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ドリームハウスでドリームなハウスができあがるのはなぜか

全面ガラス張りは施主の希望

毎回とんでもない物件ができるドリームハウス。実況版も毎回非常に盛り上がる。今回の物件も話題になっているが、大開口物件を望んだのは施主で、木工所で働きガラスを安く仕入れるルートが有ることから建築家が全面ガラス張りを提案。建築家は施主が選んでいる。つまり、超大開口ガラス張り物件は施主の希望通りなのだ。
しかし、ドリームハウスに出てくる人はなんで大開口好きなんだろうか。そのせいで毎回ガラスの嵌め込みが一大事業になっている。

ガラス張りなのため、配線はすべて天井を通している。電気工事の人がすごく大変そうであった。しかも工事がストップした期間に動線が盗まれるハプニングがあり、配線をもう一回やり直す羽目に。ドリームハウスは特殊条件が多く、施主も建築家も拘りが半端無いので、大工さんをはじめとする職人さんたちがいつも愚痴っているイメージ。

出来上がった建物は、長期間住むことを全く考えていない構造。
全面ガラス張りのため、夏はとんでもなく"熱く"なるだろう。遮光シートを貼る職人さんがすごく暑そうで、遮光シートが無いと内部の気温は36度くらいになっていた。デザインの関係上、網戸をつけられないため窓を開けるわけにも行かず。そもそも、平屋で塀もないので寝る際に窓を開けておくと防犯上怖すぎだ。また、窓ガラスが割れたら特注品なのですごく大変だろう。
デザイン重視のためか地面と床のレベルがほとんど同じ。大雨が降るとすごく心配な物件である。また、底冷えもひどそう。唯一の利点はルンバで掃除する場合に楽であることくらいだろうか。

ドリームなハウスができる理由

さて、今回の物件は個人的には住みたいとは思わないが、施主の希望通りなので好きにすればいいじゃんという気もする。
ドリームハウスでなんじゃこりゃ?って家ができる理由は大きく分けて3つある。

  1. 施主と建築家の夢が暴走
  2. 狭小など劣悪立地
  3. 建築家のエゴ
施主と建築家の夢が暴走

今回の全面ガラス張りの家は、施主と建築家の夢が暴走した結果で、双方納得しているのでまぁ幸せかなと思う。以下に同様のケースを紹介するが、デザイン重視であり、長期間で住むことを考えていない代物ができる。

リフォームとリノベーションの違いが今ひとつわかりませんが、子どもがいるのにもかかわらず子ども部屋を考慮していない点が理解できない。ちなみに、子どもが二人以上いると両親も将来を考えるようで比較的まともな物件になる。

上記のように不幸にも手放されるケースもあるようだ。どうややら、2013年4月30日現在でも売れ残っている。
施主と建築家のドリームな物件のため、施主以外に欲しい人がおらず購入する人は先ず見つからないだろう。すべての物件に言えることだが、担保にする場合は査定する方も大変でしょうな。

狭小など劣悪立地

狭小あるいは土地の形がおかしいために、そもそもまともな家が建たないのに無理しちゃった例。基本、スキップフロア物件である。

5坪に建てた結果、寝室と風呂が同じ空間にあるというドリームなハウスができあがる。日本の湿気でこの家はさすがにやばいだろう。

同じく狭小だが、こちらは施主と建築家の夢が暴走との複合型。狭小で大人気のスキップフロアに大開口の合わせ技の結果、確実に空調が犠牲になっていると思われる。大開口物件を見る度に思うのが、オフィスならおしゃれなのに。


狭小など劣悪立地はドリームハウスにおいては比較的まともな家ができる可能性がある。例えば 「坂の上のワケアリ一等地!“段差ハウス”」 などは比較的まともで、建ぺい率などを考慮しつつ広い家になっているのだが、ドリームハウス恒例のお風呂とトイレがガラス張りというお約束を踏襲している点が素晴らしい。
また、「傾斜28度の自然に溶け込む家」 なども比較的まともだが、建築場所が特殊すぎるため箱物ができるまで工事環境が劣悪である点もドリームハウスの見どころである。
狭小など劣悪立地で土地は安いく、見た目がまともな物件ができるが、特殊工法などにより工事費が通常よりもかかるため少々お値段がかかってしまう物件が多い。

建築家のエゴ

最も不幸な案件である。施主が建築家のファンであったり身内であったりするため、建築家のデザイン案を断りきれずにドリームを超えたハウスができる。建築家のコンセプト=思想を実現するためだけに建築され、施主のライフスタイルは考慮されないためどうしようもない物件ができあがる。

施主が建築家の山下保博ファンのため、彼が進める「土Project」を元とした日干しレンガの家を断りきれなかった案件。建築家の実験にまんまと付き合わされている。施主の希望が「広くて個性的なキッチン、度肝を抜かれるような外観、山下さんの作品に住みたい」と曖昧模糊としているのもトンデモなハウスができあがった理由だろうが、せめて普通に生活できる家を建てていただきたい。
ちなみに、第18回作品例部門 最優秀賞 / 日本電気硝子 らしいよ。

建築家が施主の長女夫婦。結果、長女夫婦が建てたいコンセプトの家ができあがる。完全にオナニー。

最後に

ドリームハウスでドリームなハウスができあがる理由は、とんでもないプロジェクトが発生する過程によく似ているよなと思った。お金がふんだんにあるならドリームでもいいと思うんですけども、長く住むことを考えずにお高い家を建てるのはちょっとどうかなって。

おまけ

おまけとして、ドリームハウスによく出てくる用語を説明。

  • 建ぺい率
    • 敷地面積において、住宅を建てても良い面積の割合。防火、景観、住宅環境によって定められる。
    • 狭小物件では、この建ぺい率を満たしつつ広い家にするのが建築家の腕の見せ所となる。
  • 地盤改良
    • 地盤が緩い場合などに行われる。地代は安いが、地盤改良が必要となるので結局高く付くことも。
    • 用途に応じて色々な工法があるため、ドリームハウスを見ていると無駄に詳しくなる。
  • 大開口
    • ドリームハウスの定番。特注の大きなガラスを嵌めることになるが、一大事となる。夏は熱く冬は寒いし、プライバシーもあったもんじゃない。
  • 風呂が丸見え
    • ドリームハウスでありがちな間取り。風呂がガラス張りで、洗面所やトイレから丸見えに。
    • 夫婦の場合は、どちらかが希望し片方が反対するも力関係により風呂丸見え間取りが実現する。