Outer Wildsから解放された!

序にかえて

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ようやく解放された!

先ず始めに、ネタバレ無しの感想から。

てっけんさんが、Outer Wilds ゾンビになっていたので購入したものの、長い間積んでいた。何度かトライしたがモチベーションが続かずに詰んでいた。
Steam の購入履歴には 2020年10月とあり、直ぐに手を付けたはずなので、1年半越しのクリアとなった。ただ、ずっとプレイしていたわけでもないので、本格的に取り組んだ期間は2週間弱である。

攻略サイトなどを一切見ずに、ノーヒントでのクリアを目指したが、【攻略ガイド】難関の謎を手助けする『Outer Wilds』の解き方|岡田勘一[編集者・ライター]|note のような段階的なヒントくらいは見ておけばよかったかもしれない。ただ、本作は「探索→発見→推理→実行→解決」の繰り返しが主軸であるので、攻略情報を見る塩梅をコントロールするのも難しい。
私は、Outer Wilds について調べることをせず、Twitter でも率先してプレイしているとも述べず、一切の情報を遮断する方針にした。

エルデンリングの発売前

Horizon Zero Dawn をクリアしてから手を付けた MAFIA が思いのほか早く終わってしまった。エルデンリングの発売までに微妙な間があるので、それまでにクリアしてしまおうと2月になって思い立った。しかし、再開を軌道に乗せるまでもエネルギーが必要だった。
感覚を取り戻すのに時間を要したし、忘れていることも多く一度訪れた地点を何度も探索してしまった。

以前に挫折した原因は、ひとつの所に執着したからだった。オープンワールドをプレイするときには、特定の地域や地点を中心に広げていくのだが、本作はもっと自由な作品だ。もっと好き勝手に動き回ればよかったとも思う。再開して空に目を向けるようになってからは攻略がスムーズになり始めて、なんとかエルデンリングの発売前にクリアできた。

クリアした感想を率直に述べると、ようやく解放された!というのが正直な気持ち。本作の仕組みを考えると「解放された!」という感想は、とてもマッチしてると思う。
面白かったし、ゲームのデザイン、物語の構造などなど好きだし語り明かしたいところだけど、今のところ DLC をプレイするモチベーションはない。

以下は、徐々にネタバレの確度を上げながら、感想を述べていきたい。
先ずは、私の攻略記から。その後に、ストーリーについて軽く触れたい。

できることが限られている

本作は太陽系ならどこにでも行ける。オープンワールドとされるが、個人的には距離感が独特なので「箱庭太陽系」との表現がしっくりくる。ゲーム開始時に目的が明示されるわけでもない。強いて言えば、探索することが示唆されるのみので、本当に自由だ。一方で、主人公のできることは少ない。開かれた自由な世界で、主人公の制限されたアクションが、攻略の鍵になっているしヒントとしても機能している。

主人公自身はジャンプしかできない。ボタンを押したり、視線を元に謎の光る球を動かせたりと特定のオブジェクトに干渉できるが、特に能力があるけではない。手に持てるオブジェクトもあるが、ひとつしか持てず収拾することもできない。たき火の前ではマシュマロを焼いたり、うたた寝したりもできる。

宇宙服を着るとジェットパックで3次元的に移動できるようになるが、酸素や燃料には限りがあるし重力に強く支配される。その他に、探索機を射出する、シグナルスコープや翻訳機を装備する、ヘッドライトをオン・オフすることはできるが、なにかを採掘したり、倒したりだとか、新たな装備を獲得したり、なんてこともない。
探査艇は移動に特化されており、アームやらミサイルなど仰々しい装備はない。

Outer Wilds は世界の広がりと比べると、とれるアクションが限られいるが、そこに攻略の糸口がある。

記述と記録と記憶

本作は太陽が爆発するまでの22分間をループする。この手のループもので重要になるのは、ゲーム内での情報でありプレイヤーの記憶である。
主人公が発射コードを覚えているのが示唆的だ。最初は、一度で覚えるか?と思ったが、結局何度も入力するハメになるので、最終的には無意識で入力してるんじゃなかろうか。

