つぶやきは誰のもの? どうRTするのが良いのか考えてみた

0. 序にかえて、公式RTのあまり知られていないかもしれない仕様

本稿は公式、非公式を含めて勝手にRTしても良いのか考察し、次にRTの種類を分別し、それぞれのRTがどのような意図で使われているのか考察。そしてRTの種類を元に、どのようにRTするのが望ましいのか考えてみた。ただし、どのようにRTするのかが望ましいかについては、僕自身がこうするのが望ましいと考えているだけなので、これが絶対に正しいのだ!ということではありません。

さて、このエントリは、公式RTが抱える問題点: 304 Not Modified に触発されて書いたのだけど、僕は使用環境が英語なので公式RTが問題であるとはあまり感じていないし、コメントを付けない場合は公式RTを使うようにしている。
ちなみに、あまり知られていないかもしれない公式RTの仕様として、ブロックされたユーザーのTL上にブロックしたユーザーのつぶやきが流れるというのがある。あまつさえ、その発言をRTできる。僕は、池田信夫 (ikedanob) on Twitter にブロックされているのだけど TL上に発言が流れてきてびっくりしたので、確認すると公式RTでした。試しにRTしてみるとなぜかできて二度びっくり。
ちょっと分かりにくいので、A、B、Cさんで説明する。AさんはBさんをブロックしている。つまり、BさんのTLにはAさんのつぶやきは流れてこない。BさんはCさんをフォローしている。この時、CさんがAさんのつぶやきを公式RTすると、本来見えるはずの無いAさんのつぶやきがBさんのTL上に流れてくる。その上、Bさんは本来ブロックされたAさんの発言を公式RTすることが出来る。
もしかしたら、設定次第で公式RTもBさんのTL上に流れないようにブロック出来るのかもしれないけども、ブッロクの仕様を考えると、これがデフォルトの設定となっているのはおかしいだろう。

1. 公式、非公式を含めて勝手にRTして問題ないの?

他人のつぶやきをRTしても良いのか、さらにはまとめサイトに勝手にまとめちゃっても良いのか、という見解が調べても無かったので、僕の考えうる限りでまとめる。

先ずは twitter のつぶやきが著作物に該当するか否か。つぶやきに著作権が認められるならば、勝手に転載してはいけない。
一般に、短い文章に著作権は認められない。例えば、キャッチコピーやスローガンなどは短く普通に使われる言葉を商品や運動などに組み合わせただけで、その組み合わせが独創的でもアイデアとみなされるので著作物ではない。しかし、短文と言っても31文字の短歌や17文字の俳句は著作権法における著作物の定義である「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」に該当するので著作物である。俳句と同じ五七五調の交通標語は著作物と認められるケースもある。また、古文単語を暗記するための語呂合わせもケースバイケースではあるが、著作権が認めらることがある

以上のケースのように、短文であっても著作権が認められることもあるが、かなりの独創性がない限り、日常的に使用される言葉を組み合わせただけの文章とみなされ著作物として認められることはないだろう。短い文章に著作権を認めていたら、何も発表できなくなってしまうからだろう。
twitter のつぶやきは最大140文字である。140文字もあれば著作権が認められる文章が書けそうである。100文字作文などがあるくらいだから、独創性が認めらるかもしれない。しかしながら、全てのつぶやきが100文字以上というわけでもないし、独創的な文章というわけでもない。日常的に使用される言葉を組み合わせただけのアイデアの羅列、あるいはそれに満たないものもある。つまり、twitter のつぶやきに著作権が認められるか否かはケースバースケースであるとしか言えないのである。ただし、連続したつぶやきで、例えばツイッタ小説などには著作権が認められやすいかもしれません。あるいは@の交わしあいによる議論なども。

つぶやきの著作権は曖昧なので、twitter利用規約を見てみよう。twitter利用規約のユーザーの権利の項を見てみよう。

ユーザーは、ユーザーが本サービス上に又は本サービスを通じて提出し、送りあるいは表示する一切のコンテンツに対する権利を保有しています。ユーザーは、本サービス上に又は本サービスを通じてコンテンツを提出し、送り、又は表示することにより、一切の媒体又は配付方法(現在知られているものであると今後開発されるものであるとを問わず)においてかかるコンテンツを使用し、コピーし、複製し、加工し、改作し、変更し、発表し、送信し、表示し、配付するための世界的な通常実施権を(再実施権を付けて)弊社に対して無償で許諾します。

Tip:この実施権は、ユーザーがTwitter上で述べたことを弊社が全世界に配信することと他者にこれをさせることをユーザーが弊社に対して許可するというものです。しかし、ユーザーのものであることには変わりはなく、ユーザーのコンテンツの所有権はユーザーにあります。

