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魔界塔士サガの「かみ」とは何者か

魔界塔士サガの「かみ」は、ゲーム内の塔の世界の創造主である。英語版では"Creator"と表記される。

「かみ」は序盤からシクルハットの男として主人公たちにヒントを与える存在だ。魔界塔士サガのNPCの姿は、プレイヤーが操作するキャラクターの使い回しであるが、シルクハットの男だけは固有である。そのため、要所要所に登場するシルクハットの男は同一人物であることが分かる。その男が、塔の最上階にもいるわけで、プレイヤーに驚きを与える良い演出となっている。ちなみに、シルクハットの男は一度話しかけないかぎり、他の階には登場しない。つまり、シクルハットの男は偏在しないわけだ。

魔界塔士サガは「かみ」の作ったゲームそのものである。「かみ」は塔の世界の創造主であるが、創った世界に飽きたためアシュラを呼び出し世界を混乱させた。しかし、それにも退屈してしまいアシュラを倒すヒーローが欲しくなり「ゲーム」を創ったわけだ。この辺は、シムシティなどで遊んで自分の理想をする都市を作れるようになったら、飽きて破壊行動に勤しむのによく似ている。その後、実際に自分がゲームを作る立場になる人もいるが、そう考えると「かみ」は非常に人間臭い。
魔界塔士Sa・Ga - Wikipedia には一神教の神に近いと書かれているのだが、私の考えは少し違う。魔界塔士サガの「かみ」とは一体何者だろうか。

塔の構造

「かみ」の正体を見極めれるのは、彼の創造した世界、つまり塔を見れば良い。

魔界塔士は様々な世界を塔でつなげた構造だ。
7階の石像によると、塔の中では時間の流れが一定ではないらしい。そのため、16階のように近未来の世界もあれば、1階のように剣と魔法のRPGっぽい世界もあるのだろう。
塔内に上下関係や相関関係はほとんどないが、、雨の降らない13階と池に湖の底の穴がふさがり洪水になった14階のように一部に上下構造を持つ場合もある。

基本的に、階同士の交流は無さそうだが、18階にアシュラが破壊活動をしたおかげで儲かっている会社がある。この会社と、19階のかくばくだんが手に入る部屋や、21階の老人のいる世界などから推察するにアシュラ以前にはもっと多くの世界があったのかもしれない。

また、20階にはこれまで塔の最上階を目指したものの途中で力尽きたかつての冒険者たちの記録を残しており、「かみ」がこのゲームを気に入っていたことが伺える。

それでは、「かみ」は塔内の世界をすべて創ったのか?

サガ2とのリンク

サガ2秘宝伝説の主人公の父は、魔界塔士サガの主人公であったことが示唆されている。

サガ2は世界同士が天の柱でつながっている。これらの世界はふるきかみがみが創造し、それぞれの世界を接続したとされている。サガ1とサガ2はリンクしている。サガ1も2も様々な世界が接続された世界だ。どこかに接続点があったのかもしれない。
また、魔界塔士サガでは「かみ」が創造していない世界の存在を「かみ」自身が示唆している。「かみ」はアシュラを呼び出したと言っている。
魔界塔士サガとサガ2秘宝伝説がリンクしているのは後付け設定ではあるけれども、塔の世界がどのように創られたのかを示唆している。
サガ1の「かみ」の後ろにあった扉が、サガ2につながっていたのだろう。あの扉は楽園への扉ではなく、世界同士がつながったバックドアだったのかもしれない。

異なる世界同士がリンクした世界観は河津秋敏によるサガシリーズによく見られる世界観である。特に、サガフロ1はリージョンという異なる世界同士がリンクした世界観であった。
以上の事から「かみ」は元々あった世界を塔として自分好みに再構成したと考えられる。つまり、サガ2のふるきかみがみに近い存在だといえる。

ヒトの姿と人の心

「かみ」を解体、つまりバラバラにするため河津秋敏が神をどのように描いてきたかを振り返ろう。

直接的に「神」を描いた作品は多くはないが、ロマサガ1の神々やサガ2のあたらしきかみがみは非常に人間臭い。一方で、神ではないがロマサガ2の七英雄などは徐々に人の心が失われていったようだ。
人間臭さと、そうでないものの違いは何に起因するのか。これはサガ2のアシュラだ誕生した理由が良い事例である。サガ2のアシュラはただのゴフリンであったが、秘宝により姿も心も変わってしまった。七英雄は同化の法により種々のモンスターなどを取り込み、ヒトではない姿になるにつて人間の心が失われていった。
つまり、河津秋敏は人語を解するがヒトの姿ではないものは人間とは異なる存在として描いている。
一方でロマサガ1の神々やサガ2のあたらしきかみがみは人間の姿に近い。そのため人間臭いのだろう。
ただし、人間の姿をした神々は人間臭いが、存在原理が人間とは異なるため、行動原理は人間と大きく異なる場合がある。サガフロ1の妖魔などがその典型であろう。

魔界塔士サガの「かみ」は人間の姿をしている。世界に飽きてアシュラを呼び出した当たりはゲームに飽きたゲーマーのようで非常に人間臭い。一方で、ただのゲーマーではない。ゲームに飽きて自らゲームを作ったゲームクリエイターでもある。これは、創造できるが故の行動原理であろう。つまり、魔界塔士サガの「かみ」は河津秋敏そのものでもある。

最後に 魔界塔士サガの世界は繰り返されるのか?

魔界塔士サガの世界は主人公たちが最上階を目指すゲームであり、これはまさにゲームプレイヤーそのものである。魔界塔士サガのソフト毎にそれぞれの主人公たちが存在している。塔の20階に記された記録のように、途中で諦めた人々もいるだろう。

さて、魔界塔士サガの世界はゲームといってもどこまでがゲームなのか。
リセットされるのか、それぞれの冒険者ごとに別々のシナリオが用意されていたのか。
この点はゲーム内からはよくわからないが、「かみ」にとっての時間のスケールは人間にとってのスケールとは大きく違う。第一世界の玄武と英雄の像の関係が人々から忘れ去られるほどの年月くらいあっという間だろう。冒険者がゲームオーバーになった時点で世界が巻き戻りリセットされることはなく、四天王がクリスタルを守っている点だけ同じで、四天王をどのように倒すかは冒険者によって異なるのだろう。