まとめ主さんから反論になっていないと言われ非常に困惑

刑務所もショッピングモールは全貌監視できるから似ているってのが主だと思うのですが、その点に関しては 刑務所と城郭都市とショッピングモールの空間構成 - 最終防衛ライン2 においてショッピングモールは全貌監視できるようになっておらず、わざと視覚を作ることで、客を先に歩かせるような空間構成になっていると述べたつもりです。全貌監視できるショッピングモールは面白みに欠けますよと。

「放射状のショッピングモールはない」に関して、例示があったので答える

4核の例が示されているが、これはT字に近い十字であり放射状とは言えないのでは。ところで、このショッピングモールの入り口ってどこなんだろうか?(伏線)

十字が放射状か否かは、放射状の定義の問題であるが、私は前項において中心から6本以上の線が出ている場合を放射状、4本で直角の交わる場合は十字あるいは格子状に含めている。また、円弧や半円の場合は、3, 4本の線でも放射状とした。

手元の大辞林を引くと「線状のものが中心から四方に出ている様」とある。一方、大辞泉では「一点を中心に四方八方へ伸び出た形。輻射状。」となっている。四方と四方八方では意味が違う気もするが、ここでの四方は「東西南北」ではなく「周囲、いろいろな方向」という意味であるから、放射状とは一点を中心に線状のものが周囲に伸びた形状といえるだろう。言葉通りの意味ならば、T字路も十字路も放射状に含むが、これらをわざわざ放射状と分類するのは一般的ではないのではなかろうか。私は、5本ないし6本以上の線が中心から出ていれば放射状と表現するのが妥当だろうと考える。半円場合は4本ないし5本以上、円弧の場合は3,4本以上であろう。
例えば、ポポロ広場 などは3本しかないけれども放射状と呼ぶにふさわしい形状であると考える。

ところで、ツイートに挙げられているショッピングモールがどこにあるのか調べるために、画像検索してみた。最初に見つけたサイトは Mall Jubilee Gifts and Shopping Leasing Information で住所を入力すると、42.621421, -84.008262 から 4841 Milett Rd, Fowlerville, MI 48836 アメリカ合衆国 - Google マップ と随分な田舎が表示された。というか、それらしきショッピングモールはない。航空写真を見ても、存在すら確認できない。
そこで、もう一度見返してみると、ツイートの配置図と画像検索で見つけた配置図に異なる部分があるのに気がついた。どうやら、Gifts and Collectibles Shopping Mall with figurines and dolls! が正しいようだ。しかし、こちらの住所は先ほどアメリカの片田舎が表示されたものと同じだ。電話番号も同じだ。どういうことだ?とサイトのページを良く見ると" Online Shopping Mall!"と書かれている。つまり、この配置図はネット上における仮想のショッピングモールということらしい。そりゃ入り口がないわけである。
つまり、このショッピングモールは実在しない。放射状云々以前の問題である。


ヴァージニア州にあるSpringfield Town Centerだが、正直どこが放射状なのかわからない。格子状と呼ぶのが適切で、このショッピングモールが放射状ならば格子状は全て放射状と呼べてしまう。
エントランスと思われる3つの核となる店舗へ続く通路が交わる広場からは、それぞれの核がはっきり見えないように島中の店舗が配置されている。つまり、客は全貌監視できない。わざと視線を遮っているのだ。MARCY'S*1は広場により視界が遮られている。TARGET*2が見える位置に立つと、JCPENNEY*3が見えなくなり、その逆も又しかりである。また、狭い通路や袋小路を作っており、その点でもパノプティコン的ではない。

フロリダのOrlando Florida Mallだが、ここはまさに私が前項で示した死角を作るために広場と広場を曲線でつなげたショッピングモールの例そのものである。有名店舗は端に分散されているが、それぞれの有名店舗は最も近い交差点に立たなければ見えないようになっている。例えば、左上のLOAD&TAYLOR*4とJCPENNEY、SEARS*5が見える交差点からは、他の核となる店舗は見えない。これは、右上の交差点にしても同じ。全然全貌監視できないし、パノプティコンではない。

ショッピングモールがパノプティコンだと客は寄り付かない

また、別の方からショッピングモールはパノプティコンであると主張している方もいたので、それに対しても答えておく。

街を歩いていたらショッピングモールに入っていたという話を地方で聞かないのは、一般に地方では街とショッピングモールが切り離されているから。通常、地方のショッピングモールは土地のある郊外に作られる。もちろん、地方にだって街と接続したショッピングモールはある。長崎市チトセピア は商店街の真横に建設されたショッピングセンターだ。一方、渋谷のヒカリエや丸の内のキッテなど東京ショッピングモールは街と接続せざる得ない。東京は、街の成長方向が垂直方向にしか残されていないからで、長崎のチトセピアも同様の理由で街と連続している。

ショッピングモールは客を逃さない構造であるが、客はショッピングモールへ自由意志で訪れる。誰かに強制されたわけではない。
大きな駐車場があるショッピングモールは郊外に建設されるはずで、この場合における近隣の商店とは主観道路沿いにあるファストフードやその他の郊外型店舗であろう。紳士服販売チェーンが乱立してることすらある。古本屋やゲームの中古ショップなどもあろうか。郊外は客が車で移動することを想定している。故に、客は容易に他の店舗へ移動できる。よって、郊外型店舗において駐車場は内に向けられた城壁になり得ない。
ヒカリエなどの大都市型のショッピングモールと比較するならば、駅と接続されたショッピングビルよりも、エキナカの方が客を改札内に閉じ込める構造になってしまっている。意識して閉じ込めているのかは分からないが、駅の通路を商業施設として利用する以上、交通が滞り結果として駅の外に出にくくなるのは自明である。
Business Media 誠:どうなる? 鉄道の未来(4):駅ナカビジネスは好調だが、問題もある (1/6) などに客がエキナカのみを利用することで、駅近郊の商業施設の売上が低下するなどの影響が取り上げられていることからも、客がエキナカに閉じ込められているのは明白である。客は閉じ込められてはいるが、刑務所的ではない。駅ダンジョンで説明したように迷宮的である。

ちなみに、売り場直通の改札口を例を内に向けられた城壁であるとすると、「町を歩いていて気がついたらショッピングモールに入っていたいう話はトンと聞かない」なるツイートと矛盾する。

後半は、金がなく消費ができない人が、わざわざショッピングモールへ行ったら、消費しなければならないという強迫観念に駆られるからパノプティコンだと言ってるだけで、自らの意志で買い物なり、ウィンドウショッピングに来たり、映画のついでに暇つぶししてる人にとっては全然パノプティコンではない。仮に、ショッピングモールがパノプティコン的に消費を迫るのであれば、ウィンドウショッピングや映画のついでの暇つぶしの人が寄り付かなるはずである。つまり、ショッピングモールに訪れる全員が消費するためだけに着ているわけではないのである。
そもそも、ショッピングモールにおいてお金がなくて消費を促されているような感覚に陥る人ならば、普通はわざわざ寄り付かない。郊外型なら尚の事、ショッピングモールに寄り付かないだろう。
ちなみにふらっと入ることがあるならば、「町を歩いていて気がついたらショッピングモールに入っていたいう話はトンと聞かない」とやっぱり矛盾する。

*1:日本の百貨店に近い。服飾や寝具を扱う

*2:イトーヨーカドーみたいな小売店

*3:百貨店に近いが服飾が中心

*4:アメリカの老舗百貨店。なんでも売ってる

*5:百貨店で、家具、家電、ホームセンター的なものも扱っている