幸いにも探査艇内の航海日誌はループしても記録が増えていくし、情報は的確だ。星系に散りばめられた Nomai 達の記述も役に立つ。中には、航海日誌に記録されないが、ヒントになる記述もある。知識を得てからは解釈も変わるため、原典に何度も当たるのは大切だ。

プレイヤーの記憶、航海日誌による記録、Nomai 達の記述。この中で、最も当てにならないのがプレイヤーの記憶である。Outer Wilds は、結果が発生した理由が分からない現象が頻発する。

突然のワープ

ワープなどがその典型だろう。偶発的にワープを経験するが、発生した理由や原理までは分からない。そのため、自発的にワープすることができない、この点は、プレイ内容を録画しておけばと感じた部分だ。
初めてのワープは、灰の双子星を探索していた時だった。ただ、その時は何が起こったのかまったく分からなかった。その後に、脆い空洞のブラックホールに何度も落ちることで、ようやくワープの仕組みを理解した。ワープは本作の肝であり「探索→発見→推理→実行→解決」のルーチンに最も時間がかかるプロセスのひとつであろう。

灰の双子星の仕組みは、ゲーム上よくできていると感心する。灰の双子星探索していると、徐々に現れる赤道付近の橋と塔に否が応でも注目させられる。橋を歩いていると、砂柱を避けるために塔に避難したり、木の炉辺に対応する塔で酸素を補給したりして、突然ワープすることがある。あるいは砂柱と塔が重なったら何かがおきるという期待から、塔に入る場合もあるだろう。
ただ、ワープの初体験は脆い空洞経由が多そうな気もする。

攻略の初期にワープを体験していたのだが、長く理屈が分からなかった。つまった原因は、太陽なき街に捕らわれすぎて、空にシグナルスコープを向けるのを辞めてしまったからだ。高エネルギー研究所には早々にたどり着いていたが、ブラックホールとホワイトホールのワープ実験までは起動できなかった。
太陽なき街に固執した結果、燃えさかる双子星に重力砲があることも気がつかず、湖底の洞窟の探索ももほったらかしにしていた。木の炉辺にある闇のイバラからの落下物にはシグナルスコープを向け、探索機も射出していたのだが、忘れてしまっていた。

太陽なき街が、星の内部に遺跡があることを示唆しているのに、脆い空洞の内部を探索する発想が出てこなかった。ただまぁ、脆い空洞を探索するとなるとなかなかに大変でもある。

クラゲとアンコウ

シグナルスコープを使い始めてから攻略がスムーズになった。ワープの仕組みを解明できたお陰で、太陽ステーションや灰の双子星への行き方も発見できた。
同じ頃に、闇のイバラの探索は船を残すのみとなったし、巨人の大海は中心部に到達するのみとなっていた。

しかし、アンコウとクラゲが立ちはだかった。できることが限られているので、試せることは少ない。けれども、正しい動きを実施できているという実感がないことが多い。
アンコウの回避方法は推測できても、具体策が分からなかった。入ってすぐに3匹たむろしているが、そこに入る前にも絶妙な位置にアンコウがいるし、上手く入らないと速度が出ない。3匹が密集しているので、いかにもぶつかりそうである。実際は、当たり判定が小さいのでアンコウにぶつかることはそうそうない。Nomai の墓から探索機を射出した際に、アンコウが探索機に反応してなさそうなのが、正解への道を阻んだ。ジェットパックよりも探索機を放出する方が音が大きいからだ。もちろん、目の前で射出するとアンコウに見つかるのだが。

巨人の大海は海流を突破しクラゲを見て、即座に中心部への到達するにはクラゲを使うことがわかった。事前の探索で情報を得ていたからだ。しかし、具体的な侵入方法が長らく分からなかった。ジェットパックの操作自体は、そこまで難しいとは感じなかった。せめて、クラゲと速度同調できるよにしてもよかったのでは?と思わなくもない。割と、小さなオブジェクトに対しても速度同調できるのに・・・・・・。

共に、考え方は間違っていなかったが、実行方法が間違っていたので詰まった事例だ。

量子の月に行ってない

アンコウとクラゲを突破してからは、消化試合であった。その後に量子の月を探索するのかと思ったら、クリアっぽい演出が流れてきた。
量子の月の航海日誌が埋まっていないので、埋まるのか確認するために検索したら、うっかり行き方を知ってしまった。ただ、これも考え方はあっているが、実行方法が間違っていた事例だった。

