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内輪の悪ふざけを公開して炎上するのは何も特別なことではない

ローソンのアイスケースに入ってみたに始まる一連の騒動。立て続けに起こるのは夏休みだからなのでしょうが、ここまで集中して起こると言及してみたくなるのが人の性分。イケダハヤトさんなどは おバカな従業員は「安さ」の代償 - ihayato.書店 | ihayato.書店 と分析していますが、ちょっと違うんじゃないかなと。この騒動は何も特定の世界に所属する人が、特別バカな事が起こしているわけではない。
それにしても、ローソンはオーナーの仲間内でしたが、ミニストップは客がアイスケースに入ったとはちょっとびっくり。店員に気づかれずに入れるものだろうか。ミニストップは店頭で作るメニューがあり店員さんが案外忙しそうな上、イートインスペースがあり他のコンビニよりも売り場面積も広いため、間を見計らえばアイスケースに入れそうですが。

一連の騒動は何も特別なことではなく、単に道具と場、つまりカメラ付き通信端末とインターネットがあるから起こるのであって、これまでも起こっていた悪ふざけが可視化されたたにすぎない。まさに、「バカが可視化される時代」とどう向き合うか - 脱社畜ブログ なのだけど、具体的にどのように対処すれば良いかを論じるのすら難しい。しかしながら、馬鹿が跳梁跋扈している今日この頃ですが「彼らは馬鹿だから」で済ませていて良いのでしょうか(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース (反語)。

一連の騒動を起こす人を論じた 「うちら」の世界 - 24時間残念営業 などは随分納得させられる部分がある。「うちら」の世界にいる人々は、外の世界を想像することが難しい。そのため、その外の世界から見られていることを意識することは当然できない。この「うちら」の世界の人々をコンビニ店長は「低学歴」と分類していたが、これは違うよなと。高低で分ける問題でもないし、自分たちと異なる存在として分類する問題でもない。

「低学歴」に関しては、「自分たちの世界だけで完結する」を学歴問題にしないほうがいい : ARTIFACT ―人工事実― にて村長が水を指してますが、一連の騒動は低学歴に限った話ではない。

神戸大や同志社の学生も、バカなことをやって、Twitterで自慢し自爆している。つまり、高学歴だって同じようにバカをやっている。学歴や教養の高低は関係なく、コンビニ店長が「うちら」と称する人はいるわけだ。
コンビニ店長の揚げ足を取りたいわけではない。問題視されている、一連の騒動を表現する言葉がないため、この問題を言語化するのはなかなかに難しい。

仲間内での悪ふざけが外に漏れて大騒動

一連の騒動に共通するのは、本来内輪ですますような悪ふざけを自らネットにアップしたことで、多くの人に閲覧され騒ぎが大きくなった点だ。これらの騒ぎは、今に始まったことではない。例えば、吉野家、「テラ豚丼」動画騒動で謝罪 - ITmedia ニュース は2007年に起こっている。

一連の騒動を起こす学生が存在するのは、世代の問題ではなく、道具や場の問題であろう。気軽に写真や動画を撮れる携帯電話やスマートフォンと、それらを簡単にアップできるYouTubeニコニコ動画、そしてTwitterが存在するからにすぎない。これらが以前は存在しなかったから一連の騒動が起きなかっただけで、何時の時代にも似たような事する人はいたに違いない。その点で、現在はそのような悪ふざけをする人が可視化され、記録される時代になったとも言える。

以前ならば、仲間内で受ける悪ふざけは武勇伝として語られるにとどまっていた。証拠を残す人は多くなかっただろう。仲間の証言が証拠になり得た。ところが、2000年にカメラ付き携帯電話が登場し気軽に写真が撮れるようになるにつれ仲間内でも、証拠として写真が必要となっていく。写真がないとホラ吹きとなり、武勇伝として認められない。また写真をメールに添付することで、武勇伝を簡単に広めることができる。カメラ付き携帯電話により、内輪の話題が外に漏れる危険性が高まったが、この時点ではる拡散力は高くない。インターネットとケータイの文化圏がほとんど一致していなかったからだ。

SNSの普及によりケータイでもインターネットにおける情報の共有が容易になる。SNSに投稿する感覚は、メールに写真を添付するのと同じだ。SNSは内輪を形成しやすい構造になっているため、外からの視線を意識しづらい。そのため内輪ネタを投稿するのに拍車をかけているのだろう。その結果、悪ふざけが仲間内以外にも拡散し、今回のような騒動が起こる。悪ふざけが外に出てしまった以上、内輪だけではすまされなくなる。
一連の騒動が起きるのは、道具と場の問題であって、今の若者が特別にバカだということはないだろう。90年台だろうが、80年台だろうが、70年台だろうが、60年代だろうが、それ以前であっても、同じような環境があったら同じように悪ふざけを公開する人がいたに違いない。


