和弓で300メートルは無理でしょ

菅野完事務所が「籠池氏が300メートル先の雀を撃ち落とした」とツイートしてましたが、凍結されてしまった模様。
先ず言っておきたいことは、人のいる公園で矢をつがえて弓を構えてはいけません。大変危険です。そして、無闇に鳥獣に向かって矢を放ってはいけません。

Twitterにおいては「背筋が凍る」は、創作実話にしばし使われるワードであり、ツッコミ所が多すぎるのでネタツイートの可能性も否めません。しかし、菅野完氏と籠池氏の関係性を考えるとわざわざネタツイートする意味がないように思います。

和弓の射程として300メートルは盛りすぎでしょう。これがどれくらい荒唐無稽かを調べたので、せっかくなのでまとめておきます。

弓道の矢道は大体28メートル*1ですから、その10倍の距離になります。30メートルなら少し盛った程度のネタでしょうが、それでも飛んでる鳥を三羽も打ち落とすのは、フィクション臭がしますね。平家物語において那須与一が射貫いたとされる扇までの距離が7反 = 約80メートルです*2
和弓でどれくらい遠くの的に当てられるかは、三十三間堂の通し矢がひとつの目安になるでしょうか。三十三間堂の幅が大体121メートルです*3

アーチェーリは男子の最長距離が90メートルです*4。ちなみに、世界記録は281メートル*5ですが、これはコンパウンドボウによるものです*6。滑車が付いているため、オリンピックなどで使われる弓よりも軽い力で引くことができます。つまり、和弓で300メートルなど不可能でしょう。

ライフル射撃に目を向けると、日本で一般的に行われている競技では長くても50メートルです*7。オリンピック競技としては行われませんが、ビッグボア・ライフルは300メートルで行われていました*8。ただし、距離が長すぎるので的の大きさを調整して、競技の射程が短くなる場合もあります。


弓道で一般的に用いられる霞的は直径36センチメートルです。雀の全長は15センチメートルですが、これは尾も含むので撃ち落とす場合はもっと小さい的に当てることになるでしょう。星的の中心が直径12センチメートルなので、ちょうどそれくらいになるでしょうか。また300メートルも離れると、視力が良くないと雀を視認できないでしょう。菅野完氏は双眼鏡を使ったとしても、和弓にスコープが付いている筈もありません。