読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ネットだからって本名プレイしなくたっていいじゃないですか

実名・匿名論が活発になっていたので、今更ながら所感をダラダラと書く。
今回の発端は、毎日jp で連載されている、ネット上でも実名で表現を:勝間和代のクロストーク のトークイベントである 「勝間和代のクロストーク」イベント らしい。さらにネット上で火がついたのは、Geekなぺーじ : ネットで実名を出せない理由 による Twitter 上での発言をまとめ、それを元とした記事かなと。

実名、匿名とは?

実名匿名論で先ず問題となるのは、論者によって実名と匿名の意味が違う所。例えば、404 Blog Not Found:匿名発言者は、自分の気持ちがわからない人が多い によると小飼弾さんは

「実名」は、「公式名」のみならず、発言者IDのこと。「小飼弾」だけではなくdankogaiダンコーガイも、同じ発言者を示す「実名」だ。ハンドルやペンネームもよって「実名」。

と書かれており、ハンドルネームも「実名」だという立場だが、一般的ではないだろう。事の発端になった勝間さんの解釈だと、実名=本名=戸籍上の名前、という意味ではないだろうか。この時、ハンドルネームなども匿名に含まれるのだが、それはそれで乱暴な区分ではないかなと思う。例えば、芸能人や作家が芸名を使うが、これは本名ではなく仮名なので厳密には匿名だが、誰が発言したかは分かる。本名でなくても、誰が発言したかは確認できるのだ。ハンドルネームとは芸名的なものだろう。一方、顔にモザイク、ボイスチェンジャーでは誰だか分からない、作者不詳や読み費と知らずもだらが書いたか分からない。これらをネットに当てはめるなら、2ちゃんねるなどの名無しさんや、匿名ダイアリーの増田たちだろうか。
というわけで、本稿では特に断りがなければ、実名=戸籍上の名前、仮名=連続性の保たれたハンドルネームやIDなど、完全匿名=ハンドルネームやIDなどの連続性の保たれない匿名で2ちゃんねるやブログのコメント欄での名無しさん、とする。

あなたの本名って担保になるの?

ネット上でも実名で表現を:勝間和代のクロストーク - 毎日jp において長沼卓也さんという方が、ネットで実名を用いて表現することに賛成しておられるのですが、ぶっちゃけ長沼卓也さんって誰という話。市井の人間が実名を名乗った所で何の担保にもならない。実名を担保にしたいのなら、HPやブログなどの基点を作り活動しなければ、実名はハンドルネームにすら及ばない。著名人ならば、実名は担保になるけれど、しがない一般人が実名を名乗った所で何の意味があるのか。匿名実名を巡る冒険-「名」とは何か名前は究極のブランド: 自分がブログを実名で書く理由 でも語られていますが、名前に何がぶら下がっているか、名前に何を紐付けるかが重要であって、名前だけでは何の意味もない。名前により、その人の背景を知ることができなければ、名乗った所で何の意味もない。
普段の生活においても実名だけでは何の意味がない。レンタルビデオ店でビデオを借りる場合、実名だけで借りられますか?借りられないですね。運転免許証などの身分証明書と住所の記名が必要ですね。身分証明書と住所が担保になっているのであって、実名が担保になっているわけではありません。レンタルビデオ程度ならば、身分証明書で十分ですがより大きな金額の契約の場合、例えばクレジットカードや家を借りる場合は、勤務先や収入の担保が必要ですね。これもやはり、実名だけで借りることは出来ません。海外へ旅行に行った際にパスポートの提示を求められますが、これも実名が担保なのではなくてパスポートという国が発行した証明証、つまり国が担保になっているだけ。実名だけでは担保にはならないのに、ネット上で実名で表現しても意味はないですよね。戦において武将たちが名を叫ぶのは名を売ると同時に、自分の背景を相手に知らしめるためであってやはり過去に何を成したかが重要。「人の本性は、なにを成したかによって決まる」のですから、名前だけ名乗ったって仕方がない。

