サイバーパンク2077でナイトシティを楽しむ

発売当初はバグに PS4 ではまともに動作しないなどネガティブな方向に話題になったサイバーパンク2077。期待が大きかっただけに落胆した人も多かったでしょう。
現在の PC 版は安定しているのでモブが大量にいる街中を歩くのはとても楽しいです。 PC を新調したかいがありました。PS4/5 版も2022年内には安定版がリリースされる予定のようです。

ナイトシティの街中を歩いているだけでも色んな発見があって楽しいです。歩いていれば色んなミッションや事件に巻き込まれていきます。ブレードランナーちっくなアジア、特に日本の影響が大きく「HOテル」とか「カラオケ」なんて文字列に、大きな鳥居などがある風景はニヤッとしてしまいます。街中を移動する限りはロード時間は全く感じることはなく、建物の中までシームレスに繋がっているのは驚きます。

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日本語と英語が入り乱れるナイトシティ

ゲームシステムとしては、それぞれの能力やスキルがお互いに噛み合うようになっています。どのパークを伸ばしても強く、組み合わせ次第で色々なプレイスタイルを楽しめます。その中でも「知識」のブリーチプロトコルが反則級に強いですが、「体力」で素手を強化してもいいし、「反応」のライフルでスナイパーを目指してもいいし、ブレードを振り回してもいいし、「意思」でステルスに特化してもいいです。アップデートにより光学迷彩が導入されたので以前よりもステルスプレイに徹しやすくなりました。

ストーリーは、主人公である V がキアヌ・リーヴス演じるジョニーの人格に乗っ取られそうになる、いわゆるアイデンティティークライシスなのですが、ゲームの仕組みとあまりマッチしていないように感じました。主人公である V は3つのライフパスを選べますが、選べる必要がそもそもあるのか?という感じ。この辺は、最終リリースに向けて開発が間に合わなかったのかな?と想いました。

キアヌのファンとしては、一緒にナイトシティを過ごせるのはすっごい楽しいです。しかも、日本語版はキアヌの吹き替えを多く担当する森川智之さんなので、やはりキアヌ!

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神宮寺とかいう謎のアパレルブランド

突然精神を乗っ取られると言われても

サイバーパンク2077は V たる主人公が、ロッカー兼テロリストのジョニー・シルバーハンドに精神を乗っ取られる話で、所謂アイデンティティー・クライシスに分類されるでしょう。
ただ、精神の乗っ取りがゲームとうまく噛み合っていないように感じました。その理由は、V の個性が立っているのもありますが、プレイヤーが V のキャラクターを掴みロールプレイに徹するにも、それ以前にジョニーとのせめぎ合いが始まってしまう点にあります。

サイバーパンク2077は V にジョニーの精神が入る前までがチュートリアルです。実際、その語にタイトルバックが表示されます。RTA では、サイバーパンク2077と表示されるまでの早さを競うカテゴリもあります。

3つのライフパスの意味がほぼない

プレイヤーはノーマッド、ストリートキッド、コーポレートの3つのライフパスを選ぶのですが、そのどれを選んでも導入でジャッキーと相棒となり、結果的にキアヌことジョニーと関わるという流れになります。チュートリアルが終わってジョニーと関わった後は、どのライフパスもほぼ共通のルートになります。少しばかり、それぞれにオリジナルのイベントがありますが、本編には絡みません。

ジャッキーと相棒になった経緯はライフパスによって様々ですが、どれも十分に描かれているとは言い難いです。そもそも、コーポレートでは描かれてすらいません。ストリートキッドでは、ほぼフィーリング。主人公の V がジャッキーの母親の店の常連だったのに知り合って無かったのはやや不自然にも思います。ノーマッドだと、ナイトシティにやって来たけど行き場のない V がジャッキーと知り合い、その母とも家族ぐるみと付き合ったという流れのため、まだ納得できました。3つのライフパスの中でもノーマッドの導入が一番長いのもありますが。

初見プレイ時にプレイヤーはナイトシティを知らないので、視点としてはノーマッドが一番近いと感じました。ただ、サイバーパンク2077でのノーマッドの位置づけが分からないので、ノーマッドとしてロールプレイするも情報が足りません。ナイトシティで成り上がる視点だとストリートキッドやコーポレートの方がしっくりきますが、初見ではナイトシティの魅力が分かりません。どのライフパスを選んでもストーリーが収束するので、そもそもライフパスを選択させる意味がないようにも感じます。
ただ、二回目からはナイトシティの魅力も、それぞれのライフパスでの立場が分かってきます。その点で、私はノーマッドとしてのロールプレイがジャッキーとの出会いも含めて好きです。

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うまそうに焼きそばを食べる相棒のジャッキー

レイヤーが複雑すぎない?

