モデルナとの関係で供給量を発表できないって本当?

河野大臣とモデルナ製ワクチン4000万回分 - 最終防衛ライン3

2021年6月1日

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月1日 - 内閣府
モデルナ製ワクチンが上半期で4000万回分供給されるとの情報を否定。実際の供給量は「モデルナとの関係で対外的に公表しないことになっております。」と明言せず。
職域接種の開始に伴い、モデルナ製ワクチンの使用量も増えるはずだが十分に供給できるのかという質問に対しては「現状では配るほどあります。」と返している。

2021年6月25日

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月25日 - 内閣府
職域接種の申請を休止。自治体の大規模接種に関しても「調整」が必要と述べる
改めてモデルナ製ワクチンが上半期に4000万回分供給される件を否定。
ただし、新型コロナワクチンの開発状況について|厚生労働省 など政府情報が修正されていない。(指摘)

2021年7月6日

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月6日(後半) - 内閣府
モデルナ製ワクチンが上半期に1,370万回分供給されたと明言した。
供給量はモデルナ社との協議の結果。また、モデルナ製ワクチンの世界的需用が強かったためと説明。供給量はゴールデンウィーク頃には判明していた。

2021年7月13日 東京新聞報道

ワクチン接種混乱 河野氏「供給追いつかなかった」不手際認め陳謝 自治体「はしご外された」と批判:東京新聞 TOKYO Web
接種スピードが予想よりも早かったと弁明。
一日100万回を想定していたが、実際は140万回ペースであった。
モデルナのワクチン供給量が減った理由とそれを公表しなかった説明として、ファイザー製ワクチンを輸入するためと述べた。
モデルナの供給を後ろ倒しにすることで、EUの輸出規制を受けない範囲でファイザー製ワクチンを輸入できるよう交渉したとの説明。

私見

ファイザー社もモデルナ社もワクチンの供給に関する情報の公表には非常に敏感です。
知の崩壊? | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

ファイザー社およびEUと交渉する際に、モデルナ社からの供給量を両者に伝えているのだが、この件に関してモデルナ社は把握しているのだろうか?(疑問)
つまり、供給量に関してはモデルナ社との関係で公表しないとしているのに、第三者でるファイザーEUに公開しても問題ないのだろうか。(疑問)

河野大臣は上半期でモデルナ製ワクチンが4000万回分供給される件を、6月1日および同月25日と二回に渡り訂正しているにも拘わらずメディア等は、依然として4000万回分として報じている。ただし、厚労省のページなどは7月14日現在も情報が修正されないままでもある。河野大臣は情報を伝えているつもりなのだろうが、相手に十分に伝わってない点を考慮すべきに思う。(意見)
6月1日および25日も、4000万回分は否定しているが「減る」とも「増える」とも言明してないのである。この点は姑息に感じる。(感想)

大手町の大規模接種会場でワクチンを接種してきた

大手町の大規模接種会場でモデルナ社製のワクチンを接種しました。その際の、オペレーションが興味深かったので記しておきます。
スタッフ数、施設の広さなど、かなりのバッファがないとスムーズに接種できなさそうだなと感じました。

副反応が重かった

直ぐに書こうと思ったら、予想以上に副反応が辛かったです。初日は腕が痛いくらいだったのですが、次の日は38度付近まで熱が出てびっくり。症状としては喉の嫌みや鼻水の出ない風邪で、リンパのある節が痛かったです。ワクチンを打った左半身の方が辛く、不思議な感じでした。
一回目の接種で発熱するのは全体の10%未満で、38度となると2%程度のとそれなりにレアケースかと思われます。SSRくらいですかね。一回目よりも二回目の方が副反応が酷いので、今から二回目が心配です。
解熱剤として、アセトアミノフェン(商品名:カロナール)が推奨されているので、次回は用意しておこうと思います。

これまでに認められている副反応にはどのようなものがありますか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省
新型コロナワクチンの副反応疑い報告について|厚生労働省

インフルエンザの mRAN ワクチンが開発されているそうですが、この副反応だと効果次第では打ちたくないなぁという感想。

接種はスムーズ

大手町の大規模接種会場は、既に二回目接種の人々がほとんどなので目立った混乱もありませんでした。
受付から、予診票の確認、医師による問診、接種、接種済み証明の発行と次回の予約および経過観察を、流れ作業でやっていく感じ。流れとしては、健康診断に似ていますかね。全体的に、多くのスタッフが働いており、また十分なスペースがあって、ようやくスムーズな接種を実現できるように思いました。防衛省以外のスタッフも動員されているのかな?

