#KuToo 石川優実氏と現代書館は言論を守る気が無い

大きく出たなという印象。
先ず、ツイートに著作権があるかどうかはケースバイケースです。著作物でも著作権法上の引用は無断で可能ですが、一般的に引用の要件を満たす必要があるとされます。また、翻案権や同一性保持権の観点から内容の同一性を保つ必要があります。この書籍に掲載されているいくつかのツイートは、同一性が保たれているとは言い難いです。
ただし、基本的には親告罪なため書籍にツイートを利用されたユーザーが訴えを起こす必要があります。事例が少なく、裁判を起こすのが手間なので割に合わないと思います。一方で、現代書館が同一性保持などの著作権に関する認識が甘い点は記憶に留め、記録を残すことも重要だと考えます。

本件の問題点はいくつかあるのですが、本エントリーでは

  1. ツイートの著作権
  2. 引用の慣例
  3. クソリプの定義
  4. ウェブ上のテキストを書籍に掲載する場合

について解説し、石川氏と現代書館は言論に対して不誠実であると述べます。

ツイートに著作権はあるか

私の見解は、2014年に書いた Twitter社はツイートを勝手にまとめて本にすることは認めてませんよ - 最終防衛ライン3 と大筋は同じです。
ツイートに著作権が認められるか否かはケースバイケースでしょう。例えば「おはよう」などありふれた言葉には認められないでしょう。一連の #KuToo 運動に関する言及として考えると著作権が認められる可能性はあるように思います。

Twitter サービス利用規約 も大きな変更はなさそうです。Twitter社はツイートの権利がユーザーにあると明記しています。また、Twitter社以外がツイートを利用する方法も定めています。ただし、基本的にウェブでの利用を想定しているため API などの利用方法は充実していますが、書籍化などはあまり言及がありません。

引用の慣例に則っているか

著作物であった場合も、著作権者に断り無く「引用」が可能ですが、前述の様に引用の慣例に則る必要があると考えられます。

#KuToo 石川優実氏が出版した著作をめぐり訴訟を検討される事態に。そして編集部の見解と法律家の見解【追記】掲載者リストのツイートを追加 - Togetter などに不適切な「引用」例がまとめられており、特に問題だと思ったのが以下のツイートです。
12月9日追記:コメントで指摘を頂きまして、この件は私の思い込みによる勘違いでしたので削除します。


毎日新聞のニュースの一部切り出しを、その記事へのURLを削除してるため、ichi氏の見解へ石川氏がリプライしているように見えます。ichi氏のツイートは毎日新聞の記事からの一部転載*1のため、書籍は毎日新聞の三次利用となります。出典元である毎日新聞のURLを掲載しないのは、引用の慣例に則ったとは言えません。書籍においては、ツイートを利用するのではなく、毎日新聞の記事から引用するべきです。
また、
現代書館の以下の説明と整合性が取れていません。

著作物の中〈投稿内〉にリンクを貼った記事の見出しなどが含まれている場合は引用をしておりません。

現代書館の説明は不十分ですし、引用の慣例に則っているとは言えないでしょう。

クソリプ

Togetter で挙げられているのは、#KuToo について述べたツイートに対して石川氏が引用URLで言及したもので、書籍では石川氏がリプライするかのような形式でまとめられています。「クソリプ」の定義問題で何が「クソ」かはユーザーの見解が分かれるかと思いますが「リプ」は「リプライ」であることは同意が得られるかと思います。
石川氏が引用RTで言及しているツイートは「リプライ」ではないため「クソリプ」ではありません。どちらかというと、石川氏の方がクソリプでは?
石川氏および現代書館は、#KuToo への苦言や反発などのネガティブな反応を「クソリプ」と考えているようですが、先述のようにこの定義はTwitterで使われている意味合いとは異なるように思います。

ウェブ上のテキストを書籍に掲載する方法として適切か

クソリプ」とも連動しますが、書籍にまとめられたツイートは、アイコンの上に線が引かれており、あたかもリプライが連続したかのような印象を与えています。しかし実際は、単独のツイートであり特定のツイートに対にするリプライではありません。

