キマリとギルバートの使えなさを語りたい

その時々の最新のFFをやればいいと思うんで、今なら「FINAL FANTASY VII REMAKE」だと思います。
個人的な話をすると、「10」をプレイして欲しいです。Nintendo Switch版など、最近のプラットフォームにも対応していますし、ややクセのある成長システムですが遊びやすく、ストーリーも示唆に富んでいます。
好みの話になると断然に「5」ですが、SFCシリーズであればFF未体験者には「6」を薦めたいところです。
「9」も評判はいいですが、やはり過去のFFありきの作品だと思います。それ故に、他作品に派生しやすくもありますが。

私の推しFFとしては「10」ですが、「10」で避けられないのは「キマリ」です。恐らく、FFシリーズでも使えないキャラクターとして有名で、取り回しが難しいです。
FFのナンバリングで、色々と使えないキャラクターやジョブがいますが、ジョブやキャラクターが多ければ特にネタになることもありません。ただ、使われないまま印象に残らないからです。
その点で、パーティーメンバーが少ない時に加入する「4」のギルバート、メンバーが7人でラスボスまでずっといっしょの「キマリ」は心に刻まれます。共に「つかえねー」と思わせるイベントがあるのが拍車をかけてます。

キマリとギルバート以外に使えないとされるジョブやキャラクター

「1」のシーフは残念で、忍者になってもあまり活躍しません。初回プレイで選択してしまったら辛いですが、選択しなかった人は使えない事実を実感できません。「3」だと幻術士の使い所が今でもよく分かりません。リメイク版でも特に救済処置は無かったように思います。ジョブチェンジしてしまったら、CPがもったいないですが、挽回はできます。
「6」だと、カイエンは素早さも低く必殺剣もかなり使いづらいですね。ただ、序盤のイベントをが終われば強制戦闘はないので使わない選択肢もあります。必殺剣がテンポ悪いのと、待ち時間をかけた割には・・・・・・って威力なのが残念な所以です。
「7」は、ヴィンセントのリミット技が残念です。ただ、ストーリー上は仲間にする必要がなく、そのためエンディングのムービーにも登場しないかわいそうな子でもあります。「8」では、キスティス先生がネタにされます。青魔法は使い所はむずかしいですが、状況次第では強いです。というか、「8」はセルフィと共に女性陣二人は特殊技が残念ですよね。セルフィのジ・エンドは最強といえば最強ではありますが。

ギルバート・クリス・フォン・ミューア

「4」のギルバートは戦闘面での使えなさもさることながら、ストーリー面での足の引っ張り具合がネタに去れる所以でしょう。ダークエルフ戦ではギルバートのサポートがなければ勝てないので、汚名返上の機会はあるものの、その頃には最早NPCになっており、プレイヤーからすると今一つ使える感がありません。

使えるテラの代わりに入ったギルバートですが、攻撃力も弱く、その火力は女の子ことリディアにも及びません。アビリティも「くすり」を使うくらいならポーションを使った方がマシですし、「かくれる」は「5」では縛りプレイで有効ですが、ギルバートは瀕死状態で勝手に隠れるため使い所がありません。パーティーにいる期間は短いが、「かくれる」も相まって、的にすらならず、本当にいなくてもいいキャラクターです。
ストーリー面では、アントリオンの洞窟でアントリオンに襲われ、ファブールで退却時に躓いて文字通り足を引っ張り、その後はリヴァイアサンに飲み込まれてパーティーから離脱するので、見せ場がありません。ストーリーでの見せ場はサハギンとの単独戦ですが、むしろへたれ具合を強調するイベントです。
ダークエルフに勝てたのは彼のお陰ではあるものの、パーティーにいる間にもっと活躍して欲しかった。尚、彼がくれるホバークラフトは終盤までか活躍します。

キマリ・ロンゾ

「10」のキマリは、オールマイティ型ですがそれ故に器用貧乏に陥りやすく、必殺技である「てきのわざ」が残念な上に、単独強制戦闘があるので、使えないキャラクターとしてネタとなる要素が満載です。

ストーリー上ではユウナを昔から庇護しており、ユウナとシパーフの微笑ましいエピソードを語ってくれるのですが、基本無口なためほとんどパーティーと絡むことがありません。口数の少なさやユウナとの関係性は。ティーダとアーロンの関係の鏡映しでもあるのですが、その演出もあんまりうまく機能していません。

