「萌え絵」を議論したいなら、先ず定義せよ

「テロール教授の怪しい授業」をダイマする

キズナアイNHKノーベル賞解説ページに採用されたことから、一ヶ月くらい長々とジェンダロールやら萌え絵に関する議論が重ねられています。萌え絵をどのような形で、どのような場で公開すべきかについては、これまでにも何度も議論がなされています。この手の議論が起こる度に思うのですが「萌え絵」について議論したいなら、先ず「萌え絵」を定義しましょう。
「定義」と書きましたが、「萌え絵」は辞書に載っている言葉ではありませんし、学術的にも明確な言葉でありません。各々がなんとなくで使用しており、意味が曖昧な言葉です。そのため、それぞれが思い浮かべる「萌え絵」には、ぶれがあるでしょう。後にも述べますが「萌え絵」を定義するのは簡単ではありません。議論がしたいならば、論を述べる人が想像する「萌え絵」の具体例を述べてから行って欲しい。

「定義」に関しては「ネット右翼」も同様で、人によって意味合いが異なりすぎです。

さて、モーニングにて、カルロ・ゼンが原作を務める「テロール教授の怪しい授業」という漫画が始まりました。アメリカ人教授がいたいけな学生をカルトの手法で捕まえてテロに関する授業を行う、心温まるお話です。


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第二話で、教授は学生達に「テロリスト様」な格好をした人々の写真を提示し、その中からテロリストと判断した人と、そう判断した理由を問います。みなさんも考えてみてください。答えは、このエントリーの最後にでも書いておきましょうか。私が冒頭で述べた主旨を理解できる方、あるいは最後まで読んでくれた方には不要でしょうけど。

私が主に言いたいことは既に述べてしまったので、ここからは蛇足です。折角なので「萌え」と「萌え絵」に関する私の考えにお付き合いください。

「萌え」と「イイね」の関係

「萌え絵」を定義するならば「萌え」の意味を考える必要がありますが、「萌え」も随分と曖昧な言葉です。1990年前後に生まれたとされていますが、現在の意味合いは元々使われていた用法ともかなり異なっています。
そもそも「萌え」の発生が判然としません。特定の感情を表現する言葉が求められていた中で「萌え」がぴったりと当てはまったのでしょう。「エモい」や「尊い」なども同じような理由で発生したと思われます。
私は、パソコン通信で使用されていた「燃え」が誤変換され「萌え」となり、それが広まったとするのが妥当だと考えています。
巨人の星(1966ー1971年)」に限らず、熱血主人公は、しばし「燃え」ていました。「あしたのジョー(1968ー1973年)」は真っ白に燃え尽きていましたけど。「聖闘士星矢(1986ー1990年)」はコスモを「燃や」していました。そのような背景において、「燃え」がある対象に熱中することや、心を動かされることを意味するのは、想像しやすいでしょう。
「燃え」がパソコン通信で使われる中で、「もえ」とひらがなで開き、それが「萌え」と変換されたのでしょう。パソコン通信にはじまりインターネットにおけるスラングは「変換」がつきものです。もし、アルファベットしか利用できないネットゲームが流行っていたら「(笑)」が「w」に変化したように、「moe」になっていたかも知れません。
「燃え」が「萌え」に変化し、広まる過程で「恐竜惑星(1993年)」のヒロインである「萌」や「美少女戦士セーラームーン(1994年)」の「土萠ほたる」などが、触媒となり「萌え」を根付かせる一助になったとも考えられます。

私は「萌え」を「ある対象に心を動かされたことを、その対象ではなく仲間などの第三者に伝える言葉」と解釈しています。「萌え」は萌えた対象に向ける言葉でありません。これは「萌え」が主としてフィクションのキャラクターに使われることを念頭に置けば理解しやすいでしょう。フィクションのキャラクターに「かわいい」とか「心動かされた」と伝えることはできません。一方で、そのような心を動かされた気持ちを言葉にしたい思いもありました。それが「萌え」が生まれた経緯ではないでしょうか。「萌え」の対象はキャラクターですが、その言葉が向けられたのは「仲間」です。広まり始めた当初の「萌え」は、現在のSNSにおける「シェア」や「イイね」に近い意味合いもあったように思われます。「ある対象に心動かされたことを、誰かに伝えたい」という情動が「萌え」なのでしょう。そのような意味で「工場萌え」などの無機物に使われるのは、自然な流れに思えます。

「エモい」とか「尊い」なども「心を動かされたこと」を仲間に伝える言葉という点で、「萌え」と共通しています。

「萌え絵」に男の目線は必要か

私の「萌え」の定義を開陳しましたが、賛同頂けない部分もあるでしょう。しかし、開陳しない限りは「萌え」について、お互いに論じることはできません。そもそも、議論の際に先ず重要となるのは言葉の意味のすりあわせです。その上で、お互いの合意を得なければ、議論が明後日の方向に進んでいきます。お互いに見ているものが違うのですから。

「萌え」を定義しましたが「萌え絵」となると非常に難しい。先の私の定義を拡張すれば「ある対象に心動かされたことを誰かに伝えたくなる絵」と説明できるものの、これでは範囲があまりにも広すぎます。一般に用いられる「萌え絵」はより狭い特定の絵を指すことが殆どです。つまり、アニメや漫画、特に美少女の絵に対してです。ただし、漫画やアニメの絵であれば「萌え絵」と判断されるわけではありません。荒木飛呂彦の絵を「萌え絵」と断ずる人はあまりいないでしょう。また、手塚治虫藤子・F・不二雄の絵は「萌え」の萌芽はあるものの、やはり「萌え絵」と見る人は少数派に思えます。

しばし「萌え絵」は「少女漫画の顔に男性向け漫画の体を付けた絵」と説明されます。より踏み込むと「男性オタクが楽しむために用意された少女の絵」ともされます。これらの定義はかなり狭まってきていますが、まだまだ見る人に依存した定義です。
例えば、この定義からすれば「セーラームーン」は「萌え絵」と判断されませんが、「萌え」た人は多いでしょう。これは「プリキュア」も同様で、プリキュアに「萌える」ことはできますが、マーケティングとしては女の子向けのコンテンツなので「男性オタクが楽しむために用意された少女の絵」ではありません。

「萌え絵本」を眺める

「萌え絵」談議で話題になるのが、河出書房新社が出版する上北ふたごが絵を担当する絵本です。プリキュアのコミックスを担当しており、今風の絵柄の絵本です。
個人的にはかわいいと思いますが、「萌え絵」かと問われると判断に迷います。ただし「男性オタクが楽しむために用意された少女の絵」でないことは明らかです。

