レア消費アイテムを抱え込む問題

エリクサーを最後まで使えないユーザーに使ってもらうにはどうすれば良いか。 に関して、レア消費アイテムをどのように使わせるかを統一的に語るのは難しいので、話をFFに限定して エリクサーを使わないのは、使ってもお得じゃ無いから と説明したのだが、折角なのでレア消費アイテム全般についても語ってみる。

レア消費アイテムを統一的に語るのは難しい。それは、レア消費アイテムの効果は様々であるのと、ゲーム毎にデザインが異なるためだ。仮に、効果をFFのエリクサー的なものと限定しても、ゲーム毎にシステムが異なるため、使い所も同じでは無い。

ただし、プレイヤーがレア消費アイテムを使わない理由は、根本的に学習機会と使う動機がないからだと断言できる。レア消費アイテムを使う快感=動機がなく、使う機会を学習できなければ、プレイヤーはレア消費アイテムを使う発想にすら至らない。
一般的には、レアであることが魅力となり得て、それが使う動機にもなり得るが、レアであるため、使い方を学習する機会もレアとなってしまう。これが、レア消費アイテムのジレンマである。つまり、レア消費アイテムが使われないのは、動機よりも学習機会が少ないことに問題がある。


FFのエリクサーは、エリクサーを使わないのは、使ってもお得じゃ無いから でも語ったが、2や3を除きHPとMPが同時に回復する快感が薄い。むしろ、そのそうな状況になっていることの方が非常に不快に感じられる。つまり、使う動機がそもそも無い。
尚且つ、使い方を学習する機会も無い。むしろ、エリクサーを使わない戦術や戦略を選択するようなゲームデザインにすらなっている。また、ピンチでエリクサーを使っても、状況は打開できず、むしろ無駄な一手になることが多い。使うとむしろ損になる場合すらある。

FFの場合、ストーリー上の期間限定で、エリクサーを使ってでも倒すとお得なアイテムを入手できる敵を用意するなどが考えられる。あるいは、エリクサー使用に実績を用意しても良いだろうか。
率先して使って貰いたいなら3のようにセーブポイントを無くすなど、エリクサーをありきのゲームバランスにするしかないだろう。例えば、ロマサガ2,3におけるシャッタースタッフは、数本しか入手できないが全体回復をする手段が無いため、エリクサーよりも使われるだろう。

ちなみに、アイテムとして消費せず、売ってより有用な装備品を整える方法もあるが、エリクサーの場合は売値が二束三文であることが多い。

ボム抱え落ち

抱え落ち - STGWiki
レア消費アイテムを抱え込む問題は、シューティングにおけるボム抱え落ち問題に通じる。
ボムは使うことで画面上の敵への攻撃+敵の弾を消すことができる強力な救済策である。使う動機は十分にある。
ボムを持ち越せない場合、ピンチでボムを使えばもっと長くプレイできるのに、使わずに死んでしまうのは非常に勿体ない。ピンチ時にボムを使えれば、脱初心者とも言える。
ただし、ある程度上手くなった状態では、自分の苦手な局面でボムを使っていると、上達が見込めない。先が見えてくると、この局面は練習してもなかなか上手くならないからボムを使って超えていこうと戦略を立てることができるようにもなる。
最終的には、小さなミスをした時に、状況を打開する打開するためにボムを使えるようになるだろう。

ボムの場合は、使う快感や、使うと有利なため使う動機は十分にある。よって、抱え落ちは学習機会の問題である。「難局をボムで乗り越える」ことを学習しなければ、プレイヤーはボムの使い方を覚えない。
ボム抱え落ち問題の一つの解法は怒首領蜂大往生のオートボムであろう。ボムを使うタイミングを自動的に知ることができる。ただし、自分の意思でボムを使うタイミングを学習できない問題は残る。また、RPGの場合は補充できないアイテムを勝手に使われるのは、ストレスとなる点を留意したい。

格闘ゲームにおける必殺技

少々話はそれるが、格闘ゲームにおける必殺技もレアアイテムに近い位置づけにある。正確には「あった」というべきだが。
ストリートファイターにおける必殺技は、その名にふさわしい威力で、一発当てるとゲージの1/3を削る。その代り、コマンドは明らかにされていなかった。この点は、まさにレアアイテムのような存在だ。
大ヒットした2からは、コマンドが明らかにされ、通常戦術に組み込まれたが、それでも強力であることには変わりは無く、レア扱いに近い。その頃は、コマンド入力自体を習熟している人が少なかったこともレア扱いであった理由だろう。

現在では必殺技は通常戦術に組み込むモノとなっている。超必殺技は、現在のレアである。
超必殺技は、体力ゲージが減ったり、超必殺技ゲージが溜まったりして打てるようになる。さらに、コマンドも通常必殺技よりも複雑だ。昨今では、超必殺技もそれほど珍しくは無いものの、システム上はレアアイテムのような扱いとなっている。

ところで、各銅ゲームにおいては必殺技の使用回数を制限しても面白いかも知れない。縛りプレイや、あるいはハンデ戦などに良いのでは?