また、独自定義の「クソリプ」として書籍に掲載されたツイートはURLが提示されていますが、石川氏のツイートにはURLが表示されていません。石川氏に権利があるため、URLを表示しないことが著作権上などで問題になるわけではありませんが、言論を担保する上では不誠実だと考えます。
石川氏個人の考え方を述べるだけならURLを提示する必要はないと考えますが、Twitter上でのやり取りとして掲載している以上、それを担保するためにURLを掲載すべきでしょう。単純なリプライであれば、言及元のURLのみでも参照できますが、石川氏は引用RTで言及しているため、言及元のツイートから辿ることはできません。そもそも、言及先のツイートが削除される可能性も考えられますので、石川氏自身がTwitterで言及したツイートのURLを掲示した方が証拠になります。自身の言論の保全をしないことの方が不思議に思えます。

言論として不誠実

端的に言えば、石川氏や現代書館は言論に対して不誠実です。石川氏自身の言論を守る気すらないように感じます。
ツイートに著作権があるかはケースバイケースで、あったとしても著作権法上の「引用」はツイートしたユーザーに対して無断で行うことができます。ただし、「引用」を行う場合は公正な慣行に従う必要があり、同一性の保持も求められます。「引用の慣例」は見解が分かれるかと思いますが、現代書館は同一性の保持に関して、注意を払っているとは言い難いです。
現代書館著作権について言及するのは上手いやり方ではあります。書籍に掲載されたユーザーが訴えを起こす必要があるためで、時間的にも金銭的にも、正直割に合わないでしょう。

*1:この点も著作権状の争点になるが、今回は議論しない。

ゲームの内容を知らない奴らがゲームの攻略をまとめている

企業系ゲーム攻略「アルテマ」が攻略情報を ポケモン徹底攻略 | 最新作ソードシールド(剣盾)もお任せ! から引き写していた件を謝罪しました。企業が運営する攻略サイトが、個人あるいは少人数で運営している攻略サイトの情報を丸パクリするのは過去にも何度もありました。攻略「情報」の諸問題は「攻略本」の頃から、出版者が情報を検証せずにそのまま掲載する問題がありました。昨今は、攻略サイトの減少が問題視されていますが、「なぜ、ゲーム攻略サイトは激減したのか?」「お前らのせいです」: 不倒城 とあるように、企業が個人の情報を食い尽くして駆逐した一面は大きいです。

一方で、個人による攻略サイトが減った理由として、ゲームのボリュームが増大したこともあるでしょう。コンプリート要素が多すぎたり、マルチタイトルのためプラットフォームごとの違いがあったり。ドラクエ11攻略サイトとかよく運営できるなぁと感心します。極限攻略データベース などは未だにお世話になりますが、グループだからこそ運営できる面があると思います。それでいて、nJOY(エンジョイ):マップ付きでわかりやすいゲーム攻略サイト は恐らく個人で続けておられており、すごいなぁと感心します。

かつて、企業ではない有志によるゲーム攻略Wikiが機能していた時代もありましたが、その頃ですら中身のないアフィリエイト目的の攻略Wikiの乱立が問題視されていまた。有意義な攻略情報がまとめられた Wiki でも荒らしの問題などもあり、維持するのにかなりの労力が必要でした。
私は、オープンワールドが好きで海外のWikiが機能しているので、まだ助かっています。ただ、それでも固有名詞などを翻訳する必要があるんで大変ですけど。ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドの武器や盾の耐久性をきちんと網羅した日本語の攻略サイトってないんじゃないですかね。

また、最近では攻略動画の方が主流になりつつもあります。3Dのゲームが多いため、アイテム探しでは位置情報だけでなく、そこに行く方法および視点も重要になるため、動画の方が説明しやすく、また分かりやすいです。ただし、コンプリートに抜けがある場合は動画だと確認が面倒です。Wiki と連動してアイテムを網羅し、それを取得できる動画のシーケンスごとにリンクをまとめている場合もありますが。

下には下がいる

攻略サイトには問題が憑きものですが、正確であろう情報が掲載されているならまだましです。下を見たら切りが無く、最近の5ちゃんねるまとめ系サイトでは、ゲームの内容を知らない人物がスレッドのやりとりをまとめているケースすらあります。
最近リマスター版のロマサガ3を始めで、閃くレベルなどを調べていたら見つけた ロマサガ3 リマスターまとめ速報! が特にひどいです。

