私はマリオ、マリオはあなた

日本語版を見ました。英語版とは脚本が異なるため、吹き替え版よりも「日本語版」の方が適切でしょう。英語版を字幕でも見てみたいです。

隣に座っていた小学校 4, 5 年生くらいの男の子がとても楽しそうに見ていたのが印象的でした。
その男の子は、Wii U や Switch のマリオはプレイしているでしょうから、過去の作品もプレイして大人になってからもう一度見てほしいなと思いました。

映画のおまけ。何種類かあるのかな?

私はマリオ、マリオはあなた

本編が始まる前に流れる任天堂の CM を見たら、なんか泣きそうになりました。任天堂宮本茂が映画を通じて伝えたいことは、この CM の最後に出てくる “It's me MARIO! It's you MARIO! “ に集約されています。

マリオがデビューした当時*1に、アメリカでインタビューを行ったら、ミッキーマウスよりもマリオの方が人気がったそうです。マリオがそれ以前のキャラクターと大きく異なるのは、プレイヤーが操作する点にあります。そのため、より身近に感じられたのではないでしょうか。
スーパーマリオブラザーズの説明書では、マリオは「あなた」であることが強調されています。英語版でも ”You are Mario!” とあります。

テレビの中のマリオはあなたです。このアドベンチャーエスト(遠征)を完結できるのは、あなただけなのです。

2 にも同じ文言がありますが、3 ではマリオが独立したキャラクターとして描かれています。これは、マリオが「あなた」から逸脱したのでへなく、「あなた」であることがお約束として成立したからでしょう。マリオを「あなた」が操作する以上は、“It's me MARIO! It's you MARIO! “ なのです。

映画におけるアクションシーンの多くで、そのステージを実際にプレイしたい!と強く感じました。冒頭のブルックリンで工事中の道を抜けていくシーンや、レインボーロードに、ドンキーコングとの共闘。プレイしたくなるステージやコースに面は「マリオはあなた」を意識させられますし、意識して作られたのでしょう。
ピーチ姫からトレーニングを受けるステージを諦めずにチャレンジするマリオは、残機を減らしながら*2、コンテニューを繰り返しつつクリアを目指すプレイヤーそのものです。

マリオブラザーズからスーパーマリオブラザーズ

映画スーパーマリオブラザーズは、マリオブラザーズを継承した作りになっています。配管工であったマリオブラザーズが、ピーチやクッパのいる世界へと紛れ込んだいきさつが描かれています。

マリオブラザーズからスーパーマリオブラザーズへ至る経緯は多くは語られていませんでしたが、マリオブラザーズを振り返ると特に説明もなく「カメさん」、「カニさん」、「ハエの化け物ファイターフライ」が土管から出てきます。スーパーマリオブラザーズにも土管が登場しますが、マリオブラザーズの土管がキノコ王国の世界に繋がっていたとしても不思議ではないように感じます。

ブルックリン橋とニューヨーク

マリオとルイージは現代のブルックリンで配管工を営んでいましたが、これもマリオが登場したドンキーコング*3を踏襲しています。ドンキーコングキングコングのオマージュなので舞台も同じニューヨークとなっています。映画内のブルックリンの再現度は、なかなかなものです。

思い返せば、実写版もマリオブラザーズを下地としてスーパーへ繋がっていました。宮本茂のインタビューでも、マリオブラザーズでのマリオとルイージの設定は構想されていたものの、表に出てくることがなかっただけのようです。映画化にあたり、その辺が整理されたと解釈できそうです。映画ではベビィマリオを活かしつつピーチ姫の設定が再構築されてすっきりしたように感じます。

ファミコンネタの数々

映画には任天堂に関する小ネタが散りばめられていますが、インタビューを読む限り、イルミネーションのスタッフが入れ込んだものが多そうにも感じます。

個人的に面白いなと感じたのは、ゲームとしてのマリオは存在しないけど、NES があって光神話 パルテナの鏡*4が存在する世界線なところ。
土管によるマルチバースで他の任天堂作品とも繋がっているとも解釈できるので、今後スマブラが映画化される可能性も!?

