まおゆうを書籍で読んでワクワクしようじゃないか!

まおゆう魔王勇者 1 発売!

昨日12月29日にようやく待ちに待った書籍版まおゆうが発売されました!まおゆうって何?な人には、魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」とは (コノワレノモノトナレユウシャヨコトワルとは) - ニコニコ大百科 が詳しいです。

本書は勇者と魔王の物語。通常、勇者と魔王の物語と言えば勇者が魔王を討ってめでたしとなるなります。しかし果たして本当にそれで平和が訪れるのでしょうか?もしかしたら別の物語があったのではないでしょうか。もし、勇者と魔王が協力して人間と魔族の対立を無くそうとしたらどうなるでしょうか。そんなもしもを描いたのがまおゆうです。

セリフのみからなるまおゆう

桝田さんも解説でも言及していますが、まおゆうは会話文のみからなる戯曲的な小説で、落語や狂言の台本に近い形態となっています。まおゆうには落語や狂言と同様に固有名はありません。落語や狂言に固有名はないですが、お約束の役柄が与えられています。その役柄から容易にキャラクターを把握でき庶民にも楽しむことができました。しかし、そのお約束が失われてしまうと下地を知らなければ楽しめません。つまりハードルが高くなってしまいます。まおゆうが、戯曲的でも成立するのはお約束が存在するからでしょう。まおゆうのお約束とは、補章 まおゆうの生まれた背景 にも書いたように、ドラクエ的世界観で、特に全体として3のロトとゾーマを踏襲しています。冒頭の魔王と勇者の交渉部分はドラクエ1の竜王と勇者の会話のパロディですが。また、2ちゃんねるにおけるウェブ小説がセリフ中心で構成されていた流れが無ければまおゆうは生まれなかったでしょう。女魔王使いや男戦士など、性別+職業でキャラクターを表現するのはドラゴンクエスト四コママンガ劇場の影響もありそうです。
まおゆうはセリフのみで構成されているため はまログ: 『まおゆう』と、描写への欲動 でも語られるように情報不足となっています。特に後半は物語が大きく膨らんでいるため明らかに説明が足りていません。アクションを描いてしまっているが故の情報不足ですが、ままれさんによるアクションを読みたいなら、ログ・ホライズン も3月下旬に発売されるので是非。
セリフのみで情報が不足しているまおゆうではあるが、もし仮にまおゆうを通常の小説の形式で書いたならば、この物語は長大になりすぎて完結できなかったかもしれません。セリフのみで構成されているからこその疾走感もあります。行間、あるいはセリフ間を読者が補完する楽しみもあり、「俺ならこう演出する!」と。その例が二つの漫画版である、【2ch】魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」#00 ‐ ニコニコ動画(原宿)まんが「ゆかいな魔王と勇者」 です。どちらも全く違った魅力があります。ニコニコ動画の方は1スレ目の冒頭のみですが、主要キャラクターが登場したてんこ盛りな内容。また、漫画と動画の間にある新しい表現技法になっている点も興味深いです。一方、まんが「ゆかいな魔王と勇者」杉浦茂風で、情報が極限まで削ぎ落とされています。今後も様々なメディアミックスがなされるでしょうが、それぞれ異なったまおゆうが登場するでしょう。今から楽しみです。

既読者も未読者も楽しめる書籍版まおゆう

12月29日発売で、Amazonで注文しておいたのですが只今実家なため受け取れない。というわけで本屋で買って読み終えて、感想書いたら実家に置いて親に読ませようという算段。早速本屋に行ったのですが、好文堂では見つけられず、遊INGの新書コーナーでも見つけられなかったのですが、もしやと思って漫画・ラノベコーナーに行くと、ラノベコーコーナーに積まれてました。本屋によっては置かれている場所がマチマチかもしれませんね。

一巻のタイトルは、スレッド名にもなっている「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」で、本書は4スレッド目の119までの内容が収録されています。物語が進むに従って内容が盛り沢山になっており、m2lade JAM: まおゆう1の書影があがって来ました。 によると、加筆もあるため全5巻と長大になっているのでしょう。後半になるに従って情報量が不足していきますから、加筆も多いようで、今から楽しみであります。
カバーと本文イラストを担当している、toi8さんの魔王が可愛くて素敵です。特に131ページの青年少年と対峙するまおー様がほんとうに可愛い。また女騎士がかっこいいですね。231ページの南氷将軍との戦いの挿絵が男前です。また、おもな登場人物がひどいですね(褒め言葉)。一部を抜粋すると、魔王は知識と胸は半端ない、勇者は童貞で女騎士はつるぺた。まぁ大体あってますけど(笑)。

元は2ちゃんねるで書かれたため横書きですが、書籍化にあたり縦書きになっています。ただ、私はまとめサイトのテキストデータをiPhone投入し青空文庫リーダであるi文庫を用いて縦書きで読んでいたので、違和感はないです。縦書き用に直した部分もあるそうで読みやすくなってます。また、原作における矛盾点なども修正されています。さらに、ちょこちょこと書き足された部分もあります。既読者には変更点を探す楽しみもあるのではないでしょうか。もちろん、未読者にも読みやすくなった修正がなされていると思います。
縦書きで、セリフごとに色分けがなされているので、誰がしゃべっているのか分かりやすいなと感じました。ただし、初版にはこの色分けにズレのある部分がありますし、誤植も多いのですが・・・。出版までどんだけ時間がなかったんだと。注釈が読みづらいとの意見もありますが、僕は特に邪魔だとは感じませんでした。邪魔だと思えば無視すれば良いですし、物語をぶった切るほどの量ではないです。また、舞台となった冬の国周辺の地図が載ってるのも嬉しいです。特に僕の想像に近かった点が。二巻以降は魔界の地図なんかも登場するのでしょうか?これからが楽しみです。ただ、Togetter - 「今読みたい「まおゆう」と10年後も読める「まおゆう」」 にまとめましたが、桝田さんは10年後も読める「まおゆう」を目指したそうですが、それならもうちょっと世界観の説明があってもよかったのかなと。例えば、勇者の使う呪文の解説とかね。

以下続刊!

二巻は忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀。クリルタイ - Wikipedia とはモンゴルにおける意思決定機関のことで、魔族はモンゴルの騎馬民族的な集まりだと思っておくと良いでしょう。また、ややネタバレになりますが中国の天子に関しても予習しておくと2巻以降を楽しめるのではないでしょうか。
さてさて、桝田さんの解説によると4巻と5巻の”つなぎ目”にこの世界の繁栄を願ったおまじないがかくされているそうです。4巻と5巻の”つなぎ目”とは、表紙の構造を考えると・・・?