「民度」は、はてなブックマークだけの問題じゃない

対戦は望んでないですが、レスポンスくらいはするかもしれません。
はてなブックマークの「民度」に関するホットエントリーが上がっているので、私も所感を書いておく。

増田を問題視しないのはなぜ?

個人的な感覚としては はてブはいまが終着駅 - novtanの日常 に近い。ひどい輩はどのプラットフォームにだっている。はてなブックマークの「民度」は他のプラットフォームに比べても大きな差異はないだろう。むしろ、「民度」を気にしてるのは一部のはてなブックマークユーザーだけに思う。

はてなブックマークの問題点に言及した増田もホットエントリーによく上がっていたけども、「増田」だしなぁと思うわけで。はてなブックマークでもはてなブックマークに苦言を呈している人がいるのだが、ブログなどまとまった文章を書いて欲しい。

はてブの民度をあげる方法を考えよう - ヨッピーのブログ にしてもアノニマスダイアリーである増田の問題なのに、はてなブックマークの方を問題視しているのがよく分からない。増田は、はてなブックマークとは異なり「一方通行性」*1が低いからだろうか。

はてなブックマークの「一方通行性」は誕生した当初から問題視されていた。はてなブックマークの(ネガティブコメントとの戦いの)歴史 でまとまられるように、はてなも色々やってきたが、はてなブックマークの根本の仕組みは変えようがない。

一方通行性

はてなブックマークは各々が好き勝手に投稿したコメントを、元記事と関係の無いプラットフォームに一覧表示しているソーシャルブックマークである。コメントをまとめて表示できるが故に暴力性を生じさせやすく、それがはてなブックマークの禍々しさを醸し出している一因である。ただ、はてなブックマークの問題点は「一方通行性」にこそにあると考える。

はてなブックマークはコメントに対してレスポンスするのが困難で「一方通行性」が高い。
ブログのコメント欄や2ちゃんねる(現5ちゃんねる)などでは、あるコメントに対してレスを投稿できるし、そのレスはコメント欄やスレッドを確認した人も閲覧可能である。コメント主がそのレスに反応するしないに関わらず、そのコメントへもレスポンスが可能であるし、第三者はそれらのレスから元のコメントに対して評価や判断を下せる。
Twitter ではリプライやら引用 RT が可能ではあるが、ブロックだったり、鍵垢だったり、はたまた数が多すぎると全てを閲覧できないなど、少しだけ「一方通行性」が高いように思う。

はてなブックマークでもコメントに対して種々の方法によりレスは可能ではあるが、そのレスを第三者が発見するのはなかなかに難しい。
Hagex 氏の事件もあり現在は廃止された ID コールは、はてなブックマークにレスする方法であったが、ID コールをされたユーザーしか閲覧できない。
元記事のはてなブックマークはてなブックマークする、所謂「二階建て」、「三階建て」でレスが繰り広げられていたが、最近はあまり見かけなくなった。ID コールありきのレスだったように思う。ちなみにはてなブックマークの最上階は12階だ。

はてなブックマークのコメントにはてなブックマークをする方法もあるが、そのコメントしたユーザーにしか伝わらないことが殆どだ。稀に、はてなブックマークへのはてなブックマークがホットエントリーに上がることもあるけれど。
はてなブックマークされた記事の投稿者なら、追記などでコメントへの返信できるが、その返信へのレスポンスがこれまた難しい。元記事のはてなブックマークのコメントを修正するにも、第三者からは経緯が分かりにくくなる。はてなブックマークへの返信を別エントリーにする方法あるが、わざわざそのエントリーを読む人がどれほどいるのか。

ただし、レスポンスができれば「民度」が上がるかと問われると疑問で、むしろ殺伐とすることだろう。レスができるようになった「はてなブックマーク」は、恐らく「Togetter」のようになると予測する。

評価する方法

はてなブックマークのコメントを評価する方法としてスターがあるけども、これも上手く機能しているとは言い難い。はてなは、Yahoo! JAPANの「建設的コメント順位付けモデルAPI」を導入したが、短文で的確なコメントが排除されるなどの問題もある。

