どうして、赤+青=紫になる?&信号機の「進んでも良い」は青?緑?

全体として大雑把な説明なので詳しく知りたい方はリンク先や各種文献を参考にして下さい。

色の波長

光は電磁波の一種であり、テレビや携帯電話に使われる電波、暖かい赤外線、お肌の大敵である紫外線、レンドゲン写真に用いられるX線も同じ光です。その中で、人間の目で見ることのできる光は可視光と呼びます。光は波なので、波長や振動数で分けられます。電波は振動数で区別されることが多いですが、可視光や紫外線は波長で区別されます。X線になるとエネルギーにより区別されることが多い。可視光の波長は一般に380〜780 nm で380 nm よりも波長が短いと紫の外で紫外線、780 nm よりも長いと赤の外で赤外線となり人間の目には見えません。
自然光は白ですが実際は様々な色が混ざっています。波長により屈折率が異なるのでプリズムなどによって分けられます。虹は太陽光の色が水滴などがプリズムの役割を果たしてみることの出来る自然現象です。虹の7色を「赤橙黄緑青藍紫」と覚えている人も多いでしょう。ただ、これは文化によるので違う国では虹は5色だったりします。「赤橙黄緑青藍紫」はそれぞれ光の波長が異なります。色のそれぞれの波長は以下のとおり。

  • 780 nm 〜 610 nm:赤
  • 610 nm 〜 590 nm:橙
  • 590 nm 〜 570 nm:黄
  • 570 nm 〜 500 nm:緑
  • 500 nm 〜 460 nm:青
  • 460 nm 〜 430 nm:藍
  • 430 nm 〜 380 nm:紫

ただし、文献により色の分け方は異なります。

色を見るメカニズム

人間は網膜に映った光を光受容細胞で感知しその刺激を脳に送って物を見ています。色は錐体と呼ばれる視細胞を用います。錐体はそれぞれ、赤色に反応するL錐体=赤錐体、緑色に反応するM錐体=緑錐体、青色に反応するS錐体=青錐体がある。L, M, SはLong, Middle, Shortで波長の長さで赤いが一番長い。光の3原色である、赤緑青=RGBに対応しています。テレビ画面やPCの画面は光の3原色を用いています。HTMLの色指定も、#nnnnnnで左から2個づつ赤、緑、青ですね。
赤、緑、青錐体がそれぞれ刺激を受けて色を検知しています。波長が700 nm の光を見れば、赤錐体が反応しその刺激が脳に送られ「赤を見た」と認識します。赤、緑、青はそれぞれの錐体が反応すれば知覚することが出来ますが、そのほかの色はどうやって認識するのか。例えば、トンネルなどに使われるナトリウムランプは波長が 589 nm の光であり黄色に見えます。この時、波長として黄色は赤と緑の中間なので、赤と緑の錐体の二つが反応します。脳は、赤と緑の錐体が反応した際に「黄色を見た」と認識します。つまり、錐体の刺激の足し算により色を認識してます。逆に考えると、脳が赤と緑の錐体の刺激を受け取っても「黄色を見た」と認識します。つまり、赤と緑の光が網膜に映り赤と緑の錐体が反応すれば、黄色の波長の光を見なくても脳は「黄色を見た」と思うわけです。これが、テレビなどのディスプレイの原理です。テレビなどを拡大すると赤と緑と青の粒々が見えます。この粒々からの光の強さを調整することで様々な色を再現することが出来ます。つまり、光の3原色である赤・緑・青を足し合わせることで様々な色を調整することができます。

ちなみに、トンネルでナトリウムランプが使われるのは黄色が視認性が良く、メンテナンス上有利だから。

ところで、色の3原色は、赤黄青と言われますが厳密には、明るい青であるシアン(Cyan)、明るい赤紫のマゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)です。CMYKのCMKに相当し、このときKは色調であるKey tone の意。印刷系においてRGBでは全ての色が表現できないためCMYKを用います。

純色の紫と混色の紫

色は光の波長によって分けられています。人間の目には、赤、緑、青と光の3原色に対応する錐体がありこれらの刺激の足し算により色を認識している。
それぞれの錐体は以下の波長の光に反応します。

  • 700 nm 〜 500 nm:L錐体=赤錐体
  • 600 nm 〜 500 nm:M錐体=緑錐体
  • 500 nm 〜 400 nm:S錐体=青錐体

さて、紫は 380 nm 〜 430 nm の可視光です。青錐体が反応できる外にあります。人間は一体どのようにして紫を認識しているのでしょうか。また、赤と青の光を混ぜると紫色が見えますが、光の波長を考えると赤は 700 nm で青は450 nmです。先の色の足し算で考えると真ん中の緑とか黄色になりそうですが実際は違います。また、紫は青よりも波長が短いので色の足し算で考えると何だかおかしなことになりそうです。どうして、赤と青を混ぜると紫に見えるのでしょうか。