内輪に留まり、外の世界を意識できないのは、学校くらいしかコミュニティがないからだろう。しばし、「いじめにあったら逃げればいい」というアドバイスがあるが、学校と家庭しか知らない子どもにとって、逃げるべき外の世界を意識することは非常に難しい。2006年頃から 学校裏サイト - Wikipedia が問題となっていたが、これも学校にしか社会がないことを裏付けるものであろう。
「うちらの世界」論の系譜 « Soul for Sale で分析されるように、現在の若者のコミュニケーションの形が従来とは大幅に異なっている点には注目したい。ただこれはやはり、携帯電話やインターネットに由来する何かではないかなと。

P2Pによる情報流出

一連の騒動は、P2Pによる顧客情報やプライベート写真、特にハメ撮り画像の流出と本質的には変わらない。あるいは、Twitterで経営者や著名人が問題発言をして炎上するのも同じことである。ちなみに、Winnyを経由しファイルを勝手にアップする Winnyウィルス(通称キンタマ) は2004年ごろ。Shareにより、ハメ撮り画像が流出したケツ毛バーガーなどは2006年頃である。

ハメ撮り流出の過程は、先ほどの内輪ネタをSNSに投稿する流れとよく似ている。
フィルムカメラの頃は、ハメ撮り写真はそれほど撮影されなかっただろう。フィルムを現像する必要があるからだ。自分で現像することもできるが、ポラロイドカメラなどのインスタントカメラを用いるほうがお手軽だっただろう。ちなみに、ポラロイド社はインスタントフィルムの製造を2008年にやめている。
デシカメの登場により、ハメ撮りは急増したと推測される。エロは電化製品を動かす。しかし、デジカメだけでは流出しない。Winnyウィルスにより、ハメ撮りが流出する。やはり、道具と場が揃わなければならない。

それにしても、あなたがたのやってるのは、万引きと一緒です を読むとカメラ付き通信端末は写真の価値を変えてしまったなと感じさせる。今更、ジェットコースターの落下の瞬間を撮った写真の実物などわざわざ買わないだろう。QRコードなのでデータを販売するなどの工夫が必要なのではないかなと。

そもそも、ハメ撮り写真など撮らなければ流出しないのだ。これは、顧客情報流出なども同様で、社外秘の情報を気軽に持ち出せることに問題がある。しかしながら、人というセキュリティホールを塞ぐのは容易ではない。人というセキュリティホールを塞ぐには、教育が必要だ。しかし教育のコストも安くはない。また 【ステーキけん】井戸実さんフォロワーとの壮絶ツイッター まとめ - NAVER まとめ のように教育することが不可能な立場の人もいる。

一連の騒動は、誰にでも起こりえる

昔は、全員が記録できたわけではない。それこそ、文字を書けなかれば記録などできなかった。また、余程の偉人でなければ書いた記録が残り広まることもなかった。それ故、昔のアレな騒動は偉人くらいしか残っていない。【ゆっくり】伊達政宗の書状【音声ガイド付】 ‐ ニコニコ動画:Q などなかなか面白い。目上の方からの大事なお手紙故に大切に保管された結果、本来プライベートであるはずの手紙が広まったわけだが、これも手紙を書かなければアレな内容も広まらなかったであろう。最近話題になったニュースだと、太宰治の日記やノート一堂に 芥川に傾倒、名前や顔の落書きも - MSN産経ニュース などもなかなか黒歴史っぷりがすごい。流石、太宰治だ。


現在は、容易に記録できるし、しかもあっという間に拡散する場が存在する。特に、アレな記録ほどあっという間に拡散しやすい。
90年代後半から2000年代前半にかけては、アレなことを記録する人は遠巻きに介入せず見る=ヲチすることができた。しかし最近は、踊り子さんに手を触れないでくださいは通じない。ヲチも下衆い行為ではあるものの、近頃のヲチ界隈に関する苦言: 不倒城 を呈したいほどには突撃する人が多い印象。突撃というか、自身が圧倒的に優位であることを担保にして殴りに行くというのが正しいか。


アレな記録ほど拡散されやすく、騒動になりやすいだけであって、記録していれば個人を特定するのは難しいことではない。それを身をもって体験し記録したのが、Twitterの発言のみで住所特定が可能どうか、自分の発言を餌に試してみた - 偏読日記@はてな である。少ないツイートで肉薄されていて背筋が寒くなる。ここまでの特定能力を持つ人は稀であろう。しかし、アクティブなTwitterユーザーは要注意!? いつどこでつぶやいたか丸わかりになるサービスが登場 しているくらいだ。冒頭に上げたアイスケースの騒動のように、写真とアカウント情報のみでも人海戦術で特定することだってできる。また、嘘か真か 探偵さんはこのような方法でTwitterアカウントを特定するらしい!これがプロの仕事・・・ | ツイッターマニア なんて話もあるから恐ろしい。ネタだと思って容易に投稿できない恐ろしさがある。

一連の騒動は、外側からの視線が希薄だからとかそういうわけではなくて、現代が容易に記録でき、さらにその記録があっという間に拡散してしまう状態にあるからに過ぎない。誰にだって起こりうる問題で、大多数の人が騒ぎにならないのはアレな記録ではないからだ。恐らく、今後も似たような騒動は起きるし、規模のより大きな事態も起こるだろう。