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Fallout 4は選択と対立のゲームである。

※スカイリムとFallout 4のネタバレを含んでいます。

あらすじ

核戦争後のアメリカを舞台としたFalloutシリーズのナンバリングタイトルの4作目。シリーズとして初めて核戦争前生まれの人物が主人公となっている。

マサチューセッツで暮らしていた退役軍人のエンジニアの夫と弁護士の妻は息子のショーンが生まれたばかりで幸せな日々を送っていた。核シェルターであるVaultへ避難できる権利を得たまさにその日に核戦争が勃発。ボストンにも原爆が投下されたが、Valut111へ逃げ込むことができた。その後、スタッフに誘導されるままに家族はコールドスリープされる。
何年経ったか分からないが、コールドスリープを解除した闖入者により息子は誘拐され配偶者は殺されてしまう。後を追うにも、そのままコールドスリープされ、また眠りにつく主人公。再度コールドスリープから目覚めた主人公は、Vallut111から脱出し、核戦争により荒廃しマサチューセッツの名が失われた連邦を目の当たりにしながら、配偶者の仇を討ち、息子を探すための旅に出る。

Commonwealth of MassachusettsからCommonwealthへ

本作ではボストンの街が再現されている。ゲーム中でのスケールは実物よりも小さいが、州議事堂やMIT(ゲーム中ではCIT) の位置関係や建物の雰囲気はそのまま。ウォーターフロントもボストンらしく仕上がっている。フリーダムトレイルもゲーム内で歩くことができ、実際に行ってみたことのある自分としてはゲーム中の街並みを非常に楽しめた。

無法地帯となったマサチューセッツは元の名前が失われ連邦と呼ばれている。マサチューセッツ州は、他の州(State)と異なり、Commonwealth of Massachusettsが正式名称である。恐らくCommonwealthだけが残って連邦と呼ばれるようになったのだろう。連邦にはモンスターの群れや、ならず者集団の他、種々の組織が対立していて、お互いにドンパチやっている。主人公は息子を探す中で4つの組織と関わり協力することとなる。その4つとはミニッツメン、B.O.S.、レールロード、インスティチュートである。

Fallout 4はロールプレイか

連邦には様々な脅威がある。先ずは放射能により誕生したモンスターたち。巨大化した甲殻類、人間のなれの果てであるグール、スーパーミュータントが主人公を襲う。ならず者のレイダーや、傭兵集団のガンナーなど生き残った人間も脅威だ。
これらは脅威ではあるものの、脅威の対象が明確だ。力さえあれば対抗できる脅威でもある。連邦には目に見えない脅威が蔓延している。それが、インスティチュートによる人造人間だ。初期型は機会面しているため、一目で人造人間と分かるが、Synthと呼ばれる第三世代の人造人間は人間とは見分けが付かない。インスティチュートは人造人間をスパイのように潜り込ませている。インスティチュートの目的も分からなければ、その存在も謎に包まれている。ある日を境に隣人や知人、家族が人造人間に入れ替わっているかもしれない。インスティチュート自体が謎に包まれているため、抵抗のしようが無い。

主人公と関わる4つの組織は、ミニッツメン、B.O.S.、レールロード、インスティチュートである。それぞれが、連邦で問題となっている人造人間と関わりが深い。

最初に出会うのはミニッツメンだ。実在した民兵がモデルで、招集されたら1分で駆けつけることから付いた名のため、単数形のミニットメンが正しいはずだが、日本語訳ではミニッツメンとなっている。主人公が出会った頃には信用を失い多くのメンバーも離散してしまっており、組織としては壊滅寸前であった。主人公の協力、つまり4の目玉である「クラフト」により復興していく。
プレイヤーはミニッツメンと協力して、入植者を集めて居住地を発展させることができるが、その入植者の中にSynthが紛れ込んでいることがある。人造人間の存在は入植者同士に疑心暗鬼を生じさせている。

恐らく、次に接触するのがB.O.S.だろうか。レールロードと前後する場合もある。行きすぎたテクノロジーが核戦争を引き起こしたと考えており、テクノロジーの回収と、その管理を目的としている。3では住人保護にも目を向けていたが、現在は本来の理念に近い団体へと戻っているようだ。元々はUS Armyの生き残りによって組織されているため、非常に統率がとれた規律ある団体である。
人造人間を核戦争を引き起こしたのと同等の忌むべきテクノロジーと見なしており、インスティチュートを壊滅させるために連邦へやってきた。

次に接触するのがレールロード。ミニッツメン同様に実在した団体がモデルで、こちらは黒人をカナダへ亡命させていた組織の名から。Fallout 4ではSynthの解放を目的としており、諜報活動に強い集団である。人造人間を忌むべき存在と捉えているB.O.S.とはお互いに良好な関係では無い。

