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JRPGとは少年ジャンプである

JRPG」と「洋ゲー

「JRPG」という括りを適切だと思ったことが正直一度もない: 不倒城
JRPGはどうなるべきなのか?RPGを愛する海外デベロッパーに聞く、JRPGの現在地と未来 | AUTOMATON
JRPG」とはなんぞや。海外で生まれた言葉のため、日本人には分かりづらい。似たような概念として「洋ゲー」があるだろうか。

海外産のゲームを「洋ゲー」と呼ぶことがあります。古くから使われていますが、Xboxのリリース以降に頻度が増えたように感じます。「洋ゲー」の中にも、色んなジャンルがあり、一括りにすることはできませんが、なんとなく個々人に「洋ゲー」のイメージがあるんじゃないでしょうか。色んなイメージはありますが「日本で爆発的に売れることがない」ってのは共通しているように思います。

一方「JRPG」は、海外で使われ始め、元々は「日本産のRPG」という意味でしたが、現在はやや批判的な文脈で使われることが多いようです。「Japanese RPG」が「JRPG」と略されるようになったのは、2006年から2007年頃のようで、PS3Xbox oneの頃にあたります。2006年に「JRPG」としてはFF12幻想水滸伝5、ディスガイア2ポケモンダイヤモンド・パールがリリースされています。ゲーム市場がグローバルになっていった頃で、日本で「洋ゲー」が頻繁に使われるようになった時期とほぼ同じです。「JRPG」に対して、 欧米産のRPGを「Western RPGWRPG」と呼びますが、こちらは「JRPG」以後の言葉で「洋ゲー」に対する「和ゲー」みたいなものでしょう。「WRPG」はしばし「リアリティのある」みたいな説明が書かれているのですが、何を「リアル」に感じるかは、それこそ文化問題でして。

JRPG」が単に「日本産のRPG」に留まらずたくさんの意味を内包してしまったのは、日本産のRPGに特有な性質があると、欧米のゲーマーが感じ取ったからでしょう。現在では「ストーリーが重厚でターン製のコマンドバトルのクラシカルなコンピュータRPG」といったイメージがあるようです。日本における「洋ゲー」のイメージと同じく「当地では受けないゲーム」の意も含んでいます。批判的な意味の根本は日本人にとっての「洋ゲー」と同じく、文化背景の差異から来ています。日本で「洋ゲー」が受入れられにくいのも、「JRPG」が批判的な文脈で使われることが多いのも、生まれが違うから。日本の文化を知らない人が「JRPG」を遊んでもストーリーを理解しづらいし、同様に西洋の文化を知らない人が「洋ゲー」をプレイしても、何が面白いのか分からない。差異の根本が文化背景に当たるので、「洋ゲー」とか「JRPG」と呼称するしかない、とも言えます。また、日本人が「JRPG」なる言葉に違和感を覚えるのは、当たり前とは当たり前で、同じ文化に属するため「違い」を認知するのが難しいからです。

文化の違い

文化の違いとして、 「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」を例にしてみます。「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」には日本人ならすぐに分かるけど、海外のプレイヤーには分からないネタが散りばめられています。元ネタを知らなくてもプレイに支障はきたしませんが、分かると愛着が湧くものです。
例えば、祠の名前は開発者の名字が元ネタです。リト族の名前は鳥の肉の部位なので、ちょっとひどいなと思います。祠をはじめとする古代文明のイメージは縄文式土器からインスパイアされています。ガーディアンは茶器のイメージを含んでいるそうです。これらの元ネタは、日本人ならば、自然と気づく場合もあるし、指摘されても直ぐに元ネタを思い浮かべることができます。けれども、日本人以外では名前の元ネタを理解するのも難しく、ましてや「縄文式土器」と説明されてもイメージすら沸かないでしょう。開発者も、世界的にはあまり知られていないことを逆手にとって採用しているようですし。

ドラクエとFF

欧米における「JRPG」のイメージは、やはりFFやドラクエでしょう。どちらかというと海外展開の早かったFFに寄っている気がします。「JRPG」としてはディスガイアやゼノシリーズもコアな人気があるようです。一方で、デモンズソウルやダークソウルをJRPGに含めるか否かで白熱した議論が交わされています(皮肉)。ところで、海外でリリースされていない日本のRPGは「JRPG」として認知されていないでしょう。ヘラクレスの栄光ミネルバトンサーガ、moon、メタルマックスサンサーラ・ナーガ、星をみる人、天外魔境元祖西遊記スーパーモンキー大冒険頭脳戦艦ガルは海外リースされていません。ロマサガiOSAndroidアプリはWorld Wideとして、ミンサガも北米でリリースされてますが、スーファミ版は日本のみの販売です。つまり、日本国外においてこれらのタイトルが「JRPG」という俎上で議論されることはないはずです。

