最後のジェダイってファイナルファンタジーぽいよね

ようやく、スターウォーズのエピソード8である「最後のジェダイ」を見たんですが、感想を一言で述べると「ファイナルファンタジーっぽいな」でした。

映画としてはやや冗長であるものの、及第点でしょう。ただ、スターウォーズにそんなものは求めていないので。
冒頭のローズの姉のシーンなど、時間をかけて丁寧に、ともすれば冗長に描写しているシーンがあるかと思えば、宇宙に放り出されたレイアが戻ってくる方法とか、メガ・スター・デストロイヤーからレイが脱出した描写などが省かれている、よくわからない編集具合。どっちもフォースのお陰なんだろうけど、フォースが万能過ぎじゃないですかね。

世界観とかはFF12っぽい


ファイナルファンタジーXII(PS2)PV


スターウォーズファイナルファンタジーっぽい」というか、ビックスとウェッジの例を挙げるまでもなく、ファイナルファンタジースターウォーズの影響を受けているので「ファイナルファンタジースターウォーズっぽい」が本来的には正しい。ところが、エピソード7も8もルーカスオリジナルでは無くできあがった映像が「スターウォーズっぽい何か」でしかないため「スターウォーズファイナルファンタジーっぽい」と感じてしまうのでしょう。

映像としては船艦やら輸送船がFF12を思い出させます。バルフレアとフランって、そのまんまハン・ソロとチューバですしね。フランに限らず、FF12には亜人種が存在しており、しかも人間から搾取されたり、辺境に追いやられている当たりもスターウォーズっぽい所以かな。
ところが、最後のジェダイでは、人間以外の種族が主要人物としてほとんど登場しません。アクバー提督ですらチョイ役。中華系のローズと中南米系のポーはディズニー的ポリコレ、あるいは市場原理として主人公格にする必要があるとはいえ、たとえばコード・ブレイカーを亜人種にすることだってできたはず。

カイロ・レンがFFのラスボスみたいなこと言い出した

ストーリーとして最も影響を受けているのはFF4で、ゴルベーザはまんまダース・ベイダーです。FF2や6おいて、悪の帝国を打ち倒すレジスタンスもそうでしょう。映像はともかく、ストーリーまでもがFFっぽく感じるとは思いませんでした。まさか、カイロ・レンがすべてを滅ぼすとか、FFのラスボスみたいなことを言い出すとは。師に絶望して世界の破壊を目指す当たりはザンデ、主人に愛想をつかして殺すのはケフカ、クジャに近いでしょう。ただし、カイロ・レンにはケフカほどのラスボストしての品格が無いので、恐らく、エピソード9では暗黒面=シスから何の前振りもなく現れた「暗闇の雲」とか「永遠の闇」みたいのを倒すのでは!?
FFのラスボスっぽいものを目指すのはよいけど、主人公ズの魅力がない分、敵方の魅力でがんばって欲しい。ちなみに、最後のジェダイで一番好きなのはハックス将軍です。いいですよね、あの小物感。

ファイナルファンタジーの世界が光と闇のバランスからなりたっているのもスターウォーズの影響でしょう。それも今となって日本ではありふれた設定で、そこがまたスターウォーズのはずなのに、新シリーズがスターウォーズっぽいとか、ファイナルファンタジーっぽいとか感じてしまう理由なのかも。

ドラクエ6から10における、だれでもない勇者

映像やら敵方はファイナルファンタジーっぽいのですが、物語やら主人公の目指すところは、ドラクエっぽいのです。特に、6から10あたりにドラクエが目指したものに近い。

レイとフィンはバックグラウンドがほぼ無いキャラクターで、そのような意図で作られたのでしょう。最後のジェダイを見て、スターウォーズの新シリーズの目指すところは、共和国、帝国、ジェダイの伝説に終止符を打って、特別な人ではなく、皆が主人公として物語を紡いでいくことにあると感じました。これは、カイロ・レンとの目的と通じるところでもあります。ただし、カイロ・レンが目指すのは「無」ですが(エクスデスかYO!)。
ローズやポーなどが活躍するのも、新世代のスターウォーズを目指したからで、伝説からの脱却はルークも謳っていました。

この誰もが主人公になれる物語は、ドラクエが目指すものです。ただし、ロト三部作と、天空シリーズの4,5などは勇者の血筋の物語でした。これはスターウォーズの1から6がスカイウォーカー家の物語なのと似た構図です。6,7も血筋ではあるものの「勇者」は誰でもなれるものとなっています。8,9では「勇者」はいなくなり、10はオンラインなこともあり、他の誰でも無い「あなた」が主人公です。
「あなた」が主人公なのはドラクエが1から目指す所です。ただし、当初は勇者の血統をもつ特別な「あなた」だったのが、そうではない「あなた」へとシフトしていきました。11では勇者に回帰していますが、勇気のある者が「勇者」となる物語として描かれています。

最後のジェダイが描きたかったのは、スカイウォーカー家の血筋の断絶。そして、今後それを打ち破るのは血筋をもたない者なのだろうと予測できます。もともと、ジェダイはたくさんいましたし、「みんながジェダイ」を作り上げるための前振りなのだろうと思います。

そもそも、アナキンだって特別な存在ではありませんでした。本来ならばアナキンは「みんながジェダイ」を担えるキャラクターなのですが、物語が公開された順番のため、彼はダース・ベイダーになることが決定づけられていました。そのため、特別でない存在が主人公になる物語としては描けなかったのでしょう。

スクエニファイナルファンタジー

というわけで、世界観としてはファイナルファンタジーっぽく、ラスボスの動機やら目標もファイナルファンタジーっぽいスターウォーズの新シリーズ。また、物語としては特別な存在では無い人間が主人公やヒーローになることを目指すあたりは、とってもドラクエっぽいなと。共に、みんなが主人公を目指す物語で、共に、血統の物語からそうではない物語へ変遷しいているのも似ているなと。