そして、最後に謎に包まれ連邦における脅威の元凶とされるインスティチュートとも接触する。
地下へ逃げ込んだボストンにある大学の科学者によって組織された団体のため、科学力は非常に高い。しかし、地下に潜伏しているため慢性的にエネルギーや資源が不足しているようだ。資源の確保や、実験のため、地上に人造人間を送り込んでいる。目的を実行するため地上の人間をSynthと入れ替えるなど、地上を蔑ろにした手段をとっていることから、地上の人々からは敵視されている。

それぞれの勢力と関わることで、主人公はショーンを見つけだす。その後、プレイヤーは4つの勢力の内の一つを選択し、他の勢力を滅ぼすことになる。Fallout 4の主人公は、ロールプレイする上ではバックグラウンドがありすぎるのだが、メインシナリオは息子を見つけ出した時点で終了する。どの集団に力を貸すかは、まさにプレイヤーの意思であり選択だ。そして、その選択は非常にジレンマの強いものとなっており、この点では紛れもないロールプレイであると言えるだろう。

対立を描いたきたベゼスタ 実装したかったベゼスタ

冒頭に述べたように、Fallout 4は対立と選択のゲームである。ベゼスタは対立と選択を物語としては描いてきたものの、システムとしてはうまく実装できていなかった。
Skyrimでも帝国とストームロークの対立が描かれており、プレイヤーは一方の勢力に手を貸すことができたが、どちらを選んでも各地の街の頭がすげかわるだけで、ゲームシステム上に大きな違いはない。まぁ、実世界も頭がすげ変わっただけで、下々のものに大きな影響がないという点では間違ってないわけだが。

SkyrimDLCであるドーンガードでは、対立がゲームシステムとしても実装されている。Fallout 4はこれを発展させたものだろう。ドーンガードを支援すると新しい武具を作れるようになり、吸血鬼になるとその能力が使えるようになる。どちらか一つしか選べず、一方を選ぶと、もう片方の勢力と対立し、滅ぼさなければならない。。例えば、吸血鬼を成敗するドーンガードになると、ドンガードが味方となり助けてくれるが、吸血鬼とは敵対するため、Skyrimの散策中に吸血鬼と出会うと襲われてしまう。その逆もしかり。帝国とストームロークの対立においてもどちらかの勢力に力を貸すと、プレイヤーは片方と敵対するものの、プレイヤーが率先して相手方の陣地にけしかけない限り襲われることはない。
プレイヤーからすると、帝国とストームロークはアクティブ、ドーンガードと吸血鬼はパッシブな対立に感じられる。

Fallout 4では常時アクティブとパッシブな対立が並立している。また、対立の規模も大きくなっている。ドーンガードのDLCを導入しない場合でも、SkyrimではNPC同士が戦闘していることはあったが、魔術師同士の喧嘩や、モンスターに襲われる旅人などの小さないざこざである。ドラゴンとその他集団が闘っていることもあるけれど、それでもFallout 4に比べれば小さい。連邦を散策しているとミュータントとレイダーが闘っていたり、さらにそこにB.O.S.も割って入ったりする。B.O.S.と敵対していなければ、彼らと協力してモンスターやならずもの集団をやっつけることができる。仮に敵対していても漁夫の利を狙って経験値などを稼ぐことも可能だ。

Skyrimの帝国とストームロークの対立で大人数が互いに戦うイベントがあったが、Fallout 4ではそれよりも多人数かつ三つ巴、ともすれば4つ巴ともなる大規模な対立を表現できるようになった。アクティブとパッシブな対立の並立と、大規模な戦闘を実装できるようになったのは、PCの処理能力が向上したからだろう。

正史は果たして?

私は、取りあえずB.O.S.、レールロード、インスティチュートのルートをプレイしてみた。どのルートでもミニッツメンとは敵対していない状態でクリアした。今後、ミニッツメンのルートをプレイする予定だ。

どのルートが正史となるかは、次回作で仄めかされるのだだろうが、ストーリーやシステム面との兼ね合いを鑑みると、ミニッツメンルートであろう。ミニッツメンルートならB.O.S.とレールロードは生き残る。クラフトが目玉でもあるし、ミニッツメンルートはプレイヤーがミニッツメンを意識して復興させないと進めることができないからだ。

以下ネタバレと私の選択

ネタバレと言っても、未プレイでもここまで読んだ人は大体察しが付くのではなかろうか。舞台設定からすると、そのような道筋の他はないだろう。


ショーンを掠ったのはインスティチュートである。コールドスリープをネタにしている以上、ショーンの年齢は主人を超えていることも推測できる。その場合、ショーンはインスティチュート内でそれなりの地位にいると考えられる。
そのように考えていたので、ショーンがインスティチュートのトップであることに、そこまでの驚きはなかった。

