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ファンデーションを10円玉でこすると黒ずむのは亜鉛が原因か

ファンデーションを10円玉でこすると云々

…化学のお話。ファンデーションを手の甲に塗ってみてください。そして10円玉で擦ってみてください。黒ずみましたか?そのファンデーションは亜鉛入りですので、きちんと落とさないと肌の奥に亜鉛が入りこんで、皮膚ガンになりやすくなったり、シミになったりしますよ。

なるツイッター上の発言が100以上RTされたことで話題になりました。Togetter にも、Togetter - 「ファンデーションを十円玉で擦るとどうのこうの」 では本当にそんなことが起こるのかなどの考察が、Togetter - 「【これはひどい】第一次RT者が内容鵜呑みで100超RTし炎上削除」 においては発言の影響がまとめられています。

反響がありすぎたためか、亜鉛ファンデーション|anllie12さんのブログ#main において発言元の人が弁解していますが果たしてファンデーションを10円玉でこすると云々ってのは化学的に正しいのでしょうか?
手の甲に黒ずみが現れる原因は10円玉の黒ずみあるいは手の垢がファンデーションでこすることで落ちるのでしょう。でもその原因は亜鉛なの?そもそも亜鉛は人体に有害なの?

この話のポイントは以下の三つ。

  1. ファンデーションに亜鉛は含まれるのか
  2. 手の甲が黒ずむ原因は亜鉛なのか
  3. 超微粒子は人体に有害なのか

いきなりまとめ

  1. ファンデーションに亜鉛は含まれるのか
  2. 10円玉の黒ずみが落ちる原因は亜鉛なのか
    • 発言元のanllie12氏は、メッキなどの化学反応によるのではないかと推測しているが、金属の亜鉛酸化亜鉛は別物である。
    • 仮に、金属の亜鉛だとしてもファンデーションは油性で電解質がないので電池やメッキのメカニズムでは説明できない。
    • 同様に、酸化亜鉛と銅を混ぜただけでは何も起こらない。仮に、起こるとしたらファンデーションは空気中でどんどん黒くなるだろう。
    • ファンデーションを10円玉でこすると10円玉が綺麗になり手の甲が黒ずむ理由は、ファンデーションに含まれるカオリン酸化亜鉛、酸化チタンなどの粒子が研磨剤として働くためだろう。
    • ちなみに、化粧品には界面活性剤が含まれますが、少量のため洗浄力は殆ど無く垢が落ちて黒ずんている可能性は低いだろう。
  3. 超微粒子は人体に有害なのか
    • 現在研究中であるため詳細は不明。
    • 一般にサイズが100ナノメートル以下になると、サイズに特有な性質を示す。そのため、100ナノメートル以上で人体に無害な物質であったとしても、以下では有害となる可能性はある。当然その逆もある。
    • 例えば、酸化亜鉛などは水に不溶なのでその微粒子を吸い込むと肺に悪影響を及ぼす可能性は考えられる。
    • 肌には角層があり、隙間はぎっちりなのでナノ粒子が浸透することは出来ない。
    • また、角層は新しい細胞が生まれると垢として剥がれ落ちるのでナノ粒子も一緒に落ちてしまうだろう。

ちなみに、ファンデーションを10円硬貨でこする?? ってのは昔から化粧品販売員が用いる手口のようです。以前は、廃油などから作ったファンデーションは黒ずむから良くないですよと言って化粧品を買わせていたようです。廃油が現在では微粒子に置き換わっているようで、原理はやはり研磨剤により10円玉の汚れが削れているのでしょう。