ファミコンネタとしては他にも、マリオとルイージがピーチ姫に会いに過程で見切れるアンティークショップである “ANTIQUES” でのキノピオ同士の会話。正確なセリフは覚えていませんが「これ動くの?」と店主に聞いたら「息を吹きかけれ動くよ」と応えるのはカセットネタです*5
また、門番のセリフもスーパーマリオブラザーズではおなじみの ”Our Princess is in Another Castle!” を元にしてます。わざわざ字幕で表示したのは日本語だと分かりにくいからでしょう。

80年代ネタは古すぎるぞ!

ファミコン以外にも、スーパーファミコンから Switch に至るマリオの小ネタが散りばめられています。個人的には、オデッセイの砂の国アッチーニャに登場する逆さピラミッドを見られたのが嬉しかった。

ファミコンが1983年(北米では1985年)発売なのか、80年代ネタも多かったのですが、お子様にはわからんだろ!
ピーチ姫とのトレーニングでは、日本では麻倉未稀がカバーしスクール・ウォーズの主題歌としても知られる Holding Out for a Hero (1984) が流れました*6。滅茶苦茶あってたけどね!そして、ドンキー王国ではカートのシーンで a-ha の Take On Me (1984) が流れました。アメリカではバカ受けっぽい気がします。

そしてトドメは、スターロードかと思わせてのマッドマックス*7。ただ、マッドマックスと思わせてのトドメは青甲羅ことトゲゾーこうらだったので、やはりマリオカートでした。トゲゾーこうらになった瞬間に思わず「ずるい!!!」と叫びそうに。マリオカートでどんだけ泣かされたことか・・・・・・。

スーパースターでスーパーマリオブラザーズ

ピーチ姫との結婚の件はオデッセイのクッパを踏襲しているようで、3D モデルも近いです。それにしても、クッパはあの指でよくピアノ弾けますね。クッパがピーチへの思いを歌い上げるのも変に器用で面白おかしい。曲は ”Peaches” という題名らしい。

結婚式では、ボムキングテレサキングなども参列しており、クッパ側も割とオールスター。そういえば、冒頭に出てきたペンギンの登場作品が思い出せなかったのですが、64 のペンギンたちですかね。
アンニュイでネガティブなことしか言わないルマリー*8は、すずめの戸締まりでダイジンを演じた山根あんでしたが、今更小学生と知ってビックリしました。

マグナムキラーの影響で世界が反転し、クッパもとろもブルックリンに戻されるマリオとルイージ。一旦は諦めかけるマリオですが、ピーチやドンキーの助け、そしてルイージの勇気でスーパスターを得てスーパーマリオブラザーズになる過程は本当にうまいなと感心しました。

その一方で、ブルックリンとキノコ王国との接続はあんまり上手くないなと。この辺が、アメリカで批評家の評判が悪い所以でしょう。マリオブラザーズの設定を踏襲しても処理が甘い。ただ、マリオのゲームをやりたくなる映画であり、“It's me MARIO! It's you MARIO! “ を感じ取れたので、マリオの映画としては満点です。

すべてはユニバーサルスタジオジャパンのために!?

スタッフロールで流れるバックミュージックも素晴らしく、サントラがほしくなりました。続編を匂わせるラストもいいですね。
映画内に出てきた小ネタを実際にゲームで確かめたくなりましたし、映画のステージを実際にプレイしたいと感じました。それと当時に、今更ながら任天堂ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにアトラクションをオープンさせた狙いが見えてきたなと。

*1:1983~1985年頃?

*2:表現が古い

*3:マリオの名称は、ドンキーコング Jr. から

*4:英語版なので正確には Kid Icarus

*5:ホコリを拭き取るために行う動作ですが、息の湿気がサビの原因となる可能性があるので綿棒などで拭き取りましょう

*6:映画 Footloose の挿入歌

*7:正確には、1979年の映画なので80年代ではないけど

*8:ギャラクシーのチコ