ある絵をかわいいとか魅力的であると感じるのは主観です。男女差もあれば、個人差もあります。ある絵を、女の子がかわいいと感じるのと男性オタクが魅力的であると感じるのは両立し得ます。「男性オタクが楽しむために用意した絵」を子どもがかわいいと思うこともあれば、「女の子向けに絵が描かれた絵」を男性が魅力的だと感じるのは、矛盾しません。つまり「萌え絵」の定義あるいは説明として「男性オタク」あるいは「男性」云々を盛り込む必要はありません。

万人が納得できるように「萌え絵」を定義するのは難しいことです。学術的に絵の手法、主題、あるいは歴史などから紐解く方法が考えられますが、簡単ではありませんし、素人には理解が難しい定義になる出よう。
個人的には 萌え絵と汎用的なイラストって何が違うの? 広告系イラストレーターの私が考える「役割」の違い – かわいいイラスト制作所 イラストレーターよぴんこ における「キャラクターの魅力を引き出すための絵」は、合点できる解説でした。「魅力を引き出す手法」を詰める必要があるでしょうが、この説明ならプリキュアや、上北ふたごによる絵本も「萌え絵」に類するでしょう。

本当の争点は「性的」か否かですよね

ある程度「萌え」と「萌え絵」が固まってきましたが、「キズナアイ」などを問題視した人達の論点は「萌え絵」ではないはすです。本来の争点は「エロ」や「エッチ」、つまり「性的」か否かでしょう。もちろん萌え絵と汎用的なイラストって何が違うの? 広告系イラストレーターの私が考える「役割」の違い – かわいいイラスト制作所 イラストレーターよぴんこにおける「萌え絵」を是としない人だっています。日本テレビの「スッキリ」にて「萌え絵本」に抵抗があるかないか視聴者アンケートを行っていましたが、抵抗のある人の方が多かったようです。


「男性オタクが楽しむために用意された少女の絵」ならば「性的」である可能性が高いです。また「キャラクターの魅力を引き出すための絵」であっても「性的」な魅力が強調されるケースもあります。
「性的」か否かは「絵」を描いた人の性別や意図で判断することではないでしょう。「性的」かどうかは「どう見えるか」あるいは「どう見たか」です。あやふやな基準ですが、ある程度の合意は形成できます。所謂「18禁」や「わいせつ罪」などは、そのような合意の上に運用されています。そのような合意を形成する際に、雑な括りで「萌え絵」を問題視したり、論じたりするのは、議論を発散させるだけです。実際、何も進展していません。「キズナアイ」始まる論争は、双方が勝利宣言をしている状態です。未だに参戦してくる人がいるのも、ジェンダロールとか萌え絵とか性的であるかとか、論点がぐちゃぐちゃになっているからでしょう。まぁ、最初に問題視した人の論点がぶれぶれだったのが、ここまで延焼している一因ですよね。

最後に答え合わせ

長々と私の持論に付き合っていただきありがとうございます。あるいは、答えを見に来た人だけもいるかもしれませんが、興味をもってもらって嬉しいです。
話合いをするには、地ならしが必要で、そのためには言葉を尽くすしかありません。その点でTwitterは議論に不向きなのは間違いないです。ただ、だからと言って、言葉の意味など共通認識の形成を怠ってよい理由にはなりません。

さて、冒頭にしめした「この中のテロリストは誰でしょう」の答えは「この条件だけでは答えられない」です。納得のいかなかった人は、モーニングを読むか、コミックDAYSを読むか、単行本を待つのです!

好き嫌いの問題にダブスタもなかろう

「手塚キャラ美少女化がダメでクッパ姫がOKな人なんなの?」な反応に批判 - Togetter]

クッパ姫で散々遊んだくせに、手塚治虫キャラクターの萌え化に文句を垂れるのは矛盾している、ダブスタだとおっしゃられても困るのだ。

好き嫌いの問題にダブスタもへったくれもない。カニは好きなのにエビが嫌いなのは同じ甲殻類なのにダブスタってのは難癖だろう。ならば同じ節足動物である昆虫も食べようって話に広がってしまう。あるいは、じゃがいもでもフライドポテトは好きだがマッシュポテトは苦手だって人もいるだろう。好き嫌いの表明にダブスタを求めても仕方ない。FGOはOKだけどクッパ姫とか女体化がダメって人も観測されたが、好みの問題である。
もちろん、好き嫌いの理由を言語化することもできるし、その方が理解も得やすい。カニは好きだがエビの食感が嫌いだと分析することはできる。また、クッパ姫と手塚キャラの場合は好き嫌いの問題ではあるが、批評の話でもある。批評の場合は理由もなしに批判したらダブスタであると断じられるのは当たり前だ。

ただし、ダブスタと断じるならば、クッパ姫で遊んでた集団と手塚キャラの萌え化を非難してる集団が同じかどうかを検証すべきだ。大きな括りでは女体化に属するため、女体化を是とする集団の振る舞いがダブスタのように感じられる側面があるだろう。ただ、そのような集団があったとしても、女体化のシチュエーションやコンテンツによって好き嫌いが生じるため、クッパ姫は是だが手塚キャラの萌え化は非であるとする人がいても不思議ではない。女体化あるいは萌え化に拘りがある故に細かな差異が気になり、好悪が激しくなるとも考えられる。特に拘りがなければ、興味も無いので両者の差が分らない、分ってもそんな小さな違いに拘ることが理解できないだろう。つまり、それぞれが対象を見る解像度が異なるため、同じ対象物を論じながら見ているものが違うため議論が成り立たないのだ。

解像度をそろえるために、クッパ姫に関して細かい話をしつつ、クッパ姫と手塚キャラの萌え化の違いを語っていきたい。

クッパのピーチ化とピーチへの憑依

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1809/18/news112.html
https://www.huffingtonpost.jp/2018/09/24/kuppa-hime_a_23539620/

クッパ姫は、NEW スーパーマリオ U デラックスに登場するキノピコの設定からの解釈である。キノピコはスーパークラウンにより、ピーチ姫そっくりのキノピーチに変身なる設定が任天堂から発表された。降って湧いた設定に多くのファンが困惑し、様々な憶測を呼び、色々な解釈が生まれた。たった数日間のことである。主に、日本国外での盛り上がりであるが、ものすごい熱量である。まぁ、マリオに胸毛があるかどうかで議論し尽くせる連中なので、不思議ではないのだけど。
そのようなムーブメントの中で、スーパークラウンをクッパに被せればピーチ化したクッパになるのでは?と解釈したのが「クッパ姫」である。