レスをやり取りを抽出してまとめているだけで、ゲームの内容はまったく分かっていません。特にひどいのは 【ロマサガ3】追加装備がぶっ壊れた性能してるんでさっさとそれ取りに行けば強力な術師としてゴリ押し出来る | ロマサガ3 リマスターまとめ速報! で、ゲームの内容を分からなくてもレスを読解できれば「裸のシャールに長剣振らせた直後に、適当な戦士キャラで分身剣使おう」なんて書かないはず。

一応解説すると、リマスター版で追加されたダンジョンに術を使用する際のJPが半減する装備が追加されました。術とJPは一般的なRPGにおける魔法とMPに相当します。強力なアイテムで、序盤に入手できれば楽ができます。ただし、強いボスを倒す必要があります。それがまとめのタイトルの内容です。
引用されたレスは「分身剣」の仕様に関する内容で、文脈から見て低レベルでも強い敵を倒せる方法として強力な技である「分身剣」が提唱されているのだと思います。この「分身剣」はヘンテコな技で威力が使用者のステータスに依存しません。敵・味方に関わらず、「分身剣」使用者の直前に行動した敵・味方のステータスが参照されます。つまり、ステータスが異常に高い敵の後に「分身剣」を使うと威力が高くなります。逆に参照するステータスが低いと技の威力も弱くなります。この仕様がリマスター版に引き継がれているかを確認したいなら、シャールを参照すれば分かりやすいよ、というのがこの一連のレスの流れです。シャールを参照すると技の威力が下がると説明しているのに「裸のシャールに長剣振らせた直後に、適当な戦士キャラで分身剣使おう」と結論付けるのはゲームの内容はおろか、文章の読解ができていません。
ちなみに「分身剣」はぶっ壊れ性能ですが、威力には武器の攻撃力と使用者の技レベルにも依存します。特に技レベルが上がるほど強くなるため、低レベルではその強さを実感できません。さらに「分身剣」を使えるようになるには、それなりに強い敵を戦って「閃く」必要があるので序盤で使える技でもありません。そのため、序盤で強い敵を倒す方法としても適切ではありません。

要するにエアプ(エアプレイ)で、ゲームを遊んですらいない人が内容をまとめているわけです。プレイせずとも、検証はできますが仕様すら把握してないわけで、下を見たら切りが無いなと。

Xbox が日本で売れないのは年齢層が違うから

Xbox シリーズが日本で売れなかった理由は色々とあるだろうが、市場を構築できなかったのは間違いない。なぜそれができなかったのか。Xbox の本体が大きすぎたり、ディスクに傷が付いたりと初動の悪さが販売に響いたのも一因だろう。しかし、結局は市場がマッチしていなかったと考える。市場がマッチしていなければ、売り場も作られないし、買う人もいないからだ。

市場がマッチしなかった理由は、日本とグローバル市場でゲーマーの年齢層が異なるからだ。本稿ではその違いを示しつつ、その後に Xbox のセールス情況を年代に沿って追いながら、今後の家庭用ゲーム機市場について語りたい。

2018年のゲームソフト売り上げランキング

家庭用ゲーム機の売れ行きはDVD再生機としても売れたPS2のような特殊な事例を除けば、基本的にはソフトのラインナップに依存する。日本とグローバル市場でゲームソフトの売れ行きを比較しすると、ラインナップが大きく異なっている。2018年のゲームソフト売り上げ数を10位までピックアップした。日本はゲーム機毎に集計され、グローバルではマルチタイトルは合算されているが、日本の上位はほぼ Nintendo Switch (以下 Switch)であり、マルチタイトルでも Xbox One (ランキングでは XOne と表記)が売れていないのであまり関係が無い*1

日本 グローバル
1 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL (Switch) レッド・デッド・リデンプション2 (PS4 / XOne)
2 モンスターハンター:ワールド (PS4) Call of Duty: Black Ops IIII (PS4 / XOne)
3 ポケットモンスター Let's Go! (Switch) FIFA 19 (PS4 / XOne)
4 スプラトゥーン2 (Switch) 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL (Switch)
5 マリオカート8 デラックス (Switch) スパイダーマン (PS4)
6 スーパー マリオパーティ (Switch) ポケットモンスター Let's Go! (Switch)
7 星のカービィ スターアライズ (Switch) マリオカート8 デラックス (Switch)
8 スーパーマリオ オデッセイ (Switch) ゴッド・オブ・ウォー (PS4)
9 Minecraft (Switch) ファークライ5 (PS4 / XOne)
10 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド (Switch) モンスターハンター:ワールド (PS4 / XOne)