翻訳の文章なので、非常にわかりにくいが twitter でのつぶやきの所有権はユーザーにあると書かれている。ここで、著作権ではなく所有権と書かれているのは、先に説明したように twitter のつぶやきが140文字と短く、著作権が成り立ったり成り立たなかったりするからではないだろうか。
つぶやきの所有権はユーザーにあるけれども、ユーザーはつぶやきをありとあらゆる方法で配布することを、twitter社に対して承諾しているとある。この規約は、RENEGADE COPYRIGHT WAVE で津田さんが指摘するように、twitter に関する外部サービスにおいてユーザーのつぶやきを勝手に表示しても良いよ、という意味だろうか。例えば、ふぁぼったー に勝手にユーザーのつぶやきを表示しても良いよと。で、外部に表示させる際にはAPIを用意しているから、APIを利用しろと。APIを利用すれば、自分のつぶやきやTLを自身のブログに表示させても問題ない、ということでもあるのだろう。
APIのルールには以下のような文面がある。

Get permission from the user that created the Tweet if you want to make their Tweet into a commercial good or product, like using a Tweet on a t-shirt or a poster or making a book based on someone’s Tweets.

「商業的な製品を作る場合は、つぶやいや本人に承諾を得よ」という意味の文章だと思うのですが、商業的な利用でなければつぶやいた本人の承諾を得なくても転載できるとも取れる。これを広大解釈すると、取得したつぶやきを勝手にRTしてもよいし、サイトにまとめても良いとも取れる。

著作権としても曖昧ですが、規約にしてもなんか曖昧だなという感じ。勝手にRTされたり、サイトにまとめられるのが嫌な人はいるものの、声を荒らげてRTは禁止すべきだとか、勝手にサイトにまとめるな、という意見が多くはないので、現状ではなんとなくOKって空気になっていると考えて良いのかもしれない。
また、非公式RTされ場合つぶやきの所有権はユーザーにあるので嫌といえる根拠もあるといえる。しかしながら、現状では block した方が早いかもしれない。

2. RTの種類

勝手にRTしても良いのか結局曖昧なのですが、本項ではRTをいくつかの種類に分類してみた。公式RT非公式RTなどの違いは、Twitterの公式RT、非公式RT、QTの違いを分かりやすく図で描いてみた を参考にして頂きたい。

  • 公式RT
  • 非公式RT(QTを含む)
    1. コメントなし非公式RT
    2. コメントあり非公式RT
      • あるユーザーのつぶやきの感想
      • あるユーザーのつぶやきへのツッコミ
      • あるユーザーのつぶやきにおける質問やアンケートの回答
    3. 多重非公式RT
      • コメントなし多重
      • 挨拶、会話による多重
      • ネタによる多重あるいは、多重することが目的
  • in_reply_to_status_idによるQT
コメントなし非公式RT

コメントなし非公式RTが本来の使い方であろう。あるユーザーのつぶやきを皆に広めるために行うのが主である。@による返信では、言及した相手をフォローしていないとTLに流れないが、RTと文頭につけることで、フォローしているユーザー全員のTLに流れる。mentions によりRTされたユーザーにRTしたことを伝えることもできる。RTされたことの確認方法や、TLの流れ方が異なるものの、公式RTはこの仕組が元になっている。有用な情報や、イベント開催などをRTすれば、多くのユーザーに周知させることができる。

コメントあり非公式RT

しかしながら、コメントなしでRTした場合、RTした意図が伝わりにくい。イベントの告知をRTしても、あなたはそのイベントに参加するのかと。あなたが参加するなら行ってみようかなという人もいるだろう。興味深いつぶやきをRTしているが、あなたはどんな意図でRTしたのかと。RTされた側も mentions で確認できるが、あなたはどうして俺の、僕の、私のつぶやきをRTしたのかと。そこで、RTの前に自分の感想を書けば、RTした意図がわかる。ソーシャルブックマークなどにおけるコメントに近い感覚で、RTされたユーザーだけに向けたコメントではないだろう。あるつぶやきに対する感想を、そのユーザーに伝えていなら@返信を使えばよいのだから。
RTでコメントすることにより、さらに面白い使い方ができる。それがRTによるツッコミであり、回答である。あるユーザーのとぼけたつぶやきに対してツッコミを入れる場合、@返信で個人的にツッコミを入れることも可能であるが、自分のフォロワーにそのボケとツッコミの流れを見て欲しい場合はコメントあり非公式RTが便利である。また、大喜利やアンケート等も通常の@返信で回答できるが、非公式RTでコメントすることで、お題やアンケートを広めながら自身もそれに応える事ができる。