ドラクエやFFはウルティマウィザードリィといったコンピュータRPGを日本向けにアレンジしたゲームです。日本の代表的な「RPG」で、また多くのゲームが影響を受けているため日本人としても、ドラクエやFFにそれに類するRPGを「JRPG」と呼称するのに、あまり違和感がないのでは。ドラクエのターン制のコマンドバトルなどは「クラシカル」で「古くさい」と感じられるかも知れません。システム面の発展が見られないのも「JRPG」の批判の的となっています。ただ、FFなどはターン制を打破するために試行錯誤を繰り返してきました。FFが「JRPG」の文脈で批判されるのは「ムービーが多い」とか 「ストーリーのためにゲームが一本道になっている」などで、日本でも同様の批判がなされています。FF13にはこれらに加えて「無駄な特殊用語が多い」 とか、ホープの声優にも批判が集まったそうですけど。
ドラクエのクラシカルな部分や、FFの一本道な点は日本のゲーマーでも、「JRPG」として批判されるのは理解できるでしょう。しかし、おそらくそれ以上に日本以外のゲーマーは「JRPG」を肌に合わないと感じているのだろうと思われます。日本のゲーマーが「洋ゲー」を好みでないと切り捨ててしまうように。

少年ジャンプ的なるもの

【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話
ドラクエにもFFにも共通し、日本人にしか分からない「JRPG」に特有な文脈は「少年ジャンプ」でしょう。ドラクエ堀井雄二週刊少年ジャンプに連載を持っていましたし、その関係もありキャラクターイメージを鳥山明が努めています。ドラクエの誕生には編集をやっていた鳥嶋和彦が関わっていました。一方でFFは当初はジャンプと関わりが無く、週刊少年ジャンプの紙面で取り上げられたのは5からです。ただ、それ以前のFF4において、鳥嶋和彦の感想を受けて、坂口博信は魅力のある適役であるゴルベーザや四天王など生み出しています。ゴルベーザはどう考えてもダースベイダーなのですが、四天王などは少年ジャンプ的なるものでしょう。この少年ジャンプ的なるストーリー展開は以降のFFシリーズにも受け継がれています。
そして、 鳥嶋和彦により堀井雄二鳥山明坂口博信の三人が関わったクロノ・トリガーが企画されるわけですが、少年ジャンプそのものですよね。
もちろん、ジャンプ的なるもの以外にも日本特有の文化的背景が存在します。ただ、日本のRPGとしても古参でナンバリングが10以上も続いているドラクエもFFもジャンプと関わりが深く、また「JRPG」のストーリー展開などを語る上でも外せない文化背景を少年ジャンプが有してるのは間違いないでしょう。
ちなみに、ナンバリングこそないものの、テイルズオブシリーズは核となる作品が16作もリリースされており、FFよりも多いです*1。派生を含めるとFFやドラクエの方が多いですが、濃さで言えばイースシリーズもかなりなものだなと。

所変わればシステム変わる

個人的に、最近プレイしたなかでウィッチャー3はコマンド選択式ではありませんがストーリーの運びなどが「JRPG」っぽいなと感じました。小説が原作で、その世界観を再現するためにゲームが作られたと推測され、そのため「JRPG」的なものになったのかもしれません。

文化背景が違えば生まれるゲームが違うのはRPGに限った話ではないわけで、シムシティなどもよくよく考えると非常にアメリカ的なゲームです。渋滞解消のために、やたらと一方通行を進めてきて、私としては違和感があったのですが、アメリカの都市部に行くとやたらと一方通行に出くわすので理解できました。道路の保守なんかも、日本に比べると市の財政状況がもろに反映されますし、スラムができるとやばいレベルで治安が悪化してます。市民が執拗車通勤したがるのもアメリカ的です。

まとめに変えて

結論として「JRPG」が海外で議論される上では、日本のみでリリースされたヘラクレスの栄光ミネルバトンサーガにmoon、メタルマックスサンサーラ・ナーガロマサガ、星を見る人、天外魔境元祖西遊記スーパーモンキー大冒険頭脳戦艦ガルは「JRPG」として語られることはないってことです。キングスナイトは一応北米でリリースされてるけど古いので「JRPG」として議論の俎上に登ることはないんじゃないですかね。レーシングラグーンも海外でリリースされてないので「JRPG」として認識されていないでしょう。翻訳が無理だもの。

以下追記
冗談はさておき、海外における「JRPG」はFFやドラクエなど、あるいはそれに準ずる作品を意味するでしょう。日本に場合は、日本のゲーマーが「RPG」と聞いて思い浮かべる作品やイメージが海外における「JRPG」と割と重なるんじゃないでしょうか。

*1:JRPG」の文脈で語るには海外でのセールス数がFFと比べるとやはり少ないですね……