サラダ油に火を付けるのは引火点

引火点と発火点を混同している人がいる気がしてならない。料理していて、サラダ油が直火に接することってないと思うんですけど?
また、知識があっても経験を伴わないと、なかなか身につかないのが人間だろうと思う。現場猫案件ですね。

追記(8月11日)

上記のはてブで、危険物第四類である引火性液体において動植物油の規程が間違っていることに気がついたので修正しました。
いきってる増田も間違っているんで、許して下さい。法改正は平成14年(2005年)だそうです。

動植物油類とは(指定数量・性質など)|乙種第4類危険物

引火点と発火点

「引火点」と「発火点」は共に火が付く温度ではありますが、それぞれ状況が異なります。
「引火点」は可燃物に火を近づけた際に燃え出す温度。可燃物が燃焼に必要な蒸気を発生させる温度にあたります。ただし、共に紙や布など揮発しやすい条件ではより低い温度で引火します。
「発火点」は可燃物が燃え出す温度で、火を近づけなくても燃え出します。

油をコンロの直火に当てたり、あるいはフライパンなどで熱した油に火を近づける機会ないと思うのですが・・・・・・。ちなみに、コンロの炎は2000度近くありますが、サラダ油が引火点である250℃以上になるまでは、思ったよりも時間がかかります。
サラダ油の引火点は種類によりますが一般に300℃以上で、発火点は350℃前後です。コンロの炎は2000℃近くありますが、その火をサラダ油に直接当てて引火点以上にするには、なかなか時間がかかります。

キッチンでの火事は揚げ物中での発火が多いでしょう。つまり「発火点」が問題となります。

天ぷらなどの揚げ物中に、油の温度が発火点を越えてしまい火事になるケース。もちろん、引火点も超えているので強火のためにコンロから引火する可能性もあります。しかし、料理をしていてそんな状況に出くわすなら、普段からそうならないように注意して頂きたいものです。

サラダ油は危険物第四類

サラダ油などの植物油は第四類の危険物である引火性液体に該当しますする場合があります。

第四類は、甲種と乙種の第四類および丙種の危険物取扱者が取り扱えます。ただし、丙種は無資格者が取り扱う際に立ち会いはできず、危険物保安監督者になることもできません。ガソリンスタンドでの勤務や、動植物油の製造などに従事する場合には所持していると有利です。
資格を持っているなら、動植物油に関しても勉強はしているはずですが、植物油の取り扱うに従事するとは限りません。
知識として知ってはいるけど、経験を伴わないと実感が湧かないものじゃないでしょうか。ガソリンの引火点は-40℃以下なので極寒の北海道でも火を近づければ燃えますが、実際に試したことのある人はいないでしょう。そもそも、ガソリンに火を付ける機会はあまりなかと思います。

サラダ油などを含む危険物第四類の引火性液体は基本的に「引火点」により分類されています。「引火点」が、低いほど危険で、保管できる量も少量となります。以下の表のように分類されており、動植物油などの食用油は「引火点」が最も高く、重油などよりも火が付きにくいです。サラダ油の場合、種類にもよりますが引火点が250℃以上のものが多いため、危険物に該当しない場合もあります。

分類 定義 具体例
特殊引火物 発火点が100℃以下、または引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下 エーテルなど
第1石油類 引火点が21度未満 ガソリン、ベンゼントルエンなど
アルコール類 素数が1~3個の飽和1価のアルコール メチル・エチル・イソプロピルアルコール
第2石油類 引火点が21℃以上70℃未満 灯油、軽油
第3石油類 引火点が70℃以上200℃未満 重油グリセリンなど
第4石油類 引火点が200℃以上250℃未満 潤滑油、タービン油などの機械油
動植物油 引火点の規程はないが、250℃以上がほとんど常圧で引火点が250度未満のもの 食用油などが分類される

ちなみに、飲用のアルコールは60%以上でないと、危険物としてのアルコール類には分類されません。
ブランデーなどでフランベしますが、アルコールが60%を越えるものは稀です。

知識と経験(ヨシッ)

化学実験を行う上では、主に特殊引火物、アルコール類、第1から第4石油類くらいしか取り扱いません。オイルバス(湯浴)にシリコンオイルではなく、食用油をつ買うケースもあるので、その場合は動植物油類も取り扱うことになりますが。
実験で食用油を使う機会がなくても、引火点や発火点が高いだろうと推測することはできます。一般に組成の似た化合物なら分子量が高くなるほど沸点が高くなります。都市ガスに含まれるメタンは気体なので燃えやすいです。ガソリンは分子量が低く揮発性が低いので引火点が-40℃以下と極めて低いのです。灯油、重油と分子量が大きくなっていきます。
食用油は、グリセリン脂肪酸が結合した構造をしています。構造自体は高校の化学で習うのではないでしょうか。分子量も大きいので、引火点や発火点が高そうだと推測はできます。
ただ、経験を伴わないので「食用油は簡単に火が付かない」との実感はなかなか持てないものです(ヨシッ)。