「スーパーマリオ オデッセイ 公式設定資料集」はフルカラー360ページ超に半端ない量のラフスケッチやイラストを凝縮した「ファンはマストバイ」なアイテム - GIGAZINE
マリオオデッセイ資料集に公式ボツ案としてクッパ姫がいたらしい 実は公式が一番早かった「公式が最大手」 - Togetter

マリオオデッセイ(以下、オデッセイ)の設定資料集にもピーチ姫化したクッパが描かれている。しかし、これはクッパ姫とは異なる設定や解釈によるものだ。オデッセイでは、キャプチャーという敵キャラに憑依して能力を利用するシステムがある。キャプチャーシステムはオデッセイの肝であり、攻略の鍵でもある。
ネタバレになるが、マリオがクッパに憑依するシチュエーションもある。この設定を延長すればピーチ姫をキャプチャーすることも可能であろう。それが、設定資料集に描かれた「クッパ姫」である。女体化であるが、設定資料集はクッパがピーチ姫に憑依した状態である。対して、スーパークラウンのムーブメントの中で生まれたクッパ姫は、クッパがピーチ姫に変身した姿である。それぞれで解釈が異なるし、想定されるシチュエーションも違う。例えば、姫に変身したクッパ姫であればピーチと同時に存在でき、二人の掛け合いが生まれ得る。一方、ピーチ姫に憑依したクッパの場合、ピーチ姫とは同時に存在できない。二人の掛け合いを描く場合は、内面でのせめぎ合いが主ではなかろうか。
また、ピーチ姫に憑依したクッパを設定資料に留めたのは、人格のあるキャラクターへの憑依に関して配慮したとも考えられる。オデッセイでキャプチャーできるキャラクターは明確な人格を持たないのがほとんどである。クッパは例外ではあるものの、マリオがキャプチャーする際に意識はなかったし、ピーチ姫およびクッパをも救うために憑依した緊急避難的な状況でもあった。意識のあるキャラクターにキャプチャーする場合は、意識を乗っ取る必要があるため容易ではないだろう。仮に容易に可能だとしても、意識を乗っ取る表現は慎重に描写されるべきだ。特に、ピーチ姫を掠う主体であるクッパが憑依するのは、十分に配慮がなされるべきだ。

ファンの界隈で発生したスーパークラウンによるクッパ姫と、マリオオデッセイの設定資料集で描かれたピーチ姫に憑依したクッパは、同じクッパのピーチ姫化ではあるけども、解釈やシチュエーションが異なる。両者を女体化でくくるのもやや乱暴で、クッパ姫は性転換と解釈できるが、オデッセイはそうではなく人格の上書きである。つまり、両者を一括りにするのは解像度の低い見方である。

解像度が低いことが問題なのではい。解像度が高く両者が異なって見えるのは、マニアが些細な違いに拘るからである。その拘りが分らなければ、両者が同じに見えるのは当たり前である。
しかしながら、「AとBは同じなのに、Aは批判されBは許されるのは矛盾である」とか「Aを批判している集団がBを擁護しているのは矛盾である」と非難するのは、その非難の前提が成立しているかは、異なる解像度で、異なるレイヤーでの議論になるだろう。AとBを異なると思っている人にその非難は届かない。Aを批判している集団とBを擁護している集団が同じとも限らない。これは、集団を捉える解像度の問題でもあるあ。しばし、オタクをネトウヨを同一視する人が観察されるのと同根であろう。

手塚治虫キャラクターの萌え化

手塚治虫作品のキャラを美少女化、ゲームアプリ「絵師神の絆」が2019年配信(動画あり) - コミックナタリー
【追記あり】なんでそんなにブラックジャックの女体化が騒がれてるのかわからない

キャラクターを評価する際に、性格などのバックグラウンドが不明のまま絵のみで評価するのはナンセンスではある。しかしながら、現時点でのプロモーションは、萌え化したキャラクターを主としているため、その絵のみで批評されるのは仕方がないだろう。私が仕方がないと判断する側理由に、商業企画であるし、手塚プロダクションが関わっている点がある。ファンが多いのも非難されやすい原因だ。商業で雑な解釈によるキャラクター化だと思う一方で、この企画を許した公式と、お金が回る手塚ブランドすごいなぁという思いもある。

手塚治虫キャラクターを萌え化するのは大変である。その理由にはファンが多いとか、女体化に抵抗がある人がいるなどもあるが、キャラクターのキャラクター化なる難儀なことをやっているからだ。この点が、クッパ姫やFGO、あるいは艦これや刀剣乱舞のような擬人化と異なる。これらは、キャラクターのキャラクター化に比べれば制約が緩い。要素が強調されキャラクターとなったものを、再キャラクター化する際にその特長を扱うかが大変なのだ。

FGOでは英霊化というプロセスが入る。伝説化した偉人であるが、その際に偉人からキャラクター要素が選別され強調されている。そのようなプロセスを経て、実在した人物がキャラクター化されている。擬人化においても解釈が設定が重視されるものの、人の姿でないものを擬人化するのは、キャラクター化を行う人、つまり描く人の自由度や裁量が大きい。

手塚治虫のキャラクターはシンプルである。シンプルであるが故に、端的な特徴によってキャラクターが成立している。例えば、ヒゲ親父はあの特徴的なヒゲがなければヒゲ親父ではない。火の鳥猿田彦として登場する鼻のでかいキャラクターも、あの鼻があればこそだ。ランプも頭にロウソクが乗っているからキャラ立ちしている。
キャラクターの特長とは記号である。髪型であったり、ヒゲであったり、鼻であったり、サングラスであったり。メガネ萌えなる言葉あるように、記号は萌えポイントである。つまり、キャラクターの特長は萌えポイントそのものである。

手塚キャラの萌か化において、顕著に批判されているのはブラックジャックであろうか。白黒の髪にコートを羽織った少女であるが、ブラックジャックの特長ともいうべきツギハギがない。ブラックジャックの左目付近だけ肌の色が異なる理由は原作にも描かれている。ブラックジャックのキャラクターを語る上では欠かせないエピソードである。つまり、萌えポイントなのである。それをスポイルして萌え化するのは、メガネキャラであったキャラクターのメガネを取って再キャラクター化したのに等しい。あるいは、ロングのキャラクターをショートの俳優が演じるくらい物議を醸すだろう。もちろん、人種差別を含んだ表現であるためスポイルした可能性もあるが。
手塚治虫キャラクターのコスプレである、というコメントがあったが、コスプレとしても安易であると思う。

