座高を測定する意味って?

文科省が座高測定廃止を検討

学校での座高測定の廃止を検討しているのだそうです。そういえば、座高は何のために測っていたのかよく分かりませんでした。足の長さを測るためでしょうか?座高が高いと足が短いとバカにされることがありますが、日常生活ではわざわざ測る意味がない気がします。椅子と机を調整する際に必要ですが、実際に椅子に座って高さ合わせた方が早いですし。

座高廃止を検討した記事録が文科省のウェブページに掲載されています。「座高」とテキスト検索すると、わざわざ測定するほどでも無いから省略してもいいんじゃ無い?という意見が多いようです。議事録によると、座高を短く見せるために背を曲げる子が多いので測定に難儀するといった現場の声も上がっています。やっぱり、今でも足が短いってのはバカにされるポイントなんだなぁと。

なぜ座高を測定したの?

そもそも、なぜ座高を測定するのでしょうか?座高を測る意味 | 雑学記座高 - Wikipedia によると1935年(昭和10年)頃から測定されはじめたようで、当時は内臓が発達していると健康であると考えられていたようです。

戦前の資料は 近代デジタルライブラリー で調べられるので、早速「座高」で検索すると 1937年の 近代デジタルライブラリー - 改正学校身体検査規程解説 が見つかりました。以下に重要だと思われる場所を引用します

人間の重要諸器官は下肢を除く体幹の部分に存しているので、此の部分の発育状態の良否は人間の生活機能に極めて重要なる関係を有すると云う点に有するのである。最近に於て身体測定上、座高が身長よりも更に重要なる意味を持つものであるとの学問的結論を得るに至っている。かかる意味に於て座高測定の価値を重要し、新規定に於て新たに取り入れられたのである。
近代デジタルライブラリー - 改正学校身体検査規程解説 P. 39より。旧仮名遣いは引用者が現代仮名遣いへと変換した。

座高を測定し始めた頃は、座高が高い方が健康だと思われていたんですね。
確かに、日本人は米を食べるので腸が長い、つまり胴が長い方が健康かもしれません。実際、肉食の欧米人よりも日本人の方が腸が長く、その結果胴が長い、つまり足が短いですしね。
ただ、現在は食生活も変わってきているので、必ずしも健康の指標にはならないでしょう。

現在も座高を測定する意味があるのでしょうか?文科省の検討会における資料である 学校保健における身体計測 とくに座高測定の意義について によると、座高(上節長)と足の長さ(下節長)の比を取ることで、成長の具合を検討できるとしています。ただし、座高(上節長)と足の長さ(下節長)の比を検討するよりも、身長と体重を詳細に検討した方が、意義が明確であるとも報告しています。座高を必ずしも測定する必要の無い理由として、近年子どもの座高が短くなっているため適切な抽出が行えないのも一つの要因のようです。

海外の座高事情など

座高は Sitting Height なので、ググってみましたが、海外で座高を測定するのがどれくらい一般的なにかは分かりませんでした。

カナダの健康に関する研究を行っている機関(?)のサイトである Atlantic PATH :: Measurements では座高を測定しているようです。座高を測定することで成長の具合が分かると説明しています。

SitKit | Max Mobility など車椅子を販売している会社もヒットしました。確かに、車椅子を作る際は座高を測定するのは大事なことでしょう。その他では、DOCUMENT: Chapter 7 Structural anthropometry など机と椅子のデザインをする際に座高を考慮すべし、とのページが見つかるくらいです。

測定する理由がもっともはっきりしていたのは、ネイビーで Sitting Height に測定方法が写真付きで掲載されています。軍隊ならば、コックピットのサイズを決めるときに考慮すべ身体の長さではあるでしょうね。

まとめ

  1. 座高を測定するようになったのは1935年(昭和10年)頃からで、当時は胴体が長い方が健康だと考えられていた。
  2. 座高を測定することで、成長の具合を考慮することができる。
  3. ただし、最近は以前と比較すると座高が短くなっているため、以前のデータとの比較検討が難しく、成長具合を十分に検討できるとは言い難い。
  4. 座高で成長具合を検討するよりも、身長と体重の経過を