以下に詳しく解説しております。

おしろいの歴史―鉛白から酸化亜鉛、酸化チタンへ―

かつてファンデーションこと白粉には白色顔料である鉛白が使われていました。鉛白は塩基性炭酸鉛です。鉛は少量なら食物にも含まれていますが、自然に含まれる以上の鉛に汚染された食物などを摂取し続けると鉛中毒になります。白粉は毎日肌に塗るものですから、鉛は含まれないほうが望ましい。
現在はファンデーションに鉛白が使われることはありません。粘土である名前の可愛いカオリンや、酸化マグネシウム酸化亜鉛や酸化チタンなどが使われています。特に酸化チタンは屈折率が高いので反射板として使われので発色が良いです。また紫外線を吸収するので日焼け止めなどにも利用され、人体への影響も少ないと考えらられるためUVカットもできるファンデーションとなります。酸化亜鉛も酸化チタンほどではないですが紫外線を吸収し、発色も良く、また同様に人体への影響が少ないので有用な顔料です。
ちなみに、ファンデーションに使われるカオリン、酸化マグネシウム酸化亜鉛、酸化チタンは水には溶けません。

ファンデーションには酸化亜鉛が含まれるようです。それでは10円玉の黒ずみを落としたのは銅と酸化亜鉛が化学反応したからでしょうか?

亜鉛と銅の化学

亜鉛版と銅板によるレモン電池

酸化亜鉛ではないですが、銅と亜鉛の化学といえばボルタ電池を思い浮かべます。ボルタ電池は銅板を正極に、亜鉛板を負極とし、硫酸などを電解液として用いた電池です。電池の仕組みについて学習する際には基本として紹介されます。構造が簡単なので、 お家でできる化学実験 で、銅板と亜鉛板をレモン刺すだけど手軽に行えます。使用したレモンには、金属イオンが含まれているので食べないほうがいいです。
原理は。亜鉛板から亜鉛が溶け出す際に電子が余り、その余った電子が銅板へと移動し、レモン果汁に含まれるクエン酸などの水素イオンが電子を受け取り水素が発生する際に、系として電子が移動しているため、それが電流となり電池となります。高校の化学ならばイオン化傾向も一緒に学びますね。この際、亜鉛はレモン果汁には溶け出しますが、銅は溶けません。ここテストにでますよ。レモン電池 により詳しい解説が成されていますが、銅表面の酸化銅の皮膜が還元され(酸化の逆)、銅が析出する場合もあるようです。


さて、10円玉をファンデーションで擦ると黒ずみが溶けるのはレモン電池と同じ原理なのでしょうか?
ファンデーションに含まれるのは酸化亜鉛であって、金属の亜鉛ではないのでファンデーションで10円玉を擦って黒ずみが落ちる理由には当てはまりません。なぜなら、酸化亜鉛と金属の亜鉛は別の物質だからです。酸化亜鉛のままでは10円玉表面の酸化銅などを他の物質に変えることは出来ません。銅だけでは酸化亜鉛を金属の亜鉛にすることも難しいです。なぜなら、先のレモン電池のように亜鉛と銅をクエン酸などの溶液に投入すると、亜鉛の方が溶け出してしまうからです。その逆を行うには電流を供給してあげる、つまり電気分解する必要があります。電気分解亜鉛を生成する方法の一つです。しかし、酸化亜鉛のままでは水に溶けないので、一旦酸化亜鉛を硫酸に溶かし硫酸亜鉛水溶液とし、電気分解しなければなりません。
もし仮に、金属の亜鉛だったとしても化粧品は基本的に油性ですから、電解質がありません。よって電池には成り得ません。
つまり、電池の機構では10円玉の黒ずみが酸化亜鉛で落ちる理由を説明できません。

亜鉛メッキ

亜鉛と銅の化学といえばメッキもありますね。
亜鉛と銅を接触させると亜鉛の方が先に錆びてしまいます。金属のこのような性質を利用したのがメッキです。鉄や銅を亜鉛でメッキすれば、亜鉛が錆びることで鉄や銅の腐食を防ぐことが出来ます。
亜鉛メッキは長時間経つと、酸素と反応して白錆と呼ばれる酸化亜鉛や、二酸化炭素と反応すると灰色がかった塩基性炭酸亜鉛が表面に堆積します。見栄えが悪くなりますが、内部の鉄や銅などは腐食していません。亜鉛メッキの上から、有害な六価クロムでなない、三価のクロムで処理することで白錆を防ぐことも出来ます。ただし、亜鉛メッキはアルミなどの不純物を含むと、表面が黒あるいは褐色になることもあるようです。

