会議コメディで必要だった「7本の赤い直角に交わる線」にマジレス

会議におけるディスコミュニケーションで、あるあるネタなんですが笑うに笑えないコメディ。この手のネタは日本に限らず、世界的にあるあるネタなんだなと認識。
つまりは、「プロジェクトの姿 - 顧客が本当に必要だったもの」の動画版。

戦犯はだれかって話になると全員だろってことになるんですが、受注側が発注側のイメージを租借して解釈する必要があるよなと。それと同時に、発注側も受注側にイメージを伝える努力を放棄していることはよくあるよなと。

「7本の赤い直角に交わる線」は何かの比喩であって、この比喩から論理展開するのはネタにマジレスになってしまうのですが、ネタであっても発注側が必要としたものはおぼろげながら見えてきます。

チーフっぽい女性曰く

  • 7本の赤い直線
  • 全て厳密に直角
  • いくつかは緑のインクと透明なインクを使う

必要な物は一見シンプルに見えますが、文字通り受け取れば実現できません。
しかし、発注側には何かしらのイメージがあり、それを彼らなりの言葉で伝えているわけで、それぞれの単語の意味を、より適切な言葉で解釈し直すことが受注側に必要なことでしょう。
同時に、発注側は同じ単語を繰り返すのでは無く、異なる言葉で説明し直したり、図を描いたりと伝える努力が必要です。


「赤い」というのは、大体において「目立つ」という意味でしか無く、他の言葉で言い換えれば「明確な」「鮮やかな」「映える」「コントラストのはっきりした」という意味に置き換えて問題ないでしょう。そう解釈すれば「緑のインク」を用いる事も可能です。

「緑や透明のインクを用いる」も、色が問題なのではなく、緑色のインクを用いること自体がプロジェクトを遂行する上で必要なマターとなっている場合もあります。例えば、緑色のインクを大量に発注してしまったので、緑色のインクを使用しなければならないとか、緑色のインクを用いることが発注した会社イメージを維持する上で重要だとか。緑色のインクを使うと環境保護のアピールになるなど。この場合は、緑色のインクを線を引く以外の用途にするとか、意味は無いけれども緑色のインクを赤色のインクに混ぜて使うなどの対策があるでしょうか。後者は、現場からなんでそんな意味不明なことするんだ、と言われる事案で、あるあるネタなんじゃないでしょうか。

「全て厳密に直角」も幾何学的な意味での「直角」ではなく、「整然に」「整った」「綺麗に」「規則性をもって」などと解釈できでしょう。動画中で発注側が三角形を描いていることからも、発注側が幾何学的な意味での「直角」が必要で無いことは推測できます。


上記のように解釈すれば朧気ながらに発注側のイメージがつかめますが、話はこれで終わりません。最後にデザイナーからさらに曖昧な注文が加わります。曰く

  • 線の一つを子猫にしたい
  • 赤いバルーンが必要
  • バルーンを膨らませて子猫にしたい

ここまで来ると本当に「線」が必要だったのかも怪しい物です。また、受注側の専門家は「赤い線」を引くことの専門家なので、彼に任せること自体おかしな話でしょう。受注側と発注側のミスマッチは良くあることで、これもあるあるなんですが。
この件で問題となるのは、発注側のチーフとデザイナーがどこまでイメージを共有できているかです。子猫については一致しているとみて良いですが、バルーンに関しては確認が必要でしょう。
ここでの「子猫」はかわいいもの、女性や子どもに受けるデザインが必要だと解釈できるでしょうか。これをきちんとイメージするには、チーフが冒頭で喋ったマーケティングをきちんと租借して説明しなければばりません。
バルーンに関しては、バルーン自体では無く膨らむことが重要に思えます。つまり、動き、あるいは子猫を目立たせるギミックと解釈すれば良いかもしれません。

ただまぁ、バルーンと子猫を「赤い線を引く専門家」が実現できるかを判断するのはプロジェクトマネージャの責任のはずですし、兎にも角にも受注を完了したい場を仕切っているボスと思しき男性の責任でもあるのですけども。

マジレスしてみると、それぞれの問題点が浮き彫りになるくらいには良くできたコメディだなぁと。