息子のショーンはインスティチュートによって誘拐された。有機ベースの人造人間であるSynthを開発するにあたり、放射能の影響を受けていない遺伝子が必要だったからだ。核戦争前に生まれ、その直後にコールドスリープされたショーンはうってつけの存在であった。その両親もバックアップとして利用可能である。
かくして、ショーンの遺伝子から第三世代の人造人間であるSynthが造られた。ショーンはSynthの父であり、現在のインスティチュートの基盤を作った人材でもある。そのため、インスティチュートでは二つの意味を込めてファーザーと呼ばれている。
男主人公だと、息子を探しに行ったのにファーザーに出会う、なんとも倒錯したストーリーになる。

ファーザーはインスティチュートでも治療できないガンに侵されている。死期を悟り、最期に親の愛情を知りたくなったのか、主人公をコールドスリープから目覚めさせ、自分を探しに来るかを確かめた。主人公は苦難を乗り越え息子を探し当て、ファーザーは無償の愛を実感する。
B.O.S.やレールロードが血眼になって探したインスティチュートの本拠地主人公が潜入できたのも、主人公がファーザーの親だからだ。親でなかったら追い返されているし、レールロードも諜報活動を続けられないだろう。つまり、すべてはファーザーの手のひらの上なのだ。
とはいうものの、いきなり親を荒廃した連邦にほっぽり出すなら、影から何らかの支援をしてやれよ、と思わないでもないが。

インスティチュートに潜入してからプレイヤーはどの勢力に力を貸すかを選択しなければならない。
インスティチュート以外にならば息子と敵対することとなる。親の立場で考えると、息子の遺志を継いでも良いし、自分よりも年齢を重ねたショーンを息子と認めない選択肢もありだろう。末期ガンに冒されているため、お世話になった組織に義理立てしてショーンを殺す場合にも、ショーンがちょと先に死ぬか後に死ぬかの違いしかないと正当化しても良い。
自分の理念を重ねても良いし、ゲーム上の特典で選択しても良いだろう。どちらにせよ、選択にはジレンマを与えるように構成されている。例えば、組織の理念で選択するにしても、どの組織にも一長一短がある。

ミニッツメンは組織としての力がない。プレイヤーが発展させない限り、インスティチュートからは敵とも認識されないほど小さな勢力だ。これは他の二つの勢力からも、同様に脅威にならないと認識されているだろう。

B.O.S.は4つの中では、管理されたまともな組織である。しかし、その組織は連邦の住民を向いておらず、主目的はテクノロジーの管理である。そのテクノロジーの管理も、ともすれば独占であり、それが住民へ向かない保証はない。

レールロードの理念はすばらしいが、解放後の人造人間がしばし人間社会で問題を引き起こすことを軽視している。

インスティチュートは倫理面で問題外だ。生き残った学者に社会学社はいなかったのかと思わないでもないが、Voult-Techが存在してた世界線な上に文明も崩壊してる点を考えると、我々の常識で考えるべきではなさそうだ。ただし、科学力はずば抜けている。

それぞれが現実社会における団体の誇張表現とも捉えられる。ミニッツメンは組織力のないボランティア団体だし、B.O.S.は政府のない規律だけが存続した軍部であり、レールロードは理念は立派な過激派人権団体、インスティチュートは倫理のない科学者を煮詰めたような集団だろう。

私の選択

私は、インスティチュートルートを選んだ。
息子のためというよりも、インスティチュートの科学力を後世に残さないのはもったいないと考えたから。その内、人造人間にも人権があると認める可能性も残されているし、解放を望む人造人間に裏切られても面白いだろう。
当初はレールロードも悪くないかなと考えたが、人造人間の可能性をつぶすのは勿体ないなとも。個人的には、人造人間やグールなどが生きる世界の方が面白いと感じている。
見方は一つではないはずで、ショーン最期の盛大なわがままをかなえる親という立場を振る舞うことも可能だろう。

インスティチュートルートだと、連邦に来たB.O.S.は壊滅するけども、本部が残っているわけで、B.O.S.そのものが無くなるわけではない。これ以上人造人間が製造されないレールロードは存続できなさそうであるが。

先にも述べたが、主人公やプレイヤーが介入できる余地がある組織はミニッツメンだけで、その他は主人公だけでは組織の体質を変えるのは困難であろう。そのため、正史はミニッツメンルートになるんじゃないかなと。

Fallout 4は、人造人間やロボットに人格が宿るのか、その場合人間や人造人間はどのように振る舞うのかという疑問を投げかける作品でもある。興味深い議論ではあるが、これはまたの機会に。