学習機会を増やすには?

レア消費アイテムの効能

レア消費アイテムを使う動機が十分にある場合、プレイヤーが使うようになるのは使い方を学習させる必要がある。レア消費アイテムの効能によっては、使い方が異なる。つまり、学習方法も異なってくる。そこで、レア消費アイテムの効能毎に、どうすれば学習機会が増えるか考えてみる。


味方に使う場合は、エリクサーのような超回復型、ドラクエにおける種のようなステータスアップ型、マリオにおけるスターのような一時的にパワーアップするドーピング型に分けられるだろうか。
敵に使う場合は、大ダメージを与える攻撃型や、ステータス異常系があるだろう。その他に、敵でも味方でもなく、時の砂のような、リセット型などがある。

超回復

超回復型は、JRPGのようにレベルを上げればボスを倒せるデザインの場合、そもそも使う動機が薄く、そのため学習機会も殆ど無い。何度もボスやダンジョンに挑めるデザインにもなっているため、使う動機が無い。また、使うことが快感にもならない。
つまり、超回復型は使う動機が薄い。JRPG超回復型のレア消費アイテムを使う動機を増やすには、セーブポイントの無い長いダンジョンを用意するか、使わないと倒せないような強力な敵を登場させるなどが考えられるだろう。
しかしこれらは、学習機会が得られる対策では無い。学習機会を増やす方法として、以下の3つが考えられる。


1. 所有できるアイテム数を制限する
2. 所有できるレア消費アイテムの数を制限する
3.アイテムに消費期限を設ける


1. 所有できるアイテム数を制限する
所有数が制限されれば、回復アイテムもより効果の強いモノを厳選しなくてはならない。結果的に、レア消費アイテムが選択され、使う機会も増えるだろう。
ただし、所有できるアイテム数が制限されるのは、それはそれで不快である。救済策として、ドラクエのふくろや預かり所が考えられる。しかし、現状ではふくろや預かり所内で塩漬けされてしまう可能性が高い。使わせたいなら、ふくろなどからアイテム欄にオートで補充されるなどの処置が合っても良いかも知れない。


2. 所有できるレア消費アイテムの数を制限する
ドラクエにおける世界樹の葉のように、所有できる数を制限しても良い。世界樹の葉のように、消費する度に条件を満たせば、新たに手に入れられる仕様にした方が良い。この場合、本当にレアアイテムなのか?という問題が生じる。一定期間で自動補充されるシステムも同様の問題を抱えている。


3.アイテムに消費期限を設ける
無理矢理学習機会を作り出す方法として消費期限を設ける方法がある。ただし、これは一部のプレイヤにしてみれば不快なシステムであろう。序盤に、消費期限を有するエリクサーを用意し、終盤は消費期限の無いエリクサーが手に入るようになるなどしても良いかも知れない。


超回復型は、学習機会を増やし、使う動機も与えなければ、プレイヤはレア消費アイテムを使うことがない。レア消費アイテムありきのゲームデザインに変更するしかない。

ステータスアップ型

ドラクエにおける種のようなステータスアップ型のレア消費アイテムは、エリクサー的なアイテムよりは使われているのではないだろうか。それでも、使わないプレイヤーはいるが。

ステータスアップ型については、学習機会を考える必要は無いかも知れない。ステータスはレベルでも上がる。FF10のキースフィアや、ポケモンの進化アイテムも一種のステータスアップ型のレア消費アイテムだが、どのように使うかを悩むのがゲームの楽しみでもある。この手のレアアイテムは、ゲームを何度もプレイするためのフレーバーにもなっていることもあり、繰り返しプレイさせることが学習機会そのものになっている。アクションゲームやシューティングにおけるパワーアップもそのようなデザインになっている。


ステータスアップ型のアイテムは、序盤に使った方がお得である。なぜなら、終盤のちから+3よりも、序盤のちから+3の方が、アップする割合が多いからだ。つまり、見つけたそばから使ってしまった方が効果を実感しやすい。
ドラクエにおいて、ステータスのアップする種は3より登場した。3の頃には、預かり所こそあるものの、ふくろはないため、フィールドでパーティーが所有できるアイテムの数には限りがある。そのため、種を手に入れてすぐに使う機会が多いデザインになっていた。
ところが、6以降のふくろの登場により、種をしまい込む人が増えたと予想される。4や5でも馬車があるため、3に比べると死蔵される割合が増えただろうが。
また、4以降では好きなキャラクターや、ステータスをアップさせることで有利になるキャラクターに種を使いたいプレイヤーも出てくる。これにより、種を使い忘れ、死蔵する割合が増えたと考えられる。ちなみに、これはキーファの「種返せ」問題にもなるのだが…。

