好きな丹下について語る

丹下と言えば丹下健三だろうが!!

丹下左膳

新聞連載小説の題名、およびその主人公ですが、元々は「新版大岡政談・鈴川源十郎の巻」の登場人物で、隻眼隻手でニヒルなキャラクターが人気となり、歌舞伎や映画などが作られました。つまり、今で言うスピンオフが人気になったパターンなんですね。

丹下健三

日本を代表する建築家で、磯崎新黒川紀章槇文彦谷口吉生なども健三の門下生です。

「代々木体育館」や「東京都庁舎」などの建築物が有名ですが、多数の都市計画も行っています。その代表例が、平和通りを含む「広島平和記念公園」です。平和記念公園のコンペには都市化計画は含まれていなかったのですが、健三が提案した平和通りは広島復興の要となりました。また、健三は早くから「原爆ドーム」の象徴性に着目しており、モニュメントとして残すことも立案していました。彼がいなければ、原爆ドームは取り壊されていたかもしれません。
広島平和記念資料館」の宙に浮き窓が多く端が丸い造形はどことなく、彼が憧れたル・コルビュジエ風です。ル・コルビュジエもまた、都市計画の人でした。ル・コルビュジエに師事した日本の建築家が、団地建築に大きな影響を及ぼした話も面白いのですが、また別の機会に。

東京計画1960 | 丹下都市建築設計
実現には至りませんでしたが、東京湾海上都市を建設する「東京計画1960」は圧巻です。東京湾に渡した道路をコアとした海上都市であり、SFチックです。お台場やアクアラインなどにその片鱗が見られます。

黒川紀章菊竹清訓らが唱えた「メタボリズム」は「東京計画1960」に多大な影響を受けています。「メタボリズム」は人口増加や社会の変化に対して、都市が有機的に成長することを提唱しました。残念ながら、都市計画の実現には至りませんでしたが、黒川紀章中銀カプセルタワービルに代表されるように、様々な建築物が生まれ、日本の建築思想に大きな影響を及ぼしました。
中銀カプセルタワービル」は、個々の部屋がカプセル式のユニットになっており、設計上は取り替えが可能です。住環境をユニットとして、他の場所へ移動したり、あるいは付け替えて新しくしたりするのは新陳代謝であり「メタボリズム」の名にふさわしい有機的なコンセプトです。しかしながら、カプセルの交換は一度も行われませんでした。

話題が黒川紀章にそれましたが、健三の弟子としては磯崎新も好きです。特に好きなのは、福岡相互銀行本店(現・西日本シティ銀行本店)。レンガ状の壁に、なぜかプラモデルの部品のような通風口がついたユニークな形状をしています。残念ながら、取り壊されるそうです。
磯崎新の建築物は、他にもユニークな形状なものが多く、二門のロケット砲が聳え立ったような形状の「北九州市立美術館」は実写版「図書館戦争」のクライマックスでロケ地として用いられました。
https://webdesignmagazine.net/arata-isozaki/

健三も大概にユニークな建築物を設計しています。また、それと見て分かる健三らしさがあります。
京都駅から琵琶湖線草津方面に向かっていると、青空を反射し青々と光った高層ビルに魅入られました。左右対称でガラスがグリッド状に配されたデザインはどことなく東京都庁に似ています。ググってみると丹下健三が設計した「びわ大津プリンスホテル」でした。

丹下健三の建築物で、好きな建築物を挙げるのは中々難しいですが、現存する中で一番すごいと思う建築物を挙げるなら「国立代々木競技場 」です。東京オリンピックの競泳競技場として設計され、屋根は渦巻き状と独特な形状をしています。その正体は吊り構造による天井です。そのため、内部に柱が一切ありません。柱がないため、観客が競技に集中できる作りになっています。
新たに立て替えられた国立競技場は隈研吾によるものですが、本来はコンペで勝ち上がったザハ・ハディッドのデザインになるはずでした。ザハ案の要はキールアーチ構造にあります。その特殊性故に高度な技術が必要であり、また多額の費用がかかることなどから、廃案となりました。費用の面で折り合いがついても、耐震性などを確保する必要があり、実際に建築するとなると困難を極めたでしょう。個人的にはザハ案は好きで、実現したらいいなと思っていました。アーチ構造は橋に通ずるので、「国立代々木競技場 」の吊り橋構造をリスペクトしていのかもしれませんし、選ばれた理由の一つだったのかもしれません。

東京には「東京カテドラル聖マリア大聖堂」、「静岡新聞静岡放送東京支社ビル」と健三が設計した独特な建築物が多いですが、なんだかんだでテレビなどで見る機会が多い東京都庁も好きです。最近は七色に光るのでゲーミング都庁と呼ばれてますが。
「旧東京都庁第一庁舎」も丹下健三の設計でした。コンペには色々と問題があったそうですが「ノートルダム寺院」を模したとされる二つに分かれた構造は、オフィスとしては無意味ではありますが、ランドマークとしては新宿の高層ビル群の中では今も尚異彩を放っています。「第二庁舎」、「東京都議会議事堂」共々統一感があって好きです。
外壁は、同じく丹下健三が設計した「国際連合大学」のそれで、こちらは色々なドラマなどでロケ地として使われているので、見たことがある人は多いのでは?

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都庁を初め、新宿副都心には個性的な高層ビルが多く、都庁の展望台から見ることもできます。そのさきがけとなったのが「新宿住友ビルディング(1974年)」で三角ビルとも呼ばれます。実際には六角形なのですが、三角形状の吹き抜けを都庁の展望台から見ることができます。「損保ジャパン本社ビル(1973年)」も下層階が末広がりになった独特の形状をしています。シカゴにあるチェイス・タワーを模したそうですが、同様の構造をもつビルは多くはありません。
現在最も異彩を放つのは「モード学園コクーンタワー(2008年)」でしょう。複雑な構造ですが、工期は二年と以外にも短いのです。ちなみに、同建築は健三の設計ではありませんが「丹下都市建築設計」によるものです。
ガラス張りの「新宿三井ビルディング(1974年)」は他のビルを映すので夜景が栄えます。かまぼこを乗せたような「新宿アイランドタワー(1995年)」も嫌でも目が行きます。少し離れた、代々木にエンパイアステートビルを模した「NTTドコモ代々木ビル(2000年)」が見えるのも面白い。
もちろん、丹下健三が設計した三連に連なった「新宿パークタワー(1991年)」を忘れてはいけません。第三庁舎とも呼ばれるそうですが、こちらも遠くから見てもそれと分かる形状でランドマーク性が高いです。

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新宿の高層ビル群の話をし出すと魔窟なので閑話休題
テレビやニュースで見かけると言えば「フジテレビ本社ビル」こと「FCGビル」も丹下健三の設計です。球体が特徴的で、磯崎新の都庁舎コンペ案に似ているそうです。健三が直接手がけた最後のプロジェクトであり、臨海副都心が「東京計画1960」の残滓と考えると、最後の仕事に相応しいなと感じます。

丹下段平

あしたのジョー」の登場人物。ジョーにボクシングの手ほどきをし、その後はトレーナー、セコンドしてジョーを支えました。「立て、立つんだジョー」のセリフはあまりにも有名。
坊主頭に黒い眼帯、出っ歯という特徴的な風貌から、パロディとして様々な作品に用いられている。実写版の「あしたのジョー」では香川照之が演じており、その完成度も含めて正直ずるい。
隻眼なのは、丹下左膳を意識していたのですかね?

丹下桜

声優。代表作は「カードキャプターさくら」の木之本桜など。
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