文章力って具体的にどんな力?どんな文章が文章力が高いのだろうか?これと良く似た命題が「演技力」な気がする。
文章力の無い文章なら分かるんですけどね。読む気が失せる、何を言っているのか分からない、等など。
文章力を構成する6つの能力
「文章力を向上させるには!」的な話を見聞すると、語彙力とか、表現力とか、演出、構成力とか色々な力を身につけなさい、という話が多い。また、筋道を立てて書けるかとか、先を読ませたくなるような文章であるかが問われることもある。つまり、文章力とは一つの能力では無く、文章を書く上で総合的な力のようだ。というわけで、文章を書く上で必要だと思われる能力を6つ挙げてみた。もちろん他にもありそうだけども。
- 語彙力(0次元)
- 言葉の使い方、選び方。
- 沢山の言葉を知っていることが望まれるが、必要に応じた言葉を選び出せるか。
- 言葉の微妙なニュアンスの違いを感じ取ったり、言葉遊びできたり、語感で韻を踏んだり。
- 最も効果的な言葉を選び出せる能力。
- 表現力(1次元)
- 言葉の組み合わせ方、文の作り方。
- 装飾力も含む。必要に応じて華美にしたり、質素にしたり、テンポを持たせたり。
- 基本的な文法なども含まれる。
- 文をしっかりと形成できる能力。
- 構成力(2次元)
- 文章全体のバランス。過不足無く説明できているか。
- 文の順番や、筋道を立てて説明できるか。
- それぞれの文・センテンス・章の関係を把握できるか。つまり、文章の空間把握。
- 文章全体にわたる能力。
- 説得力
- 創作系ならば、リアリティとも。
- 文章の論旨が納得・理解できるものであるか。
- 読者に、著者の言いたいことが伝わっているか。
- 文章により論旨を伝え納得させる能力。
- 魅力
- 文章の内容に新規性・創造性があるか。
- 先を読ませる文であるか。読みたくなるような文であるか。つまり、読者をひきつける文章であるか。
- 文章自体からにじみ出ても良いし、著者の個性がにじみ出ても良い。
- ある種のカリスマ性とも言え、著者がパーソナリティに依存する個性とも言える能力。
- 生産力
- 執筆力とも。
- 文章を量産できるか。
- テーマに沿った、他者から欲求された文章を書くことができるか。
- 文章そのものを生み出す能力。
文章を書く上で、先ず言葉を選び、文を書き、それを紡いでいく。次元で考えると、言葉は0次元。それをつなぎ合わせた文が1次元。文が一塊になったセンテンスや章が2次元。そして、出来上がった文章全体が3次元と考えることもできる。次元が高くなるにつれ、論旨がはっきりするが、全体像が把握できなくなる。出来上がった文章は、裏返したり、斜めから見たりしないと全体像が把握できない。
語彙力、表現力、構成力は文章を書く上でのテクニックである。これらのテクニックが無くても、説得力があったり、魅力を感じる文章は存在する。また、テクニックが無くても文章を量産できる人もいる。語彙力、表現力、構成力は文章そのものを形作る能力であるが、欠けていても説得力のある文章は書ける。例えば、英語があまりできなくても、筋道に沿った話ができるように。これは、魅力も同じ。話そのものが面白ければ十分にその魅力は伝わる。勿論テクニックがあった方がより面白いけども。
面白いエピソードは沢山あるのに、話し方が下手糞なのがダチョウ倶楽部の竜ちゃんですね。所謂、芸人で寒いと評される人は話し方が下手なことが多い。間が悪いとか、説明が下手糞とか、オチが読めちゃうとか。同じ内容でも、肉をつけたり、伏線はったり、叙述トリックを使ったりと、技巧を凝らし話し方を変えただけで格段に面白くなったりする。まぁ、この技巧のあるなしが「話」と「噺」の違いで、すべらない話と、すべる話の違いか。
テクニックを磨くには
語彙力、表現力、構成力はテクニックだ。テクニック、つまり技であるから磨くことができる。どうやって磨くのか。
先ずは、ひたすら書くべきだろう。絵を描いたこと無い人がいきなり技巧に関する講義を聞いてもさっぱりなように、先ずは文章を書かないと始まらない。準備体操のように、自分が文章をどのように書いているのか、そして何が弱点なのかが明瞭にならない限り、テクニックも磨きようが無い。そのために、書いたものを自分で読む。書いた直後に一度読み、その後比較的客観視できるようになって読んで自分の書き方や弱点を知る。客観視できる期間は人それぞれか。この点で、ブログなどで日記を書くのは非常に良い方法だろう。日記ならば定期的に書くし、日付も入る。日記の一番の読者は未来の自分である。