日本ではほぼ Switch のゲームが席巻している。グローバルでも Switch のゲームはあるが、傾向として日本よりも対象年齢が高いゲームがランクインしている。
日本では、11位でようやく Call of Duty: Black Ops IIII が登場する。グローバル市場で最も売れたレッド・デッド・リデンプションII は日本では20位だ。そもそも、この二作品は日本のレイティングでは CERO Z に該当し、18歳未満は購入できない。その他に、レイティングの対象年齢の高いゲームとして、グローバル市場で8位のゴッド・オブ・ウォーや、9位のファークライ5などがある。これらのゲームはグローバル市場のレイティングでも対象年齢が高く、北米では ESRB の M(17歳以上)に該当する。ただし、CERO Z 程は厳しくなく17歳未満でも親の同意があれば購入可能である。

レイティングの区分で判断せずとも日本とグローバルを比較した場合、日本は子ども向け、グローバルでは大人向けのゲームが売れている。統計を見ると、日本とグローバル市場ではゲーマーの年齢層が異なることが分かる。

ゲーマーの年齢

日米、およびグローバル市場において、家庭用ゲーム機でゲームをプレイする人の年齢構成を比較するために色々な統計結果を参考にした。

日本は 男女比,平均年齢,掛け持ち――ログデータから明かされるゲームアプリの姿。JOGA「オンラインゲーム・マーケティングセミナー」をレポート - 4Gamer.net を参考にした。米国は • U.S. average age of video gamers 2019 | Statista2017 ESA Essential Facts About the Computer and Video Game Industry | The Sociology of Videogames を参考にしたが、PCユーザーも含んでいる。
11 Intriguing Video Game Industry Statistics - BrandonGaille.com は恐らくグローバル市場であり、基本的にはゲーム機のみであると思われる。 ゲーム機とPCを含む。セールスとしては、ゲーム機の方が圧倒的に多い*2

f:id:lastline:20191108165036p:plain
https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20180702011/ より作成

f:id:lastline:20191108165112p:plain
https://www.statista.com/statistics/189582/age-of-us-video-game-players-since-2010/ より作成

集計される年齢幅が異なるのだが、日本とグローバル市場の違いとして、グローバル市場においては全年齢的にゲーマーがいるが、日本は20歳未満のゲーマーが多く、50歳以上となると極端に少ないことが挙げられる。
日本では、20歳未満、20歳から35歳の年齢層がそれぞれ30%を占めるが、北米では18歳から35歳が40%にも昇り最も多い。興味深いのは、北米やグローバル市場においては50歳以上でもゲーム機で遊ぶ人がいる一方で、日本では極端に少ないと考えられる点だ。*3
先のゲーム売り上げランキングをみても日本のゲーム市場は子ども向けで、グローバル市場は大人向けが売れる傾向がある。

家庭用ゲーム機とPC

日本とグローバル市場の違いは、家庭用ゲーム機とPCにも現れている。モバイルゲームの売上が初めて全体の50%超え、日本のモバイルゲーマーの支出額はアメリカの1.5倍など2018年のゲーム市場の動きまとめ - GIGAZINE において、2018年のゲームマーケットが分析されている。近年では、mobile(スマートフォンなど)の市場が伸びてきている。ゲーム機とPCに目を向けると、2012年では家庭用ゲーム機の割合が多かったが、2018年にはほぼ拮抗している。
日本に目を向けると、家庭用ゲーム機でゲームを遊ぶ人はPCの3倍にもなる。つまり、ゲーム機とPCでのゲームプレイヤーの比率も日本とグローバル市場で異なることが分かる。

Xbox シリーズが日本で苦戦した要因はグローバル市場と市場の形態が異なるためだろう。その違いとは年齢層の違いであろう。日本は子ども向けであり、グローバル市場は大人向けである。子ども向けのゲームとなると、グローバルにおいても任天堂が強い。つまり Xbox には勝ち目はなかったのである。

存在感をアピールしたXbox

Xbox シリーズの販売動向を見ていこう。各家庭用ゲーム機の販売台数は Platform Totals - VGChartz がまとまっている。北米、欧州、日本、その他と地域毎の販売台数を参照できるのだが、合計が書かれていないのが解せない。