量子の月に関しては、制作者も難しいと考えたのか試練と称して学ぶ機会が多く、情報も多いのだが、大きな勘違いをしていた。それは、量子の月を捉え続けなければならないと思い込んでいたこと。そのため、捉え続けられる星系とタイミング、軌道を合わせるのが面倒で、量子の月への着陸を諦めていた。

実績解除

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いくつかの実績を検索しながら解除していった。「ビギナーズラック」以外は解除したと思う。
太陽ステーションへの着陸はいくつかのサイトや動画を参考にした。焦ってシートベルトをしたままダッシュボタンを押してしまい、太陽ステーションに激突、あるいはなす術もなく太陽に落下することも多々あった。

航海日誌を完成させるにあたり、無重力洞窟がまるっと埋まっていないのは我ながらびっくりした。初プレイ時にやったはずだが、その後にはじめからプレイし直したので訪れてすらいなかったのだろう。

ループからの解放

sunagi.hatenadiary.jp

主人公は偶然ながら、太陽が爆発するまでのループに囚われてしまっている。太陽の爆発と宇宙の終焉を止める術はないため、このループから解放されればクリアであろう。つまり、死亡したり、パラドクス、もしくは死なないが生きてもいない状態も、ループからの解放であるからエンディングとなり得る。

このループが、ゲームにおいてはコンテニューの理由付けになっているのはうまい仕組みだと感心する。私は、恐らく200弱はループしているはず。ただ、一部エンディングを迎えてセーブから再開する理由は少し弱い。作中における量子現象でこじつけることは可能だが。

ジェットパックの操作が独特であるが、速度同調を駆使すればそこまで難しいとは感じなかった。きちんと歩かないと、落ちたり、つっかかったりするのも意図してのものだろう。間違っても、最初からやり直せばいいのだが、これが割とストレスを感じる。ただ、これも意図してのものだろう。

「解放された!」という感想は、ある意味で主人公の気持ちともシンクロしているのではないかな?と思う。流石に、何度も死ぬ体験をしたくはないだろう。
それと同時に、プレイヤーをゾンビをする一因でもある。主人公と最もシンクロするのが、ゲームクリア時であるのに、本作では同じ体験が不可能だ。解放されたのに解放されないのは、まさにゾンビと表現するよりない。

宇宙の眼とはなんだろう

主人公の目的はループから抜け出すことになる。抜け出そうが抜け出すまいが、宇宙は終焉するため主人公は生きてはいないだろう。例のエンディングは宇宙の眼の謎を解明したかったが幽霊物質で死滅してしまったNomaiらの思いを主人公が成し遂げたというからこそ、トゥルーエンドたり得るのだろうか。

宇宙の眼とはなんなのだろうか。Nomaiらの分析によると、宇宙の誕生以前から存在しているらしい。本作では観察することが意味を持つ。恐らく、宇宙の眼が観察することで宇宙が成り立っているのであろう。宇宙の眼がなけれな、宇宙は存在する状態としない状態のどちらでもいいはずだ。
宇宙の眼が誰かに作られたのか、元から存在するのかは分からないない。エンディングで、宇宙の眼によって新たな宇宙が生まれたようだ。それには、宇宙の終焉時に知性のある観察者の意思が必要なのかもしれない。

主人公は宇宙の眼で仲間達に出会うが、彼らは恐らく主人公の記憶によるものだろう。あるいは、宇宙の眼が観察した姿かも知れない。ただ、量子の月と彼女(?)と出会っていないとあの場に登場しないし、彼女が言葉を発していることから、仕組みはどうあれ、主人公の記憶に基づくものであるだろう。

主人公の意思が介在したからこそ、宇宙の循環がなし得たと考えるのがゲームの終わりとしても相応しく思われる。Nomai 達や主人公達のような知的生命体には探究心がある。特に、Nomai 達が宇宙の眼に固執していた。知的生命体が宇宙の眼に辿り着くことが宇宙の循環に必須であるのは、宇宙の眼を作った知性体、あるいは宇宙の眼そのものの意図に思えてならない。

攻略することで、ゲームとしてSFとして成立する Outer Wilds はプレイヤーもまた宇宙の眼なのだろう。