受付は経団連の入ったビルの裏側の大手町の合同庁舎前の駐車場になります。竹橋方面からだと、大手町方面まで抜けてくる必要がありやや遠回りかもしれません。東京駅から出ているシャトルバスも竹橋付近で乗車するので、予想よりも歩かされることになります。
プレハブの入口で検温と手指消毒。その後に、接種券、本人確認証、予診票を確認します。予約が確認されたら、予診票などがクリアファイルにまとめられます。クリアファイルは赤、黄、青の三色があり、これによりグループに分けがなされます。
プレハブ内にそれそれのグループ毎に待機用のイスが20脚ほど設けられています。私が訪れた際は、人数が少なかったのかイスで待つこともなく、そのまま合同庁舎内に案内されました。

合同庁舎では、赤は3階、黄は4階、青は7階と、グループ毎にフロアが分けられています。エレベーターの定員が決まっている関係上、混雑緩和のため数人が待機できるセクションがいくつか設けられていました。ただ、私が訪れた際はそのセクションもほぼスルーだったので、無駄に歩かされただけでした。雰囲気としては、ディズニーリゾートとかでアトラクションに乗る前に似てますかね。

エレベーターで目的のフロアにつくと、予診票の確認、医師の問診、ワクチン接種、接種済証の交付とと次回の予約および接種後の待機と順々に部屋を移動していきます。
受付からやたらと歩かされる印象。逆に言えば、それなりの広さの施設でないと流れ作業のような接種はできないと感じました。大手町の合同庁舎はほとんどが空き室だったはずなので、大規模接種会場として利用しやすかったのでしょう。

予診票の確認は、オープンスペースにて。受付の方とはアクリル板で仕切られ、声が届かないのでマイクが設置されていました。
主に既往歴や治療中の病気、アレルギーなどが聞かれます。私は、以前にロキソニン系でじんましんがあったことを告げると書くようにと言われました。じんましんは重いアレルギー症状になるようです。

次に、医師の問診は間仕切りの中で他の接種者は見えない状態になっています。防衛省が行っているためか、白衣を着た医師ではなく制服を着た医官だったのが珍しく感じました。
接種も問診同様に間仕切りの中で行います。接種そのものはスムーズで、腕をまくって直ぐに終了です。痛さはインフルエンザのワクチンと同じくらいでしょうか。むしろ、副反応による痛みの方が辛かったです。

予診票の確認、医官による問診、ワクチン接種は、それぞれ8ブース程度あり、どこもほぼ待ち時間はありませんでした。エレベーターに10人くらい乗れば常時スムーズに流れるでしょう。

接種後は、予診票の回収を兼ねた接種済み証明の発行と、二回目の予約を行います。接種まではスムーズでしたが、接種証明発行は2ブースしかなかったので少々待たされました。
ただ、この後にアナフィラキシーショックなどの経過観察時間があるので、待たされるのは特に気になりませんでした。
経過観察は、特に問題がなければ15分、アレルギーなどの心配がある場合は30分です。私は、薬でじんましんが出たことがあるので30分待ちました。

バッファが必要ですね

ワクチン接種のオペレーションとして手順が非常に多いです。
受ける側からしても、受付で書類の不備を含めた確認と予約の確認が必要で、その後に専門家による予診票の確認や医師による問診後にようやく接種にいたり、さらにその後に経過観察が必要です。これには、人員も必要ですが、スペースも必要です。
予診票の確認、問診、接種を一人の医師で行う場合もあるでしょうが、これはこれで医師に負担がかかるように思います。
自治体によって最適な方法が異なるとはいえ、自治体に丸投げしてよい案件でもないと感じました。