電池の機構が10円玉の黒ずみを落とす原因ではないのなら、メッキの機構なのでしょうか?
亜鉛メッキは銅の酸化を防ぐために施されるものであって、10円玉の黒ずみである酸化銅などを除く効果はありません。また何度も同じことを書きますが、ファンデーションに含まれるのは酸化亜鉛ではあって金属亜鉛ではありません。故に、新たに白錆である酸化亜鉛が増えることはありません。酸化亜鉛二酸化炭素などと反応する可能性もありますが、すると肌に塗ったファンデーションがどんどん灰色になるはずですから考えられません。

よって、メッキの機構でも10円玉の黒ずみを酸化亜鉛が落とす理由を説明できません。

10円玉をきれいにする方法

酸化亜鉛と銅が化学反応して10円玉の黒ずみがとれるとは考えられないです。そこで、10円玉が綺麗なるメカニズムから考えてみましょう。

レモン果汁で10円玉を綺麗に!

レモン果汁やタバスコ、ソースなどで10円玉を拭くと綺麗になります。これは、食物に含まれるクエン酸などの効果で、酸化銅などが酸により溶解し綺麗な銅表面が露出するため綺麗になります。つまり、化学的に10円玉を削っているわけです。ファンデーションでも同じことが起こっているのでしょうか?残念ながら、それはないでしょう。肌へのダメージや、ファンデーション自体の安定性を考えると酸が含まれているとは考えにくいです。
酸といえば、ヒアルロン酸などが含まてている場合がありますね。主に保湿性を謳っているので正確にはヒアルロン酸ナトリウムだと思いますが、どちらも10円玉を綺麗にするような酸化力はないです。

研磨剤で10円玉を綺麗に!

ファンデーションには酸は含まれないでしょうから、他の方法を考えてみましょう。
化学ではなく、物理ですが研磨剤で削れば10円玉を綺麗にすることができます。つまり、クレンザーで削ればいい。クレンザーで汚れが落ちる理由は、は数十マイクロメートル程度の粒子が金属などの表面についた汚れを物理的に削り落とすから。汚れが物理的に落ちますから、削れば削るほどクレンザーは汚くなります。先に述べたように、酸化亜鉛や酸化チタンは水に不溶ですから、ファンデーション内では微粒子として分散しています。実際に、酸化亜鉛や酸化チタンなどは研磨剤としても使われています。特に酸化チタンはホワイトニングとして歯磨き粉に含まれています。ファンデーションに含まれる酸化亜鉛がクレンザーとして働けば、10円玉を擦れば10円玉は綺麗になり、手の甲は黒ずむでしょう。これならばファンデーションによって10円玉を擦っても黒ずんだり、黒ずまなかったりする理由がわかります。試しにクレンザーでやってみるといいですよ。

ところで、化粧品には界面活性剤が含まれています。界面活性剤は所謂乳化剤で、水と油の両方に溶ける物質です。水と油を混ぜるために必須の物質で、食品などにも使われています。つまり界面活性剤は化粧品には欠かせません。界面活性剤は洗剤としても使われていますが、こちらも水と油を均一にする働きにより、油汚れが落ちるわけです。化粧品に界面活性剤が含まれているため、ファンデーションを手の甲に塗って10円玉でこすった際に出てくる黒ずみはもしかしたら手の垢である可能性もあります。ただし、化粧品に使用される界面活性剤は水溶性の成分と油性の成分を均一に混ぜるために必要最低限しか使用されていないため、洗剤のような洗浄力はありませんから、ファンデーションを10円玉で擦って黒ずむ原因である可能性は低いと考えます。