手塚キャラの萌え化で苦労しただろうなと感じたのはロックである。恐らくサングラスをかけた少女がロックであろう。最初は七色インコかと思ったが、ギターをもっていることから音楽のロックとかけているようだ。特に音楽が得意なキャラクターではないのだが。
ロックはいわゆるスターシステムよりのキャラクターで、作品によって様々な役回りを演じている。基本的に、ニヒルな美少年や青年として描かれ、主人公と対立するダークヒーローとして振る舞う。定まったキャラクターではなく、むしろそのように性格付けされている。「バンパイヤ」では千の顔をもつ青年として描かれているのも、そのような背景があるだろう。故に、キャラクターがぶれぶれのロックにギターを持たせてロックにかけたのは努力の跡が見えられ評価したい。ただ、ギターを持たせるくらいなら、スポーツカーにでも乗せとけばよい。その方がロックらしいのだが、キャラクター絵には収まらないし、今時スポーツカーってのもピンとこないアイテムになったなと。

細かすぎて伝わらない選手権

解像度を揃えたところで、マニアの拘りでしかないので伝わる気がしない。ただし、粗い方にしても細かい方にしても、見ているものが違うというのは理解して頂けたのではないだろうか。これは、未だにくすぶっているキズナアイ関連でも同じことがおこっている。お互いに見ているものが違う上に、論点が多岐にわたってしまったが故にずーっと噛み合わないままくすぶっている。キズナアイを問題視したい人達はキズナアイを起点として女性の立場などを語りたいのに対して、キズナアイが批判されたと思っている人達は基本的にキズナアイについて論じている。このような状態で、理解して貰ってないと考えた人が話を整理する割には、両者の視点の違いが広く認知されていないので、くすぶり続けるし、お互いが勝利宣言する状態になっているのだろう。

HUAWEIのやべぇ端末Mate 20 Pro

10が16日の22時より、ロンドンにてHUAWEI Mate 20シリーズの発表会が行われました。事前のリーク通りの、背面に三つのカメラとLEDライトを配した四眼デザインでした。

Mate 20だけで5機種も! HUAWEI新製品ラッシュがどうかしてた | ギズモード・ジャパン
速報: ファーウェイ Mate 20 Pro発表。3眼カメラさらに進化、iPhoneも無線充電できるフラッグシップスマホ - Engadget 日本版
Huaweiのフラグシップ、「Mate 20/Pro/X/RS」ハンズオンレポート - PC Watch

Mate 20 と Mate 20 Pro、高級モデルでポルシェ仕様のRSに加え、隠し玉の Mate 20 X もお目見えとなりました。ちなみに、発表会では全く触れられていませんでしたが、廉価版の Mate 20 lite もリリースされています。lite のみが四眼ではないので、触れなかったのかなと。発表会では、たくさんのMate 20 シリーズに加えて、スマートウォッチの紹介もあり、最後の方はさっさと価格と発売日を出せや!とだれるくらいに長かったので、lite を省いたのは正解でしょう。

それにしても、Mate 20 Pro はすさまじいほどのてんこ盛りスマートフォンでした。カメラは言うにおよばす、急速充電に無線充電、3Dスキャナなどなど、びっくりする機能がたっぷりでした。

価格は、Mate 20 が799ユーロ(10万円前後)、Mate 20 Pro が1049ユーロ(14万円弱)、Mare 20 X が899ユーロ(12万円弱)と、お安くはないですが、Google の Pixel シリーズや、iPhone XS と比較したら、ハイエンドとしては普通の価格じゃないですかね。

スマホ最強カメラ

複眼カメラはスマホのスタンダードになりつつあり、最近ではSamsunがスマホ最多の四眼レンズを発表していました*1。ちなみに、ノキアが五眼を開発中だとか。一方で、GoogleのPixelシリーズは一眼のままです。Pixelはソフトウェアで十分に処理できると考えて、レンズを増やさなかったのでしょう。

これまでHUAWEIはカラーとモノクロの二眼を軸にしており、P20ではズームを入れて三眼としてきました。Mate 20 シリーズではモノクロセンサーが廃され、その代わりに広角レンズを導入してきました。これにより、超広角での撮影が可能となりました。さらに、25 mmでのマクロ撮影が可能で、撮影のシチュエーションが非常に豊かになりそうです。

センサーのサイズもこれまでのシリーズよりも大きいため、DxOMark - The Reference for Image QualityベンチマークはP20を超えることは間違いでしょう。

iPhone XSを充電できる

カメラに次いでやべぇのが充電周りでしょう。スマホ最速を謳う充電速度は、30秒で1%、30分で70%まで充電可能。ここまで充電速度が速いと、Galaxy Note 7 のような発火が気になりますが、安全性はきちんとチェックされているとのこと。
バッテリー容量も、Mate 20 と Pro が4000 mA で Mate 20 X に至っては 5000 mA も載っているそうです。ここまで充電速度が速かったら、バッテリーが大容量である必要もない気がしますけど。

Mate 10の頃から切望されていた無線充電にも対応。こちらも当然非常に速い。無線充電規格は iPhone X 同様の Qi です。驚くべきことに、Mate 20 自体を無線充電器とすることも可能。本来は、未発表の無線イヤホンを充電するための機能と考えられますが、Qi 規格の端末であれば充電できます。発表では、Mate 20 を使って iPhone XS を無線充電するパフォーマンスをやっていました。

画面内指紋認証と3Dスキャン

Mate 20 と X は指紋認証のみですが、Pro には生体認として顔認証と指紋認証の二つが搭載されています。しかも、Mate 20 と X の指紋認証は背面ですが、Pro は画面内となっています。画面内指紋認証は、昨年発売された高級モデルであるMate RSに搭載されているので、スマホ初ってわけではありませんが、ワクワクする機能です。実際の所は顔認証の方がスムーズでしょうが、顔認証が利用できないシチュエーションで指紋認証を行えるのは便利です。

Mate 20 Proの3D Live Objectは、3Dスキャナ代わりにもなりそう - Engadget 日本版

3Dスキャナ代わりに!?