河野大臣とモデルナ製ワクチン4000万回分

最初にまとめ

2020年10月29日:モデルナ製ワクチンが2021年上半期で4000万回分供給されるとの情報。
2021年5月24日:厚労省の資料に4000万回分と記載されており、現在も訂正がない。
2021年6月1日:河野大臣が4000万回分を否定。ただし、実際の供給量などは言及せず。また、職域接種は大体的に募集している。
2021年6月25日:河野大臣は改めて4000万回分の供給を否定するが、実際の供給量は述べず。職域接種の申請休止をお詫び。
2021年7月6日:毎日新聞の報道によると、2021年上半期にモデルナから供給されたワクチンは1370万回分。

河野大臣は6月1日時点でモデルナ製のワクチンが2021年上半期までに4000万回分供給されないことを言及しているが、実際の供給量を明言したのは7月6日。
5月下旬時点の厚労省の資料には4000万回分と明記され、今も訂正されていない。2020年10月29日に確定した情報が更新されていないものと考えられる。

2021年7月6日 毎日新聞

モデルナワクチン、6月末までの供給6割減 減少分は9月末までに | 毎日新聞
毎日新聞による、2021年の上半期までにモデルナ製のワクチンが4000万回分供給される予定だったが、実際には1370万回分だったとの報道。

2021年5月下旬 厚労省資料

新型コロナワクチンの開発状況について|厚生労働省 (2021年5月24日)
2021年5月24日付けの厚労省による新型コロナワクチンに関する資料 (PDF)

モデルナ製のワクチンが2021年上半期に4000万回分供給されるとの情報は、厚労省のサイトに提示されている。モデルナ製のワクチンが承認された2021年5月21日以降にも、4000万回のまま訂正されていない。
4000万回分供給されるとの情報は、2020年10月29日付けによるもの。毎日新聞の報道によるとゴールデンウィーク前には4000万回分は供給される見込みがないことが分かっていたはずなのに、5月下旬になっても厚労省の情報が更新されていない。
ワクチンの承認が5月21日と考えると、そもそも上半期に4000万回分供給するのが不可能なのでは?(推測)

2021年6月1日と25日 河野大臣会見

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月1日 - 内閣府
6月1日の記者会見で河野大臣は、4000万回分を否定。供給量についてはモデルナとの関係で公表しないことになっているとして、明言せず。
ただし、職域接種に関しては「現状では配るほどあります。」と述べている。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月25日 - 内閣府
6月25日の記者会見で、河野大臣は改めて4000万回分を否定。情報を改めて欲しいと釘を刺している。
また、職域接種の申請受付を一時的に休止する件について詫びる。

個人的見解

職域接種募集を休止した理由は、供給量、在庫確保、配送、申請処理、どこに問題があるか不明。
ただ少なくとも6月1日時点の「現状では配るほどあります。」と矛盾するのでは?(意見)
好意的に考えれば、職域接種の申請が想定外に多かったのかもしれない(擁護)。
当初の供給量より減ることがGW前に分かっているなら、厚労省の資料も修正すべきだろう(苦言)。まぁ、河野大臣は厚労省に権限がないが(感想)。
明確な供給量の発表はモデルナと調整が必要だったのだろうが、減る見込みは立っていたはずで、6月時点になっても、その点が明言されていない(指摘)。

ボクの見たゴジラS.P

ひとつの作品には体験した人の数だけ解釈がある。どんな作品だってそうだが、ゴジラS.P はその見方の違いを意識して作られているように思う。

円城塔作品のアニメ化

gigazine.net

ゴジラS.Pは高橋敦史さんの監督作品であるけれど、SF考証・シリーズ構成・脚本は円城塔さんによるものだ(以下、敬称略)。

もともと、円城塔はSF考証として本作品に参加したけれども、設定を考証するにもシリーズ構成すら決まっていなかったことから、最終的に脚本まで手がけることになったという。
作品のアイデア円城塔だけでなく、監督である高橋敦史やその他スタッフによるものだろう。それを脚本としてまとめたのが円城塔であり、アニメとして起こしたのが高橋敦史となる。

www.animatetimes.com

私は円城塔の作品を数点読んでいるため、ゴジラS.Pを円城塔の作品として見てしまう。高橋敦史の作品をほとんど見ていないため、余計にだ。ただ、円城塔は文字表現の創作者であり、描写していく作家ではない。文字通り、円城塔の紡ぐ文字は、文字表現でしかない。つまり、映像表現への落とし込みは高橋敦史の力であり、それにより随分と咀嚼しやすくなっている。ペロ2やユングなどコミカルさは「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」を手がけた高橋敦史の味付けだろう。

