日本の食品添加物の種類は世界一では無い

日本国内で使用されている食品添加物は、既存添加物(天然)が365種類、指定添加物(合成)が438種類の計803種類ということで、この数は世界一だとか。ちなみに、アメリカでは140種類、イギリスにいたっては14種類に抑えられている。

アメリカとイギリスの添加物の種類がいくら何でも少なすぎる。例えば、ワインには酸化防止剤としてソルビン酸ナトリウムや亜硫酸ナトリウムが添加されています。ワインだけで2種類の添加物が使われるのに、イギリスで使用できる添加物が14種類って事はありえないでしょう。

日米の食品添加物の比較に関しては、TPP交渉参加 改めて日米の食品添加物の制度を考える | FOOCOM.NET がまとまっていて分かりやすいです。
日米では食品添加物に対する考え方が違いますが、法律により食品に使用しても良いと定められている添加物の種類は、日米で大きな違いはないと言えます。ただし、日本では添加しても良いが、アメリカでは認められない物、あるいはその逆もあります。これは、食生活や歴史的背景の違いによるもので、どちらか一方が食品添加物に対する規制が甘いとか厳しいわけではありません。

また、海外での食品表示事情〜世界の安全基準とは? に各国における食品の表示義務がまとめられています。食品添加物の表示に関しても、日米で大きな違いはなさそうです。むしろ、世界的には栄養表示の義務化に注力されているように感じられます。

日本の食品添加物

日本で使用できる食品添加物のリストは 食品添加物 |厚生労働省 で閲覧できます。
指定添加物が438種類、既存添加物が365種類、一般飲食物添加物が100強、一般飲食物添加物が50強程認可されています。全部で大体1000種類程度でしょうか。
ちなみに既存添加物とは、日本の食生活を鑑みて古くから使用されており、経験的に安全であるとされている添加物です。

添加物の種類毎に食品へ使用できる量などが定められており、食品に使用した添加物はすべて表示しなければなりません。

アメリカの食品添加物

単純に食品に添加しても良い物ならば Everything Added to Food in the United States (EAFUS) に一覧が掲載されています。およそ5000前後の物質が掲載されていますが、これらには香料や塩などの調味料も含まれています。

食品添加物に関する法令は、FDsys - Browse Code of Federal Regulations (Annual Edition) のページで年度を選択して、「Ttile21 - Food and Drugs」における「Chapter I - Food and Drugs Administration, Department of Health and Human Services」で閲覧することができます。
リストは「Part 172 - Food Additive Permited for Direct Addition to Food for Human Consumpitio」、「Part 173 - Secondly Direct Food Additive Permitted in Food for Human Consumption」にありますが、ざっと600種類くらいで日本の指定、既存添加物の種類と大きく変わりません。

また、アメリカには「Generally Recognized As Safe (GRAS)」と呼ばれる、長年の経験や科学的な知見により安全とされる食品添加物もあります。日本における既存添加物に近く、上記で紹介したページにおける「Part 184 - Direct Food Substances Affirmed as Generally Recognaize as Safe」でリストを閲覧可能です。ざっと、200種類ほど登録されているようです。

食品に含まれる原材料を表示する必要があります。ただし、香料などは「Flavor」としか書かれない場合もあります。この辺も、日本と大差ないようです。

EUの食品添加物

EUでは E番号 - Wikipedia によって食品添加物が管理されています。
法令は、EUROPA - Food Safety - Chemical Safety of Food - Food Flavouring - Listed Legislation などを参照。EUROPA - Food Safety - Lists of authorised food additives において添加物の種類毎に使用可能な量などが記載されています。

E number - Wikipedia, the free encyclopedia で 「Approved in the EU」で検索すると300程度ヒットします。つまり、EUでは300種類程度の食品添加物が認可されています。
日米に比べると少ないですが、これはEUの定める食品添加物がざっくり書くと「食品の保存や安定化などを目的として添加される物」と定義されるためです。それ以外の加工補助材にあたる、香料や栄養素、酵素などは食品添加物に分類されません。日米では、これらの加工補助材なども「食品添加物」あるいは「GRAS」として分類されています。
EUにおいて、加工補助などに用いられる添加物が統一されていない理由は、既存添加物やGRASのように各国の食文化事情が異なり、それらを鑑みて決定しなければならないためでしょう。

参考:EU 輸入管理その他

まとめ

日本の食品添加物は、指定添加物が400種類、既存添加物が300種類。
アメリカは、添加物として600種類程度、日本の既存添加物に近いGRASが200種類程度。
EUは300種類程度ですが、加工補助などに用いられる添加物を含まない。

日本の食品添加物の種類が他国と比較して格段に多いことはありません。また、国によって認可されている食品添加物が異なり、単純に比較することはできません。例えば、日本の既存添加物やアメリカのGRASのように、食文化によって添加物は大きく異なってきます。表示義務に関しても、他国と比べて遅れている、とも言えません。