Mate 20 Pro の顔認証は3Dスキャンで顔の三次元情報を読み取って行う方式。iPhone X 同様にアニ文字みたいなこともできます。面白いのは、この機能を使って3Dスキャンができること。発表会ではパンダのぬいぐるみをスキャンし、それを3Dモデル化。ボーンを組み込んで、ARオブジェクトとして動かしたり、写真撮影したりしてました。ボーンの組み込み過程は謎ですが、発表会のライブ中継度通りに解釈するなら、人型のモデルであれば自動的に組み込まれると思われます。実際の人物やフィギアなどをスキャンして、記念撮影みたいなこともできそうです。

3Dスキャナ機能で取り込まれた3Dモデルの形式も気になるところ。一般的な3DCGソフトで利用できるなら、簡易的な3Dスキャナとしても重宝しそうです。。

関連:こマ?iPhoneの「ポートレートモード」で撮った写真は奥行き(3D)情報が保存されてるから「撮影後に光源を足す」とかできるという事実 - Togetter

食べ物のカロリーを推定

OS のベースは Android 9 ですが、HUAWEIカスタムの EMUI 9 が搭載されます。
Pixel 3 にはカメラによる画像認識が搭載されていますが、Mate 20 にも似たような機能があります。例えば、食べ物を撮影するとカロリーを算出できます。既に、画像認識を利用した同様の機能を有するアプリがリリースされていますが、Mate 20 Pro の新しい点は、食品の体積を推定してカロリーを算出すること。つまり、同じリンゴでも大きさによってことなるカロリーが表示されるというわけ。あるいは、商品を撮影すると購入可能なサイトを見つけるなんてこともできます。

Mate 20、Pro、X の違いなど

RSは超高級モデルなので除外して、Mate 20、Pro、X の違いを見ていきましょう。

Mate 20 と Pro とでは、サイズはほぼ同じですが、Mate 20が水滴ノッチなのに対して、Pro は帯状です。帯状のノッチの中にIRカメラなどがあるので、Mate 20では顔認証ができません。
ディスプレイは、Mate 20 が液晶で、Pro がOLED。また、Pro は左右が曲がっています。画面の大きさとしては、どちらも6インチとほぼ同じですが Mate 20 の方がやや大きいです。EMUI 9において Android 特有の「戻る」ボタンが、画面左右端、どちらかからのスワイプとなっているため、Pro のように曲面が合った方が操作しやすく持ちやすいのでしょうが、ガラスフィルムを貼りたい人にはマイナスポイントでしょう。

X は Mate 20 をそのまま大きく7インチにしたサイズ感。ノッチも Mate 20 同様に水滴ですが、ディスプレイはOLEDです。オプションとして、スタイラスペンやゲーム用コントローラーが用意されています。サイズ感としては、コアなファンのいるXperia Z Ultraに近そうです。

docomo の発表会では未登場

17日の13時からdocomoスマートフォン発表会がありましたが、残念ながら Mate 20 Pro などは発表されませんでした。
Mate 20 シリーズが日本でどのように販売されるか良く分かりませんが、P20 Proを取り扱うdocomoはMate 20 Proも販売する可能性は高いでしょう。また、SoftBankは Mate 10 Pro を扱っているので、もしかしたらリリースされるかも。Pixel 3 や AQUOS ZERO をスルーした au での取り扱いは可能性が低そうです。
P20シリーズと同様の展開ならば、Mate 20がSIMフリーとして、Mate 20 lite がMVNO端末として扱われるでしょう。
欲を言えば、NFC搭載のSIMフリー版Mate 20 Proが出ればいいんですけ、無理な願いでしょう。

旧スクウェアファンが OCTOPATH TRAVELER をプレイしたら超楽しかった!

OCTOPATH TRAVELER Original Soundtrack

OCTOPATH TRAVELER Original Soundtrack

散々言われている評ですが、かつてのJRPG、特にスーパーファミコン時代のスクウェアが好きな人にはお勧めです。懐かしいけど新しい。そんなゲームです。BGMも抜群で、サントラを購入してしまいました。戦闘音楽が軽快で作業が捗ります。
徐々にネタバレを増やしていく形式で感想を書いてみます。

美麗なフィールドをドット絵キャラクターが駆け回る

ドット絵でありながらエフェクトによる風景がとても綺麗で、それが世界観ともマッチしています。雪国におけるダイヤモンドダストに、森の中の木漏れ日。そして、乾いた熱砂の砂漠。水の流れは3DCGのようですが、それも不思議と背景に溶け込んでいます。

美しいフィールドを歩く楽しみがある一方で、通れる場所と通れない場所の区別がややつきにくく、それがストレスになることも。ダンジョンでは、それを利用して宝箱を隠しているのだけども、引っかかっているのか単に進めないのかが分からないことが多々ありました。

スクウェアらしい戦闘

戦闘はファイナルファンタジー(FF)から脈々と続くサイドビュー形式を踏襲しており、ドット絵と3DCGやエフェクトの組み合わせから、なんとなくゼノギアスが思い起こされました。ジョブやアビリティシステムも同様に踏襲しており、組み合わせの妙を考えるのも楽しみの一つ。

戦闘の流れとしては、敵の弱点を突きブレイクさせ、ピヨッてる間にボコボコにするのが基本となるでしょう。FF13の戦闘をターン制バトルに置き換えたシステムように思えます。敵それぞれに弱点があり、またブレイクさせるまでに必要な攻撃回数も様々です。ブレイクさせないとダメージが通らないため、戦闘毎にパズルを解いているような感覚に陥ります。敵が瀕死になるといやらしい攻撃をしてくるため、撃ち漏らすと雑魚戦でも全滅する恐れがありシビアです。ボス戦は、如何に相手を攻撃させないか、効果的にダメージを与えるか、いつたたみかけるか、などと考えることが多く歯ごたえがあります。ボス攻略のためには、ジョブや装備の組み合わせを工夫する必要があり、この辺もFF13に似ているかなぁと感じました。
また、ブーストポイント(BP)が戦闘に爽快感を生み出しています。ターン毎に溜まっていき、一気に放出することで連続攻撃や大ダメージを与えたり、奥義を使えたりもします。これが先のブレイクと噛み合っており、非常に気持ちがいい。連続攻撃で早めにブレイクさせたり、ブレイク後に大ダメージを与えたり。敵と味方の攻撃順が毎ターン毎に変わるため、手順をじっくり考える必要があります。似たようなシステムは、同じ開発陣が制作したブレイブリーデフォルトにもありましたが、こちらは防御することで溜まってきます。ブレイブリーデフォルトでは我慢が必要ですが、本作では勝手に溜まっていくため、より気軽に使えます。BP管理も戦闘の肝です。

オムニバス形式のストーリー(ややネタバレ)

ストーリーは、各キャラクターごとに四章からなるオムニバス形式で、ライブ・ア・ライブを思い出しました。特定の街を訪れることでプレイヤーが任意のタイミングで進めることができます。気になるキャラクターのストーリーをどんどん進めてもいいし、満遍なく進めても良い。あるいは、ストーリーを横に置いて世界中を巡ることもできる。ただし、ストーリーを無視して新しい街へ行く場合、ドラゴンクエストの橋以上に敵のレベルが一気に上がるため、難易度が高いです。