特異点の物語

ゴジラS.Pは特異点の物語である。様々な事象に対して「特異点」が用いられているが、それぞれの「特異点」が区別できないように仕組まれている。それが、ゴジラS.Pを読み解くのを難しくしている。円城塔は言葉遊びの作家である。特定のキーワードの意味や文字そのものを敷衍していく。脚注で構成されまくった「烏有此譚」や、文字そのものを題材とした「文字渦」などがあるが、共に文章でしか成立し得ない作品だ。「特異点」もそれと同じように、多角的な言葉となっている。
ゴジラS.Pの各話タイトルは、ひらがなのみだが、時間差で表示される際に他の意味にも取れ多義的だ。また、各話毎にもつながりがあるようで、円城塔の言葉遊びが映える。

gunzo.kodansha.co.jp

ゴジラS.Pには様々な「特異点」があり、また「特異点」の「特異点」があり、それぞれの「特異点」がお互いに干渉し合っている。銘々の「特異点」が時に覇権を争い、時には融合し、またある時には意味をなさなくなっている。
たくさんの「特異点」があるように見えるが、実際は一つの「特異点」である。なぜならば、シンギュラポイントと複数形ではないからだ。それぞれが別の角度から見た「特異点」とでも解釈すればいいのだろうか。アーキタイプが高次元から三次元空間へ映された影のため、容易にその形が変わってしまうように。

Self-Reference ENGINE」のアニメ化では!?

ゴジラS.Pの感想で自分が一番言いたいことはコレ。どうしても円城塔のデビュー作である「Self-Reference ENGINE」が思い出される。

この小説の概要を述べるのは非常に難しい。そもそも、自分の読み方が正しいのかも確証がない。
がんばって説明すると、時空間を実際に作り出しシミュレートできる巨大知性体と呼ばれる超計算機が乱立した結果、それらが造りだし時空同士が干渉し合い、宇宙の時空間がぶっ壊れた話である。
超計算機による時空がお互いに干渉し合い、互いの領域を守るために時空間を書き換え合っている。さながら物語を作るように。時間の方向も超計算機の作り出した世界の中でバラバラだ。超計算機の作り出す世界は、ある種のシミュレーション結果であるため、時間を巻き戻すことすら可能となっている。

端的にまとめると「Self-Reference ENGINE」は特異点である超計算機から作り出された物語が、相互に作用しながら綴られた短編集である。

破局と時空の相転移

Self-Reference ENGINE」における時空間の崩壊は、ゴジラS.Pでは訪れなかった「破局」のように思える。「破局」では特異点同士の干渉により時空間の崩壊が起こるのだろう。そして「破局」そのものも特異点である。

破局」の前後では時空の様相が異なっている。「破局」の前は時空が決定論的であるが、その後は未決定論的になっているように思える。つまり、時空の相が転移している。
破局」の直前までは特異点たる超時空計算器により未来予測が可能であった。その後は計算結果が定まらない。つまり、直前までは未来が決まっているが、その後は未定である。少なくとも、葦原は「破局」後の未来を予測できないことを異常と捉えているから、時空が決定論的であると考えていたのであろう。有川ユンと神野銘によるチャットの時刻が過去に記録されていたことも、決定論的時空であることを示唆している。
決定論的時空ではないにしても、ドラえもん的な準決定論的時空である可能性もある。つまり、のび太ジャイ子と結婚しても静香と結婚してもセワシが生まれることには変わりが無いように、未来に起こることは大筋では変わらない時空。決定論的時空よりも柔軟であるが、特定の結果は回避できないので因果律は強固である。有川ユンが未来の夕食を推測しその通りになったが、類推過程は外していたのに似ている。

