではメガネの購入に処方箋が必要で、そのために眼科保険に入るのが普通です。ただ、米国の医療保険は高額で、低所得者や無職には優しくありません。そもそも、眼科保険が医療保険のオプションであることからも、メガネの購入のハードルは高いです。

歯科保険もオプションです。貧困層だと保険に入れないので虫歯の治療がままならないようです。ボランティアを行っている歯科医もいるほどです。
おそらく、メガネも同様で貧困そうほど視力矯正を行う余裕がないと思われます。

おまけ:メガネの割合は日米で大差ない?

日米でメガネのイメージが違う理由には色々あるでしょう。東アジアは近視の割合が多いと言われ、そのような統計もありますが、その原因が人種によるものかは不明です。むしろ、生活スタイルなどに大きく依存するように思われます。視力矯正者率を比べると、日米で大きな違いはありません。
むしろ、子どもに限ればアメリカの方が多いです。ただ、視力矯正者率はコンタクトを含むやめ、実際のメガネ着用者の割合は異なる可能性もあります。

視力矯正者率は、日本の小学生が約12%、米国での6歳から11歳に相当しますが約25%と、日本よりも多いです。
日本の中学生は約32%、高校生は約49%で、米国で両者を含めた12歳から17歳の約48%が視力矯正者です。日本の中学生と高校生のざっくり平均をとると*3、大体41%と、小学生の場合同様に米国よりも少ないです。


アメリカで生活した上での印象では、日本の方がメガネを着けている人が多い印象なのですが、視力矯正者率は、日本もアメリカもザックリ50から60%と、大きな差はないようです。
ただ昔から、3D映画視聴のためのメガネや、VR用のヘッドマウントディスプレイをはじめとするメガネ型端末を躊躇なくリリースするあたり、アメリカの方がメガネ着用者が少ないような気はします。

まとめ

日本では気軽に買えるメガネも、アメリカでは処方箋が必要で眼科保険に加入するのが一般的と、購入までのプロセスが全然違います。
日米でのメガネのイメージの主因ではないでしょうが、一因ではあるんじゃないでしょうか。

*1:「Dr. スランプ」なので、本来はハカセこと則巻千兵衛が主人公なのでしょうが

*2:酒類の販売方法なども州によって異なります。禁酒法の名残がある州では、州専門の店舗でしか購入できない、販売時間が法律で定められているなど

*3:正確な平均には、中学生と高校生の人数が必要