ある程度書いてみたら、自分の文章のまずい点が朧に分かってくるだろう。その朧な点をよりはっきりさせるためにひたすら文章を読む。色んな文章にあたってみる。webに偏らず、本でも小説だけではなく、それはもう色々読む。読んで他人の文章を比べ、自身の短所を顕在化させる。そして、やはり書く。文章の感想を書いても良いし、読んだ文章の文体に影響されるままに書いても良いだろう。そうすることで、徐々に自身の文体というのが定まってくる。これもやはりブログというのは中々良い手法だ。他人の書いた文章にトラックバックを送れるし、リンクで言及したり、本の紹介もし易い。
後は、これの繰り返し。書いて、自分の書いた文章を読み、弱点を探し、それを直すために他人の書いた文章を参考にする。他人の文章を読めば、語彙力もつくし、様々な表現に出会えるし、文章全体を掴むことができるようになり構成力もつくだろう。ただ、一人でこれをやると大変である。その点、ブログは公開しているので誰かが読んでくれる。可能性は低いけどもツッコミが望め、第三者より自身の文章の弱点が指摘されるかもしれない。それでも向上したと感じないなら文章力を向上させるための”HOW TO”本等を読んでみるのも良いだろう。つまり、ここでようやく「技巧」を学ぶ訳だ。「技巧」を学ぶのは最後の手段に取っておいた方が良い。人に教えられたことと、自分できづいたことでは圧倒的に後者が自身の血肉になるから。
ひたすら、読んで書いてを繰り返し。その繰り返しを行う起点としての自身のサイトやブログだろう。
説得力・魅力・生産力を向上させるには
テクニックは磨けば光る。技巧であるから、こなせば器用・不器用はあるけども、ある程度誰でも身につく。それならば、残りの説得力・魅力・生産力を向上させるにはどうしたら良いか。
説得力に関しては、自身がブログを運営しているならばトラックバックを送るというのもあり。あるいは、より率先的に他人のブログへコメントするのも良いだろう。つまり、説得力を磨くなら相手を説得させる場で鍛える。より実践的なのが、はてなや教えてgooで質問に答える。質問に答えるには、論理立て筋道をはっきりさせ、相手を納得させる必要がある。さらに、あまり長いと冗長になるので短く的確にまとめる必要があり、上記のテクニックも向上する。より実践的な場ならば、2ちゃんねるなどの自身の名前を信用の担保としない匿名の場に参加すると言うのも手か。
魅力は正直難しい。先を読ませるという意味での魅力はテクニックとして身につけられるが、カリスマとなると持って生まれたものだ。自信の個性を磨くという意味では、文章を書いて自身の文体を身につけるというのも一つの手か。個性という点では、先の説得力とは逆にきちんと自身の名前を担保にして発言した方が良いだろう。ある意味、自身の立ち位置を決めるということか。つまり、自身の得意分野を作る。「○○ならば、俺に聞け」のように固有の「武器」を作るということ。
生産力を高めるには、これはもうインプットを高めるしかない。アウトプット<インプットであるから、兎に角入力しないと何も生まれない。そういう意味で、ニュースサイトをやるというのは良い方法でしょうね。出力=f(入力)、という関数を考えた場合、人によっては100入力して1しか出ない人もいれば、100入力して10、あるいは100出る人もいる。入力に対して出力が1対1ででるような関数が望ましい。このような関数を持つ人が博識な人なんだろう。この時、博識とは様々な話題に応用可能な知識を持ちかつ、それを操ることができる能力である。そうすれば、様々な状況に対応できる。テレビのコメンテーターってのは本当はそのような能力が求められているんでしょうけどね。
まとめ
- 文章力を構成する6つの能力
- 語彙力:言葉に関する能力
- 表現力:文に関する能力
- 構成力:文章全体を管理する能力
- 説得力:文章の論旨を伝える能力
- 魅力:文章を読ませる能力
- 生産力:文を生み出す能力
- 文章力を向上させるには
- 語彙力・表現力・構成力=テクニックを磨く
- 読んで書いての繰り返し。
- 自身の書いたものを客観視して、欠点を見つける。
- 欠点を補うために他人の文章を読み参考にする。
- 説得力を高める
- 相手を納得させる場で文章を書く。
- 例えば、TB、コメントなど。
- 魅力をつける
- 自身の得意分野=武器を磨く。
- 自身の立ち位置を把握し個性を磨く。
- 生産性を上げる
- インプットを上昇させる
- 多くの事象に対応できる知識を身につける=博識になる
- 語彙力・表現力・構成力=テクニックを磨く
文章力を向上させる一つの方法としてブログを書く。先ず、書くことを習慣化させる。次に、ネット上で自身の起点を持ち交流することで、他人の文章を読み、さらに自身の個性や立ち位置を確立していく。また、公開することで他人に伝える文章を書く意識が芽生える。
追記
創造力を忘れてた件