多重非公式RT

非公式RTが重なることもある。コメントなし、あるいはコメントが短い場合は、どのような経路をたどってRTされたかが分かって面白い。tumblr の reblog の仕様に似ている。公式RTではRTしたユーザーを見ることができるが、それがどのように伝わっていったかまでは分からない。これは非公式RTならではの面白さかもしれない。また、自身のつぶやきに関して自身がフォローしてないユーザーがRTを重ねた場合、自分のネタに反応してくれたわけで、僕としては新たなフォローのきっかけになることもあるので嬉しいですね。
挨拶や会話でも多重RTになることがある。この挨拶や会話による多重非公式RTは見苦しいので嫌いだという人もいるようだ*1。多重RTが嫌われるのは見た目の問題もあるが、自分のあるつぶやきがRTされ、他のユーザー同士が多重RTで会話しだしたら、自分には関係ないのに mentions に表示されるわけで、鬱陶しいと思う人もいるだろう。挨拶、特にお祝いの多重RTも心がこもってないと思う人もいるだろう。

RTを重ねる事自体が目的、あるいはRTが連鎖される事を目的としたつぶやきもある。例えば、RTの数だけバーガーキングの肉追加します まとめ など。○○ふぁぼいったら○○する未達成リスト のように、n ふぁぼいったら○○するみたいな感じですね。あるいは、あるボケに対してひたすら被せていくとか。以前僕がやってたのは、viratter - lastlineさんのRTツリー のように「赤レンジャイ」。ダウンタウンのごっつええ感じのコントが元で、「○レンジャイ」とコメントしてRTしてくれると、僕個人としては嬉しい。未だかつて、全色揃ったことはない。この赤レンジャイに反応してくれた人を新たにフォローしたりしました。

in_reply_to_status_idによるQT

in_reply_to_status_idによるQTでは、@返信と同様にQTしたユーザーとされたユーザーの両方をフォローしていないとTL上に流れません。in_reply_to_status_id により発言元をたどれる利点があるものの、自分をフォローしていない人に伝わらないので、つぶやきを広める意味での Retweet とは意味合いがやや異なります。つぶやきの拡散を限定したいとか、あるいは先に述べた会話用途での意味合いが強いかもしれません。

3. 非公式RTは引用か転載か

RTの種類を分別したので、どのようにRTするのが望ましいかを考える前に、非公式RTは引用なのか、転載なのか著あく件に準じて考えてみよう。

引用とは、狭義には著作権法に基づいた要件を満たして他人の著作物を自身の文章の中で用いること。転載は、著作物などの複製を他の著作物などに掲載すること。

短い文章は、ほぼ全文を引用しなければ意味が通じない。例えば、俵万智の短歌である「この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日」は著作物だが、引用する際は全文を引用しなければ歌の意味がとれないし、短歌にあるリズムもつかめない。勿論この短歌は有名であるから「サラダ記念日」だけでも通じるが、あまり有名でない短歌・俳句の場合はどうだろうか。また「サラダ記念日」は短歌集の名前でもあり、混乱が生じる。短文を引用する場合、全文を引用することがほとんである。
引用するためには幾つかの条件を満たす必要がある。一般に、引用する必然性があり、引用された文章が主ではなく、従の関係になくてはならない。非公式RTにおける主従の関係は、コメントが無ければ言うまでもなく、コメントがあっても殆どの場合非公式RTされた発言が主であろう。また引用する必然性も無い。よって、ほとんどの非公式RTは引用に当たらず転載となる。非公式RTが転載であるとするならば、QuotedTweet あるいは QuoteTweet を略したQTは意味合いとしておかしいのではないかと思います。転載は英語で reprint で印刷物を転載するから reprint。tweet ならば Retweet になるのはなるほどで、tumblr が reblog となっているのは re にそういう意味があるのですねと。

大部分の非公式RTは転載に当たる。著作物を著作者ないし著作権者に断りも無く転載することはできないが、twitter のつぶやきは著作物としても曖昧で、規約の解釈によっては転載可能であるっぽい。また、賛否両論、好き嫌いはあるものの非公式RTtwitter に根づいてしまっているのもまた事実。非公式RTが根づいてしまった理由は色々あるだろうが、やはり twitter の特性、つまりつぶやきが140文字制限であり、TLが流れる即時性に依るとことが大きいだろう。転載する場合、転載元を明記するのが基本で、つぶやき一つ一つにパーマネントリンクがあるのだから、RTするつぶやきのリンクを掲載するべきである。しかしながら、140文字なのでURIを入れるとスペースが無くなる。URIだけを書いても、URIをクリックしてもらえるとは限らない。TLの流れも速いので、不完全ではあるが @id で転載先を示し全文転載という手法が一般的になってしまったのかもしれない。
つまり、twitter の即時性と140文字制限から、転載である旨を retweet を略した RT で明記し、転載部分を RT: 以下であるとし、転載元は不完全であるが @id で表そうという約束事が自然と形成され広まったのだろう。

