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漫画・アニメ業界はレーティングを設けるべきだったのか

*ちょっと追記(21:00)。漫画・アニメ業界はレーティングを審査する団体を作る必要はないとう話ではなく、作ったとしても今回のような法規制の槍玉に挙げられる可能性はなくならないかも知れず、その為には一体どうすればいいんでしょうねって話ですよ。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正が可

東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正が可決されてしまったようです。本改正案が漫画やアニメーションを狙い撃ちにしているとされるのは、改正案第2条の第7条(図書類等の販売及び興行の自主規制)の項によります。以下にそれを引用します。

  • 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催するもの及び興行場興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当するものと認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させないように務めなければならない。
    • 一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。
    • 二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

「漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)」と明記されています。本当の意味で青少年の健全な育成を考えるなら、なぜ漫画やアニメーションのみを対象とするのでしょうか。理解に苦しみます。改正推進派と思われる、渡辺真由子のメディア・リテラシー評論 における、東京都青少年条例を考えるヒントを読む限り、漫画やアニメではなく、ファッション誌や週刊誌の影響のほうが大きそうなのですが。あるいは、漫画やアニメの規制は布石であり、今後ファッション誌などにも手を伸ばすのかも知れません。

漫画やアニメもレーティングを審査する団体を儲けるべきだったとの声もありますが、果たしてそれで解決する問題なのでしょうか。

映画やゲームのレーティング

映画やゲームにはレーティングにより、視聴や購入に年齢制限が設けられています。日本の映画ならば 映画倫理委員会(映倫) に審査され、レーティングが決定されます。映画のレイティングシステム - Wikipedia にもあるようにアメリカやイギリスなどでも映画のレーティング設定されています。レーティングは、性描写への規定が目的に設けられましたが、昨今では暴力的、反社会的行動も審査の対象となっています。
ゲームの場合は、コンピュータゲームのレイティングシステム - Wikipedia にまとめられていますが、日本はアダルトゲームの審査機関であるソフ倫こと EOCS/一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構 がアダルトゲームを中心とした自主規制の審査を行う団体が存在します。最近では、 コンピュータエンターテインメントレーティング機構 が、一般向けのコンシューマーゲームを審査するようになっています。

漫画やアニメにもレーティングを設ければよかったのか

映画やゲームにはレーティングが設けられていますが、漫画やアニメも儲けるべきだったのでしょうか。やまなしなひび−Diary SIDE− 漫画業界も“レーティング制度”を導入すべきだったのか にもまとめられているように漫画は映画やゲームとは販売形式が異なるため導入するのが難しいでしょう。
日本の漫画の殆どは雑誌に連載されています。少年誌だけでも4種類あり、週刊誌以外にも月刊誌が刊行されています。これは週刊誌やファッション誌も同様で、数が多すぎるため審査機関を設けることが困難なのでしょう。それ故に、各出版社が自主的に18歳未満に販売しない出版物などを設定しているのでしょう。
また、漫画の連載は長期にわたり、何年も続くことがざらです。単行本も数十冊に渡ります。ある作品の1巻は規制なしだが、2巻は15歳未満は見てはダメで、3巻だと13歳未満は保護者の同意が必要なんてことも起こり得るかも知れません。これはアニメも同様で、テレビドラマなどにもレーディングが設定されていないのも各話ごとにレーティングを設定すると困ったことになるからでしょう。
もし仮に、連載終了後に漫画やアニメ全体の年齢基準を設定するなどの対策を考え漫画やアニメのレーティングを設定する団体が存在していたら、今回のような都条例改正は起こらなかったのでしょうか。恐らく、レーティング審査団体を設立しても、漫画やアニメは槍玉に挙げられたのではないでしょうか。その実例をひとつ上げてみましょう。漫画やアニメではないし、日本の事例ではないのですが、 “表現の自由”が奪われかねない法規制の動きは業界の自業自得? によるとアメリカではゲームのレーティングが設定されているのもかかわらず法規制を強める声が政治家から上がっています。
アメリカのは、文化の違いからか日本よりもグロテスクな表現が好まれるようです。スクエニ、「CoD ブラックオプス」のローカライズで四肢切断と拷問描写を削除 のように日本でローカライズする際は四肢切断描写が削除される場合があります。グロテスクな表現はアメリカのゲームに限らず、ハリウッド映画などでも見られます。どちらもレーティングにより年齢制限が設けられていますが、映画はアメリカでは重要なコンテンツであり芸術であると認識されるため、法規制の対象へとはなっていないようです。


レーディングが設定されているはずのゲームに法規制をと叫ばれるアメリカの事例を日本に当てはめてみれば、日本のゲームも危ういでしょう。また、仮に漫画やアニメがレーティングを設けてもやはり槍玉に挙げられるのではないでしょうか?このような槍玉に挙げられないようにするには、漫画、アニメ、そしてゲーム業界はどうすれば良いのでしょうか・・・。