「若者の○○離れ」ってもうやめませんか

「若者の○○離れ」のバーゲンセール

所謂ゆとり世代を「おゆとり様」と称し、これまでの若者とは消費行動が異なると言う記事。「日本の消費を変える」と題するなら、どうすれば彼が消費するのかと言う解決策くらい提案しろよと。というか、経済が回らない理由を「若者」に押し付けるのはやめましょうよ。消費が低下した理由を若者に求めたことを端的に示すのが「若者の○○離れ」という言葉。以下にリンクを示すが、若者は車、旅行、酒から離れているらしい。

「若者の○○離れ」は本当か

実に多くのものから離れている若者だけど、これって本当だろうか。先ずは旅行から見てみよう。
旅行については 観光白書 - 国土交通省 を元にしよう。本文図表索引の、「図I-2-1-1 国内宿泊観光旅行の回数及び宿泊数の推移」によると国内旅行は1977年〜2008年まで一人当たりの宿泊日数および回数はほとんど変わっていない。年代別は2003年からしかないが、20代の国内旅行数が殆ど変動が無く、国内旅行に関しては若者の旅行離れとは言えないだろう。海外旅行に関しては1997年における20台の出国率は24%だったが、2007年は19%と確かに落ち込んでおり、日本人海外旅行者数も約1700万人と横ばいなので「若者の海外旅行離れ」とは言えそうだ。しかし、依然として日本人海外旅行者数における若者の割合は多い。
車離れに関しては、若者の車離れは本当か?〜免許編〜 あかさたなの執行実験場/ウェブリブログ によると運転免許の取得率が下がってきているで、若者の車離れも妥当のように思えるが、404 Blog Not Found:News - 車買えない?それとも買いたくない? でも指摘されるようにそもそも車が売れていないので、若者に限った話ではない。
これは酒も同様で、飲酒 喫煙 統計 | 健康Salad を見ると飲酒習慣を持つ男性が全年代で減ってきているので、「若者の酒離れ」というのは厳しいのではないか。
若者に限らず、不況により全体の消費傾向が落ちていると言うのが正しい見方ではないか。しかしなぜ多くのアンケート結果において「若者の○○離れ」と結論づけるるのか。

「若者の○○離れ」の正体

「若者の○○離れ」とは、若者の消費行動が低下したことを表す言葉だけども、そもそも若者は金を持っていない。金を持っていないので消費行動をとるにもとれない。若者がお金を持っていないのは、今も昔も変わらない。しかし、今よりも昔の若者の方が消費行動をとっていた。車を所有することがステータスだったから、無理をしてでも買った。ステータスと言えども無い袖は振れない。ある種出世払い的に無理をして消費していたわけだが、それは未来への保障があるからだ。景気は上向きだし、終身雇用で賃金が増える一方ならば若い頃に無理をしても、年をとってから備蓄しても間に合う。しかし、今はどうだろうか。就職しても先行き不明。賃金が増える保証も無いし、景気も暗く、年金が受け取れるかどうかも分からない。そんな状況で、若者が無理して消費できるか、という話。「若者の○○離れ」を解決したいならば、先行きを明るくするか、消費行動を促すサービスや魅力を作るしかない。先行きを明るくするのは企業だけでは難しいし、昔のように賃金が上がりづ付けるというのは不可能。ならば、企業は後者の方法を考えるしか無いだろう。
まぁ、実際は企業側もそれが分かっているはずで、「若者」のせいではないことは承知しているだろう。しかしそれでも、「若者の○○離れ」とする理由は、原因を理解できないもの、この場合は「若者」に押し付けることで処理したいから。「漫画、アニメ、ゲームのせい」は「天狗の仕業」と同じ思考停止 のように、まさに不可解なことを天狗の仕業にしているのと同じで、先の「おゆとり様」などまさに「天狗の仕業」のそのものである。痛いニュース(ノ∀`):「高い車」「大きいテレビ」を買わない若者=「草食男子」は“見栄消費”しない における「草食男子」も同様のメカニズムである。

天狗の仕業にするのはよそう

若者はそもそも金が無いので消費行動が出来ない。それでも、消費行動が出来たのは先行きが明るかったから。現状の雇用状態で若者に消費しろと言うのは無責任である。そして、多くの記事における「若者の○○離れ」という結論は若者を天狗という理解できないものに仕立てたいだけで、何の解決策も無い思考停止だ。もう、「若者の○○離れ」という記事はやめにしませんか。