Xbox は北米では2001年の11月、日本では2002年の2月に発売された。いわゆる第6世代の家庭用ゲーム機である。2001年の1月にSEGAドリームキャスト(DC)を含む、家庭用ゲーム機からの撤退を表明しており、SEGAと入れ替わりでマイクロソフトが家庭用ゲーム機市場に参入した構図となる。当時の主な家庭用ゲーム機としては、2000年3月に発売されたPS2、2001年9月に発売されたゲームキューブGC)などがある。当時は、PS2のほぼ一強だった。PS2は2019年現在において、1億5千万台と世界で最も売れたゲーム機である。DVD再生機能や、PSの互換性がヒットの理由だろう。ちなみに、PSも1億2千万台ほど売れている。
Xbox は2400万台とGCの2000万台よりも売れており、新規参入としては存在感を十分に示せたと言えるだろう。ちなみに、PS vita も大体2000万台ほど売れている。

スタートダッシュをきめた Xbox 360

新規参入に成功した Xbox は、次世代機としてPS3に先んずる2005年11月に Xbox 360 を発売する。先行発売したこと、また発売当初のPS3に種々の問題があったことから 当初は PS3 よりも人気であった。最終的な販売台数は、PS3 に抜かれてしまったが、北米では常に PS3 の1.5倍ほど売れ続けた。第7世代としては、後発ながら Wii の異常な販売台数の伸びを見せている。この世代は、ソニーマイクロソフト任天堂の販売台数がそれぞれ拮抗していたと言えるだろう。

なぜ、Xbox Oneは売れなかったのか。歴代Xboxの歴史をなぞって考える。|ゲームキャスト|note においても述べられるように、Xbox 360 は日本市場も意識してマーケティングを行っていた。その代表例が、ブルードラゴンである。キャラクターデザインに鳥山明、監督にファイナルファンタジー(FF)等で知られる坂口博信を起用しており、日本市場への意気込みが見て取れる。まぁ、既にクロノ・トリガーで通った道のため、そこまで新鮮味はなかったのだが。
ブルードラゴン小畑健が作画担当として、少年ジャンプでも連載していたが、残念ながら人気は出なかったようである。少年ジャンプは、ドラゴンクエストやFFを特集するなど、ゲーム業界に多大な影響を持つ雑誌であり、そこを抑えたことはマイクロソフトが日本市場を研究していたからであろう。日本市場が、グローバル市場に比べ対象年齢が低いことも理解していたのではなかろうか。

歴代Xbox360ソフト売上ランキングTop20【PRiVATE LiFE】歴代ランキング で見られるように、ブルードラゴンの他にもRPGが20万ほど売れたが、360 は日本の市場を取ることはできなかった。スターオーシャン4テイルズ オブ ヴェスペリアは、Xbox 360 の独占タイトルとして販売されたが、後に PS3 でも販売されている。プレイするために Xbox 360 本体を購入した人もいるだろうが、それでも日本では 200 万台に留まった。
ちなみにDLCが最も売れたと思われるアイドルマスターは思った以上に売れていない。

先の note でも考察されるように、Xbox 360 が日本で売れなかった最大の要因は Wii であろう。Wii は子ども向けに留まらず、それまでゲームをしなかった層をも取り込んでいる。また、PS3のスタートダッシュが失敗したとは言え、日本ではPS3の期待が大きかったのもあるだろう。この点は、Xbox で市場を形成できなかったことが後を引いているだろう。

強い PS4 と追い上げる Switch

Xbox OnePS4 は第八世代のゲーム機として2013年11月に発売された。PS3の失敗から、PS4は売れないと予想されていたが、蓋を開けてみると PS4 は大いに売れた。2019年現在で1億台を売り上げている。

Xbox One は グローバル市場でも先代の 360 よりも振るっていない。北米では PS4 と拮抗しているが、グローバル市場では大きく水をあけられている。また、2017年に発売された Switch に追随されている。共に4000万台ほど売れているが、Switch が抜くであろう。

PS4が売れた理由の一つは、本体格の安さであろう。Xbox One が $499 なのに対して、$399である。グローバル市場は年齢層が高くPCでプレイするユーザーも多い。その点を考えると、PCはお金をかければゲームをリッチに体験できるが、そこそこの価格でそれなりの体験ができる点で PS4 が売れたのだろう。これは、恐らく Xbox 360 が売れた理由にも通じるのではないだろうか。