4. どのように非公式RTするのが望ましいのだろうか

書く必要はないかもしれないが、プロテクトユーザーの発言を非公式RTしたらダメでしょう。web なら鍵マークが見えるし、クライアントでも確認できるのだから。
殆どの非公式RTは転載である。引用ではないが、転載する場合も転載元を掲示し、転載部分を明確にしなければならない。転載部分に関しては、QTを含めて非公式RTの記述方法ならばRT以下が転載部分であると明確である。非公式RTの場合、問題となるのは転載元の掲示。転載元のつぶやきを明示する方法として、非公式RTが抱える問題点 などで推奨されるように、in_reply_to_status_id を用いる方法が考えられるが、先にも述べたようにこの方法は発言元をたどれる利点があるものの、つぶやきを広めるという意味での Retweet とは仕様が異なっている。だからと言って、@id では不完全であるし、URIを記載するはスペース的に厳しい。twitter の各ユーザーのつぶやきのURIhttp://twitter.com/id/status/########## (#は数字) となっています。非公式RTする際に @id で誰が発言したかのかは分かるのですから、status/ 以下の数字を併記するのは手かもしれません。例えば、「RT @id /#########: 〜〜」みたいに。現在10文字なので、短縮URIよりは短いのではないでしょうか。
また、転載する場合、転載する文章を断りもなく加工してはならない。非公式RTの場合は、140文字制限で元のつぶやきが削れることがある。特にRTが重なるとしばしば起こる。しかし、つぶやきが削れると文意が変わってしまう恐れがあり望ましいことではない。転載の転載も望ましいことではないので、多重RTで元のつぶやきが削れる場合は、間にあるユーザーの id やコメントを削った方がよい。また、自分のコメントを入れて非公式RTしたら文字数オーバーの時は自身のコメントを削るか、好ましくはないがどうしても元のつぶやきを削る場合には、(前略)(中略)(後略)など略した旨を記した方が望ましいだろう。

5. まとめ

  • つぶやきは誰のもの?
    1. 140文字制限から、著作権はケースバイケース。
      • 独創的かつ創造的ならば、140文字以内でも著作物になる可能性はある。
      • 多くのつぶやきは文章も短くアイデアに過ぎないので、著作物とは認められないだろう。
      • 連投された一連のつぶやきや、@返信による意義のあるやりとりは著作物になりやすいかもしれない。
    2. 規約上、つぶやきの所有権はユーザーにある。
      • 外部サービスが、ユーザーのつぶやきを利用、再配布してもよい。
      • つぶやきを商業的に利用する場合、つぶやいたユーザーに許可を取らなければならない。
      • ならば商業的に利用しなければ、ユーザーに許可を取らずに勝手に使っても良い?。
    3. 以上から、勝手に非公式RTされ場合、嫌だと表明できる。けれども、block した方が早いかもしれない。
  • 非公式RT(QT含む)は著作権に準じた引用?転載?
    1. 短文は全文引用しなければ意味が通じない。
    2. 引用部分はRT以下と明確で、不十分ではあるが @id で引用元を辿る事が出来る。
    3. しかしながら、引用するには、引用する必然性がなければならない。
    4. また、引用する側が主で、引用される側が従でなければならない。
    5. 以上から非公式RTは引用の要件を満たさないので転載に当たる。
  • どのように非公式RTするのが望ましい?
    1. プロテクトユーザーは非公式RTしない。
    2. つぶやきを広めたいなら公式RTを使う
      • ただし、英語ユーザーでしか使えないなどの問題もある。
    3. 元つぶやきを断りも無く加工・改変しない
      • 特に、削らない。削る場合は削った旨を書く。
      • コメントして、元つぶやきが削れる場合は自分のコメントを削る。
      • 多重RTで削れるならば、間のユーザーidを削る。
    4. 可能ならば、元つぶやきのURLを挿入
      • ただし、140文字制限から厳しいこともある。
      • また、"in reply to" によるRTは、発言を広めるという意味でのRTとは仕様が異なる。
      • そこで、つぶやきのパーマネントリンクである http://twitter.com/id/status/########## の status/ 以下の########## を併記するのはどうだろうか。
    • 多重RTは極力使用しない。
      1. @返信ですむことは@返信で。

ただし、僕自身がこうするのが望ましいと考えているだけなので、これが絶対に正しいのだ!ということではありません。