ゴジラS.Pはアーキタイプの存在が示すように別次元が存在している。ただし、多数の世界線において、各々の時空間は決定論的であり柔軟性はなさそうだ。たとえば、バック・トゥ・ザ・フューチャーのように、未来や過去を変えることで異なる世界線への移動はできない。時間軸は変えられないが、特異点を経ることで互いの世界線には干渉できる。つまり、特異点を経て世界線を超越してきたのが怪獣なのであろう。他次元からの侵略が怪獣であり、怪獣もまた特異点である。

特異点の不協和により予測できない未来が特異点たる「破局」である。

ゴジラを借りてきた小説製造機械

円城塔の作風として「設定は借りてくるもの」というのがある。その最たるものが「屍者の帝国」である。

lastline.hatenablog.com

屍者の帝国」は故・伊藤計劃による未完の小説を、プロット等を元に円城塔が完成させることで世に出た作品だ。現実および虚構作品の人物が登場するが、彼らは作品のために借りられているに過ぎない。ゴジラS.Pにおけるラドンゴジラジェットジャガーも同じように借り物である。借りているに過ぎないので、本来の作品の設定を必ずしも準拠しない。特異点の皮を借りた設定とでもいうか。
ゴジラシン・ゴジラの要素が大きく、ラドンはリアリティラインのために存在している。ただ、ジェットジャガーはやや特殊で、ゴジラ対メガロを補完する形になっている。

円城塔の根幹には物語の自動生成がある。「Self-Reference ENGINE」は巨大知性体同士による物語の改編合戦であり、「屍者の帝国」も小説が自動で生成される話でもある。物語の自動生成は AI 的なものに限定されず、円城塔自身は「小説製造機械になるのが夢で」とも述べている。つまり、物語を紡ぐ知性体が円城塔の核にある。

ci.nii.ac.jp

ゴジラS.Pの AI も知性体である。ユングジェットジャガーとして、ペロ2は超時空計算器に干渉することで物語の中心にいた。彼らは、有川ユンによるナラタケという AI からなり、その実像は群体である。群体である点は攻殻機動隊フチコマタチコマ)と共通しているが、筐体ごとに個性が生じるのが異なる。各話の冒頭でゴチャゴチャ述べているのが、ナラタケをベースとした AI 達の声であろう。

破局」を回避したユングやペロ2の働きを見る限り、AI もまた特異点である。

閉じ込められた時間

破局」を回避するのは、特異点特異点でなくせばいい。それぞれの特異点をそれぞれの次元か世界線のみに存在できるようにすればいい。その手法が、直交対角化を意味するオーソゴナル・ダイアゴナライザーである。私は、三次元は三次元に、怪獣は怪獣の次元に落とし込む仕掛けとイメージしている。

オーソゴナル・ダイアゴナライザーは OD と表記される。OD は初代ゴジラに登場したオキシジェン・デストロイヤーの頭文字でもある。どちらの OD も対ゴジラの最終兵器である。
OD はアーキタイプを変質させる仕掛けだが、アーキタイプそのものが高次元物質であるため、それを三次元に落とし込むと様々な形態になり得る。ゴジラを屠るには特定の形状を高次元から表出しなければならない。しかし、高次元物質から三次元への射影であるから、その可能性は無数にある。三次元物体の影ですら、少し傾けただけでも変わってしまう。単純な形状であっても、予想だにしない影が生じ得る。ゴジラを屠る形状を見つけ出すには通常の計算機では不可能だ。未来をも見通す超時空計算器でなければ「答え」は得られない。

ODの計算結果はユングやペロ2などの物語生成器である AI に内包されていた。因果律のを崩さないため意味をなさない情報として隠されていた。「破局」の直前にそれが「答え」であることに気がつき、「破局」は回避された。

