Skyrim VR をやったら、膝に矢を受けたら冒険者を続けられないと異世界転送を実感した

春節の項、Steam にてセールありて、Skyrim VR を購入す

Oculus Quest を手に入れたところ、ちょうど Steam で春節セールが始まって Skyrim VR が2,400円くらいだったので気がついたら購入してたんですよ。Beat Saber ですら買うの躊躇してるのに。
何度目だ Skyrim というわけで、PS3版から数えて5個目の Skyrim です。

長年ゲームの中に入りたいと思ってきました。それは多くのゲーマーにとっても夢だったでしょう。Skyrim VR で遊んでみて、それに大きく近づいたなと体感しました。これまでもグラフィックの向上でその壁は何度か越えてきましたが、VRはとても大きな二次元の壁をぶち破ったと実感できました。

Skyrim VR異世界転送

Skyrim は何回もやってますが、VR だと全くの別ゲーですね。全然違う体験。これまでモニター越しに見ていた世界へ入った感覚でまさに異世界転送。
ゲーム内のカメラが頭の動きに追従するだけなんですが、たったそれだけのことで馬車で処刑場に連行されるオープニングが「ぶらり馬車からの旅」に早変わりですよ。行き先は処刑場ですが、上級王フルフリックと一緒に馬車に揺られるのも乙なものです。
自分が処刑される順番が回ってきて、絞首台に首を垂れたら目の前にさっき斬られた囚人の首が落ちててびびります。落ちてるのはモニター越しで何度も体験してるけど、VRで見るとやばさが際立ちます。処刑される直前にドラゴンがやってきて九死に一生を得ますが、これがまぁデカい!ドラゴンの騒ぎにかこつけて逃げ出すところでようやく自由に動き回れるようになりますが、塔の壁をぶち破ったドラゴンとにらめっこしたり、翼をかいくぐったりと、滅茶苦茶スペクタルです。ニューゲームの度に繰り返してきましたが、こまで映画さながらだったとは。

その後、戦闘のチュートリアルを兼ねた脱出劇が始まります。コントローラーを振ると武器も一緒に動きますが、その動きや当たり判定は割と大雑把です。Skyrim の戦闘はもともと大味なので、VRの戦闘が大雑把でも許される感じがあります。Skyrim では主に弓矢で遊んでいたのですが、VRだと弓矢の狙いが難しくなってるので、早く「鷹の目」を取得したい。
砦の地下から洞窟を抜け「へ スカイリム」。外に出ると、Skyrim こと山の稜線がよく見えます。Skyrim はその名の通り、山の稜線が常に視界に広がって……いるはずなんですが、モニターだとなかなかそこまで目が行きません。VRだと視野角が広く、遠近感もあるので遠くの方に Skyrim があるなと感じられます。

VRで驚いたのは、色んなもののサイズ感。ドラゴンの大きさもですが、そこら辺に生えている針葉樹の大きさがよく分かります。自分の等身と比較できるので、大きさが分かりやすいのです。巨人もマンモスもめちゃくちゃでかいのはモニター越しでも分かるのですが、ドラゴンズリーチの天井がすごく高いとか、宿に飾られている鹿の首がものすごいでかいとか、VRで実感してびっくりしました。

まさに世界の中に入ったような感覚で、すっごく楽しいのですが、基本的には立ってプレイするように調整されてるので、膝に矢を受けたら冒険者を続けるのは大変でしょう。そりゃ衛兵になるなと実感できました。思ったよりVR酔いはしませんが、予想してない小さな段差につっかえた時や、階段を登る時に段差をガン見してると覿面に酔います。ヘッドセットが重く首に負荷がかかり、顔に密着させる必要もあるので長時間はプレイできません。

VR用ではないがVR向けのコンテンツ

SkyrimVR 向けに作られたゲームではありませんが、VR に向いた環境型のコンテンツだと思います。
オープンワールドの世界が作り込まれているので、その世界にカメラを置きVR用に出力すれば中に入り込めます。もちろん、移動とか戦闘などをVR用に調整する必要はあったでしょう。その一つが移動方法で、VRコンテンツによくあるテレポートか、スティックによる直接移動が選べます。身体の回転もスティックで行いますが8方向毎の回転か、シームレスに回転する方式を選べます。私は、スティック移動のシームレス回転を選びました。テレポートの方がスムーズですが、ちょと味気ないと思います。
VRの恩恵として感じたのは、錬金素材の蝶を採取しやすかったこと。飛んでいるのでコントローラーだと取るのが難しいですが、VRだと手を伸ばすだけです。ちょっとした工夫ですが、トラッキングもゲームの中にいる感覚を醸し出すには重要でしょう。弓だと実際に射るようにコントローラーを動かす必要があるので楽しいです。サイトがないので、全然鹿が狩れませんけど。

モニターを超えて

常々ゲームの中に入ってみたいなと思っていました。ゲームシステムの工夫や、特別なコントローラーの使用、あるいはグラフィックの向上により、ゲームへの没入感を高めることはできますが、これまでに完全に中に入ったなと感じるまでには至りませんでした。たとえばシーマンはテレビの中で飼っている感があり、モニターを超える必要はありません。
もちろん、想像力をかき立てることはできますが、眼前にある圧倒的なリアリティの前には無力です。その点で、VR は本当にゲームの中に入った感じが高いです。

