相方=パートナーと考えていただければ良いのではないでしょうか

私も、彼氏や彼女や恋人、あるいは配偶者を「相方」と呼ぶのは違和感がある方だ。しかし交際相手を意味する言葉として「彼氏」や「彼女」、または「恋人」と呼ぶのが適切かと問われれば疑問もある。彼氏と彼女のキーワード史 によると「彼氏」や「彼女」が交際相手を意味するようになったのは昭和初期頃からのようだ。「彼氏」や「彼女」も隠語みたいなもので、恋人や夫を「相方」と表現すること における「相方」が隠語云々という件は、やや的外れに感じられる。一方で、「恋人」はなかなかこっ恥ずかしいものがあるし、長く付き合っていてると「恋」よりも「情」が湧いてくるものだ。

「相方」が交際相手としては、中途半端に聞こえるのは友達やその他の意味にも使われるからだろう。「相方」だけでは、付き合ってる相手のことなのか、よくつるむ友達のことなのか、はたまた弟のことなのか*1はっきりしない。これが交際相手を意味する「相方」を用いる点の違和感だが、一方で「彼氏」、「彼女」あるいは「恋人」と表現するのが適切で無い、つまり違和感を覚える人にとっては「相方」くらいしか適当な言葉がないのだろう。
辞書的な意味における、相方は「一緒に物事をする人」なので、交際相手として「相方」を用いるのは問題ない。相方、および合方は恐らく芸事で使われた言葉で、最近は漫才などお笑いコンビが使いことが多いだろうか。そのため、交際相手を「相方」と呼ぶ場合に「漫才でもやるの?」とツッコミが入ることもあるが、「相方」は何も漫才に限った言葉ではないので、無粋な返しである。ちなみに、あいかたは遊里における客から見て相手の遊女を指す場合もある。この場合「敵娼」とも書かれるが、芸事で使われた相方を隠語的に持ってきたのではないかなと考えられる。

「相方」と似た言葉としては「ツレ」がある。「ツレ」も交際相手あるいは友達を意味する。夫婦のことを「連れ合い」とも言うが、交際相手を「連れ合い」と呼ぶのはさすがに違うかなと感じる。また、夫婦であっても「連れ合い」は長く付き添ったイメージが有る。「連れ合い」には行動を共にする人との意味があり、「相方」と共通する点が多い。

交際相手を意味する言葉として「パートナー」がある。パートナーはもちろん、交際相手に限った言葉ではなく、仕事上のパートナーなど協力関係にある人や団体などに用いる。この関係性は「相方」に通じるものがある。英英辞典をひくと、一番最初に交際相手や夫婦などの関係が出てくるが、他の意味を見ても、仕事上の関係や、ダンスなどの相手役などの意味もあり「相方」と共通する点が多い、

1. one of two people who are married, or who live together and have a sexual relationship
2. one of the owners of a business
3. someone you do a particular activity with, for example dancing or playing a game against two other people
4. a country or organization that another country or organization has an agreement with:

「パートナー」の訳語として「相方」を捉えれば良いのではないだろうか。そう考えると、個人的には交際相手を「相方」と称することの違和感が少なくなった。ただし、はてなブックマーク - 恋人や夫を「相方」と表現すること を見ると「パートナー」にも違和感がある人がいるようだ。ただまぁ、これはお互い様の問題で交際相手を「パートナー」と称することに違和感がある人もいれば、「パートナー」以外に適切な言葉がないと感じている人もいるという話だ。あんまり関係ないけども、電車ではないディーゼル車を気にせず電車と呼ぶ人もいれば、気になって仕方がない人もいるくらいの話だ。ちなみに、私は後者である。
はてなブックマークでは「同居人」にも違和感がある人もいるようだが、同棲しているならば適切な言葉なんじゃないかなぁと感じる。