米国で販売される日本車の75%は米国内で生産されている

日本が国内需要を大幅に超過して400万台のも自動車を生産しているのは事実ですし、それと同じくらい米国が輸入に頼っているのも事実で、その点はちきりん氏の指摘の通りです。日本の自動車生産に関する危惧だけなら、ちきりん氏の考察ももっともではありますが、日米間について述べるならば、輸出入とか、日本メーカーが米国内で生産する自動車の台数や市場規模を考慮すべきです。
データは後に掲載しますが、日本は160万台を米国に輸出しています。一方で、およそ390万台を米国で生産しています。米国内での雇用も生み出しています。ちきりん氏の「数字の辻褄だけで見る限り、日本の自動車工場の半分を潰して、アメリカに移したら許してもらえる感じ?」なる認識は、明確に誤りと言えます。

ちきりん氏のデータと指摘は間違ってはいなんだけども、日本と米国の自動車超過生産台数を並べてるのは見せ方が恣意的すぎます。

輸出や米国内での生産については、やまもといちろう氏や増田でもツッコミが既に入れられているのですが、具体的な数字に乏しいので、以下にまとめました。

日本の自動車輸出国別 2015年

台数 割合
US 1,604,466 35%
EU 524,770 11%
オーストラリア 339,841 7%
UAE 186,770 4%
中国 169,289 4%
サウジアラビア 169,043 4%
ロシア 145,043 3%
カナダ 144,762 3%
メキシコ 115,859 2%
オマーン 99,227 2%
合計 4,579,078

米国内で製造されている日本車の台数

JAMAによると、日本メーカーは390万台を北米で生産し北米で販売しています。その割合は北米で販売される日本車の75%になります。同会のデータでは約160万台が北米に輸出されているので、割合としては大体一致します。
また、同会は150万人の雇用を生み出していると報告しています。

The 2015 American-Made Index では主要な車種別の工場労働者数が紹介います。北米で人気の高いトヨタのカムリがChevroletのTraverseのトリプルスコアにもなる7000人も雇用しています。

日本国内ではトヨタのシェアが約40%

トランプ大統領は就任前から一貫して、日本がアメリカ車を買わないと述べていました。以前、https://lastline.hatenablog.com/entry/20140122/1390348222 のですが、確かに日本は北米、欧州に比較すると圧倒的に国内メーカーのシェアが高いです。つまり、外車が売れません。ただ、日本メーカーでもよくよく見ると、トヨタが30~40%ものシェアを有しています。つまり、日本国内のメーカーですらトヨタのシェアを奪わなければ売れないわけで、そこへアメリカメーカーが割って入る隙間はないんですよねという。