ハイラルへの帰属意識が強いSwitch版夢をみる島

ゼルダの伝説 夢をみる島|オンラインコード版

ゼルダの伝説 夢をみる島|オンラインコード版

3DSのVCでクリアで感想をしたためておきます。
当然のように、一度もゲームオーバーにならずにエンディングをみたのですが、マリンの顔がDXと違って南国の田舎娘っぽくなっていたのですが、これはこれで素朴でいいですね。ただ、個人的にはオリジナルのGB版でのエンディングが好きです。

Switch版ではミニチュアのように表現されたコホリント島がシームレースに繋がっていて移動するだけでも楽しい。歩いているだけでも楽しいのがゼルダの伝説だと思うんですよ。

遊びやすくなった!

オリジナルのGB版とDXのGBC版を踏襲しつつも、全体的に遊びやすい方向にリメイクされています。
オリジナルの思い出にひたりながら携帯モードで遊ぶもよし。もしくは大画面でテレビモードで遊ぶもよし*1。私は、目覚めの歌など音楽を聞きたいところはテレビモードで、探索は携帯モードで遊びました。モードの移行がスムーズなのがLightでないSwitchのいいところ。

特に遊びやすくなったと感じたのがボタン配置で、アイテムを変更する頻度が下がりました。アイテムをXとYボタンに割り当てられます。さらに、剣、ツボなどを持つ、盾、ペガサスの靴はそれぞれB、A、R、Lボタンに独立して割り当てられいます。ダッシュジャンプや爆弾矢が気軽にできるので、ゲーム性が変わってきます。
その他にも、オートセーブや地図の「おもいで」機能などが追加されて地味に遊びやすくなりました。会話のログや取得したハートのかけらをマップで確認できます。
また、ワープポイントが増えています。しかも、ローテーションではなく行き先を指定できます。さらに、マンボの歌ではマンボヶ池以外のワープポイントに行けるようなりました。実質、神々のトライフォースにおけるオカリナになってます。

追加要素もあるよ!

追加要素としてダンペーさんのパネルダンジョンがありますが、その他にも微妙な変更点や追加要素があるのでGB/GBC版やり込んでいるほど違いを楽しめるかも。ハートのかけらやひみつの貝殻が増量されています。釣り堀やクレーンゲームに急流下りにも追加要素があります。貝殻は増えてますが、センサーが追加されたので探しやすくなりました。

攻略法が変化したボスもいます。ヒノックスの掴み判定が強化されているので、初回は苦戦しました。
ビンが追加され妖精を確保しておけば、死ぬことはないかと思います。ご安心下さい。ぬるいかもと思ったあなたには、難易度の高い辛口モードが追加されています。さらにハートの器を取らなくてもダンジョンがクリアできるので、縛りプレイもばっちり!あるいはサクッとクリアできるのでRTAにも向いてそうです。ただ、例によってバグ技が既に見つかっているので Any% への挑戦はくれぐれもご注意を。
GBC版で追加された服のダンジョンも健在です。通常モードなら攻撃の「赤」、辛口モードなら防御の「青」がおすすめです。

細かな違いとか

細かな変更点として、ブロック壁越しに攻撃が当たらなくなりました。穴の落下判定がよりシビアになり、2マス飛び越えるのが難しくなりました。ペガサスの靴なしで飛び越えられた場所も、ペガサスの靴が必須になっています。この辺は、本来実現したかった仕様にも思えます。
また、仕掛け扉は一旦開くと、部屋を出ても開いたままです。そのため、ダンジョンの攻略方法がちょっとだけ変わりました。地味に嬉しい変更として、ナイト駒のころがりがランダムではなくなりました。揃えるまで何度も振る必要はありません。

フックショット、マジックロッド、ブーメランなどが弱体化しています。元が強すぎた・・・・・・。それでもブーメランはスパークを倒せますし、魔法使いを倒せるようになっているので後半のダンジョンの攻略が楽になります。また、ブーメランと交換したアイテムを買い戻せるようになってます。ひみつの貝殻を取り尽くしたら、スコップとか無用の長物ですけども。
レベル2の剣や盾が強くなっています。レベル2の剣でツボが壊せるのは便利。レベル2の盾は敵の弾をはねかえ跳ね返して反撃できます。普通の盾も攻撃を防ぎやすくなっています。それにともない、一部の敵は盾で攻撃を防いでから反撃しないと倒すのが大変になりました。

パネルダンジョンは作業感が・・・・・・

パネルダンジョンは、ダンジョンの部屋をパネルとして配置して、お題に沿ったダンジョンを作るパズル感覚のミニゲームです。私は、最終的に最適化したダンジョンを作ることに精を出してしまったので作業感が強かったです。