ストーリーそのものは淡泊で、同様にオムニバス形式であるライブ・ア・ライブと似た構成です。重厚なストーリーを期待している人には物足りないかも。一方で、各キャラクターの一章がやや長いので、ゲームをさっさと薦めたい場合には億劫になります。
道中の折々にパーティーチャットが用意されており、仲間同士の会話を楽しむことができます。逆に言えば、ゲーム中での仲間同士の関わりはこれくらいしかありません。章ごとに用意されているものと、特定の組み合わせのパティーメンバーで酒場に入ると発生するものがあります。章ごとのパーティーチャットを全員分見ようと思ったら結構大変でしょう。

全員の章をクリアしただけでは物語の全容は明らかになりません。特定のサイドクエストを進めて裏ボスに挑む必要があります。オフィーリアやサイラスのストーリーからは裏ボスの存在が、その他は黒幕の存在が分かる程度です。特に、アーフェンとトレサはいい話だなぁて終わってしまいます。

徐々にできることが増えていく(それなりにネタバレ)

適度にできることが増えていくデザインが素晴らしい。これが探索と噛み合っており、フィールドを駆け回る楽しさがあります。

先ずは仲間を集めてパーティー内の組み合わせが増える。次に、二章か三章に着手するあたりでジョブを組み合わせることができるようになる。その頃にはベースジョブの奥義が仕えるようになってくるでしょう。ただし、一部微妙なのもありますが。そして、四章くらいで上級ジョブに挑戦できるようになり、その後に最強装備が手に入り始める。
フィールドはマップで仕切られ、レベルにより区切られています。レベル差があると敵から逃げることさえままなりません。レベルを上げなければ新しいマップに踏み入れるのは危険です。低レベルでも敢えて危険を冒して、ダンジョンの宝箱を集めたり、新しい街に行き着く選択をするのもありでしょう。
新しい街に辿り着けば、住人から情報を聞き出したり、アイテムを買い取ったり、あるいは盗んだりして、有用な装備を集めていくこともできます。クエストをこなしていくのもいいでしょう。
フィールドや街の大きさも、適度に迷いつつ探索できる程度になっています。ただし、先述のように、移動できる場所とそうでない場所を判別しがたいですが。

戦評(攻略上のネタバレ)

私は、二章を始めずに全ての街を巡り、上級ジョブも取得してからストーリーを進めるスタイルで遊びました。オープンワールドでもないのに、こういう遊び方が許容されているのも OCTOPATH TRAVELER の魅力でしょう。
こんなプレイスタイルになってしまった一因は、一章においてプレイアブルな時間が少なかったので、ストーリーを進めるのがやや億劫になったこと。また、二章を始めるに当たり、ストーリーが進行する街を出しておこうと思ったら、道に迷ってしまったから。高レベルの敵が出現する地域に迷い込んだものの、装備で属攻を上げまくったサイラスで倒せてしまったので、そのまま快進撃が続きました。そうこうしていう内に、全ての街を訪れてしまったという経緯。そして、街を訪れる度にクエストをこなし、住民からアイテムを盗んで徴収しまくっていたら、上級ジョブにも挑戦できちゃったのでした。

特に前情報など無しにサイラスでスタートしたのですが強すぎ。まず、予習が便利。ブレイクが起点となる今作において、敵の弱点を知れるのは非常に有利です。また攻撃面でも、敵が多いのもあいまって、三つの属性で全体攻撃できるのはかなりの強みです。さらに、エンカウント率半減まで覚えるので探索が楽になります。エンカウント率が高めのため、エンカウント率半減は是が非でも欲しい所。

パーティー編成としては、紫宝箱を開けるため、テリオンを常備していました。結果的に「盗む」の成功確率も上がるためアイテム収集が二重に捗ります。ただ、本作ではお金が余るのでトレサの買い取りだけでも十分回していけるでしょう。
戦闘面では、雑魚戦は属攻の高いサイラスが蹴散らす。ボス戦は「聖火神エルフリックの導き」をサイラスにかけて、通常攻撃を二回にしてブレイクを早めたり、ダメージ量を増やしたりしてました。サイラス中心で回すと「碩学アレファンの知識」をかける暇があんまりない。プリムロゼを魔術師にする手があるものの「舞踏姫シルティージの囁き」を踊って貰う必要があるので、攻撃にBPを裂けませんでした。
全体として特に弱いジョブってのはないと思いました。トレサは金さえあれば攻撃面では非常に強い。また、ルーンマスターと組み合わせると物理攻撃を完全にシャットアウトできてしまう。アーフェンも攻守共に優れていますね。なにしろ「調合」が強い。トレサ同様に元手が必要ですが、属性三回攻撃はボス戦で役に立ちます。「霊薬公ドーターの恩恵」でアイテムを全体化できるのも強い。ステータス異常がやっかいなこのゲームでは無効にできる「健全化」もありですね。とりあえず、トレサにかけておいて「ルーンマスター」の「拡散のルーン」をかけて「ひとやすみ」しとけば状態異常を回復できちゃう。
ハンイットは弓弱点の敵が多いと心強いのですが・・・・・・。狩人のアビリティは役に奴ものが多く、敵の行動順をターンの最後にする「ねんちゃく糸」やターンの最後にもう一度行動できる可能性のある「ラストアクト」などは、裏ボスまで役に立ちました。

各キャラクターのストーリー(ほぼネタバレ)

各キャラクターのストーリーとしては、トレサ編で旅への意思が受け注がれているのが OCTOPATH TRAVELER における希望になっていて好きです。継承はサイラスの意思であります。知識を独占したい学長に対して、それを広めるべきと考えているサイラス。禁忌の知識をも、後世のために残そうとする意思は学者として見倣いたいものです。
キャラクター同士に共通点があったり、あるいはそれが対比になっています。例えば、オフィーリアとプリムロゼは子どもの頃に両親が亡くなっています。しかし、オフィーリアは他者を信じ、プリムロゼは自分自身の信念しか信じるものがありません。また、オフィーリアとプリムロゼは、マティアスとシメオンの関係性がよく似ていますね。
テリオンもオルベリクも親友と思っていた人物に裏切られおり、テリオンは決別し、オルベリクは和解します。ハンイットもアーフェンも、師匠を追うために旅に出ます。残念ながらアーフェンは会うことはできませんでしたが・・・・・・。
全体のテーマとしては、「他者を信じること」が根底にあるでしょう。テリオンは他者を信じることができませんでしたが、最終的には信じることができるようになりました。トレサやサイラスも他者を信じているからこそ、継承できるのでしょう。