ドラクエにおいては、所有できるアイテム数を制限することで、学習機会を設けていたが、その制限がなくなったため、種の死蔵が増えたと考えられる。また特定のキャラクターを成長させたいという欲求もそれに拍車をかけている。
また、ドラクエの種に関しては合成の素材になったり、売った方が良かったりで、必ずしもステータスアップに使わない方が良い場合もあり、相対的にキャラクターへ使用する機会も動機も減少している。

ステータス異常型

ドーピング型と攻撃型を考える前に、ステータス異常型について考察する。

ステータス異常型のレア消費アイテムは、そもそも多くないだろう。魔法で同様のステータス異常を付与することができるし、ボスの多くは耐性を持っている。
レア消費アイテムでしか付与できないステータス異常であるとか、耐性があってもステータス異常を付与できる位の効果が無い限りは、レアで無く通常アイテムくらいの価値しか無い。
よって、ステータス異常型については考慮しない。

ドーピング型と攻撃型

ドーピング型と攻撃型はまとめて考える。

ドーピング型は、スーパーマリオにおけるスターだ。攻撃型は、マリオブラザーズにおけるPOWスイッチにあたる。シューティングのボムも攻撃型だ。これらのアイテムは、使う快感が非常に高い。RPGでも魅力のあるアイテムであり、これらについてはプレイヤーの使う動機は高いと言える。


スーパーマリオにおいてスターは取らないと、どこかに消えてしまう。つまり、消費期限が設定されている。
マリオ3NEWスーパーマリオブラザーズではアイテムを保持できまる。マリオ3においては、レアであり、役に立つのはワープできる笛や、ステージを飛んだままクリアできるパタパタの羽くらいではなかろうか。きのこなどのパワーアップアイテムは、状況を打開するほどの効果が無い故にため込みがちである。
マリオ3においてはゲームオーバーになると取得アイテムは消えるし、やり直せば何度でも取れるため使う事への抵抗感は少ないのでは無かろうか。特に、笛はプレイ時間を多く取れない場合などに有効なアイテムだ。


ドーピング型と攻撃型はプレイヤーにとって切り札であることが明示されれば、学習機会を設けなくても、率先して使われるようになる。それくらいの快感と魅力、つまり使う動機十分にある。
あまりに強すぎるとチート呼ばわりされるのと、威力が残念だとガッカリ切り札になることもあるが。


切り札としては、俺の屍を越えていけにおける、当主の腕輪のように、一つのダンジョンで一回しか使えないなどの制限であれば、シューティングのボムくらいの頻度で使われるだろう。加えて、俺の屍を越えていけでは、戦闘前にレアアイテムや経験値ボーナスが手に入ることが分かっているので、使い時が明確だ。また、死ぬとキャラをロストする可能性があるゲームバランスなのも、切り札を使う動機になる。

FF6における召喚獣は、戦闘中に一回しか使えない。また、1人に付き1つしか装備できないため、切り札的ではある。その割には、効果が微妙ではあるが…。俺の屍を越えにおける、七光の御玉のように少々使い所がテクニカルである。

変身、必殺技の方が切り札としては楽しい

さて、ゲームとしては「切り札」をドーピング型や攻撃型の消費アイテムとして用意するよりも、別のシステムに置き換えた方が爽快感が増す。変身や必殺技の方がより快感が強い。
無敵や攻撃力アップなども、消費アイテムにするよりはキャラクターの能力とした方が、キャラ付けやイベントを発生させやすい。あるいは、条件を満たせば一時的にオーバースペックで戦える等でも面白い。その代り、エネルギーを貯めるターンが必要とか、後で反動が来るなどの条件をかせば良い。ドラクエ8における、テンションシステムがまさにこれで、スーパーハイテンションになるにはターンもかかるし、運も必要だ。


FFにおいては、必殺技が切り札にあたる。FF6では瀕死時に一定の確率で必殺技は発動した。まさに、ピンチを打開する切り札である。ただし、率先して利用するにはリスクが高い。
7では攻撃を受けることでゲージが溜まるようになり、ボス戦前に備えることができるようになった。9においてはゲージが溜まる一時的に強力なアビリティが使えるようになる。8では必殺技を使える確率を上げることができる。10では頻度を上昇させることが可能。12や13にもMPなどを全部消費することで使える必殺技が用意されている。
7以降は、必殺技ありきのゲームデザインになっている。これがますますエリクサーを使わない一因でもある。

変身や必殺技、パワーアップを組み込む場合は、それらありきのゲームデザインになっている。特に変身の場合は、レジェンドオブドラグーンや白騎士物語のように変身がゲームのテーマになっていることが多い。

