補章 まおゆうの生まれた背景

まおゆうが生まれた背景をメモ書き程度に

2ちゃんねるにおけるショートストーリー

2ちゃんねるにかかるお話系として代表的なものは「電車男」のような現在進行形式の作品で、その後も「痴漢男」など様々な体験が誕生しています。また、現在進行形式ではなく、自分の過去の体験をまとめて書く形式もあります。例えば、「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」など。体験談意外にも、「やる夫で学ぶ」などのAAなどを使ってストーリーや教養を説明するものなどがあります。その中の一つでオタク的なものとして、新ジャンル○○やハルヒエヴァなどの二次創作があります。共に共通しているのは、まおゆうのようにというかまおゆうがその形式に乗っとているのですが、登場人物名とセリフだけで話が進行すること。二次創作の場合は既にキャラクターが固定化されているから、セリフだけでも話を読めるし、作る法としても作りやすい。新ジャンル○○とは、ギャルゲ的な女性の萌え要素を抜き出した物語。こんな女性かわいいよね、とキャラクターを説明する物語だから、むしろキャラクター名はなくても良い。
Togetter - まとめ「「魔王 勇者」でGoogle検索すると……」橙乃ままれさんが語るように、ドラクエ的な勇者と魔王を中心に据えた物語もいくつか存在した。勇者「魔王…降参する」 も勇者と魔王が結託する物語である、短いがSFじみていて面白い。王「本気で魔王倒す」勇者「えっ?」 は、もし人間が本気で魔王を倒すことにしたら、という物語だ。共に、まおゆうの卵的な物語だなと感じる。また、新ジャンル○○で行われてきたセリフだけでキャラクターを滲み出させるという手法はまおゆうでも行われている。これらの流れがなかったら、まおゆうは生まれなかったのでしょう。
新ジャンル○○や二次創作系に共通しているのは、スレッドタイトルがそのままタイトルというか通称になるところ。魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」スレタイのままで、名無しの物語である。今後書籍化されるに当たり、タイトルがどうなっていくのかも見所ですね。

ドラクエ的世界観

2ちゃんねる的にセリフだけで話を展開するためには、世界観がある程度知られていなくてはならない。ドラクエ的な話をするならば、ドラクエ的な世界観が暗黙の了解として存在しなければならない。まおゆうが可能だったのは、ドラクエ的な世界観が我々の中に当然のように存在したからだろう。
それを証明するように、昨今では当たり前のようにドラクエ的な世界観をを下地にした魔王対勇者を描くゲーム作品がある。例えば、「勇者のくせになまいきだ」。ドラクエに限らず和製RPG的なもののパロディで随所に小ネタが仕込まてている。内容は、魔王となり勇者を倒すためにダンジョンを作り上げるパズルゲームだ。同様に、3Dドットゲームヒーローズもやはりドラクエありきである。あるいは、勇者30。勇者30は30秒でレベルを上げて、アイテムを集めて、魔王を倒すゲームだ。魔王30もあり、こちらは30秒で人間たちを倒して行くゲーム。勇者や魔王が説明になしに当たり前に存在するのはドラクエがあるからだろう。
ドラクエ的な世界観がいかにして育てられたかを考える際に外せないのは、「知られざる伝説」、「モンスター物語」、「アイテム物語」そして「精霊ルビス伝説」といった書籍である。ドラクエは国民的なゲームであるが、ゲームだけで世界観をイメージするのは難しい。そこで、攻略本や先に上げた書籍により補強されることでドラクエ的世界観が確固たるイメージを確立したと言えるのではないだろうか。
また、ドラクエ4コマ劇場もドラクエ的世界観を広めるのに一役買っていたのではないか。ドラクエ3の場合、決まった名前がないため、「勇者」や「魔法使い」などとそれぞれの職業名でキャラクター同士が呼び合っていました。そういえば、登場人物を判官とか役職で呼ぶのはふつうのコトではあるんですけどね。

異種族との出会い

まおゆうは、異種族と人間が出逢ったらどうなるのかという物語でもある。
Togetter - まとめ「幽白からハンタまで連続しているテーマの話」 にて幽遊白書レベルEもHUNTERXHUNTERも、異種族と人間が出逢ったらどうなるのかが描かれている。ただし、まおゆうと異なるのはその人間を捕食できる種族を相手にしているところ。もしまおゆうの魔族に人間を捕食するような種族がいれば、全く違う物語になっていただろう。
人間を捕食する種族を描いた作品といえばミノタウロスの皿を思い出す。主人公は牛頭の宇宙人の住む星に不時着する。そのミノタウルス風の宇宙人は人間とよく似た種族を捕食する。このミノタウルス風の種族と人間に似た種族は共に意思疎通が可能。でも、補色関係にあるし、人間に似た種族は食べられることを光栄なことだと思っている。なんともグロテクスな話で、主人公はある少女を救おうと奮闘するのだが・・・。