昔からゲームの中に入ってみたかったので、ゲームセンターではバーチャコップなどのガンシューティングをよく遊んでいました。ただ、これはゲームの中に入っているというよりも、実際の所は的が動くよくできた射的です。レースゲームやらDDRなども同じで、プレイヤーの動きをゲーム内に反映させゲームの中に入っていくアプローチです。Wii などもこのアプローチであり、Switchのリングフィットアドベンチャーもそうでしょう。これらはどちらかというと、拡張現実のアプローチかなとも思います。

これまでにゲームの中に入っていく壁を越えたなと感じたゲームは、PS の「ジャンピングフラッシュ」や「メタルギアソリッド」、PS3の「アサシンクリード2」に「Skyrim」です。当然のように、Switch のゼルダの伝説である「ブレス・オブ・ザ・ワイルド」もそうです。

「ジャンピングフラッシュ」はウサギ型ロボットで三次元空間を飛び跳ねるシューティングゲームで、その跳躍感に魅了されPS本体を購入したほどです。特に高所からの落下がリアリディがあり、恐怖すら感じます。「メタルギアソリッド」ではステージの作り込みに圧倒されました。
アサシンクリード2」では、実在する都市の再現と、圧倒的落下感に驚かされました。先の「ジャンピングフラッシュ」と「メタルギアソリッド」足し合わせた感じ。フィレンツェとかベネチアをテレビや絵画で見る度に既視感があり、そこの通りを曲がると大聖堂があるなどと位置関係が分かってしまうのです。
これらのゲームにおいて中に入ったなと感じられたのは、世界の作り込みもありますが、視点の移動とキャラクターの状態を把握しやすかったからってのもあります。キャラクターの状態とは、「アサシンクリード2」ならば立っているのか、壁に張り付いているのかなど。「ジャンピングフラッシュ」ならばウサギ型ロボットがどこを向いて、どの方向に弾を撃てるのかなどがそれに当たります。二つのゲームは、視点がそれぞれFPSとTPSに当たりますが、それぞれに一長一短があるためゲームの中には完全に入り込むには至りません。

遠隔操作しているにすぎない

「ジャンピングフラッシュ」はFPSというか、コックピット風の視点です。実際はロボットの鼻先あたりにカメラを付けた視点です。古いゲームなので、視点を動かしながらの移動はできませんが、そのようにしか操作できないロボットであると考えれば納得感はあります。納得感はありますが、結局はモニター越しに遠隔操作しているのと何ら変わりません。

FPSやコックピット視点は、一見するとプレイヤーの視点と一致していそうなのですが、ズレがあります。このズレは視野角の狭さや視覚の追随性の低さなど、プレイヤーの身体性とゲーム内の動きが同期していないため生じます。
FPSでは、古くはカメラが固定されていましたし、現在もカメラをコントローラで動かす必要があります。視野角も狭いので、カメラを意識して振らないと視野を確保できません。現実世界では簡単にできる横を見ながら前に進む、頭を振って周りを確認する、なんてことをゲーム内でやろうとすると途端に困難で面倒になります。FPSでは主に視点の追従性がプレイヤーについていかないため、ゲーム内の動きとプレイヤーのやりたい動きがマッチしていないのです。また、キャラクターの状態を今一つ把握できません。例えば、FPSではキャラクターの位置関係を把握しづらいため、建物のヘリや崖っぷちに立っていると、落ちないように移動するのが骨ですが、TPSならその心配は減ります。また、立ち、しゃがみ、匍匐と三つの状態がある場合、FPSでは視点の高さの他、アイコンでその状態を示すのがスタンダートですが、TPSならキャラクターを見れば一目瞭然です。TPSの方が、キャラクターや機体の向きや状態を把握しやすく、FPSよりも広い視野を確保できます。しかし、常に車体や人のケツを眺め続けるため没入感はFPSよりも低くなります。
FPSにしてもTPSにしても、キャラクターの身体性とプレイヤーの身体性がシンクロしないため、初代バイオハザードのリモコン操作のようにキャラクターを遠隔操作している感覚から抜け出せないのです。

視線と動作の追従

ゲームの中に入り込むには目からの情報の質を向上させなくてはなりません。そして、プレイヤーの動きをゲーム内と同期する必要があります。VRならば、カメラと視線は同期していますし、コントローラの動きもトラッキングできます。外部センサーを使えば、身体の動きすらもトラッキング可能。画質も重要です。VRで360動画を見ても画質が高いほど没入感があります。当たり前ではありますが、これが既存のゲームとは違うところだなと実感できました。
VRゲーム、面白くはあるんですが長く続けるのは結構つらいです。身体が疲れるのは、リングフィットアドベンチャーで鍛えるにしても、VRを見続けるのが辛いです。また、ヘッドセットが重く、顔にくっつけるように装着するので、長時間プレイするのは向きません。まだまだ、一般に普及するには時間がかかるかなぁという印象。
また、無線化は必須でしょう。Oculus Quest で Stema VR 対応ゲームを遊ぶ方法として、ケーブルで繋いだ Oculus Link と無線で利用できる Virtual Desktop があります。Virtual Desktop で Steam VR を利用できるようにするのがやや手間ではありますが、一度セットアップしてしまえば、起動も簡単でケーブル無しで遊べる Virtual Desktop の方が快適です。

日本だと、VRを遊ぶためのスペースを確保するのも大変です。アメリカだと部屋が広いので、その点が問題になることはないでしょう。「起きて半畳、寝て一畳」とは言いますが、VRだと 1.8 m × 1.8 m の最低「二畳」で、快適にプレイするなら、床に何も置いてない「四畳半」は欲しい所です。高速回線があって、そこそこ広いスペースを一時的に借りようと思っても案外無いなぁと。