はてブの民度をあげる方法を考えよう - ヨッピーのブログ にて提言されているマイナススターは、以前の自分は導入には反対だった。より殺伐さが増すからだ。
投稿に対してポジティブとネガティブな評価を下せるプラットフォームは多いが、YouTube は2021年11月10日から「低く評価」の数値を非表示にした。結果的に「攻撃行動の減少を確認」できたそうだ。


YouTube で表示されなくなった「低く評価」の数も、その動画を投稿したユーザーは確認できる。よりよい動画作成にはマイナス評価の確認も必要であろう。
私は、YouTube のこの動きを見て、はてなブックマークにマイナススターを導入する場合、その数を他の閲覧者から見えないようにする方法もあるだろうと考えるようになった。
マイナススターが多い場合にコメントを非表示にするかなど議論の余地はある。押せる回数も、その一つだが非表示にするなら回数制限を設ける必要はないと考える。マイナススターを付けられたユーザーが内省すればそれでよし。また、特定のユーザーが連打しているなら、非表示ユーザーにしたり、はてなに通報したりする指針にもなるだろう。

AI に任せてみるのはどうだろう

はてなが、自前ではなく Yahoo! JAPANの「建設的コメント順位付けモデルAPI」を導入しているあたり、はてなブックマークにリソースを割きたくはなさそうだ。
はてなとしては「少年ジャンプ+」など多くの出版社に採用されているマンガアプリである GigaViewer が好調で力を入れたいだろう。

少年ジャンプ+」にはコメント欄があるが、心ないコメントを目にすることもある。コメント欄は GigaViewer の機能ではなく「少年ジャンプ+」が設置しているのだろうが、はてなとしても無視できないのでは?
はてなブックマークに限らず、攻撃的なコメントを抑制する、つまり「民度」を高めるのはどのプラットフォームでも有益な仕組みとなるだろう。

ChatGPT などを見るに、そろそろ AI が役に立ってくれそうだ。ChatGPT では、記事の要約を作成できる。その要約を元に、あるコメントが的外れかどうかを判別できそうだ。暴言に関しては、現状でも NG ワードで機械的に裁くことも可能であり、調整次第で AI ならもうちょっと良きに計らってくれるだろう。
的外れであったり、暴力的なコメントをポップアップなどで表示して第三者が確認できると面白い。あるいは、投稿前に内容に対する警告を表示するのもありだろう。

まとめにかえて

言論へレスポンスができてはじめて、内容を吟味でき評価できる。それこそが言論の自由の要であろう。
はてなブックマークは、コメントへの評価が非常にしづらい。本エントリーではその評価のしづらさを「一方通行性」とした。この「一方通行性」のため、軽い気持ちでコメントできる反面、的外れであったり、攻撃なコメントが投稿されたりするのだろう。

はてなブックマークのコメントへ直接レスできる、あるいは、はてなブックマークを元記事に対する外部コメント欄のようにしたらどうなるかを考えると、おそらく「Togetter」のようになるだろう。つまり「民度」の改善にはならない。

とある投稿に対するレスポンスを排除することは不可能だ。はてなブックマークに限らず、様々なプラットフォームが存在している。一方で、攻撃的なレスポンスを減らす、つまり「民度」の向上は、はてなブックマークに限った問題ではない。

また、レスポンス以前に投稿そのものに問題があるケースもある。迷惑系 YouTuber や所謂「回転寿司テロ」などは「民度」が低い投稿だ。「回転寿司テロ」は、行為を行った本人、動画を投稿ユーザー、それを拡散したユーザーと、問題が顕在化するまでにいくつかのステップある。インターネットでの攻撃的な行動を減らすには「スイスチーズモデル」のような複数の対策が必要となるだろう。

一つの案として、AI を使ってみるのはアリに思う。フィルタリング以外にも、適当な壁当てができる AI ができたら、攻撃的なコメントも減りそうではある。あるいは、より高度な攻撃的なコメントが生成されそうだけども(高度すぎて理解できない)。

*1:アクセラレータではないです