SF てんこ盛りの 十三機兵防衛圏

話題になっていた「十三機兵防衛圏」の Switch 版が出たのでプレイしました。例によって、記事が進むに連れネタバレ度が高まります。

全体を通して、とても満足でき、クリア後のおまけもちょくちょくプレイするくらいには戦闘にもはまったのですが、序盤はモチベーションの維持が大変でした。Twitter で話題になっていなかったら、投げていたかも。ちなみに、ネタバレがちっとも流れてこない健全な Twitter タイムラインのため「十三機兵防衛圏はいいぞ」みたなツイートしか流れてこない。

アドベンチャーの「追想追悼編」、シミュレーションバトルの「崩壊編」、アーカイブの「究明編」に分かれています。それぞれのパートを任意に選択できるため、戦闘がやりたいのにストーリーを延々を見せられる、みたいなストレスが低めなのが個人的にはグッドポイント。ただ、各パートの進行度と連動して各編でプレイできるステージが解放されるため、戦闘ばかりというわけにもいきません。

序盤でモチベーションが上がらなかった理由

序盤でつまった要因はアドベンチャー、バトル共にあります。ストーリーが込み入っているので、一気に進めた方が理解しやすいのですが、モチベーションが上がらない理由がいくつかあります。

アドベンチャーパートは、ノベルゲーにありがちな同じ話を何度も読むハメになるだろうとの勝手な予測がモチベーションを下げる主な要因でした。健全なタイムラインな故に、Twitter のツイートから「叙述トリック的なループもの」だろうと予測していたため、ストーリーパートもループするのだろうと思い込んでいました。チャートを確認できるのも、その思い込みに拍車をかけました。自分がノベルゲーを好まない理由のひとつが、同じ話を何度も繰り返すハメになるところ。実際は、ループではなくルーティンで、つまり日常の繰り返し。そこに気づいてからは、ストーリーを先に進めるのが楽しくなっていきました。読書でページを早くめくりたい感覚に近いでしょうか。ループしているシナリオもありますが、ゲームの根幹と関わっていて、ゲーム全体の進行度によってループの仕組みが明らかになるので、上手い構成です。

バトルは味方の特性や的の対処方法などが掴めなかった点が大きいです。戦闘前にステージに登場する敵が予告されますが、名前と対処方法が今一つ一致しません。クリアしましたが、結局対処法は覚えきれませんでした。ただ、機兵やキャラクターの特徴が分かってくると、コツも分かるし、自分が好きな戦法を取れるので楽しくなってきました。戦闘パートはそこまで難しくもなく、難易度も選択できます。ストーリーを中心に追いたければ難易度下げればよいです。低難度だから真エンディングが見られないなどのペナルティーはありません。

敵の数は多いが一掃できるので爽快

戦闘は敵の数が多いので、最初こそ戸惑いましたが、こちらも一網打尽にできる兵装が多いので、分かってくると爽快感の方が増します。Switch 版は新たに兵装が追加されているようです。
個人的に、連戦ボーナスとペナルティーは意味のある仕様に思えませんでした。クリアするだけなら、メタポイントが不足することはほぼありません。満遍なく育てて欲しいからなのか?

機兵は第一から第四世代まであり、近距離陸戦の第一、近距離陸戦+中距離射撃の第二、遠距離の第三、飛行型の第四となっています。第二世代は汎用ですが扱いが難しく器用貧乏になりがちな印象。特化型の第一世代と第三世代の方がむしろ扱いやすかったです。第一世代は近接陸戦でありながら、対空兵装が充実しているため、第二世代よりもオールマイティな気がします。第一世代のEMPで飛行型を落としつつシールドも無効にし、第三世代の遠距離で一掃後に残った敵を第一世代の近接で一掃するスタイルで運用してました。そこに、空中型の第四世代でさらに第一世代をシールドなどでサポートしつつ、さらに取りこぼした敵を片付ける感じ。第二世界は更なる後片付けを行う感じなので、十郎に主人公感ない・・・・・・。

クリア後のコンテンツでは、一番好きなキャラクターである薬師寺と彼女の強化用に十郎。薬師寺は追加兵装の「ハイパルスレーザー」と「貫通マルチロックミサイル」の使い勝手がよくアーマーも貫通できるため強い。遠距離は、相性の良い如月で、近接に比治山を加えていますが、基本的に EMP 係になってます。入れ替え要因は、「セントリーガン」を沢山置ける東雲と、追加兵装の「クアッドレッグスパイク」の強い鷹宮か、追加の「超巨大ミサイル要因」として三浦を入れています。
ちなみに「セントリーガン」は Switch 版だと弱体化されてるみたいです。