一方で、各キャラクターのストーリーを終えても、それぞれのつながり、つまり共通の敵が見えてきません。特に、トレサやアーフェンに関しては、どのように関わっているのか全く分かりません。黒曜会などを知っていいれば、トレサの手記を狙った女性の素姓は想像できますが、なぜ狙われたのかはさっぱりです。アーフェンに至っては裏世界との繋がりも分からないですし。ハンイットにしても、結局「赤目」がなんだったのかも分かりません。
オルベリクやサイラス、オフィーリアならば、共通の敵の姿がかなり見えてきます。ただ、それでも各キャラクターがどのように関わっているのかまでは掴めません。それを知るには裏ボスに挑戦する必要があります。

裏ボスについて(完全にネタバレ)

裏ボスに挑むには、とあるクエストを終える必要があり、メインストーリーだけを追うだけではありません。ここでようやく、トレサとアーフェンの関わりが判明します。

裏ボスに挑むには、パワーアップした各キャラクターのラスボスを倒す必要があります。ロックマンか!パワーアップしているものの、装備などを調えておけば、概ね3ターンくらいで撃破できてしまいます。1ターンめに「ねんちゃく糸」を使って、2ターン目にボスが攻撃する前にブレイクさせつつ、バフとデバフをかける。そして3ターン目で「ダメージ限界突破」と「BPイーター」をつけたアタッカーが攻撃してフィニッシュ。これを8回繰り返して、裏ボスに挑むわけですが、きちんと対策しておかないと辛いです。それ故に、何度か試行錯誤したのですが、その度に8体のボスを相手にする羽目になり面倒でした。

裏ボスは2パーティーで挑むので、各キャラクターをきちんとレベルを上げておかないと辛いです。私は、初戦は「聖火神エルフリックの導き」をかけたサイラスを攻撃の要として、「舞踏姫シルティージの囁き」をかけたオフィーリアで反射やバフを味方にかける戦法で凌ぎました。二戦目は、「ルーンマスター」のトレサに「拡散のルーン」をかけて「緊急回避」という、恐らく一般的な戦法で挑みました。各パーツを各個撃破を目指し、ダメージソースとしてオルベリクの「雷剣将ブランドの剛撃」か「十文字切り」。聖火神で二回攻撃できる場合は「十文字切り」の方が強いことも。魔法系が弱点の場合はアーフェンの調合でブレイクさせました。

裏ボスに限らずに、全体のボスに言えることですが、対策さえしておけば低レベルでもボスを撃破できるようになっています。「魔大公」や「マーナガルム」はその典型でしょう。ただし、拡散のルーン+緊急回避に思い至る前に挑んだので「マーナガルム」には苦戦しました。物理防御を上げて、回復限界突破でも倒せるけど、お供を散らすのが大変でした。ダブルトマホークを二本持っていいればかなり楽になりますが。

最後に

裏ボス撃破時のプレイ時間は70時間弱でしたが、実際は「盗む」で失敗した場合に何度もリセットしているので、もう少々長そうです。二回目をプレイするつもりは特にありません。やるなら、低レベルクリアとやRTAでしょうか。工夫次第でボスを倒せるのでやり応えはありそうですが、事前調査に時間がかかるので、それなら他のゲームをやりたいですね。積みSteamが何本かあるし・・・・・・。

一ヶ月かかって Essential Phone がやってきた

Essential Phone を購入したので、Essential Phone でレビューを書いた。
非常に気に入ってはいるが、半分くらいは Android P の良さに思える。

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Prime day 祭り!

Amazon.comで「Essential Phone PH-1」が$249.99(約2万8千円)にセール | 寝る子ブログ

Amazon.com のPrime day にて $250 で投げ売りされていたのを確保。送料とデポジット込みで $280 と、最新のローエンドモデルの価格で、昨年のハイエンドと同等のスペックで、最新の Android を使えるため非常にお得であった。その代わり、祭りに出遅れて在庫がなくなってから注文したため、到着まで一ヶ月くらいかかってしまったが。

その後、公式サイトで 360カメラが $10 で販売され始めたものの、送料が安くなかったため見送り。すると、Amazon.com でも送料も含めて $40 になっていたため注文したら、本体よりもガメラの方が届いてしまった。

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色は特に何も考えずに、Black Moon にしてしまった。評判は通り指紋が目立つが、ディスプレイを消すと真っ黒な板になるのが気に入っている。

価格も安く、待たされたのもあって満足度は高い。バッテリーの持ちなどはまだよく分からないが、恐らくゲームなどを頻繁に利用しなければ特に困らない程度は持つだろう。ただし、360カメラを使うとものすごい勢いで減っていくが。

Essential Phone とは

Simple is the best!

エッセンシャルフォン

Android 共同創業者のアンディー・ルーピンが開発した、世界で初めてノッチが搭載されたスマートフォンである。

ノッチは賛否両論があるものの、通知領域として利用するだけならスペースを有効活用でき、画面に表示できる情報量が増える。そのため、画面が大きく感じる。ディスプレイはQHDと微細である。漫画なども読もうと思えば、拡大せずとも読めるくらいだ。

Snapdragon835 を搭載し、RAM も 4 GB と2017年のハイエンドモデルと同等で、現在でも 十分に高いスペックである。AnTuTuベンチマークスコアとしては、18万程度が報告されている。
むしろ、25万台を叩き出す845のスペックが高過ぎである。

デザインは至ってシンプルで、ロゴなどは全くない。中身もほぼ素の Android とシンプル。セキュリティアップデートなども定期的に配信され、最新版の Android である P (9.0) を利用できる。現在のところ日本で唯一技適の通った、Android P 端末でもある。

拡張性を兼ね備えたスマートフォン

Essential Phone はシンプルでありながら、スマートフォンの拡張を目指した製品でもある。
背面にアクセサリーを取り付けることができるようになっている。例えば、360カメラ などが用意されいる。

スマートフォンの拡張を試みたのは Essential が最初ではない。最近だと、2016年にモトローラが moto Z を拡張するため moto mods family JP | Motorola を展開している。拡張バッテリーの他、ハッセルブラドのカメラに、プロジェクターなどが用意されている。

スマートフォンに限らずガジェット類の拡張で問題となるのは、本体のデザイン変更により既存のアクセサリーを流用できなくなる点がある。これは、メーカーとしても消費者としてもデメリットである。
大きなエコサイクルであるアップルであっても、2年ごとに筐体や、コネクタ類の変更が行われる。
Essential Phone はこの点を乗り越えようとした節がある。アクセサリーとの接続は背面にある二点のポッチ経由で行われる。このデザインであれば曲面スマートフォンが主流にならない限り、他のモデルでも流用できるだろう。問題は、そこまで Essential が存続するかであるが。

