池田信夫氏の開き直り

池田氏の 記事 が、はてなブックマークだけで話題になっている。私が一番ひっかかったのは、次の部分だ:

実名の生産的な批判より匿名の悪罵のほうが圧倒的に多いことが「上の人」を萎縮させ、日本のウェブのレベルを下げているのだ。その結果、アメリカのブログは著名人が既存メディアの枠を超えてリアルタイムで議論する場になり、大手メディアに対抗する存在になりつつあるのに、彼も嘆くように日本のブログはますます劣化している。

この「残念」な状況を作り出した大きな原因は、実名ブロガーそのものである。池田氏が「匿名は卑怯だ」といったように、批判を匿名であることを理由に無視し真摯に受け止めないことが「実名ブロガー」の質を下げ、日本の実名ブログのレベルを下げているのだ。その結果、匿名ブロガーはTwitterなど介し実名の枠を超えてリアルタイムで議論することになり、多くのハブが形成されつつあるあるのに、彼も嘆くように日本の実名ブロガーはますます劣化している。

私は、この原因は池田氏の性格だとは思わない。それは、はてなソーシャルブックマークの鏡像である。はてなブックマークのもとでは、ちょっとしたtypoやトラブルがあると、そのreputationが何十件にわたってブックマーク内で積み重なり、アンチが増大する。このシステムはモラルハザードを抑制する上では強力な効果を発揮するが、ブックマーカー達を批判できずサイト移転という逃げ場もないため、そのストレスにより実名ブロガーはブックマーク上の批判を無視することを求めた。

そして、はてなブックマークの批判を受け止めない精神的アーキテクチャが、結果的にはこういう卑怯者がreputationのコストを負わないではてブユーザーを罵倒するのに最適のブログになっている。こういう状態を改善することは、意識的には可能だ。せめてTsudaるように、出席した会議の発言をTwitterに(正にも負にも)postして多くの人間が閲覧できないか、と多くの実名ブロガーにも言ったが、「検討する」というだけで何もしない。はてなブックマークを罵倒してブクマ数を稼ぐのが、池田氏のアクセスモデルなのだろう。

実名ブログをだめにしているのは、このような名だけを見て、内容を吟味しない日本国民のブランド志向と、批判を真摯に受け止めないで自分は絶対に間違っていないと考えることだ。こうした卑怯者が「ガス抜き」と称してブログを更新することが、この救いのない(池田氏も嫌悪する)ブロガーの蔓延を助長する役割を果たしている。この精神的アーキテクチャを個人が変えることは難しいが、はてなブックマークを常にヲチしている池田氏には現状を改善する意志決定は可能だ。それをしないで他人事のように「残念」というのは、愚者の開き直りにしか見えない。

追記:「上の人」かどうか知らないが、アゴラは卑怯者ではない人々がウェブで発言する場を提供する試みだ。基本的に誰でも投稿は歓迎するので、管理者までメールを。