パネルダンジョンにはスタート視点とゴール地点であるボス部屋を配置する必要があります。ボスの部屋に入るにはボスの鍵が必要で宝箱から取得します。宝場を配置すると、鍵の部屋がある場合は鍵が、その他はルピーが取得できます。そして、最後に明けた宝箱からボス部屋の鍵が出てくルールです。つまり、パネルダンジョンをクリアするには配置した宝箱を全て開ける必要があります。逆に言うと、必要最低限の宝箱を最短ルートで配置すれば、通過しなくてもよい部屋を作れます。ダンジョンとしてはつまらなくなりますが、制限時間内にクリアするダンジョンを作るお題なんかもあるので、この方法でダンジョンを作った方が効率的です。
amiibo で自分で作ったダンジョンを渡せるのですが、私はamiibo を持ってないし、交換する相手もいないしで、凝ったダンジョンを作るモチベーションが湧いてきません。

ハイラルへの帰属意識が強いリンク

夢をみる島は、神々のトライフォースの後日譚であるとされます。夢をみる島のラスボスがガノンやアグニムへと形態変化するのも、神々のトライフォースの記憶を読み取っているからなのでしょう。それを踏襲しているかは定かではありませんが、夢をみる島のGB/GBC版では神々のトライフォース同様に主人公にはデフォルト名が存在しません。Switch版も名前を好きに変更できますが、デフォルトとして「リンク」の名が表示されています。また、Switch版の盾にはハイリアの紋章が描かれています。この二つの相違は、Switch版の主人公が明確にハイリアへの帰属意識があることを表現しているように感じられました。

夢をみる島は、ちょっとおかしな世界観です。他のゼルダシリーズでは珍しく、任天堂のキャラクターがスピンオフで登場していますが、それがおかしな世界観を支えています。スマブラ以前のリンクが他の任天堂のキャラクターを知るよしもありませんが、プレイヤーはそうではありません。「夢」の仕掛けがプレイヤーと操作キャラクラーの境目を曖昧にしています。夢の夢の中で後にゼルダの伝説の象徴となるオカリナを手に入るのもなんだか示唆的に思えます。
散々語り尽くさせてきたことですが、夢だけを覚めたくないのが夢をみる島の根幹でしょう。ゲームをクリア目前になったら急にやりたくなくなる。マンガやアニメの最終話を見たくない。夢=フィクションの世界を終わらせたくない気持ちは、みなさんも経験したことがあるんじゃないでしょうか。クリアするためには夢を終わらせなければならない。その選択をするのはプレイヤーです。クリアしなくたっていいんです。Switch版のキャッチコピーである「その島はどこにもないけど、確かにある」は秀逸だなと思いました。

そんな「夢をみる島」ですが、基本的に主人公は異物として扱われています。それ故にマリンからは好意の対象として見られるのですが、序盤はその疎外感が島からの脱出につながります。しかし、冒険を続けていく内に島から脱出してもいいのか、つまり夢を覚めさせていいのかと悩んでいくことになります。特に、オオワシの塔のボスは主人公を夢の中の存在のようなセリフを吐きます。夢を覚めさせたいいのか、あるいは自分自身も夢ではないかと惑わせるための言葉でしょう。
ただし、先にも述べたようにSwitch版はGB/GBC版よりも主人公の心にあるハイリアへの帰属意識が強いように感じました。つまり、主人公自身が夢から覚めることを強く思っているかのような演出です。またゲームの仕組みとしてクリアデータを作成できるようになっているのも、その意図を感じます。ただ、この点はGBC版のエンディング同様に主人公が晴れやかな顔をしているので、夢から覚めること自体の葛藤は結局の所、プレイヤーへの仮託でしかないのでしょう。つまり、ゲームをクリアしたくない意思はプレイヤーからの発露であって、ゲーム内の主人公とは別物であるということ。ゲームのクリア自体がプレイヤーと操作キャラクラーである主人公の離別である、という当たり前のことではあるのですが、Switch版はGB/GBC版よりもそれが少しだけ強調されているのかなと。

お手軽感はあるけど、やや物足りないかも。

勢い余ってVC版もプレイしてしまったのですが、ゲーム自体は大きく攻略法も変わっていませんし、ボリューミーでもないのでサクッとクリアできるかと思います。一方で、昨今の重厚なゲームと比較すると、物足りなさもあります。ただ、個人的にはこれくらいでクリアできるのがサックリと楽しめてよいですね。

*1:スーパーゲームボーイを使えばテレビで遊べるけど