360カメラ

さて、肝心の360カメラであるが、360カメラそのものを初めて利用するため、他との比較ができない。
スマートフォンに装着するだけで使えるためお気軽ではあるが、使用できるまで時間がかかることがあるのがいただけない。
また、必ず自分自身が映り込むのを免れない。私は人を撮したくないため、絶対に自分が映り込むのが残念である。
ただし、フレームで切り取るカメラとは違って予想もしないものが映り込むんでいる面白さがある。
山の頂上とかドーム内のような全方位に眺望のある場所で撮影すると面白そうだ。美術系であればシスティーナ礼拝堂などを撮影できたらとても面白い絵が撮れそうだ。

発売から一年を経て完成した Essential Phone

Essential Phone は 2017年の8月末にアメリカで発売され、2018年の4月末から欧州の一部や日本でも発売されるようになった。
発売当初は $700 と、他社のハイエンドモデルと比較すると安いものの、中身がシンプルすぎたため評判は芳しくなかった。日本向けではなかったとはいえ、日本語のレビュー記事もほとんどない。むしろ、Android P の配信もあって Prime day 以降の方が多いかもしれない。
例えば、カメラなどはひどいものだったという。現在は度重なるアップデートにより改善され、使えるレベルになっているが、リリース当初は撮れればいいだろってくらい低度な仕上がりであった。タッチパネルの感度が悪いのも相まって、撮れたかどうか分からないという代物で、HUAWEI などが採用しているカラーとモノクロのデュアルレンズカメラを全く生かせていなかった。

デザイン最高だけどカメラはいまいち…。Essential Phoneレビュー | ギズモード・ジャパン
Essential Phone PH−1レビュー「あの悪い評判は本当か?」: ゆるガジェCHANNEL

価格は徐々に下がり、アメリカ国外へ展開する直前の2018年3月に $500 となり、現在は $350 と当初の半額まで値下がりしている。
それと平行してアップデートが繰り返し行われ進化し続けた。ノッチに対応した Android P がリリースされ、一応の完成をみたと考えてよいだろう。実際、Android P の相性は抜群だ。

Android P ではホームボタン周りの操作方法が一新された。特に、アプリ履歴ボタンが消えたのが大きな変更点であろう。また、戻るボタンも常時表示されるわけではない。
バー状のホームボタンが画面下部に表示され、アプリを立ち上げると戻るボタンが表示される。ホームボタンをタップするとホームが表示され、軽くスワイプするとアプリ履歴が表示される。iPhone Xに近いが、個人的には Android P の方が好みだ。特に、大きく上にスライドするとアプリ一覧が表示されるのが Android らしくて使い勝手もよい。

完成度は高いが、au 系の SIM を利用していると、通常ニュースがけたたまし音と共に緊急速報で通知される既知の不具合がある。
Android P の Beta 4 からある不具合なのだが、これはAndroid P というよりも、キャリアである au に問題がある。au は通常ニュースを緊急速報用である ETWS で流しており、それを Android P Beta 4 から緊急速報として拾うようになってしまったようだ。

なにもしてないのにEssential Phoneが5日でこわれました - nuits.jp blog

Essential Phone のだめなところ

素の Android が利用でき、価格の割にはスペックが高いので、非常に満足しているものの、いくつか気になる点はある。

180 g を重いと感じる人は多いかもしれない。私は HUAWEI P9 にラギットアーマーを装着したのと同じくらいなのであまり気にならなかった。ちなみに、iPhone X も 174 g と近い重さでもある。

恐らく、一番の難点はタッチパネルの感度の悪さだ。ATOK では感度を調整できるが、最高にしても取りこぼしが生じる。開発者向けオプションから感度を変更でき、上げるとフリック入力の取りこぼしはなくなる。ところが、そうすると Pokemon GO でボールをキープできなくなることが発覚。タッチしていても、ポロポロとボールを落とすため、ボールを投げることすらままならない。結局、感度はデフォルトに戻した。入力に関しては慣れはしたが、それでも取りこぼしが多いと感じる。タッチではなく、スワイプの感度に問題がありそうで、スワイプを多用するゲームでの影響が気になるが、私はやらないので判断できない。

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指紋認証が背面にあるのは好みの問題ではあるが、Android P に限ってはホームボタン下部に何もない方が使い勝手が良さそうである。Essential Phone の場合は関係ないが、Samsung などがどのようなアレンジを施すかも気にかかる。ハイエンドは顔認証が基本になると予想され、ハードウェアによるホームボタンは廃される方向になるだろう。

カメラに関しては、アップデートされたものの、個人的には露出やシャッタースピードをコントロールできた方が楽しいため、作り込みが足りないと感じる。私は P9 の絵作りが好きで、そちらを使うため、Essential Phone ではそれなりに撮れれば問題はない。ディテールとしては、P9 より同じかやや上くらいのレベルにまで向上している。

気がかりなのは Essential社の動向だ。身売りも噂されている。現在、投げ売り状態ではあるのだが、Prime day ではなくなくなった在庫をわざわざ新たに確保して販売もしている。在庫はあまり抱えていなようなので、先ずは認知度を高める方向にシフトしたのかもしれない。
Holy Gray には Alexa が標準搭載されており、また Prime day で安売りした点から、もしかしたら Amazon Fire Phone の復活のため狙っている可能性も?

身売り話もあるEssential、PH-1に「2年のアップデートと3年のセキュリティパッチ提供」を明言 - Engadget 日本版

個人的な運用指針など

実は、現在使っている HUAWEI P9 に特に不満はない。強いていえば電池の持ちが悪くなったことだが、それは主に Pokemon GO のせいである。問題の多くは Pokemon GO のせいなのだ。Pokemon GOHUAWEI のカメラは共にバッテリー喰いであり、メモリ喰いでもある。そのため両立が難しい。両方を使っていると一時間もせずにバッテリーがなくなることもざらだ。

P9 に不満はないのだが、そろそろ二年になるので買い換えたい。P20 Pro は発表当初からずっと気になっている。日本発売は6月までお預けになったが、そうなってくるとMate 20 も気になってくる時期だ。性能としては、Mate シリーズの方が上である。

P20 Pro はおサイフケータイに対応したものの、docomo 独占というのが気に入らない。実際、電話などのアプリは docomo のに置き換わっているし、リモコン操作などの機能も排除されている。Mate 20 まで待ってみるのもありだろう。

そもそも、P20 だろうが Mate 20 だろうが、Pokemon GO の問題は解決しない。
というわけで、Essential Phone を Pokemon GO 用として運用することにした。二台の持ちにはなるが、モバイルバッテリーを常用するよりも、スマートフォン本体への負担は軽くなるだろう。