混迷を極めるであろう第九世代

次世代機としてMicrosoftはスカーレット、ソニーにはPS5が控えている。しかし、次世代の家庭用ゲーム機は混迷を極めるであろう。AppleApple Arcade を Google は STADIA を打ち出している。まぁ、STADIA は話題になった割にはソフトのラインナップが残念な感じではあるが。
また、ゲーム市場全体に目を向けると昨今伸びできているのはスマートフォンなどの mobile 分野である。すでに、家庭用ゲーム機とPCを合わせた市場よりも大きくなっている。家庭用ゲーム機とPCの市場規模も増加はしているが、mobile 分野の成長率には及ばない。

1980年代から90年代におけるファミコンスーパーファミコンは子ども向けであったからこそ日本が強かったのであろう。その後、1990年代後半のPS頃からから徐々に大人向けになっていく。グローバル市場では大人がPCゲームをプレイしていたが、それが徐々に家庭用ゲーム機に流れていき、それが2000年以降のPS2の大ヒットと、Xbox 360 の成功につながったのだろう。2010年以降も PS4 がその流れを引き継いだが、同時期に mobile 分野が急激に伸び始めた。mobile 分野は、日本においてもこれまでゲームをやらなかった層すら取り込んでいる。特に、高年齢層すらもプレイしているのが今までにない傾向である。
2020年以降も mobile 分野がゲーム市場を占めるとなると、ゲーム機やPCゲーム市場はこれまでにない変革が起こるのではなかろうか。

*1:日本では Xbox One 向けに発売されないケースすらある

*2:ゲーム市場としてみるとゲーム機の方がやや優性である。PCはオンラインが多く含まれると思われる。

*3:JOGAの統計では60歳以上は集計されていないが、50歳以上で極端に少なくなることから、60歳以上も少ないと推測される

Switch版「夢をみる島」のRTAが極まってきた

Switch版「夢をみる島」のRTAが極まってきた

ゼルダの伝説の Any% RTA はバグ技で極まるのが常です。「時のオカリナ」は任意コード実行で16分、「ブレス・オブ・ザ・ワイルド」は壁を抜け敵に吹っ飛ばされて40分でクリアできます。
スカイウォードソード」もバグ技で大幅に短縮され2時間10分を切りました。フラグを改ざんするために、ひたすらセーブして死んでは戻ったタイトル画面で儀式を繰り返すので、解説無しでは訳が分かりません。

最速は1時間23分(2019/10/26時点)


Link's Awakening Remake Any% Speedrun in 1:23:00


RTAが極まっているのは、Switch版の「夢をみる島」も例外ではありません。当たり前ですが「どろぼう」になりますし、わらしべイベントはやりません。2019年10月26日時点で世界最速の1時間23分でクリアした動画を参考にRTAの見所を解説していきます。

「キツネ」と「爆弾」を利用した、乗れないオブジェクトに乗る

乗りたいオブジェクトの方向にジャンプしつつ「キツネ」に攻撃しつつ「爆弾」で自爆すると「キツネ」がいるためか本来は乗ることのできないオブジェクトの上に乗って死亡します。そのままではゲームオーバーですが「あぶない薬」があれば乗ったまま生き返ります。
このバグ技で「L-3 カギの穴ぐら」の鍵の埋まっている場所に侵入すれば、リチャードのイベントを丸々カットできます。
「L-2 ツボのどうくつ」後に、ワンワンを返却する手間が省けます。さらに、同様のバグ技で「L-4 アングラーの滝ツボ」に無理矢理侵入できます。マリンイベントと砂漠での鍵入手が必要ないので大幅な短縮となります。「L-4 アングラーの滝ツボ」をクリアすると、通常はおばけに憑かれますが、ワンワンがいるせいでおばけに憑かれることもなく「L-5 ナマズの大口」に直接迎えます。

「L-4 アングラーの滝ツボ」に無理矢理侵入するチャートが構築される前は、GB版同様に「水カキ」を入手してから一旦ダンジョンの外に出て「L-5 ナマズの大口」に向かうチャートでしたが、その手間もなくなりました。
ちなみに、Switch版では連れて歩けるNPCは一体までで、ワープ後に先に加入した方が自動消去される仕組みのようです。