ループ内の物語

破局」前の時空が決定論的とするならば、「答え」が内包された時空は情報が環状に閉じていることになる。終点は「破局」であるが、起点はよくわからない。葦原が未来を計算し始めた時点、あるいは超時空計算器が存在した時点かもしれない。
起点は不明だが、ある時から「破局」まで時空間が環状に閉じている。まるで、4つのアキータイプで光を閉じ込めたように。それ故に、強固な決定論的時空を形成しているのかもしれない。
しかし、そのループもいずれは崩壊してしまう。光を閉じ込めたアーキタイプが、他次元もしくは時間を先取りしたエネルギーを蓄積しきれずに爆発するように。情報が閉じた時空間では、怪獣のような「特異点」が入り込み増殖することで、特異点同士が干渉し時空間が「破局」してしまう。
破局」を回避するには、情報をループからを逃してやらなければならない。4つのアキータイプの場合は、1つのアーキタイプを取り除けばいい。時空間の場合は、アーキタイプの様相を変えればいい。それが、怪獣を無効化するためのオーソゴナル・ダイアゴナライザーの「答え」である。

上記の説明はループしているのだが、そもそも「破局」までは時空間がループしているのだから始まりも終わりもない。何が原因で何が結果なのかは分からない。共に「特異点」であり、また「特異点」の中の話だ。
つまり、ゴジラS.Pという物語そのものが特異点の中にあり、その特異点から逃れる物語でもある。まぁ、葦原としては決定論的時空から逃れたことでのロボゴジラへの未来が開かれたのであろうが。

日本のブランドロゴは世界と比較して文字だらけなのか?

まとめ方が恣意的ではありませんかね?

アメリカと中国の企業ロゴはシンボルだけが多いのに、日本の企業は文字ベースが多いと主張する記事である。しかし、日本の例として挙げられる企業が恣意的に選ばれているのではないか?との疑義が寄せられた。それを受けて、記事を執筆した Brandon K. Hill 氏は以下の記事を投稿した。

なぜか、日本の企業しか調べられていない。”ロジカル”に検証するなら、前の記事で挙げたアメリカや中国とも比較すべきだろう。
というわけで、グローバル、アメリカ、中国のトップ100企業のロゴについて上記の記事の分類に基づき「文字ベース」、「文字とシンボル」、「シンボルっぽい文字」、「シンボルだけ」で分類した。後に述べるが、この分類は主観が入り込みやすく、あまりよい分離方法ではない。

企業のロゴの分類

以下のサイトからグローバル、アメリカ、中国のトップ100企業を選定した。

それぞれに分類した図を掲載した。左上が「文字ベース」、右上が「文字とシンボル」、左下が「シンボルっぽい文字」で右下が「シンボルだけ」である。
一部の「文字ベース」と「シンボルっぽい文字」は判別が難しかった。「Lenovo」は長方形に囲われているため「シンボルっぽい文字」としたのだが、「文字ベース」との違いはわずかにしか無い。
また、マクドナルドやフォルクスワーゲンは「文字ベース」あるいは「シンボルっぽい文字」に思えるが、元記事を参考に「シンボルのみ」とした。
分類に主観が入り込むため分類方法として大雑把である。ただし、全体の傾向は見てとれるだろう。

グローバル トップ100 2020年

BGB Archive - Interbrand

文字ベース 29
文字とシンボル 30
シンボルっぽい文字 33
シンボルだけ 8
グローバル 1位から50位
グローバル 51位から100位
USA トップ100 2020年

BrandZ Top 100 Most Valuable US Brands - 2020 (Kantar) | Ranking The Brands

文字ベース 14
文字とシンボル 38
シンボルっぽい文字 40
シンボルだけ 8
アメリカ 1位から50位
アメリカ 51位から100位
中国 トップ100 2020年

www.chinainternetwatch.com

文字ベース 13
文字とシンボル 61
シンボルっぽい文字 26
シンボルだけ 0
中国 1位から50位
中国 51位から100位
グローバル、日本、アメリカ、中国 トップ100 まとめ
グローバル 日本 アメリ 中国
文字ペース 29 49 14 13
文字とシンボル 30 39 38 61
シンボルっぽい文字 33 11 40 26
シンボルだけ 8 1 8 0

日本は 本当に日本のブランドロゴは文字ベースのデザインが多いのか? デザイン会社 ビートラックス: ブログ より。

日本とアメリカは実質的に「文字」が多い

まとめてみると、日本は確かに「文字ベース」が多い。アメリカでは「文字とシンボル」と「シンボルっぽい文字」が、中国では「文字とシンボル」多い。グローバルでは「シンボルだけ」は少なく、その他がほぼ30%ずつとなっている。