名を売りたいなら名を売ればいいけど代償もある

今回の実名・匿名論に火がついたのは、Geekなぺーじ : ネットで実名を出せない理由 で紹介されたまなめさんの Twitter 上での発言にもあると思う。

実名出すこと、会社に禁止されているサラリーマンもいるってこと忘れないでください。目立つことが仕事の人もいれば、目立ってはいけない仕事の人もいますよ。

この発言を「社蓄」とdisった人達がいるのだけど、彼らは個人事業主であり、そしてネットで自分の実名を売ることでメリットがある人達のように見える。ネットで実名を使う意義は名を売ることにある。名前は究極のブランド なわけです。
既にネット意外で名の売れた人が実名を用いてネットを活動するのも名を売るためなわけで。既に名の知れた人ならば名が担保になる。逆にまだ名前は知られてない人がネットで実名を用いて活動する場合は、ネットを担保とすることとなる。ネットでの活動が即実名に生きるわけだけで、個人事業主ならば名刺代わりにもなるだろう。しかし、特に自分の実名を売る必要がないならば仮名にしたって問題ないし、ある程度の担保にはなる。というか、仮名が担保にならなければ芸名で活動している芸能人や筆名で活動している作家には担保がないということになる。また、ハンドルネームのような仮名であっても先のまなめさんは、笑ってダマされタメになる!きたみとまなめのIT用語集 ASCII.jp:まなめの「週刊Twitterなう!」 のように連載もってますし、まなめさん以外にもHNで仕事をされている方はいらっしゃいます。ただまぁ彼の場合は、Re:RE:実名も捨てたもんじゃない にあるように小学生の頃からのあだ名で、ずっと「まなめ」だったわけで他のHNの人々とは事情が違いますが。
名を売ると言っても、仮名でも可能なわけで、別に実名である必要もない。しかし、名を売るって事はそれなりのデメリットもある。しかしそれは不可避で、「10人中10人に好かれることはできても、1000人中1000人に嫌われないと言うことは、好かれているのではなく、単なる人畜無害ってことじゃないですか。(via まなめはうす)」。名を知られるって事は、どうして嫌われると言うこと。誰にも嫌われないってことは出来ない。
実名推進派の人々が執拗に実名を推すのは匿名からの誹謗中傷を避けたいからだと思っていたのだけど、恐らくそれは正確ではない。彼らが匿名の排除に執拗なのは、彼らが数多の誹謗中傷や批判を浴びせられ名を成し、実名のメリットを手に入れたのに、ネットによって彼らに対する誹謗中傷や批判が可視化されたことに耐えられないのではないのかなと。

実名を名乗れば本当に誹謗中傷はなくなるの?

ネットで実名を用いれば本当に誹謗中傷がなくなるのでしょうか。実名を推進する人々は、自身の発現に責任を持って欲しいからと言います。確かに、実名は、仮名や完全匿名に比べれば責任があるように感じられます。でもそれって本当でしょうか。実名ブログの罵りあいや、mixiでの犯罪自慢、学校裏サイトや、実名ではありませんが顔出ししてほぼ個人を特定できるのに、痛いニュース(ノ∀`):ニコ生放送中に配信者が保育園の運動会に乱入、「僕ロリコンなんで」とマイクで叫ぶ なんて事もあったくらいですから実名で表現すること=発言に責任を持つことにならないのではないでしょうか。
また、完全匿名だから自分の発現に責任を持たなくても良いというわけでもなく、「小女子焼き殺す」ネットに殺害予告 23歳無職男を逮捕 に代表されるように逮捕されることもあります。というか、完全匿名であっても逮捕することは可能ですし、起訴することも可能です。
誹謗中傷をなくしたいのなら、自分の発言には責任があること、ネットで発言することは普段の生活で会話するのとは異なり、記録にも残るし、自分が意図しない相手にも見られる可能性があることを意識させなければ意味がなく、実名を推せば全てが解決するというわけではない。そもそも、実名であっても「鈴木一郎」のようにありふれて、さらに有名人と同姓同名ならば木を隠すなら森の中状態で匿名性が高くなる場合だってある。
上記に関しては、Geekなぺーじ : ネットにおける匿名の誹謗中傷を減らすには においてもトレーラビリティ、リカンビリティという観点から論じられています。というか、実名で生活している実生活においてすら誹謗中傷は絶えません。責任ある立場の人ですら、根も葉もない事を言ったり、部下を詰ったり、罵倒したり。実名を使うことで誹謗中傷がなくなるのなら、実生活においても誹謗中傷がなくなるはずですよね。

まとめ的な何か

名前だけあったって仕方がなく、名前により情報が分からなければ意味がない。名前だけ名乗ったって仕方がなく、何を成しとたかが重要。名前だけでは担保にならない。
ネットにおいて、実名を使えば誹謗中傷を減らせるというのも銀の指弾という幻想。
最後に、RE:実名も捨てたもんじゃない の質問に応えてみる。

最初に書いたとおり,普通の人は生れた時からしばらくは実名でしか行動していないと思います.
どんな時にどんなタイミングでわざわざ違う名前を名乗ろうとしたのか教えてもらいたいです.

想像出来るのといえば名前がユニークじゃないからユニークな名前にして覚えてもらえるようにしたのかなぁ

先ず「普通の人は生れた時からしばらくは実名でしか行動していない」云々からして違うと思います。レストラン程度のサービスならば実名は必要がないです。名前を意識しなくてもサービスは受けられます。また、立場によって自分の呼ばれ方は変わります。兄弟がいれば、兄弟の友達からは○○君のお兄ちゃんとかお姉ちゃんと呼ばれますし、親の仕事場に行けば○○さんのお子さんとなります。家族においても、お兄ちゃんや弟だったり。結婚すれば、○○さんの奥さんで、子どもが出来れば○○君のお母さんです。ゲームをするときは自分の名前を入れることもあれば、違う名前を入れる事だってある。それならば、ネットをはじめた際にこれまでの自分とは違うのだから、これまでの名前とは違う名前にしたと言う程度の問題。
ゲームで本名プレイをする人と、しない人とネットで実名を使う人と仮名を使う人の相関とか見てみたいですね。