「ハシゴ」から「空飛ぶニワトリ」へ

「ハシゴ」と「空飛ぶニワトリ」を利用すると、本来行けない場所に行けるようになります。壁を抜けたり、通常よりも高く上昇するため乗れない場所に乗れたりと面白いバグ技です。タルタル山脈の崖っぷちを駆け抜けていく様は笑えます。タルタル山脈は「L-8 カメイワ」を先にクリアしたいところですが、残念ながら道中で「鏡の盾」が必須のため「L-7 オオワシの塔」に寄り道しなければなりません。
ちなみに、「ハシゴ」と「爆弾」を使えば地面をすり抜けることができますが、移動できる範囲が限られているため、RTAでは利用されていません。今後の新チャートの可能性があるかも?

「ヒノックス」に投げられる

「L-8 カメイワ」のクリアの仕方が異常。「ヒノックス」と「爆弾」を利用して、ボスを倒さずクリアしています。具体的には、ヒノックス戦で爆弾でダメージを受けつつヒノックスに掴まれ投げられると、なぜかボス部屋に吹っ飛ばされます。ボスは読み込まれておらず、扉も開いているので労せず楽器を入手してクリア。マジックロッドはカメイワでしか必要なですし、残すはラスボスのみなので乳臭する必要がありません。
その後、途中で出てきた「L-7 オオワシの塔」に戻って楽器を集めてクリアとなります。

Switch版の細かなテクニックとしては、アイテム入手後のオートセーブを利用して、その場でロードを選択し入り口に戻る、「フックショット」を斜めに使って移動など。GB/GBC版同様に、ガチ勢は「力のかけら」をボス戦前に入手するなども駆使します。

最新記録は、speedrun.com を見れば確認できます。YouTubeなどから閲覧でき、倍速などを駆使すれば30分程度で見終われるので、君の目で確かめてみよう!

相変わらずの胸クソゲーな Far Cry 4

Steam のセールで購入した Far Cry 4 を今さらながらクリアしました。北米での発売が2014年の11月と5年も前のゲームなので4年前くらいのスペックとのPCでも快適に動作します。
前作の 3 をプレイしていて、改めて 4 をやってみましたが、塔に登っては世界を駆け巡るので、ブレス・オブ・ザ・ワイルドは綺麗な Far Cry だなぁと再認識しました。

3 では島でしたが、4 はネパールをモデルにした山岳地域が舞台。山の中を駆け巡るのは楽しかったです。ふらついてると敵対勢力とのランダム戦闘に巻き込まれたりするんですが、それよりもトラとかクマなどの猛獣の方がやっかいでしたね。特に狼は群れでやってくるので本当にウザい。乗り物を利用すれば猛獣を轢けますが、探索するには降りる必要があります。最初から歩いていた方がクライミングに移行しやすく、段差を乗り越えやすいです。そのため、探索するなら歩きの方が効率がいいんですが、そうすると猛獣に襲われる羽目に。

プレイスタイルとしては、ステルスでこっそり敵を倒していくのが好きです。静かに敵を倒せる弓との相性がよく、 3 はほぼ弓で通したので 4 も弓でのクリアを目指したのですが、後半は敵が硬くなるのでスナイパーライフルに持ち替えました。距離が遠すぎると敵キャラは見えるが、当たり判定が存在しななど、どうでもいい仕様を発見するなどしました。

ストーリーモードのキャンペーンと、各所に散りばめられたミッションを大体終えました。大体60時間くらいで終えられるので、オープンワールドのボリュームとしては軽いかなと。同じことの繰り返しになりがちなので、飽きる前にプレイを終えられて良かったとポジティブに捉えておきます。

ゲームシステムは 3 をほぼ踏襲しています。ストーリーとしての仕組みは 3 の方が好きです。勢力の拮抗とプレイヤーの選択がテーマになってりあたりは、Fallout 4 との共通点が感じられます。共に2015年11月発売なのが面白いですね。
Far Cry 4 では「実行しない選択」を基軸に置いてるのが、プレイヤーに選択させたことを印象づける感じなのですが、どの選択もクソな結果しか生まないのがクソですね。まぁ Far Cry ってそんな胸クソの悪いクソなゲームですけど。内戦と革命をテーマにしている以上、革命後に胸クソの悪い諸問題が起こるのは当たり前で、めでたしめでたしで終わらないのはむしろ誠実かなと思います。