レアアイテムなので使う機会もレア

レア消費アイテムを使わないで抱え込むのは、使用する学習機会と動機が無いからである。プレイヤーに使って欲しいなら学習機会と動機を増やすしか無い。レアアイテムを使う動機はあるが、レアであるため学習機会そのものもがレアになることが問題となる。

レア消費アイテムとしては、超回復型、ステータスアップ型、ドーピング型、攻撃型などに分けられる。超回復型以外は、使う動機が十分に高い。学習機会を設けなくても、率先して使われることも多い。超回復型は、使う動機も薄ければ、使う機会も少ないことが多い。つまり、プレイヤーに使わせるには、使う機会と動機を増やす必要がある。
結論としては、エリクサーを最後まで使えないユーザーに使ってもらうにはどうすれば良いか。 と殆ど同じだが。

ちなみに、ステータスアップ型に関しては、どのように使う悩むことがゲーム全体、ひいては2回目以降をプレイする動機になっていることもある。そのため、必ずしも使う機会を増やす必要は無い。


使う機会を増やすには以下の方法が考えられる。
1. オートで使う
2. 全アイテムの所持数を制限する
3. レアアイテムの所有上限を定める
4. 消費期限を設ける


1. オート使う
怒首領蜂大往生のオートボム等が上げられる。プレイヤは使うタイミングを知ることはできるが、自発的に使えるようになるかは別問題である。
何度も繰り返しプレイする、アクションやシューティングならば問題は無いが、RPGの場合は勝手にアイテムを消費されるのは、それはそれで納得がいかない。


2. 全アイテムの所持数を制限する
全アイテムを持てる数が制限されれば、必然的にアイテムが厳選される。とはいうものの、昨今のゲームではアイテムの所持数を制限するのは現実的では無いかもしれない。
倉庫などを用意すると、死蔵される可能性が高くなる。


3. レアアイテムの所有上限を定める
宝箱を開けても手に入れられないなら、使っていく機会も増えるだろう。一方で、宝箱回収率などが実績になっている場合など、やや不快感を伴う。
世界樹の葉のように、特定の条件を満たせば何度でも入手可能にする手段もあるが、その場合にそれはレアアイテムというのか。


4. 消費期限を設ける
一定期間経過すると、使えなくする。ゲーム内時間や、一定のダンジョン内だけで使えるようにする。武蔵伝では、牛乳が腐って、しばらく経過するとチーズに変化するが、そのような仕様であっても面白いかも知れない。
例えば、序盤に手に入るエリクサーは腐って使えなくなるが、終盤に腐らなくなるようにすれば、エリクサーの使い方を覚えるだろう。


学習機会を増やしたしても、そもそも使う動機が無ければレア消費アイテムを使うことは無い。動機を増やす方法として以下が考えらえる
A. やり直しができないようにする
B. 実績を設ける
C. よりレアなアイテムなどをあてがう
D. より魅力的な効果に変更する


A. やり直しができないようにする
プレイヤーに時間的な損失を与える方法である。
例えば、長いダンジョン、あるいはボスが連続するなど、簡単にはやり直せない状況があれば、レアであろうが、どんどん使っていくだろう。つまり、使わないとクリアできない難易度にしてしまえば良い。


B. 実績を設ける
現在では、これが最も単純かも知れない。使う動機付けにはなるが、学習機会をセットにしなければ、続けて使われることが無い。


C. よりレアなアイテムなどをあてがう
実績と似てはいるが、より具体的に有効なアイテムや効果が得られるようにする方法。
FF5などにおけるマジックポットも、その一種。ただし、マジックポットにエリクサーを使っても本来の効果は得られない。
期間限定で、レア消費アイテムを使わないと倒せないくらいの難易度のボスが登場し、倒すと良いアイテムや効果が得られる位なら丁度良い動機付けかもしれない。レアにはよりレアを。


D. より魅力的な効果に変更する
上記の方法で改善してもプレイヤが使わないのは、その消費アイテムの効果が魅力的では無いからだ。より、有効な効果を付与すべきだ。
例えば、FFのエリクサーはHPとMPの全回復の他に、戦闘不能からの回復を付与しても良いだろう。あるいは相対的に、魅力を上げても良い。HPとMPを同時に一桁にする敵がいれば、エリクサーの価値は相対的に上昇する。
また、ドラクエにおけるマダンテのようにMPを完全に消費する攻撃方法が存在すれば、エリクサーを使う頻度も増えるだろる。FF12ミストナックなどはそのような仕様である。


上記の他に消費アイテムとしてではなく、他のシステムとして組み込む方法もある。むしろ、その方が楽しくなる場合が多い。変身や必殺技などがそれにあたる。ドーピング型のアイテムを用椅子よりかは、能力によりパワーアップした方が燃えるのである。