SFてんこ盛り

ストーリーは SF てんこ盛り。古くは「宇宙戦争」や「ゴジラ」から、最近だと「パシフィック・リム」などなど。機兵が無骨でも許されるのは、「パシフィック・リム」のお陰もあるでしょうか。

Twitter で話題にはなっているけど、ネタバレが全然ない時点でループものなんだろうなぁと思ってました。ただ、予想とは違うループもので、ストーリー全体を通して叙述トリックとしてのミスリードが巧みで、伏線もきっちり回収するのは流石でした。

ストーリーを進めると、SF ならではの設定に違和感を覚えます。その違和が、二転三転していき、最後は見事に畳まれており感服しました。気になる所があるにはありますが、戦闘システムがきちんとストーリーに絡んでいるので、個人的にはそれだけで評価が高くなりがち。ストーリーよりも、戦闘をやり込みたいプレイヤーなので、ストーリーと戦闘パートが別れているのも満足度が高いです。

最初は、宇宙人襲来とタイムトラベルものとして進みます。「宇宙戦争」のトライポッドに良く似ているけど、4本足なのでハイクアッドが登場しますが、宇宙人は出てきませんし、全ての年代で崩壊が発生していおり、「R-TYPE」のような未来からの侵攻を思わせますが、それでも説明がつきません。この違和も、序盤で乗れなかった理由のひとつです。本当に畳めるの?という不安ですね。

そもそも、未来とはいえタイムトラベルできるものだろうか?と疑問に感じていると、実は各年代毎に区切られたセクションであることが分かってきます。セクション移動時における、時計の演出はミスリードなわけです。最初こそ内情を分かっている人物は「年代」を呼称しますが、その内に「セクション」と呼び始めます。
この辺の言葉遣いなどの塩梅が、いいさじ加減ではあるものの、アドベンチャーパートはキャラクター毎に異なるため、進行の具合によっては「年代」と「セクション」のパートが前後します。進め方によっては、2つの言葉が混在するため、少々混乱します。

半径30kmのセクションにしか人類がおらず、外の世界があるかのように情報が操作されているのも SF ではあるあるです。地球は人類が存続できず、新たな移住先を探している設定としては「メガゾーン23」に近いでしょうか。1980年代の日本が再現されている点も近いですね。

さて、タイムトラベルではなく、セクション毎に時代が再現されているのは分かりましたが、テレポーテーションできるものだろうか?と思っていたら、実は仮想現実だったことが明かされます。その場合は境界があるのも変ですが、全てをデータで再現するのは計算が大変なため、空間だけは実空間を使っているのかも?
仮想現実ならばナノマシンがコードのように働くのも不思議ではありありません。仮想現実の件は、柴くんやしっぽの扱いが上手いなぁと思いました。十郎編では網口と共に柴くんがいるのに、網口編では柴くんがいません。違う日の出来事でもなさそうで、おかしいなと思っていました。最初はシステム側の存在だと予測していましたが、外しましたね。

最後のバトルは、いつまで耐えればいいのかとか、「マクロス」っぽさもあり、熱い展開でした。S 評価のために2回やるには、ちょっと面倒でしたが・・・・・・。

30時間くらいでサクッと遊べるのがよい

総じて満足度は高かったのですが、個人的に序盤のとっつきにくさが気になりました。私のタイムラインでも、途中で止まっている人がチラホラいるようです。ストーリーが入り組んでいるため、期間が開くと益々モチベーションが下がり、よくない連鎖が起きます。

興が乗るとサクサク進み、30時間前後でクリアできるのは軽くてよいです。バトルもずっと続けられはまっていますが、メタチップのカンストがあるため育成にも上限があるようです。
個人的に、これを据え置きでプレイしたかと問われるとちょっと微妙です。Switch の手持ちくらいがちょうどよく、なんならスマホでもいいくらい。Switch の方がスリープを活用できるので、スマホよりはプレイしやすそう。機会があれば、さらなる追加用のある Steam 版なども出して欲しいですが、Steam Deck とか手持ちできる端末でプレイしたいです。