チュートリアルで V を確立できないまま、ジョニーとのアイデンティティークライシスが始まってしまいます。しかし、プレイヤーである私としては操作キャラが V からジョニーに入れ替わるだけの感覚しかありませんでした。
ジョニーが V の身体の主導権を握るイベントもあります。最初は、ジョニーがプレイヤーの意思とは関係なく勝手に動き、ストーリーが進行します。徐々にプレイアブルなシーンが増えて、プレイヤーがジョニーとしてストーリーを進める形式になっていきます。この演出の意図は理解できるものの、もともと V を操作していた私にしてみれば、私がジョニーになったとは受け止められませんでした。結局、V の身体を操作するのは私なのです。そもそも、V の身体を動かすジョニーを操作するプレイヤーってのは、レイヤーが多すぎて分かりにくいです。

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ジャパンタウンの一角

能力値をデザインする

ストーリーはあまり納得感はありませんでしたが、ゲームシステムはよく考えられています。それぞれの能力がお互いに噛み合うようになっており、それでいて全てのパークは取れません。組み合わせを試すなら、必然的に何度もプレイする羽目になります。羽目になりますが、これがなかなか楽しい。

体力、反応、技術、知識、意思の5つのパークがあり、最大レベルは 20。どのパークも 18 から20 まで上げればとれも強くなります。それぞれの初期ステータスが 3 で、最初に 6 ポイント振れます。その後、レベルは 50 まで上がるので、合計で 56 ポント。この場合、3 つの技能を 20 にできます。ただまぁ、組み合わせる2つを 20 にして、他をそこそこ上げた方が強いと思います。

能力としては「知識」が兎に角強い。敵をハックしていくので、パークの中で最もサイバーパンク感があります。ブリーチプロトコルが滅茶苦茶強く、ボスの動きを止めることができるので、火気系のパークと組み合わせればハメ殺すことも可能。デバフに加えて、システムリセット、自殺、強制自爆などの即死攻撃がチート級に強い。さらに、その即死攻撃を近くの敵に連鎖させる装備まであります。ただし、これらで敵を自爆させた場合には経験値が入らないので要注意。

敵をハックして位置を確認し、カメラをハックしてシステムリセットを仕掛けていくと、建物に入らずに敵を殲滅できます。ステルスプレイに徹するなら、ステルスが伸びる「意思」ではなく「知識」を伸ばした方がいいくらい。
「知識」が突出して強いですが、どのパークも強いです。スレテルスのある「意思」にしても、光学迷彩があるので「反応」のブレードと組み合わせれば、忍者のように忍び寄り音もなく敵を始末することができます。ブレードは「体力」と組み合わせれば武士のように、一騎当千な戦いも可能です。
「体力」なら、ショットガンや素手で殴り倒したり、「反応」で拳銃やライフルなどの重火器を使うのもありです。「技術」を伸ばせば強い武器や防具を作れますし、グレネードの攻撃力もえぐいことになります。

一週目はが中途半端になりましたが、二週目は「知識」と「体力」に全振りして敵をハックして発見しゴリラアームで殴り殺す、攻殻機動隊の少佐スタイル。三週目は「反応」と「技術」に全振りして、ライフル一撃必殺ゴルゴ。四週目は「意思」と「反応」に振って、暗殺忍者、時々爆弾魔としてプレイしました。
「意思」のコールドブラッドも役に立つのですが、説明文が分かりにくいのが玉に瑕ですね・・・・・・。「意思」でステルスを伸ばし、敵に見つかったらコールドブラッドで瞬間火力を上げて応戦って感じの使い方ができます。もちろん、隠れずに正面突破にも使えるので「体力」や「反応」との相性もバッチリです。

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時にはアクション映画のように

どのエンディングが好き?

エンディングはどのライフパスでも同様に分岐しますが、それぞれのライフパスに沿ったものになっている気がします。「悪魔」はコーポレート、「太陽」はストリートキッド、「星」はノーマッド
個人的に「節制」は一抹の寂しさがあって一番好きです。

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AKIRA

パナム達とナイトシティを離れノーマッドとして生きる「星」は、ライフパスがノーマッドならありかなぁという感じ。クランこそ違うけど、主人公本来の生き方に帰ってきた感じがします。
隠しルートのジョニーと共に単独でアラサカタワーに突っこむのであればナイトシティの英雄になる「太陽」エンディングがふわしいようにも思います。ただ、このルートだと V がローグの代わりにアフターライフを仕切っている理由が不明ですが。
逆に、ローグと共に突入した場合は、ジョニーが生きる「制約」エンドこそが好きです。ローグには「逃げるな」と怒られますが。
「悪魔」がやりきれないですが、アイデンティティークライシスとしてはらしいエンディングかなと思います。

やっぱりナイトシティが魅力的

ストーリーに不満はあるものの、ナイトシティの街を歩くだけで楽しく、沢山のミッションが散りばめられ、色んなパークを組み合わせることができるので、オープンワールドとしては大好きです。そして、その世界をキアヌ・リーヴスと歩けるのは本当に楽しい。
「街」を楽しむなら、それなりのスペックのPCが必要ではありますが・・・・・・。

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ジェットコースターを満面の笑みで楽しむキアヌ・リーヴス