酸化チタン以外の鉱物系のファンデーション

さて、今一度ソースをである 亜鉛ファンデーション|anllie12さんのブログ#main で紹介されている写真をよ〜く確認してみると、ファンデーションを手の甲に塗り10円玉でこする絵があり、10円玉が綺麗になり手の甲が黒ずんだ場合は「こうなったら鉱物の超微粒子が入ってるってこと」と説明しています。この10円玉を用いる方法は超微粒子が含まれているかを選定する方法であって、鉱物が何かは関係ないのではなかろうか。鉱物なら、むしろ粘土であるカオリンである可能性もあります。なぜなら、酸化亜鉛や酸化チタンは工業的に作られるので鉱物とは言えない。
ならばカオリンは有害なのかといえば、ほとんど毒性はないはず。酸化亜鉛などと同様に水に溶けないので肺などに入ると害を及ぼす可能性もありますが、アスベストのように繊維状ではないので十得な障害を引き起こす可能性はい引くでしょう。ただし、微粒子、特にナノサイズの物質が人体及ぼす影響は研究が始まったばかりで分からないことも多いです。そのため、水に不溶なナノ粒子は「発がん性がある可能性」があるのではないかという視点で研究が進められているようです。

ナノ粒子と肌の保湿

ナノ粒子は危険なの?

一般的な粒子は数〜数十マイクロメートル程度です。粒子のサイズが100ナノメートルを切ると、サイズ特有の性質が発現することがあります。そのため、100ナノメートル未満の粒径の粒子の場合、安全であったはずの物質が有害な振る舞いをする可能性もあります。もちろんその逆もあり、有害だったはずの物質を無毒化でき、かつ有用な性質を示す可能性もあります。あくまで可能性の問題であって、正直なところよく分かりませんってことです。そのため、ナノ粒子の安全性に着いて様々な研究が進められています。例えば、植物の発芽性を調べる実験では、金属亜鉛のナノ粒子は牧草の発芽を阻害したり、逆に酸化チタンのナノ粒子はほうれん草の種子活性を高めたなんて報告もあります。ただ、多くのナノ粒子は特に何も影響を及ぼさなかたようですが。

肌から栄養は吸収できません

ナノ粒子が危険なのは、肌から浸透するからだとする説もあります。肌から有効成分を浸透させるって奴の逆ですね。
もし仮に直径20ナノメートルのナノ粒子であったとしても、肌の最表面である角層はケラチンというタンパク質の間をセラミドがみっちりふさいでいますから透過できません。もし仮に、ナノ粒子が透過できるならそれより100分の1も小さな水分子は身体からダダ漏れになってしまいますし、肌から栄養が吸収できてしまいます。
また、角層は下からどんどん新しい細胞ができてくるので、古くなるとアカとして剥がれてしまいます。もし仮に、角質にナノ粒子が取り込まれたとしてもアカとして落ちてしまうでしょう。

そもそも化粧は肌に良くない

そもそも、どんなに身体に害がなかったとしても、あるいは身体に良かったとしても、顔に何かしら塗りたくるってのは肌にはよろしくない。なぜなら、一度塗ったならば必ず落とさなければならないから。化粧を落とす際に、肌の脂も取れてしまいますし、乾燥から守っている角層が落ちるわけで。厚化粧すればするほど、脂も角層も落ちてしまいます。それ故に肌が荒れるで、ますます厚化粧になるという悪循環に・・・。
肌の為を考えるなら、化粧は薄めに、帰宅後は直ぐに落として、保湿ってのが理想でしょう。乾燥は大敵ですしね。冬の肌がされやすいのは寒い上に、乾燥しているから。流しものを行えば、洗剤のためさらに脂が落ちてしまうから手が荒れてしまう。手専門のモデルは、洗い物の際は必ずゴム手袋をするそうですしね。
また、肌から栄養は吸収できませんから、健康な肌を保ちたいなら健康な食生活を送るのが一番でしょう。
後まぁゲルマニウムローラーとかエステもガッツり語りたいんですが、本稿とは関係ないので。簡単に述べれば、ゲルマニウムローラーやエステにより肌のたるみは一時的に治りますが、根本的に治したいなら顔の表情筋を鍛えたほうが良いってこと。