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見出す「萌え」と付与される「萌え」

「萌え」以前と「萌え」以後

「萌え」という感情は「萌え」という言葉が生まれる前から存在していたが、その曖昧な感情を正確に表す言葉は無かった。かわいいでもなく、好きでもない曖昧な感情を表現する言葉として「萌え」が生み出され、言葉となることで「萌え」が定着した。この「萌え」の誕生が80年代で、「萌え」の定着が90年代頃なのであろう。
「萌え」以前に、「萌え」は存在したが、それは「萌え」を知る現在の我々の視点であり、当時の人間には「萌え」という感情を「萌え」と捉えることができなかったわけだ。それが「萌え」以前と以後の大きな違いで、「萌え」以前の人々は感情として理解し「萌え」という言葉に定着させたが、「萌え」以後の人間にとって「萌え」は言葉にしか過ぎず、言葉を知りその感情を理解することになる。この「萌え」の無かった世代を第一世代とすれば、「萌え」がもともとある世代は「萌え」の第二世代といえるだろう。
そして、この第一世代と第二世代には大きな隔たりがあり、第2世代は「萌え」をただの言葉と思っているので口語にも用いる。そして、口に出すことで「萌え」がさらに変化する。文語の「萌え」と口語の「萌え」の断絶こそが、「萌え」の第一世代と第二世代の隔たりなのだろう。

萌えアニメの乱立

「萌え」以前にも「萌え」要素を含むアニメはあった。それは「萌え」以後も同じである。しかし、「萌え」以後には「萌え」に主体を置いた萌えアニメ(Wikipedia)なるジャンルが確立される。萌えアニメは「萌え」が主体であるから、キャラクター重視である。ただ。キャラクターというよりも、そのキャラクターを如何に萌え記号とするかに重点においている点が、単なるキャラ重視アニメとは異なる。キャラ、萌え重視なのでストーリーがおまけ程度という作品も少なくない。これはまさに、「やまなし」「おちなし」「いみなし」という意味では「やおい」なのではなかろうか。
そのため、萌えに力点においたアニメばかりで中身の無いアニメが増えたとの批判もある。

ジャンプの腐女子

さて、話は若干変るが、最近のジャンプはテニスの王子様をはじめとし、腐女子に媚びすぎだといわれる。
腐女子からの視点として ジャンプと腐女子 に、ジャンプの腐女子化により内容がなくなったとの声がある。これは、萌えアニメの乱立により中身の無いアニメが増えたという批判と通じるものがある。

やおい脳と萌え記号

ジャンプと腐女子 でも言及されているが腐女子腐女子向け作品でも無くても妄想できる=801変換できる、やおい脳が発達している。このやおい悩により、様々な作品を801変換し妄想を膨らませるのである。
やおい悩の恐怖はキャラクターに留まらず、無機物でも801変換できることである。私の頭の中のエンピツ×消しゴムのように、エンピツと消しゴムまでも801変換が可能なのだ。つまり、腐女子は自らやおいポイントを見出すことが可能なのである。


やおい悩程ではないが、オタクだって「萌え」を見出してきた。それは「萌え」以前から行われていたことだ。ただ、多くの「萌え」が見出される中で、何故萌えるのか、どうして萌えるのかを追求した結果、萌えの要素のみが取り出されてきた。それが所謂萌え記号である。萌えを記号化することで萌える理由が分かり易くなったと同時に、その萌え記号をキャラクターに付与してやれば簡単に萌えキャラを作ることができるようになってしまった。これにより、萌えアニメが乱立したのではなかろうか。

付与された意図的な「萌え」に萌えますか?

萌え記号の発明により、萌えキャラを容易に作ることができるようになった。
かつては「萌え」を見出していたのに、「萌え」が付与されるようになった。「萌え」は見い出せるものであり、元々キャラにあるものである。「萌え」は元々キャラにあるものなに、さらに「萌え」を付与するのは過剰である。つまり、過剰演出であり、趣に欠ける。何事も過ぎたるは及ばざるが如しである。
「萌え」以前にあり、「萌え」の誕生を知っている「萌えの第一世代」は「萌え」を見出してきた世代である。「萌え」を言葉として知り、その後に感情を知ったのが「萌えの第二世代」だ。「萌えの第一世代」は「萌え」を肌に感じてきた人々で、「萌え」がなんたるかを始めから知っている。むしろ、知ってはいるが言葉が無かった人々である。
「萌えの第二世代」は言葉として「萌え」を知っているが、その意味するとこを簡単には理解できない。この「萌え」を肌で感じられない「萌えの第二世代」に「萌え」が何たるかを説明するには、どうしたら良いのか。それは、萌え要素を抜き出して説明し、「萌え」させなければならない。人の感情を動かすことは難しく、生半可な事で動かすことはできない。そのため過剰な「萌え」が必要となる。それが「萌えアニメ」を始めとする「萌え作品」なのだろう。
つまり、これが「萌えアニメ」ひいては「萌え作品」が望まれた理由であろう。
この「萌え作品」により、「萌え」の意味を知らない人々にも「萌え」を強烈に焼き付けることができる。しかし、強烈過ぎたが故に元もとの「萌え」の意味と異なってしまったのはマスコミが「萌え」を紹介する様を見ると明らかではないだろうか。

まとめ

  1. 「萌え」の記号化
    • 「萌え」を見出し、抽出することで記号化していった
    • 記号化した「萌え」を付与することで、簡単に「萌えキャラ」を作ることができるように
  2. 「萌え」以前と以後
    • 「萌えの第一世代」
      • 「萌え」という言葉は無かったが、その感情は知っていた世代
      • 「萌え」の誕生により、自己の感情を固定化することができた世代
    • 「萌えの第二世代」
      • 「萌え」という言葉を知った後に感情を理解した世代
      • 「萌え作品」に触れることで萌えを理解し易くなった