「10」の成長システムはやや個性的です。すごろくのようなスフィア盤上にある各キャラクターのコマを進めながら成長させます。全キャラクターでスフィア盤を共有していますが、スタート地点が異なるため、序盤はそれぞれのキャラクターに応じた成長をしていきます。魔法使いのルールーなら魔力が上がるコマが多く配置され、ファイアなどの魔法を覚えていきます。各キャラクターのルートを終えると、別のキャラクターのルートへ入ることで更に強化できます。ティーダならアーロンルートへ向かうなど。
そんな中、キマリはスフィア盤の中央に位置されており、また自身のルートも他のキャラクターと比較して短いです。つまり、どのキャラクターへのルートへも進めるオールマイティなキャラクターとして設定されています。必殺技であるオーバードライブが「てきのわざ」なのも器用だからでしょう。

スフィア版の詳細図について攻略

しかし、その器用さは「10」では徒になります。「10」はパーティーメンバーの役割分担が明確です。素早さのティーダ、命中のワッカ、白魔法のユウナ、黒魔法のルールー、貫通のアーロン、アイテムのリュックなど。戦闘は、飛行タイプの敵が出たからワッカにチェンジとか、硬い敵が出たから貫通のアーロンに変えるなど、その時に応じてメンバーを変えるスタイルです。キマリの役割はオールマイティです。逆に言えば、突出した役割がありません。スフィア盤次第では、自分好みに成長させることができますが、そのためには貴重なロックスフィアを消費しなければなりません。また、誰かのルートを進んでもその二番煎じにしかなりません。さらに、他のキャラクターのルートで成長させてもオーバードライブが噛み合いません。ファイアを覚えても、ルールーのような黒魔法乱れ打ちなどができないのです。

初回プレイでキマリの仕様を理解するのは容易ではありません。また、ゲームが分かってくるとオーバードライブがダメージソースとして回り始めるので、しょっぱい「てきのわざ」しか使えないキマリは使い所がありません。にもかかわらず、わざわざ「流剣」を使って敵からラーニング必要があり……とキマリが成長しない悪循環に陥ります。
キマリは万能型に陥りがちな器用貧乏な上にオーバードライブが残念なので、率先して使う人は多くないでしょう。

その結果に待ち受けるのが、キマリが単身で戦闘を行う「キマリは通さない」です。実質的にはイベント戦闘で負けることはないのですが、育てていないキャラクターの単独強制戦闘で面食らった人も多いでは。

セリフ/【キマリは通さない】 - ファイナルファンタジー用語辞典 Wiki*

強制単独戦闘は罪作り

ギルバートとキマリ、イベント戦ではありますが、どちらも単独強制戦闘があるのが、余計に使えなさを際立たせています。これさえなければ、ただの印象の薄いキャラクターとして処理されるでしょうに。カイエンが使えないと、その名前が上がるのもキャラクターが立っている故でしょう。

ストーリーにおける作劇場の強さと、仲間に入ったときに強さが乖離していると、使えなさ感が増しますね。FFシリーズならFFTのマラークでしょうか。彼の固有ジョブである天冥士が使いづらすぎです。

おまけ:リコとアンジェラ

おまけとして旧スクウェア作品から、ゼノギアスのリコと聖剣伝説3のアンジェラを挙げておきましょう。
ゼノギアスのリコは、ギア同士で戦うバトリングのチャンピオンであり、キングの相性で呼ばれます。ゲーム中でも屈指のHPと攻撃力を誇るのですが、ゼノギアスは「すばやさ」がものをいうゲームです。素早いキャラクターが2、3回行動してから、ようやくリコのターンとなります。文字通り出番がないのです。作劇中では強いキャラクターとして描かれているのに、システムで割を食っていて本当に不遇です……。

聖剣伝説3のアンジェラも残念なキャラクターでした。「2」では魔法を連続して唱えることができましたが、「3」では不可能になりました。魔法には詠唱時間が必要で、詠唱中は無防備となります。だからといって、「3」の魔法が特に強いわけでもありません。わざわざMPまで消費したというのに……。もちろん通常攻撃よりは強く、遠隔から攻撃できるのでボス戦や雑魚処理では有用そうです。しかし、「3」のボスや率先して処理したい雑魚は、魔法に対して特定のカウンターをしてきます。それが不可避の全体攻撃だとゲームオーバーまっしぐらです。特技の魔法が封じられた魔法使いで、さらに主人公としても選択可能なのは不遇すぎます。幸いにもリメイク版では最強キャラとして返り咲きました。