日本とアメリカでは「文字ベース」と「シンボルっぽい文字」が共に40%であるため、実質的には「文字」のロゴが殆どだ。私は「VISA」などを「シンボルっぽい文字」に含めたが「文字ベース」としてもほぼ問題ないようにも思える。
中国は「文字とシンボル」が突出して多く、また中国は国内外を視野に入れた起業は漢字とアルファベットを併記している。

「グローバル トップ100」に向けると、ルイ・ヴィトン、シャネル、グッチ、プラダディオールカルティエなどのブランドは「文字ベース」なのが興味深い。特に、ルイ・ヴィトン、シャネル、グッチなどは誰もが知るシンボルマークがあるのに使用していない。ヨーロッパ企業を調べるのは面倒ではあるが、日本で「文字ベース」が多いのはブランド名をアピールしたいのだろう。

スリードの図

私の結論としては「世界的にブランドは文字ベース」にあると考える。

なぜ日本のブランドロゴは文字ベースのデザインが多いのか? デザイン会社 ビートラックス: ブログ におけるアメリカと中国のブランドロゴとされる図はミスリードである。

同記事においてアメリカではシンボル部分がメインに使われているとされるが、スターバックス、ナイキ、マクドナルド、アップルを除けば、実際は文字とシンボルとなっている。ちなみに、メンソレータム社のロゴはナースちゃんではない。また、アメリカでは軟膏の商標としても用いられていない。さらに、メンソレータム社はロート製薬の傘下となっている。
実際のロゴに修正すると以下となる。

また、中国の例は動物のキャラクターが抽出されているが、本来は記事中に説明されるように社名を含むシンボルである

多くの場合、動物のキャラ+社名の文字になっているが、その文字は中国語である。

なぜ日本のブランドロゴは文字ベースのデザインが多いのか? デザイン会社 ビートラックス: ブログ

社名を含むブランドロゴに修正すると以下のようになる。ちなみに、パンダのキャラクターである Pnada TV は2019年にサービスが修了している。

シンボル化は一長一短

本当に日本のブランドロゴは文字ベースのデザインが多いのか? デザイン会社 ビートラックス: ブログ で述べられるように、アプリを主とするなら企業ロゴをアイコン化していく方が視認性もよく、周知しやすい。中国のIT企業が動物のキャラクターを用いているのも、アプリのアイコンのためであろう。
一方で、ブランド名を知らしめるならルイ・ヴィトンやシャネル、グッチなどように「文字ベース」にした方が、ハイ・ブランド化できるだろう。¥
シンボル化は文字を読めなくても認知できる利点があるが、一方でブランド名そのものを知る術がないのが欠点である。また、シンボルは被る可能性が高くなってくる。動物を使いにも数に限りがある。このように「シンボルだけ」は一長一短である。

シンボルだけのロゴの戦い

「シンボルのだけ」のロゴを維持するのは難しい。中国のIT企業のように動物を使うにしても、その種類は限られている。動物でなくても、既存の「何か」をモチーフにする以上は被る可能性が高い。
そのためには、スターバックスのようにレアなモチーフを用いるか、ナイキのように単純だが独創的な図形が必要だ。
ただし、独創的だと考えて考案しても、佐野案の東京オリンピックのシンボルのように、似たようなものは見つかるものである。

アップルやツイッターはリンゴと鳥とありふれた具象をシンボルとしている。そのシンボル保つために多大な労力をかけている。

たとえば、アップルはナシのロゴを有するアプリ会社を提訴している。両者を比べてみても似ているとは言い難い。

ツイッター社は、鳥アイコンを普及させるために文字だけのロゴの使用を禁止したり、過去に用いていた鳥のアイコンも使用禁止にしている。

アップルがナシのロゴを提訴したり、ツイッター社が鳥アイコンの使用をコントロールしたりするのも、そのシンボルが単純だからだろう。「シンボルだけ」のロゴでブランドイメージを維持するのはかなりの労力が必要そうだ。