実は、三原色 の図2-2-4 視細胞の感度の模式図に示されるように、紫色の波長の光を見たとき赤錐体も若干ながら反応します。つまり、紫色の光が網膜に入ると、青錐体と赤錐体が反応しその刺激が脳に伝わって「紫を見た」と認識する分けです。つまり、紫色の波長を認識する際に、赤と青の錐体が反応しているのです。この時、先ほどの黄色と同じように赤と青の光を同時に見たときどうなるでしょうか。これも先ほどと同様に、赤と青の錐体が反応します。脳は赤と青の錐体が反応した時は「紫を見た」と認識するので、結果として赤と青を混ぜると紫に見えるのです。

人間の目に仕組み上、「紫色の波長を見たとき」と「赤と青が混じった光を見たとき」の両方で「紫」が見えるます。この人間の目の仕組みと、実際の光の波長との違いによりデジカメは紫が苦手なのです。デジカメのセンサは 380 nm 〜 430 nm のみの光を紫色として検知しますが、人間の目は赤と青の混色も紫と認識します。そのため、人間の目には紫に見える赤と青の混色をデジカメは青のみ検知してしまうわけです。ただし、カラーフィルターなどを人間の目に対応させれば紫色もきちんと撮影できます。

信号機の進んでも良いは「青」、それとも「緑」?

ちなみに信号機の「進んでも良い」は「国際照明委員会」の取り決めでは「緑」。英語圏でも"green signal"と呼ばれるのが普通。アニメなどでカタパルトなどで射出する際にも「進路クリアー、オールグリーン」と言いますし。というわけで、1930年5月、日比谷交差点に設置された日本で最初の電機式信号は「赤・黄・緑」でした。法令上も「緑」だったのですが、マスコミなどが「緑」を「青」と表現した結果、「青」の方が一般的になり1947年法令上でも「青信号」と呼ぶようになりました。
「緑」が「青」と呼ばれた理由は色々考えられますが、元々日本人が「青」と「緑」を区別せず、「緑」を「青」の一部だと考えれいたからでしょう。例えば、新緑を「青々とした」と表現したり、緑色の野菜も青野菜と言ったり。これは古代の日本の色が「白黒赤青」しかなかったから。白と黒は明暗で、赤と青が濃淡。赤が熟した色で、青は未熟な色。ちなみに、和語で「白黒赤青」以外の色の名前は必ず語尾に色が付く。語尾に「色」が付かない限り色の名前にはならない。
さて、現在の信号機の「青」の波長は青緑あるいは碧色なので、波長が 500 nm 付近の光だと考えられる。500 nm 付近は青と緑の境目に当るため、青が強めに見える人は「青」に見え、緑が強めになると「緑」に。また、同じ人でも信号機や周囲の光の具合などにより「青」に見える場合もあれば「緑」に見える場合もあるのだろう。元々、「緑」だったものが日本語の慣例から「青」と呼ばれ法令まで代わってしまい、さらに色覚障害に配慮して緑色を国際基準から逸脱しないぎりぎりまで青色に近づけた色に変更されてしまっているという背景から、信号機の「進んでも良い」は「緑」とも「青」のどっちつかずな色になってしまったようです。

まとめると、信号機の進んでも良いはに本の法令上は「青」。しかし国際ルール上は「緑」。実際目で見た場合、多くは「青緑」であり人や環境により見え方が異なる。

ついでに、「進路クリア、オールグリーン」ついでに、エヴァの使徒と判定される波長パターンは「青」ですが、その元は東宝映画『ブルークリスマス BLOOD TYPE:BLUE』であるらしい。

まとめ

  • 人間の目には赤・緑・青に反応する錐体がある
  • 原色以外は二つ以上の錐体の刺激により色を認識している
  • 紫色は赤と青の錐体が反応することで認識している
  • 赤と青は光の波長として混ぜても本来紫にならないが、人間の目の仕組み上紫に見えれいる
  • デジカメは人間の目の仕組みと異なるので、紫に弱い
  • 信号機の「進んでも良い」は国際ルール上「緑」
  • 戦前の法令では「進んでも良い」は「緑」
  • しかし、日本は「緑」を「青」と表現するため一般的には「青」と呼ばれていた
  • 戦後、法令上も「青」となる
  • 現在では色覚異常者にも配慮し青もに近づけてた緑
  • 光の波長的にも、青とも緑とも認識できる色なので、「青」にも「緑」にも見える場合がある